2021年05月31日

ウメモドキ(梅擬)雄花

 我が家の鳥のお土産の実生の中で、ずっと正体不明だった木の名前がやっと分かりました。余りにも特徴の無い葉で、しかも通常よりかなり小さかった為に「樹木の葉」図鑑の記載にも該当せず、検討がつきませんでした。

 何年か経ってやっと小さな花が咲き、実がなったら正体が判明すると思い期待しましたが、その後数年、咲いても咲いても実りません。

 それが今年、近くの谷戸で同じ花を見つけたのです! 葉は大きくて色や様子も家のものと少しちがうのですが、花は全く同じで、やっと花からそれが梅擬であることが分かりました。そして、それが雄花だと言うことも・・・実らないわけですよね!

ウメモドキ(梅擬)の 雄花 モチノキ科モチノキ属 2021.05.31
ウメモドキP5311977.JPG
 よく観れば、雄しべしかありませんね。何故、そこに気付かなかったのかって・・・。

ウメモドキP5311930.JPG
 ほんのりピンク色で、近づいてみればとても可愛らしい花なのですが、

ウメモドキP5311934.JPG
 離れてみたら、見逃してしまうような、こんなに小さい花なのです。

 雌花をみつけて一緒に載せたかったのですが、みつかりませんでした。お庭の植栽等なら漏れなく雌株なのでしょうね。また、見つけたらおしらせします。

<2021.06.13 追記>
 雌花の写真を撮っていたのを見つけたので、先程、下記にアップしました。
 「ウメモドキ(梅擬)め花」


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posted by 山桜 at 20:09| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

ホトトギスの初音

 「夏は来ぬ」の歌詞の「オウチはセンダンのこと」と書いたら、早速ホトトギスの初音が「キョッキョキョキョキョ!」と風に乗って聞こえてきました。

 今年は全体的に様々の開花時期は早かったのですが、ホトトギスの初音はほぼ例年通り5月の最終週でした。ホトトギスが鳴いて庭のバラが満開になった頃が主人の誕生日。つい、亡き人の年を数えてしまいます。


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ラベル:ホトトギス 初音
posted by 山桜 at 22:43| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月28日

観天望気

??〓 1103.jpg
2006.11.13「見送る空」の記事に掲載の彩雲

 先日の「森の中の雨宿り」の中で「観天望気」という言葉を書いたら、新しい朝ドラ「おかえりモネ」が気象予報士を目指すことになる主人公の話ということで、ドラマの最後に「観天望気」コーナーまであって驚きました。

 「観天望気」は、文字通り空を見て気を読む、自然の中で五感を研ぎ澄まし、天気の変化を予測することです。自然の中で働く人には欠かせない大事な力。様々な口伝や諺として残っていて、皆さんもご存じのものが多いと思います。

・夕焼けは晴れ
・西の空が明るければ天気が回復
・トンビがクルリと輪を描けば晴れ
・蜘蛛の巣に露は晴れ

・朝焼けは雨
・ツバメが低く飛んだら雨
・遠くの音が聞こえたら雨
・お日様に暈が掛かったら雨
・富士山に笠が掛かったら雨
・入道雲が湧き上がったら夕立

・花多ければ大風
・カマキリの卵が高ければ大雪
・蜂の巣が低ければ台風

等々・・・これらは一般的なものですが、地域によって、もっと具体的なものも沢山有ると思います。

 さて、その「モネ」ですが、27日の回の様子は見ていて何とももどかしく、こんな未熟なスタッフと手の焼ける子供を残していったリーダーと引率の先生の責任は重いと思います。少なくとも人に電話で尋ねなくとも自分で判断できるスタッフか先生を残さねばいけませんでした。山では、あのように電話が通じないことも多いのです。

