2018年09月28日

サネカズラのお花・め花

                    
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 8〜9月頃、足元にポトポトと落ちてくる可愛いらしい花に気付くことがあります。

<2018-08-04 高尾山> 
P8044957サネカズラ♂花 (440x293).jpg

 中には既に花被(花弁と萼が同質の場合の両方を合わせた総称)にカビが生えてしまったものもありますが、それを見れば、この花被がかなり肉厚で水分を含んでいることが分かります。 何処から落ちて来たのかと見上げれば、木に絡まった蔓に3pほどのクリーム色の花が咲いていました。 サネカズラ、別名ビナンカズラの花でした。

<2018-09-01 高尾山>
P9016410サネカズラ (207x310).jpg P9135940サネカズラ (207x310).jpg
 
 真ん中の赤い部分が、まるで苺の実のようで、恥ずかしながらずっとこちらが「め花」だと思っていましたが、今年、本物の「め花」に遭遇して、遅まきながらその間違いに気付きました。

<2018-09-07 高尾山>
P9075898サネカズラ♂花.JPG
サネカズラ/実蔓 お花

 よく見れば、花粉の出ている葯が見え、雄しべの集合体なのが分かります。 私のように虫や小鳥も赤い実かと騙されて引き寄せられるのでしょう。

 一方、め花の方は数も少なく散ることも殆どなく、またこのように俯き加減に茂みの中で楚々と咲いていますので、なかなか気付けずに見過ごしていました。
 
<2018-09-07 高尾山>
P9075899サネカズラ♀花 (440x293).jpg

 失礼して、そっと中を覗かせて頂きました。 どうも、こんなことばかりしていますが…

P9075897サネカズラ♀花.JPG
サネカズラ/実蔓 め花

 クリーム色の花弁に薄緑色の花芯が上品な色合いで、うっとりです。
 
 ああ、そうそう、そういえば、サネカズラの実は最初は緑色で赤くなるのは熟してからでした。 知っていても思い込みって、してしまうものなのですね。 小さな一つ一つの緑色の子房の先に白い雌しべの花柱が見えます。

P9075900サネカズラ実 (207x310).jpg PA318167サネカズラ (207x310).jpg
未熟な青い実の塊       熟した赤い実の塊<2017-10-31>

 この実をみると、餡を小豆などで丸く包んだ和菓子「鹿の子」を思い出してしまいます。

P9187386サネカズラ実 (207x310).jpg PA318168サネカズラ (207x310).jpg

 所々こぼれてしまった実や、まん丸になれなかった実にもまた自然ならではの趣がありますね。

サネカズラ/実蔓 別名:ビナンカズラ/美男蔓 
マツブサ科サネカズラ属 常緑蔓性木本
ビナンカズラの名は、蔓から抽出した粘液で主に男性が髪を整えたことから。

名にし負はば 逢坂山の さねかづら 
       人に知られで くるよしもがな

(愛しい人に逢って共寝するというその名のように、誰にも知られずサネカズラの蔓を手繰り寄せるように、貴方の元へ来る(行く)術はないものだろうか・・・)
posted by 山桜 at 16:31| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

白い彼岸花’18

                    
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<2018-09-20>
P9206154 (443x590).jpg

白い彼岸花」については、去年も書きましたように、ヒガンバナ X ショウキズイセン(黄色) の掛け合わせによって生み出され、この頃よく目にする機会が増えました。 ショウキズイセンの性質が強くでていると、黄色味が濃いのか、株によって色合いが異なって見えます。

 日本人の感性には、どうしても一面真っ赤に染まった風景は少し息苦しく感じるのではないでしょうか? 私も、真っ赤な埋め尽くしはドキドキしてしまい、白い花が混じることでホッとした気持ちになります。

 花期は少し白花の方が遅いようで、こちらでは赤い花が終わりかけた頃に満開となっていました。 
posted by 山桜 at 12:25| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする