2018年10月31日
万聖節前夜”All-hallow Evening”
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”Halloween”って一体どんな意味なのかといえば、語源は、All-hallow Evening(諸聖人節=万聖節の前の晩)とのことだそうで、古代ケルト人の大晦日であり、先祖の魂が戻ってくる日であり、日本の「盆と正月(大晦日ですが)」がいっぺんに来た感じなのでしょうか?
元々は白いカブで出来たシャレコウベの魔除けのランタンも、今はカボチャのオレンジ色と闇夜の黒がシンボルカラーになって、日本でも何の意味かもよく知らぬまま、仮装やら飾り付けやらでオシャレな感じ?のお祭になっているのは、クリスマスやバレンタイン・ディと同様です。
楽しけりゃいい、経済効果があれば結構、そんな感じでしょうか。 たまには振り返って成り立ちを思う気持ちも忘れたくないと思います。
とはいえ、観察園の秋祭にもカボチャのランタンは登場し、山桜はクラフト・コーナーで松葉の虫かごを担当しました。 松葉は固い「クロマツ」と少し厚みのある常緑樹の葉を使います。 アカマツは柔らかで刺さらないのです。
葉っぱに松葉をサクッと刺す感触はちょっと癖になる快感で、子供も大人もいつの間にか夢中になってしまいます。 葉っぱを2枚重ねて松葉を一周ぐるっと刺し終わったら、そっと2枚の葉を広げていきますが、その時に自分の仕事の成果が如実に表れるのもドキドキで、綺麗に出来上がった時の満足そうな笑顔も嬉しいものでした。
お隣のコーナーで作って頂いたバッタを入れてみました。 本物のコオロギを捕まえてきて入れた子もいましたが、ちょっと松葉の間隔が広くて逃げられてしまいました。 悔しかったのか再挑戦して、すっかり作り方を覚えてしまったので、これからは松葉と葉っぱがあれば、直ぐに虫かごが調達できますね。
2018年10月23日
奥多摩の不思議空間(2) 夢の残影
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白日夢を見たような気持ちでまた橋を渡る(橋を渡るという行為自体、また異空間への入口だった訳ですが)と、
渓谷の集落を水底に沈めた湖は至る所で入り組んだ景観を現し、往時はどのような暮らしがあったのかと思いがめぐります。 ふと何かを感じて振り返れば、
あの白い巨塔のレーダーのような部分(実際は日傘を現しているそうです)が山の上から聳え出し、こちらを見下ろしているようでした。 見送ってくれているとありがたい気持ちになるか、監視されているのかとゾクッとするかは、気の持ち様でしょうか。
真夏の花サルスベリと晩秋の花ヤクシソウが、同時に咲いていました。 まるで「見るなの屋敷」のよう。
「えっ? これは何!?」
唐突に、林業で使っているとも思えない古びたケーブルの鉄塔が目の前に・・・
それも湖の向こう岸につながっている?? 一体何を運んでいたのでしょう? 実は下見の時には、その正体が分からず、帰宅して調べた所、それは・・・
ケーブルが続いているその先に向かう、苔むした階段を登ると、何やら緑陰から建物が覗いて見えました。
通路らしきものが途絶えたので斜面を攀じ登ると、プラットフォームのある駅舎が現れました。
なんと、ロープウェイに車両がそのままぶら下がっています。 興奮と驚きでブレブレです。
落ち着いてみれば、どのくらい経過しているものか分からないものの、それ程荒れても壊れてもいないままの姿で、木漏れ日の中に佇むロープウェイ・・・
明るい日差しの中で見たせいか、嫌な感じや不気味な雰囲気はありませんでした。
ドアも開いていたので、そ〜っと乗ってみると、
「みとうさんぐち」の駅名表示板。 ということは、向こう岸に「かわの」という駅も未だあるのでしょうか。(後で聞いた話では、残ってはいますが立ち入り禁止とのこと。 何故、こちらの駅は閉鎖もされず自由に入れるのかが却って不思議に思えます。)
動力部の部屋は、当然真っ暗ですが覗くことは出来ました。
プラットフォーム側から入ってしまったので、正規の入口に向かって逆に歩いての振り返りになります。( 先を急いでいて、適当にパシャパシャ撮ったので、暗い所の写真がブレていてごめんなさい。)