 幾ら急な雷雨だったと言っても、気配はあった筈です。現にリーダーは、早めに帰ろうとしていましたよね。先ず、少しでも雨を凌げる場所で素早く雨具の装着をすべきです。先に帰った子達はちゃんと雨具のフードを被っていましたが、モネと男の子はそれもせずにズブ濡れでした。低体温症を防ぐ為には、先ず身体を濡らさないこと。ヘルメットも持っていたのですから、若しフードがなくとも濡らさない手段となりえました。濡れれば体温低下の他に身体も重くなり、次の行動にも支障が出ます。

 リーダーとしては、避難小屋が近かったようですから、急いでセンターに駆け戻らず、先ず全員でそちらに避難し安全を確保して、二人の救助に戻るという方法もありました。

 モネは電話に気を取られて、子供から目を離していたのが一番拙かったです。自分のせいで皆とはぐれ、その上、斜面から落ちて足を痛めて更にズブ濡れ・・・子供にとっては心身共に極限状態で不安に押しつぶされそうなのに、頼りの大人(モネも未だ子供みたいなものですが、男の子から見れば大人です)もパニックで自分の方を見てくれないのでは、低体温症にならずとも、貧血を起こして気を失ってしまいそうです。

 避難小屋に毛布やストーブなんて何時も有る訳ではないので、救急セットと共に一年中使い捨てカイロと体温を保持できるアルミシートは常備しています。ザックの中身も全て濡れないよう防水装備していますので、乾いたタオルや着替えを使うことが出来ます。

 ドラマの脚色とは言え、あり得ない!と、ハラハラしつつ、自分だったらどうするかの良いシミュレーションになりました。

 男の子の保護者から「あなたのお蔭で助かりました」と言われたモネに、森林組合の医師が、「君は何もしていない。ただ知り合いの気象予報士と医師の指示に従っただけだ。」等と、私が思ったとおりの厳しい言葉をモネに伝えてくれたのが救いでした。モネは、きっと同じ過ちを二度と繰り返さない為に必死に学んでくれることでしょう。けれど、若し、男児が亡くなっていたら・・・命に次は無いのです。

<追記>
 土曜日の再放送をきちんと見たら、どうも前半を飛ばし見していたようで、悪いことは重なるもので雷雨の前に女児に喘息症状が出ていて、男児が離れた時も一応引率の先生は、
「私も残ります!」
と、申し出ていたものの女児の付き添いを優先したようでした。それでも、男児が母親がお産入院中でいつもより情緒不安定ということも知っていた2名の教師の内の1名(担任)は残るべきでした。

 また、先に進んだグループも真っ直ぐ森林組合センターに戻らず、詰所(避難所と別?)に一時避難していました。距離や位置関係が分からないですが、モネが避難所に向かった雷雨の雲の切れ間に、そこからセンターに移動したのかもしれませんね。


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posted by 山桜 at 10:14| Comment(4) | 気象・天文・暦など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月24日

ヤマボウシの本当の花

ヤマボウシ(山法師)ミズキ科ミズキ属
ヤマボウシP5141654.JPG
 青葉の上に咲きそろう真っ白なヤマボウシの「花」を、比叡山から駆け下りてくる山法師の白装束に見立てたものと言うのが名前の由来とされています。真ん中の丸い部分がお坊さんの頭ですかね。

ヤマボウシP5011306.JPG
 高木であることが多いので、このように「花」を近くで上から間近で見られる場所は貴重で、春先の芽吹きの頃から観察を続けていました。この写真では未だ薄緑色ですが、白い花弁の様に見える部分は、中央の小花の集まりを包む総苞片です。今が盛りのドクダミと同じ花のつくりです。

 「本当の花」は、とても小さくて中央に多数集まって(頭状花序)咲いています。綺麗に咲いているのを見逃してしまうことが多いのですが、今年は一輪だけ、花弁が残っているものに出会えました。他の花たちはめしべの柱頭を残して花弁は無くなってしまっています。

ヤマボウシP5241832.JPG
 薄黄緑色の花弁が4枚、真ん中に雌しべ、雄しべは本当は4本有るはずですが、落ちてしまったようです。やがて実が赤く熟すとキイチゴのようにくっついて一塊の果実のようになります。柿とマンゴーが合わさったような甘くて美味しい果実です。

