2018年02月28日

大磯はいかい3「高麗山〜浅間山」

 さて、はいかい3では、大磯町指定天然記念物の高麗(こま)山〜浅間(せんげん)山の植生を楽しみましょう。
P2281101 (210x280).jpgP2281100 (210x280).jpg【ユリワサビ/百合山葵】アブラナ科ワサビ属
 今年は高尾では開花が遅く、大磯で初花を見ました。 白い小さな花の集まりが愛らしい。 あのワサビと同属で、葉茎をかじればピリリと辛みが後から来ます。

【アリドオシ/蟻通】アカネ科
 別名:コトリトマラズ、イテイテ、オニノメッキ、メズミノメザシ、一両、など
 蟻をも突き通すという程鋭いトゲがあります。 様々な別名もその特徴を表していてイタタタ!な気持ちになって来ます。 一方、自身は別名「一両」と控えめながら、翌年まで赤い実が残ることから「有り通し」の意味ともとられ、センリョウ、マンリョウなどと一緒に寄せ植えにすると、「千両、万両、有り通し」となり金運向上に縁起がいいと喜ばれます。 3月でも未だ一粒赤い実が残っていました。

P2281102 (210x158).jpgP2281103 (210x280).jpg
【謎の赤い実】直径1センチほどの赤い実です。 固まって落ちていたので、動物の糞が雨で洗われたものかもしれません。 この時期の赤い実と言えば限られるので、後で調べて分かったら追記いたします。

P2281106モクレイシ (210x158).jpgP2281107モクレイシ (210x158).jpg
P2281110モクレイシ (210x158).jpgP2281109モクレイシ (210x158).jpg
【モクレイシ/木茘枝】ニシキギ科 雌花と葉
 雌雄異株、葉は綺麗な十字対生(対生する葉の組み合わせが交互に90度ずつずれているので、上から見ると十文字に見える) 暖帯〜亜熱帯の沿海地の林中に自生。
日本では概ね2地域(神奈川・伊豆・千葉何部を中心とする地域、九州を中心とする地域)にのみ、遠隔離分布する珍しい木で、本州では大磯の高麗山は有名な自生地の一つ。
 緑の外皮の中から真っ赤な実が現れる様子をツルレイシ(ゴーヤ)になぞらえての命名とされるので、ゴーヤが自然分布している地域で付けられた名なのでしょう。

P2281115 (210x280).jpgP2281116 (210x158).jpg
【ムクノキ/椋木】アサ科ムクノキ属
 発達した板根(ばんこん) メモし忘れましたが、この樹肌と板根はムクノキだと思います。

P2281215ヤブツバキ (210x158).jpgP2281214ヤブツバキ?淡紅色 (210x158).jpg
【ヤブツバキ/藪椿】ツバキ科ツバキ属
 基本の赤色の他に薄桃色もありましたが、ヤブツバキかどうかは不明です。

P2281121オニシバリ (210x280).jpgP2281124オニシバリ (210x280).jpg
雌株(下・雌花のアップ)    雄株(下・雄花のアップ)
P2281213オニシバリ (210x158).jpgP2281212オニシバリ (210x158).jpg
【オニシバリ/鬼縛り】ジンチョウゲ科
 別名:ナツボウズ(夏に落葉することから) 雌雄異株 繊維が強くしなやかで山仕事の縄代わりにも使用。
 高尾山では一生懸命探して数本のオニシバリが、尾根沿いに雌花も雄花も幾らでも生えていてビックリ! 沢山あると、また先にもあると思って対して立ち止まりもせず、もっとじっくり観察すればよかったと後悔。 どうやら雌花にも退化した雄蕊が残っているようで、雌雄が紛らわしいが黄色い葯が外に出て目立っているのが雄花のようです。 雄花の方が少し大きくて色合いも明るくみえました。 雌雄の花の作り、香りの違いなど、どうしてきちんと確かめなかったのか・・・ダメダメな未熟観察者です。

P2281131ヒメウズ (210x280).jpgP2281138フキノトウ (210x280).jpg
【ヒメウズ/姫烏頭】キンポウゲ科【フキノトウ/蕗の薹】キク科

P2281132カゴノキ (443x590).jpg
【カゴノキ/鹿子の木】クスノキ科ハマビワ属
 関東以西の暖地に自生するが適応力は強い。 成長するに従い樹皮が細かく剥がれ落ち、鹿の子模様になるのが特徴。

P2281136 (210x280).jpgP2281135 (210x280).jpg
【浅間(せんげん)山(181.3m)】
 浅間神社      一等三角点
 
あと一息で湘南平、やっとお昼の時間です。 なかなか見られない珍しい植物たちの興奮したのと、大磯駅まで2時間半近くかかる為早起きしたのとで、すっかりお腹がペコペコです。


人気ブログランキング
ご訪問ありがとうございます。
1クリック応援賜れますれば光栄に存じます。


posted by 山桜 at 23:55| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大磯はいかい2「高麗山・高来神社」

 化粧坂を過ぎた頃、目の前に現れたのは美しい山容の高麗山。
P2281079 (440x330).jpg
【高麗(こま)山(165m)】
 江戸時代末期までは高麗寺の霊域として樹木の伐採が禁じられ、明治時代には宮内省官吏の御料林となり、昭和13年に神奈川県に下賜されてからも引き続き保護されてきました。 しかし戦中・戦後の資材確保の為、北〜東斜面の樹木は伐採され、「江戸から続く植生*」は南斜面にのみ残され、今は県の天然記念物に指定されています。

P2281117 (210x280).jpgP2281100 (210x280).jpg【「宮」印の入った御料林の石標】 【アリドウシ(一両)】

(その1)でご紹介した安藤広重の錦絵「東海道五十三次 大磯 虎ケ雨」の右端に描かれているなだらかな山が高麗山です。 奈良時代にこの山側一帯に高句麗からの渡来人が居住し集落を作ったことから「高麗(こま)山」の名前がついたといわれています。

 足利氏内乱の攻防あり、北条早雲(伊勢新九郎)の籠城あり、上杉謙信の本陣が置かれたり、見晴らしの良い典型的な山城として高麗山はたびたび歴史の舞台となってきました。

*「江戸から続く植生」大磯町指定天然記念物
 スタジイ・タブノキなどの常緑広葉樹
 ケヤキ・ムクノキ・イロハモミジなどの落葉広葉樹の混交林。
 モクレイシやカゴノキという高麗山ならではの樹木も自生。

P2281081大磯虚空蔵堂 (210x280).jpgP2281083大磯高来神社 (210x280).jpg 
【高来神社入口右の虚空蔵堂】   【高来神社入口の鳥居】

P2281086大磯高来神社 (210x158).jpgP2281085大磯高来神社 (210x158).jpg 
【二の鳥居の銅注連縄】   【高麗寺慶覚院山門(天台宗)】
明治時代に廃寺になった高麗寺の貴重な仏像等はこの鳥居右奥の「慶覚院」に移されています。 徳川家菩提寺の上野寛永寺と繋がりがあるとのことで葵のご紋が見えました。 次はこちらもゆっくりと参拝したいです。 

P2281087狛犬 大磯高来神社 (210x280).jpgP2281089狛犬 大磯高来神社 (210x280).jpg
阿の狛犬さんの足元の仔犬のお尻がなんともカワイイ!

P2281091狛犬 大磯高来神社 (210x158).jpgP2281090狛犬 大磯高来神社 (210x158).jpg
仔犬さん甘噛みしてますね〜可愛すぎです。 吽の狛犬さんがこっちにも来てくれないかな〜と羨ましそう?

P2281092シイニッケイ 大磯高来神社 (443x590).jpg
【シイニッケイ/椎肉桂】
 スダジイ(推定樹齢300年)の上部にヤブニッケイ(推定樹齢150年)が着根して共存している大磯町指定天然記念物

P2281095大磯高来神社 (440x330).jpg
P2281096大磯高来神社 (210x280).jpgP2281217大磯高来神社 (210x158).jpg
【高来神社拝殿・本殿】
神武天皇朝 創建
垂仁天皇朝 神皇産霊尊、天津彦穂邇々伎尊を祀る
533年/安閑二年 神功皇后・応神天皇が合祀される
717年/養老元年 本地垂迹・神仏習合により高麗寺別当所管
寛永年間      東照大権現を併祀
1868年/明治元年 神仏分離令で高麗寺は廃寺、高麗神社に
1897年/明治30年 高来神社に改称
          戦国時代の相模国大住郡「高来」に由来

 寛永年間に東照大権現(徳川家康公がご祭神)が併祀されて後、参勤交代の大名たちも皆下馬して参拝せねばならなかったそうな。

P2281098ナギ (210x280).jpgP2281099 (210x280).jpg
【ナギ/梛】葉と樹肌
 針葉樹でありながら平たい広葉樹形の平行脈の葉を付ける。 

P2281113 (210x158).jpgP2281114 (210x158).jpg
【高麗山頂上の上宮跡】
 度重なる戦乱の世の攻防の舞台となり荒廃してしまったそうです。 今は高麗の人々は埼玉県日高市の高麗に移住してしまっている為なのか、寂寥感が漂っておりました。

 高麗(こま)と聞けば、埼玉県日高市の高麗の巾着田、高麗神社、高麗王若光(高句麗の王族とされる) を思い出します。 大磯の高麗との関係は、大磯は最初に若光が上陸し大陸文化を伝えた地、日高は後に若光一族も含めた関東の各地の高麗人が武蔵野国に集められ高麗郡が設置され、若光はその郡令に任命され終焉を迎えた地ということになります。 年月を経て、期せずして(どちらも人に連れられて)両地ともに訪れることになった不思議を思います。

 高句麗人と今の朝鮮半島に住む人々(新羅系)は、民族的・言語的に隔たりがあり、祖先と言う根拠はないとされますが、例によって論争の決着は見られないようです。 日本においてもこの部分に誤解があり、大磯の高麗の地でも、現代の嫌韓的拒否反応からなのか看板の文字の削除等が見られるのは残念なことです。 今までは彼の国が騒ぎ立てないように、この時代の歴史にはあまり触れずにいたように思います。 一度この時代からきちんと歴史を見直して、任那問題も含め日本としての歴史認識をしっかりと述べて欲しいものです。 と、また大いに横道にそれて今日も終わってしまいました。 つづく・・・ 


人気ブログランキング
ご訪問ありがとうございます。
1クリック応援賜れますれば光栄に存じます。
posted by 山桜 at 23:20| Comment(0) | 神社・仏閣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大磯はいかい1「化粧坂、ホルトノキ」

 FIT「低山はいかい倶楽部」の面々と大磯の町山海をはいかい(ここは種々の意味を踏まえて敢えてのひらがな)して参りました。

【コース】JR東海道本線 大磯駅〜化粧(けわい)坂松並木〜高麗(こま)ホルトノキ〜高来(たかく)神社〜高麗(こま)山〜浅間(せんげん)山〜湘南平(昼食)〜善兵衛池〜稲荷神社〜島崎藤村旧邸〜鴫立庵(大ケヤキ)〜照ヶ崎海岸(アオバト飛来地)〜地福寺(藤村夫妻のお墓)〜大磯駅

 大磯宿は、東海道の品川宿から八番目の宿場町。 治療養生の効用有りとする軍医松本順氏により、日本初の海水浴場「大磯海水浴場」として開設され、明治中期〜昭和初期頃には、政財界要人の別荘が150戸にも達したそうです。

P2281067大磯化粧坂松並木 (210x280).jpg安藤広重 大磯 (210x137).jpg
「化粧坂の松並木」 安藤広重「東海道五十三次 大磯 虎ケ雨」 
電柱電線が無ければ、まるで江戸時代の風景そのままのような

P2281069大磯化粧坂大榎 (443x590).jpg
P2281070 (440x330).jpg
「化粧坂の一里塚・大榎」
一里塚は旅人の休息の場として、南側には枝を高く広く伸ばして日影をつくるエノキを、山側にはセンダンを植えたとのこと。 センダンの木は成長が早く寿命が短いので見当たらず。

P2281072大磯化粧坂井戸 (210x280).jpgP2281073大磯化粧坂井戸 (210x158).jpg
「化粧坂の井戸」
休息には喉を潤す水が必要、井戸もありました。 
この井戸は、日本三大仇討*「曽我物語」の曽我兄弟の兄十郎の思い人、遊女「虎女・虎御前」が化粧をするのに使った井戸。 「化粧坂」の名も、この井戸があったことで命名されたとのこと。 虎女は、十郎の分骨を抱いて長野善光寺で出家、そこで口述したものが「曽我物語」の元となったと言われています。

*日本三大仇討もの:「曽我物語・曾我兄弟の仇討」「忠臣蔵・赤穂浪士の討入」「伊賀越の仇討」(岡山藩士渡辺数馬が義兄荒木又右衛門と共に、父(一説に弟)のかたき河合又五郎を伊賀上野で討った事件)

P2281075ホルトノキ (443x590).jpg
P2281078ホルトノキ (440x330).jpg
「大磯町指定天然記念物 高麗(こま)ホルトノキ」
 樹齢300年以上、樹高18m、胸高直径1.2m、樹冠広がり20m 神奈川県下に残る2本のホルトノキの一本で、画家の堀文子氏がこの地を購入し伐採より守ったとのこと。 ご覧のような堂々たる巨樹! 下には赤く色づいた葉や実やタネが沢山落ちていました。 実はなるほどちょっとオリーブ(モクセイ科)の実に似てます。

【ホルトノキ】ホルトノキ科
 別名:ヅクノキ、ハボソ/葉細、モガシ/紋樫・紋様樫(鹿児島)など 雌雄同株 両性花 
 ホルトノキ=ポルトガルの木、ホルト油(オリーブオイル)を採る木 の意味であり、紀伊にて平賀源内がこの木を見てオリーブの木の自生を発見したと見誤ったことから広がった呼称とされるとのこと。 きっと実がなっている時に見てしまったのでしょうね。

 そもそも明らかに別種であるものの同定を誤った当時の学者のレベルの低さ、誤称であると判明した後もそのまま使用し科名にも採用しているという捻じれた事態を、牧野富太郎先生は著書 『植物一日一題』の中でも非常に憤慨しておいででしたが、今もって是正はなされていません。

『植物一日一題』より抜粋
 このヅクノキをオリーブと間違えるなんて当時の学者の頭はこの上もなく疎漫で鑑定眼の低かったことが窺われる。 ヅクノキの葉は互生で鋸歯があり裏面が淡緑色であるから、オリーブの葉の対生で全辺で裏面が白色であることと比較すれば直ぐその違いが判るのではないか。 無論オリーブとヅクノキとは科も異なりオリーブは合弁花を開くヒイラギ科に属し、ヅクノキは離弁花のヅクノキ科に隷れいする。(中略:橄欖=オリーブと言う誤りにもご立腹) 誠に学問の進歩に対し後れ返ったことどもで、日は最早や午に近く高う昇っているから早く灯火を消したらどうだ!

 鹿児島での呼び名「モガシ」は、緑の葉の中で老化した葉が赤く色づく様子を紋様に見立てたものとのこと。 ちょっと見にはヤマモモにも似て見えますが、この赤い葉が常時見られる点で見分けがつきます。

 FIT(Forest Instructor of Tokyo 森林インストラクター東京会)メンバーの低山はいかいなので、どうしても木のところで足が止まり、また帰宅後も山桜の興味が縦横に広がってしまいなかなか前に進みません。 続きは次回へ・・・


人気ブログランキング
ご訪問ありがとうございます。
1クリック応援賜れますれば光栄に存じます。
posted by 山桜 at 22:50| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。