改札口からプラットフォームへ降りる階段・・・この辺りで「千と千尋の神隠し」の中のシーンを思い出しました。
駅舎正面玄関の間
駅舎正面玄関の外側
駅舎正面から左手に見える車両
再び降りて来た階段から振り返れば駅舎も見えていましたが、知らなければ見えないものですから、敢えて立ち入り禁止などのロープを張らない方が目立たないのでしょう。 登山靴でやっと登れるような道ですから、不用意に立ち入らずそっと静かに時の狭間に埋もれさせて置くべきだったかもしれません。 興味と好奇心が勝ってしまい、ごめんなさい。
(奥多摩湖ロープウェイは、湖を横断する夢を乗せて開業したものの、後に橋が架かったために客足が途絶え、持ち主は行方不明のままとのこと。 撤去するにも資金がかかる為、地元の方々も町も対応に苦慮しているのでしょう。)
2018年10月21日
奥多摩の不思議空間(1) 大寺山
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あれは真夏、猛暑のまっ只中だった頃の奥多摩ハイキング、実際にこの目で見た筈なのに、まるで夢だったような、今、こうして思い出してみても、どこか異国か異空間を歩いたような不思議な光景だった。
先ずは登山口のバス停名からして「金風呂」とはいかに・・・「きんぶろ」ではなく「かなぶろ」と読む。 この辺りのバス停には珍名が多く、メディアに取り上げられることも多いが、はっきりとした地名の由来は示されていない。 温泉が出た地域らしいが、多くの源泉は湖底に沈み名前だけが残ったのだろうか?
漢字は後付けなので、音だけで「かな・ぶろ」としてみると「かみな・むろ」=「神様の宿る山(御室)」の可能性もありやなしや?
「すずめのお宿」などという結界めいた名前の旅館を横目に「大寺山」登山口に入る。
カワラナデシコ(大和撫子)に ヒオウギ(檜扇、秘奥義)のお出迎えも意味深なこと。
イヌザンショウ(犬山椒)にイタチハギ(鼬萩)とは、何の魔除けかと。
由来の分からない神社には、こちらも縁の分からない大小の石群が並ぶ。 湖底に沈んだ村から移され祀られているのかもしれないが、何も書いていないので分からない。 話を聞こうにも炎天下に人は見当たらなかった。
まだまだ続く石碑群・・・一つ一つ刻まれた文字を確かめる時間も無く、せめて小さな祠に手を合せる。
焼杉の美しい廃屋には、住んでいた人の住まいへの愛情が残されているように感じた。
こちらにも小さな石室が・・・ 先の台風の影響か大きく削られた路肩
ミキサー車が落ち葉に埋もれ、林道の斜面は、あちこちが崩れている。
「日本山妙法寺」と書かれた建物
「日本山妙法寺」とは何ぞやと検索してみると、ナント! 次のような一文が・・・
「本年(2018年)は、「日本山妙法寺」開創百周年にあたります。大正7(1918)年10月22日、中国遼陽(旧満州)に最初の「日本山妙法寺」が開創されました。」
えっ、10月22日って明日ですよね。 ちょっとゾクゾクして来ました。 何故急に今頃この記事を書く気になったのか、何かに書かされているのか? 少し怖くなってきましたが、もう成り行きで続けます。 せめてもの抵抗で、その宗教法人について、ここには詳しく記しません。 ご興味のある方は、お調べください。
ざっといえば、世界平和を祈念して、このような仏舎利塔を世界中に建立しているようです。 その財源は何なのでしょうか・・・。 あまり深入りせず、不思議の世界をご覧ください。
繰り返しますが、ここは日本の奥多摩湖畔の山中・・・奥多摩の名だたる山々の頂から見える「謎の白い巨塔」の正体がこちらです。
青空に聳え立ち、白く輝く仏舎利塔
おそるおそる緑の階段を登ると、年月の経過で傷みも目立つ床はふわふわと浮き上がるような感触。 まさか「雲上」を現している訳ではありますまいが。 その四面には、誕生から入滅までの金色の釈迦如来像が安置されていました。
「誕生」: 無憂樹(マメ科)の木の下、母マーヤーの右腋から生まれ、七歩歩んで右手で天、左手で地を示し「天上天下唯我独尊」と唱えられたという場面
「降魔成道」:印度菩提樹(クワ科)に座し、魔を振り払い遂に悟りを開いかれたという場面
「初転法輪」:初めて弟子に法を説かれたという場面(真ん中に法輪)
「涅槃」:娑羅樹(フタバガキ科)の下、入滅されたという場面
昭和三十四年四月二十日建立 日本語とヒンドゥー語?
奥多摩の山々から見えるということは、奥多摩の山々が殆ど見渡せるという、正に「神の座」と言える程の素晴らしい眺め。 この地を選んだ目はすごい。 ただ、日本人なので、神社だったらよかったのに・・・と、つい思ってしまう。
暫し不可思議な異空間に身を置いた後、下山に向かいふと振り返ると・・・
お釈迦様が手を振りお見送りくださって・・・? ありがたいことです。 足元にはヒメヤブラン
登りは嘗て仏舎利塔建立の工事車両を通すための林道でしたが、下りはなかなか急斜面の山道。 しかも両側が湖に落ちる斜面というスリリングさ。
青い湖面が近づき、やっと「陣屋」というお蕎麦屋さんの裏手に到達。 勿論、こちらから登ることも出来ますが、振り返るだに大変そう。
「深山橋」 「陣屋」
陣屋さんの田楽でビール、お蕎麦で締め。
さて、陣屋を出て・・・次の「三頭橋」を渡った先に、
またまた不思議な空間があった・・・(つづく)
2018年10月19日
ホソバ(ノ)ツルリンドウ 8日後
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ホソバ(ノ)ツルリンドウ
先週はほんの数輪で、よくぞ目に留まったものと思いましたが、昨日は鈴なりに花をつけていて、また他の株もみつけて大感激でした。
これだけ咲いていれば、来年はもっと種がこぼれて増えていてくれること、期待できそうです。 願わくばこの斜面がこのまま保存されていますように・・・。
2018年10月17日
一輪の薔薇
きっと天から届けてくれたのだと・・・ありがとう
そして、ケロから癒しの入浴剤・・・と思ったら”Vaitality”の効用があるものらしい(笑)元気出さなきゃね!
新しいお風呂セットもありがとう さすが気が利くなぁ
新しいものって、やはりテンションあがるのね。
節約ばかり考えて縮こまっていた自分を反省。
すっかり物欲を失ってしまっていたけれど、好きなもの、欲しいものに、少し心が動いて来たかもしれません。
節目の時に、素敵な切欠をありがとう!
2018年10月13日
2018年10月10日
ホソバ(ノ)ツルリンドウ
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今年は初めて出会ったもの、初めて採取出来たものの多い年で、この日も見慣れた花にとてもよく似て見慣れぬ花に出会いました。 一見ツルリンドウのようでいて、花の形も蔓の細さも萼の形も葉の形も全く違います。 恥ずかしながら、思わず、
「ええ、何これっ!?」と声に出てしまいました。
ホソバ(ノ)ルリンドウ/細葉の蔓竜胆 リンドウ科
ツルリンドウの花筒の先は5裂し副片がありますが、ホソバツルリンドウは4裂で副片がありません。 リンドウの仲間は普通は5枚の花びらなので、まるでアブラナ科の花のように4枚なところに違和感があります。 それ以外の姿はツルリンドウに似ていますが、全体にホッソリ儚げな感じです。 絶滅危惧種
2018年10月08日
ヤマホオズキ と イガホオズキ
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去年「ヤマホオズキ」を初めて見て興奮していたら、今年は更に先輩に「イガホオズキ」なるものを教えて頂き、またまた大興奮の秋です。
ヤマホオズキもイガイガしているので、同じものの別名かと思ったら、全く別物でした。 百聞は一見にしかず、ご覧ください。
<2018-10-06>
ヤマホオズキ/山酸漿・鬼灯 ナス科
ヤマホオズキの実には、表面に突起があるものの、まだホオズキらしい稜(山になった縦線)があります。
葉柄にははっきりとした翼があって、楔形に茎に向かって伸びています。
一方、イガホオズキの実は真ん丸にイガイガというホオズキらしからぬ風体で・・・
イガホオズキ
正にイガだらけのトゲトゲの実で、
葉っぱや茎にも毛が多くてモフモフしています。 葉柄の翼はあることはありますが控えめです。
そして9月に見つけていた、萼に毛が生えている妙なハダカホオズキ?と思っていたのが、実はこのイガホオズキの花だったのでは? と思いついて引っ張り出して拡大してみました。 花の形もハダカホオズキとは違いますし、右側の子房が膨らんだ方の萼が伸びてきているのが分かります。 ハダカホオズキだったら萼は伸びません。 よく見れば茎にも毛が生えていて、正にイガホオズキの花だったようです。 ちゃんとイガホオズキの実がなっているか確認しにいってみましょう。