 春先から、冬芽から花芽が膨らんで開花するまでの様子を追って来たので、ご紹介しますね。

2021.03.26  枝の先に未だ固いタマネギ型の花芽が沢山付いています。
ヤマボウシP3260183.JPG

2021.03.26 / 2021.04.02
ヤマボウシP3260185.JPG ヤマボウシ小P4020412.JPG
タマネギ型の花芽の芽鱗が割れて、中から葉と未だ小さな総苞片に包まれた蕾の塊が覗き出しました。

2021.04.02
ヤマボウシ小P4020413.JPG ヤマボウシ小P4020415.JPG
蕾と総苞片は未だ眠ったままのようで、葉っぱがムクムクと伸びて芽鱗を押しのけていきます。

葉と葉柄が芽鱗を弾き飛ばすと、ようやく総苞片も段々と伸びて花弁のようになっていきますが・・・
2021.04.03 / 2021.04.22
ヤマボウシ小P4020417.JPG ヤマボウシ小P4221128.JPG
最初は薄緑色で葉に近い感じですね。

2021.05.09
ヤマボウシP5091581.JPG
芽鱗が割れてから、一ヶ月以上もかかって未だ黄緑色ですが、ようやく「花」らしい姿になりました。すっかり真っ白になるには未だ数日かかります。

ヤマボウシ樹肌P4020419.JPG
ヤマボウシの樹肌。 ナツツバキやリョウブのように樹皮が剥がれ落ちて模様が出来ていることが多いです。 アメリカヤマボウシとも呼ばれる近縁のハナミズキは、ザラッとした縦シボで、花芽は、もっと腰の張ったタマネギ型、芽鱗がないのでツヤがありません。

 同じミズキ科のミズキの葉は、キアシドクガの食害を壊滅的に受けているのを見ますが、ヤマボウシは今の所大丈夫のようです。やはり、流石、「山法師」の防衛力は強いのかもしれません。


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2021年05月21日

紫雲のようなセンダンの花

 「夏は来ぬ」の歌詞に出てくる「オウチ」がこの花です。関東では寺社や公園で稀に見かける位なので、センダンが「夏は来ぬ」の花と言われてもピンと来なかったのですが、4年前、大阪の淀川の河川敷に無数に生え咲き誇っているのを見て「昔の日本の季節感は関西が基本なんだな」と納得しました。

センダン(栴檀 別名: オウチ、アフチ(楝))センダン科センダン属 2021.05.19
センダンP5191692.JPG
 紫色の霧霧立ちこめる・・・という風情は何物にも代えがたく、短い花期を見逃したくない花です。左のラクウショウの優しい若緑色に映えますね。

2021.05.20
センダンP5201725.JPG
 手をいっぱいに延ばして枝に近づいてみました。

センダンP5201722.JPG
 核ばかりで余り美味しくないのか、最後の最後まで鳥(ヒヨドリ、ムクドリが多い)も食べず、万一の為に取っておく保存食のように残っている白い実なのですが、なんと去年の実が茶色くなって残っていました。他の実が豊作で出番が回ってこなかったのかな?

センダンP5201760.JPG
 薄紫色の花弁の真ん中に濃紫の部分があって、このツートンカラーが美しい紫の雲を醸し出しています。

センダンP5201727.JPG センダンP5201776.JPG
 花を間近に見られる枝があったので開花を楽しみにしていたのですが、不心得者に持ち去られたようで、仕方なく落ち花を拾って観察。花弁5枚の真ん中の紫色の筒状のものは花糸が合着したもので、「花糸筒」若しくは「雄しべ筒」と呼ばれています。

 神社の境内にある栴檀に、最近「双葉より芳しの栴檀です」という札が下がり、訂正しようもなく見なかったことにしています。その芳しい栴檀は白檀のことで、日本のこのオウチは微かな香りしかありません。ただ、薬効あり、材も美しく、人々を助けてくれてきた木なのは間違いありません。

 葉も2回羽状複葉という繊細で美しいものですが、又の機会として、今は花の美しさを愛でて下さい。


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2021年05月20日

自然の中のウツギ(卯の花)

 センダン(楝・オウチ)、ホトトギスと書いて、卯の花(ウツギ)を忘れていました。メダカの目さんのコメントにもありましたように、自然の中では、川や池などの水辺の斜面にしな垂れるように咲いている姿を良く見ます。刈り込みに強いので垣根に仕立てられることもありますが、やはり自由に水に向かって枝を伸ばして咲く様子は好もしいものです。

ウツギ(空木)アジサイ科ウツギ属 2021.05.19
ウツギP5191695.JPG
 水面に映る我が姿を見ようと、身を乗り出しているようです。それをまた写そうとして、ぐっと身を乗り出している自分が可笑しくなりました。名前の通り枝の中が空洞になっているので、枝がしなりやすいのでしょうね。私も空っぽってことか・・・。

ウツギP5251880.JPG
 深い谷になった川沿いの斜面を真っ白に覆うように咲いていましたが、正にひとときの夢で、大雨にも当たり、一週間後には跡形も無くなっていました。

ヒメウツギ 2021.04.28
ヒメウツギ?P4281298.JPG
 こちらは、畑の垣根に仕立てられていたヒメウツギの蕾です。 花期がウツギより1ヶ月程早く、葉の鋸歯がやや荒く、表面の星状毛が少ないのでややツヤがありスベスベしています。「姫はスベスベ」で覚えやすいですね。


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2021年05月19日

田村正和さん訃報、ガッキー結婚砲

 「えええっ!!」
 主人の月命日、心静かに過ごしていたら、驚きのニュースが重なって、なんとも落ち着かない気持になりました。

 正和さんは、多少の御髪の変化くらいで、殆ど若い頃と変わらない端正な容姿。あの何事にも動じない黒柳徹子さんが、「徹子の部屋」で、何だか上ずってときめいていらしたように、目の前に現れたら誰しもボーッとなってしまうような魅力的なその姿の一方、自分にも人にも厳しく緊張感を漂わせた最後の大スターの風格をお持ちでした。

 恐らく、暫くの間、追悼再放送が企画されるでしょうね。そうやって俳優さんは、ずっと生きていかれるのが羨ましい限りです。尤も、ご本人は、若い頃の映像を見たら恥ずかしくて自殺していまう・・・等と仰っていたようですが。

 まさか正和さんもご自分の訃報とガッキーの結婚報道が重なるとは夢にも思わず、今頃「参ったなぁ」と苦笑されているかもしれません。哀しく寂しいけれど、おめでたい報道を見て笑顔の正和さんが思い浮かんで救われた気持です。

 ガッキー&星野源さん、おめでとう、そして、ありがとう!
星野さん、カピパラみたいなほのぼのした顔の奥の鋭い眼光が只者じゃ無いと思っていましたが、やりよりましたな。


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2021年05月15日

スイカズラの花色の変化

 虫を誘う甘い香りに人間も足を止めると、目にも可愛らしい白と黄色の花が無数に、茂った蔓を覆うように咲いています。

スイカズラ(忍冬、別名:金銀花)スイカズラ科スイカズラ属 2021.05.14
スイカズラP5141630.JPG
 白い花は老化してくると黄ばんでくるもので、ホオノキしかり、クチナシしかり。 それが汚らしくならず、綺麗に調和して咲いている様子を、金銀花というまたの名で呼ぶ好もしさ。

スイカズラP5141627.JPG
 咲き始めは、花弁も雄しべも雌しべも純白

スイカズラP5141639.JPG
 日にちが経つと段々と全体的に黄色みが増して

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 雄しべが勢いを失う頃には、かなり濃い黄色になっているのですが、これは寧ろ退色してますね。

スイカズラP5141644.JPG
 白からほんのりクリーム色に変わる頃も素敵。

スイカズラP5141629.JPG
 横から見ると、香りと共に花の形も、思わず留まって潜り込みたくなるような「虫さんWelcome!」になっていました。


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posted by 山桜 at 15:35| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月14日

朝ドラ「おちょやん」

 正直、毎朝キンキンした怒鳴り声ばかり聞くのはキツいなと思いながら、段々と歳を重ねれば落ち着いた浪花千栄子さんになっていくのだろうと期待して見ていました。

 ドラマの中の芝居、それも喜劇というシーンが繰り返されて、前後が無く短く切り取られた部分だけ見せられても笑えず、笑いのセンスが違うのかな?等と考えてしまう始末。千代の芝居が上手い!というのは???な気持のまま。

 ドラマ自体が泣き笑いの喜劇になっていて、こちらは時々ホロリとしたりニンマリも出来たかな。そこへ行くと、やはり芸人さんは上手い。ほっしゃん、塚地さん、前田君には、安心して笑わせて貰えました。

 終盤、あの千代を追い出した憎らしい継母の栗子さんが、謎の花籠の送り主で、女手一つで娘と孫を立派に育て上げ、千代の事を蔭ながら応援して来たという、千代と同じように厳しくも真っ当な人生が重なってから、ドラマがぐっと深みを増して面白くなって来ました。

 いつも物語の背景で静かに色々なものを整理されていた栗子さん、あれは終活だったのでしょうか。孫のこと、千代のこと、全てをきちんと済ませて、なんて美しい見事な人生の幕引きだったことでしょう。残されたアルバムには、笑顔が素敵な看護婦さんの娘と立派な軍人のお婿さん、栗子の一生懸命の子育てがしのばれました。

 千代から家族を奪った栗子さんが、千代と血の繋がった春子という新しい家族を千代に残していってくれたのですね。ああ、まさか、あの栗子さんに泣かされる日が来ようとは・・・。

 最後の最後のドラマ中芝居、「直どんとお家さん」で、千代と一平(天海)の人生と台詞が重なり、やっと笑った後、素直な涙がこぼれました。

 千代と春子(養女になった姪)が仲良く前に向かって歩いて行く最後のシーン、包み込むように優しく舞っていたのは、桜(春子の母の名前)の花びらでした。ビー玉に思いを込め見守っていてくれた千代のお母さんと同じように、これからも栗子さん、さくらさんも一緒に歩んでいってくれます。

 「今ある人生が全て」
 哀しみも後悔もあるけれど、それもこれも含めての今の人生なんですね。


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posted by 山桜 at 22:59| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月13日

森の中の雨宿り

 昨日、小雨が降ったりやんだりの空模様の中、軽めの雨装備(撥水の上下)で散歩に出掛けました。私の場合、いつも守られていますし空も味方に付けているので(思い込むことが大事!)、酷く降られることは無いのですが、ちょっと降って来たなと言う時の、雨宿り場所選びは・・・

 先ずは広葉樹、それも葉が重なり合って密になっている木の下に目星を付けます。

アオハダアカシデ
アオダモ・アカシデP5131622.JPG
 青ハダと赤シデ、どちらも小さめの葉を隙間無く密集させるタイプで、仰ぎ見れば、殆ど空が見えないくらいです。

 ところが、大体雨が急に降り出すようなときは風も強いので、その木の真下が最良とは限りません。そんな時は、当たり前といえば当たり前ですが、地面が乾いている場所を探します。

地面P5131623.JPG
画面の上手の方は濡れていますが、下手の方は雨など一日降っていなかったように乾いています。こういう場所は、地面に降った雨水の通り道からも外れている証拠なので最高です。

トチノキ
トチノキP5131625.JPG
トチノキのような大きな葉も降り始めはよく雨を防いでくれます。ただ、本降りになると、大きな葉の先から滴が垂れてくるので、長居は無用です。