ハダカホオズキの花や実
2018年10月05日
台風24号被害(高尾山)
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小学校の校外学習の下見に高尾山へ行ってきました。 台風24号の被害は予想していましたが、実際に目の当たりにして、大自然が荒れ狂った時の底知れぬ力を感じずにはいられませんでした。 既に5日が経過しているものの、未だ完全通行止めの箇所もあります。 ただ、高尾山は沢山のコースや迂回路がありますので、頂上へ行けないということはありません。
但し、浄心門からの表参道は、全面通行止めです。
途中の頭上にまるで鳥居のように真横に倒れた木があります。 文字が読めないのか読めても気にしないのか、外国人と思しき人々が、臆面もなく通って行きました。
4号路は通行注意しながら通れますが、いろはの道は通行止めです。
無数にもぎり取られて落ちた樅の枝に、色づき始めたイイギリの実が散って、クリスマスの飾りのように
灯篭の銅葺きは無残にめくれあがり・・・
土台から落ちてしまったものも多数
どんぐり と ぎんなん の吹き溜まり
ざっくりと裂けてしまった木や
天辺が掛けてしまった木・・・これは「地蔵(実は弘法大師)ブナ」と呼ばれる名物ブナの一つですが、
年月を重ねて少しずつ傷んでいた部分から裂けて落ちてしまったようです。
男坂の階段上にも倒木があり、全面通行止めです。 女坂の方をお通り下さい。
少しずつ落ち着いてきた山の中、アサギマダラがふわりふわりと優雅に姿を現してくれました。
2018年10月04日
台風24号倒木被害(都立狭山公園)
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屋根が飛ばされるのでは・・・との恐怖に眠れぬほど家を揺らし、凄まじい暴風を轟かせ荒れ狂って通り過ぎた台風24号、そろそろ森の様子を見に行っても大丈夫かなと恐る恐る出かけてみました。 流石に公園管理の方々が一生懸命手当をしてくださって、道などは通れるようになっていたものの、森の被害は歩を進めるほどに明らかに・・・
トウカエデの森はもぎ取られて落ちた枝が山になって折り重なっていました。 無数に落ちて異臭を放っているギンナンで地面が黄色く見える所も・・・食べられる中身のタネの部分は殆ど拾われていて、流石の素早さでした。
いつもは渡れる橋が通行止め、行く手を遮っていたのは毎年沢山のシダーローズを落としてくれていたヒマラヤスギの大きな枝でした。 もぎ取られた傷口の痛々しいこと・・・
普段は高い梢でなかなか見ることのできない「ちびトトロの卵」も枝ごと沢山落ちてしまっていました。
既に上部は片づけられていましたが、ソメイヨシノも薙ぎ倒されていました。 この辺りの桜は一度堤防工事で植え替えられたものだったかもしれません。
そして神社に向かう空に違和感が・・・こんなに空が広かったでしょうか??
「うわっ!!」
息を飲むような信じられない光景でした。 あの大きなヒマラヤスギが2本並んでひっくり返っているではありませんか!
倒木の直ぐ向こうに立っている人と比べれば、その大きさがお分かりかと思います。 近くにお住いの方々は、その時、世にも恐ろしい音と振動に震え上がられたのではないでしょうか?
こんな木が倒れてきたら、人間なんて、ひとたまりもありません。 今回、電車を20時に全て止まらせて早い帰宅を促したことは大変な英断でした。
氷川神社境内のお稲荷さんの鳥居も北側に倒れていて、南から北に突風が吹きぬけて行ったことが分かります。
こちらでは3本の株立ちがパックリと分断されていました。
このところの台風の風の強さは想像を超えています。 このような巨木が薙ぎ倒されるのですから、我が家のカミキリムシに根元をやられつつあったリンゴの木が倒れるのは当然でした。 しかし、この世にはその程度に傷んだ樹木は無数に有る筈で、いつどこで倒木の被害に遭うか分かりません。 今は助かったように見える木でも、次はどうなることか・・・。
我が家でも木々の根元を再点検し、頭でっかちでバランスの崩れた木は早急に剪定してやらねば!