 天気を予測する「観天望気」に加え、雨宿りの場所も是非、空を仰ぎ、地に目を凝らし、選んでみて下さい。

 残念ながら写真は上手く撮れませんでしたけれど、春雨そぼふる緑の森にハリエンジュの白い花のシャワーが降り注いでいるのを眺めながらの雨宿り、森の中に自分が溶け込んでしまったような夢見心地のひと時でした。そしてジャケットがほんのり湿った程度で、無事に帰宅。早速、今日も守ってくれてありがとう、と手を合せました。

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posted by 山桜 at 20:58| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月12日

イボタノキ(水蝋樹、疣取木)

 子供の頃読んだ小説の中のライラック(仏名 リラ)の名の響き、紫色の花と香りに憧れて、何度か庭に植えてみたものの、東京の夏の高温に負けて上手く育ちませんでした。そのライラックを接ぎ木する台木にもなるイボタノキの方は、鳥の落とし物からの実生が放って置いても元気に育っています。台木に選ばれるだけある、流石の生命力です。

イボタノキ(水蝋樹、疣取木)モクセイ科イボタノキ属 2021.05.06
イボタノキP5061514.JPG
 白い花をブドウの房のように垂れ下げて咲き始めていました。芳香があると聞くのですが、鼻を近づけても良く分からないのです。風に乗ってふんわり香るタイプなのでしょうか。

<2021.05.19 追記>
 今にも降り出しそうな空の下、どうしてもイボタノキの花の香りを確かめたくて出掛けたのです。幸い未だ、蕾も沢山で無数の花を咲かせていました。そして、遂に、イボタノキの花の香りが確認出来ました!

 スイカズラのように遠くからでも気付くような強い香りではなく、鼻を近づけてやっと分かる品の良い香りです。思うに、今日のこの湿度が香りを際立たせたのではないでしょうか? 梅雨時に咲く花ですので、そういう香りのスイッチがあるのかもしれません。

イボタノキP5061516.JPG
 花だけ見たら、同じモクセイ科のギンモクセイにも似ています。丸めたお餅の先を切り分けたような花びらの厚みに惹かれます。

イボタノキP5061513.JPG
 蕾は、やはりモクセイ科のネズミモチにも似ていますけれど、葉はずっと小さく細長い楕円形、伸びた枝に平面的に密に対生するので、一見羽状複葉のようにも見えてしまいます。葉の先は丸いか少し窪んでいることが多く、やや菱形で先がツンと尖ったミヤマイボタと区別出来ます。

イボタノキP5061518.JPG
 この大株の葉先は尖り気味ですが、細い楕円形なのでイボタノキだと思います。

 イボタとは、疣取が転化した名前とされ、この木に付くイボタロウカイガラムシ(イボ太郎ではなく、疣取蝋貝殻虫)が分泌する蝋物質を集めて溶かし漉し、疣に塗って取るという民間治療があります。 

 この蝋は、ハゼノキから採れる「木蝋」に対して「水蝋」と呼ばれ、蝋燭の材料の他、家具のツヤ出し、敷居の滑り、刀剣の錆止め等に今も用いられており、通販で買うことも出来ます。

 イボタノキを見かける度に、そのイボタロウカイガラムシが着いてないかと探すのですが、未だに見つけたことがありません。先に見つけた人が綺麗に削り取っていってしまうのでしょうか。役に立たない貝殻虫なら、梅やミカンの木から取り切れない程みつかるのになぁ


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posted by 山桜 at 14:25| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月11日

アオイスミレの果実と種子


ポチッとして下さると、ランキングにカウントされます。


 春一番、まだ肌寒い3月の初〜中頃に咲く「アオイスミレ」は、花期が短く色も咲き方も控えめで、見過ごされてしまうことも多いのですが、他のスミレとはひと味違う特徴を持っています。

アオイスミレ/葵菫 スミレ科 2019.03.19 日影沢
P3190425アオイスミレ (440x293).jpg
上弁はウサギの耳のように立ち上がって可愛らしく、側弁は横に開かず前に閉じ気味で奥ゆかしい。距も上向きにピョンと立っています。

 狭山丘陵内の私のフィールドでは、4年ほど前に見つけて以来、毎年観察していますが何故か開花が見られず、気付いたときには葉の下に果実がなっています。見逃した開花の果実なのか、閉鎖花の果実なのか不明です。5月の果実は、時期的に見て3月の開花の果実にしては遅いので恐らく閉鎖花のものではないかと思います。

 その果実が、この様に、まん丸、下向き、毛が生えている、と言うユニークな姿なのです。 葉は、花が咲いている頃は先が少し尖ったハート型ですが、今頃になると、やや先が丸くなり葉脈も際だって名前の由来通り「葵」似になってきます。
アオイスミレ実小P5061454.JPG アオイスミレ葉P5061451.JPG

 スミレの果実と言えば、三つに裂けて鞘のようになった部分が閉じて種子を弾き出すのが定番ですが、アオイスミレは三つに裂けるものの、開きっぱなしで、パン!っと種子(タネ)を弾き飛ばす行動は取らないようです。下の写真は、既に中のタネが無くなり空っぽになった様子です。このように少し上向きになっても、葉の上には伸び上がらず、地面近くに留まっています。

アオイスミレP5101619.JPG

 それでは、タネは自然にこぼれ落ちたのでしょうか? よくよく見ても、下にこぼれたタネは見当たりませんでした。十分に熟して、直に割れそうな果実を一つ摘んできて観察していると、一片が割れてタネが出てきました。タネ一粒は、普通のスミレより一回りも大きくふっくらとしていて、これまた大きなエライオソーム(Elaiosome、種枕、蟻誘引物質)が付いていました。

アオイスミレP5111605.JPG アオイスミレP5111621.JPG

ぎっしり詰まったタネが、どのように収まっているのかを見ようとしたら、あっという間に中のタネがこぼれ落ちてしまいました。
アオイスミレP5111609.JPG

中から出てきた9粒のタネ、沢山のタネを弾き飛ばす他のスミレとくらべると数が少ない。
アオイスミレP5111611.JPG

 数の少ない大きなタネに蟻を誘う大きなエライオソームを付けている所を見ると、少数精鋭で確実な蟻散布を狙っているようです。

 試しにエライオソームを引っ張ってみましたが、強く張り付いていて簡単には取れませんでした。簡単に取れてしまっては、タネを遠くに運んで貰えませんものね。「エライオソームだけを取って食べ、タネは巣の外に出す」という記述を読んだことがありますが、蟻の強い顎なら切り取りが可能なのでしょう。

 スミレ科のタネは、普通「好光性種子」なので、蟻の巣深く持ち込まれては発芽出来ません。地表近くに置いていって欲しい筈。大きいタネは、蟻にとっては重くて邪魔なので、若しかしたら、途中でエライオソームだけを切り取ってタネを置いていって貰うための方策かもしれません。

 果実を探すために、根元の枯れ葉を除いてみると、既に地上茎を伸ばした先に新しい芽を付けていました。
アオイスミレP4241173.JPG

 タネだけに頼らずとも、地上茎で株を増やしていけるので、何かの条件が合わない時は、開花の労を惜しんでいるのかもしれません。裏高尾の日影沢や蛇滝入口手前などで咲いている様子を考えると、恐らくこちらの場所では木々が育ちすぎて日照が不足なのではないかと想像しています。

 先日「小春日和」さんで頂いたアオイスミレのタネは、ニオイタチツボスミレと同じ日に撒いたのですが、ニオイタチツボの方は無数に発芽しているのに、アオイスミレの方は、たった二芽のみ。少数精鋭の筈が、極端に発芽率が悪く、この原因も不明です。発芽条件も他のスミレとちょっと異なるのかもしれません。

 実は、大きなエライオソームに発芽抑制物質でもあるのかとも思い、ハズキルーペを掛けて懸命に取り除いてみようとしたのですが、私の能力では引きちぎれただけで、綺麗に取り除くことは出来ませんでした。蟻さんの力を借りないと上手く行かないのかもしれません。