2018年10月03日
スカシダワラ/透かし俵
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スカシダワラはクスサンという蛾の繭で、今まで羽化した後の空っぽのものは何度か見たことがあるが、中に蛹が入ったものを初めて見て、やはり命が宿っている姿は美しいものと感動。 羽化の時期は10月頃なので、これから気を付けて成虫の姿を探し追記が出来たらと思う。
スカシダワラ/透かし俵 クスサン/樟蚕(ヤママユガ科)の繭
クスサンの吐き出す絹糸は強靭なので、このように透け透けでも蛹を充分に守れるようだ。 かつては幼虫の体内から絹糸線を取出し釣り糸用の「テグス」を作っていたという。 「テグス」とは元々「天蚕」と書いた日本語で、ヤママユガの仲間からとれた絹糸全般(絹織物用)の呼称だったが、今では主に釣り糸のこと示すようになった。
クスノキの葉を食べるので樟(楠)蚕と呼ばれたのだと思っていたが、テグスサンから転じてのクスサンかもしれない。 実際には、クリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウなど、多くの種の木の葉を食用としている。 この繭はサンショウの葉に巻き付いていたが、山椒の葉を食べたかどうかは分からない。
ちなみに幼虫の時も「シラガタロウ」という愛称?があり、なかなかユニークな存在だ。 今年は黄緑色の五分刈りヤママユガの幼虫を良く見かけたが、シラガタロウには出会えなかった。 かつてはごく普通に見られたからこそ愛称もつけられたのだろうが、大量発生で農業に被害を及ぼした罰で駆除され、東京近郊では、すっかり数が減ったようだ。
2018年10月02日
狐の孫 と 烏の胡麻
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「狐の孫」「烏の胡麻」
と書けばイメージしやすいので頭に入れてしまえるのだが、種名はカタカナ表記が標準化されているので、どうしても
「キツネノマゴ」「カラスノゴマ」と書かれているので、ややこしくなる。
植物に詳しい人でも、頭で分かっていても口が言い間違えることが良くあって、混同しやすくて要注意なものだ。
試に「キツネノゴマ」「カラスノマゴ」で検索してみると、書き間違えている例が色々と引っかかる。 自らを振り返っても、今までにきっと何度も言い間違え、書き間違えてきたことと思う。 我々の大先輩でも「どっちもあるんだよ」等と、冗談tも本当ともつかないことを仰るので、その2種の植物もあるのかと思って調べてもそれらしきものはみつからなかった。
キツネノマゴ/狐の孫 キツネノマゴ科キツネノマゴ属
小さな花の集まりである花序の部分が、小さなキツネの尻尾のように見えることから、キツネの子より更に小さな孫と覚えると忘れない。 小さなピンクの花は一斉に咲き揃わず、下から順に一つ二つばかりポツポツと咲くので目立たないが、シジミ蝶にとっては貴重な蜜源の一つのようで、丁寧に花を廻って吸蜜していた。
同じ科のハグロソウの花は、良く似た形でキツネノマゴよりはかなり大きく、黒味を帯びた葉に映えて人目を引くが、こちらも一つばかりポツンポツンと咲くところは同じで、実に控えめな仲間だ。
このように日本ではとても控えめな「カラスノマゴ科」の植物が亜熱帯〜熱帯に行くと、物凄く派手な色合いで華やかに変身する。 どちらが好みかは別として、この話題はまた後日。
カラスノゴマ/烏の胡麻 アオイ科カラスノゴマ属
この黄色の花が終わった後の細長い実が伸びて、中に沢山の種が詰まっている様子が胡麻の実に似ている、と思った昔の人の小さな植物に向けた目、特にこのような目立つ綺麗な花よりも、生きるに大切な「胡麻の実に似ている」ことが着眼点な所に、現代との価値観の相違を感じて面白い。
黄色の花の真ん中に長く突き出ているのは仮雄しべで、花粉の葯のある本物の雄しべはその下に短く控えている。 仮雄しべで誘っておいて、蜜の近くまで入ってきてくれた虫にだけ無駄なく花粉を付ける省エネなのか。