 ちょっと変わり者に興味を惹かれるのは、私が変人だからかな。貴重な発芽株を見守り、引き続き、観察を続けます。


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2021年05月10日

ヤマウルシ(山漆)

 狭山丘陵の春、ヤマウルシの芽吹きが見た目も大きさもインパクトがあって目を惹かれます。今はすっかり羽状複葉を椰子の木のように豊かに広げ、その下にこれまた大きな房になった花をいっぱい咲かせています。

ヤマウルシ(山漆)ウルシ科ウルシ属 2021.05.06 狭山丘陵
ヤマウルシP5061442.JPG
 ヤマウルシはウルシ同様、樹液に触れるとかぶれ、敏感な方は下を通っただけでかぶれることもあります。弟はそのタイプで、一度かぶれて以降、異常な程ウルシの仲間を避けてたので、自然、私も注目して生きてきました。ただ、何せ、かぶれる遺伝子を持っている怖れもあり、ウルシの仲間とまで分かっても、近づいて詳しい同定をしようとまでは至りませんでした。

ヤマウルシP5061441.JPG
 こちらの木は、斜面なので正確には分かりませんが、8m以上ありそうな高さに育っていて、殆どの人は気付かずに下を通っているでしょう。気付かないと痒くならないこともあるので、知らぬが仏かもしれません。

2021.04.06 
ヤマウルシ?P4060562.JPG
 1ヶ月前の芽吹きの頃の姿、赤い葉軸に産毛を纏った幼葉、小さな蕾の房、美しく目を惹かれます。

ヤマウルシP4060581.JPG
 美しすぎて妖艶な姿。イソギンチャクかケヤリムシのようでもあり、妖気すら放っている気がします。

ヤマウルシP4060628.JPG
 粒々の可愛い蕾。でも苦手な方もいるかな?

 ウルシの仲間はどれも似たような羽状複葉、オマケにウコギ科のタラノキなども似ていて、個性を把握していないと迷うかもしれません。
下は、未だ若い葉と成熟した葉です。パイオニア・プランツなので、小さい木も沢山生えていて触らずに観察できるので助かります。

ヤマウルシP4281266.JPG ヤマウルシP5011307.JPG
・小葉は全縁ですが、若木の頃には荒い鋸歯が出ることもあり。
・葉軸は赤く、展開しはじめの頃は赤味が強く、段々薄れがち。
・葉面にも葉軸にも毛が生えていて、光沢がない。
・小葉が基部に行くほど丸く小さくなっていくのが、一番顕著な特徴。

 同じ様な場所に生えているヌルデも良く似ていますが、以下が大きな区別点です。
・小葉に明確な鋸歯がある。
・葉軸に翼がある。
ヌルデ葉P5141626.JPG


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2021年05月09日

エゴノキ

 エゴノキは、地面に落ちた白い星形の花を見て気付くことが多いのですけれど、今年は小さな丘の尾根道を歩いていて、目の高さに一斉に咲いているのを見つけて感激しました。そしてやっと、エゴノキの花の仄かな芳香を確認出来ました。

エゴノキ(別名 チシャノキ、ロクロギ)2021.05.09
エゴノキP5091563.JPG
 こんな風に並んでぶら下がっているのを間近に見ると、英名のSnow bellsそのもの! 咲き始めたばかりでほんのり上品な香りがしました。

エゴノキP5091556.JPG
 先日ご紹介した水木は上向きの段々でしたが、エゴノキは下向きの階層が重なって見事です。

エゴノキP5091561.JPG
 下から覗くと、青空にお星様がいっぱい! 「昼のお星は目に見えぬ」の金子みすずさんにも見せて差し上げたい気持。 

エゴノキP5091559.JPG エゴノキP5101593.JPG
 圧倒的集合美の中、一つの花に目を留めると、未だ閉じた雄蕊が花粉を出しておらず、真っ白な花の清楚なこと。葉っぱの上に落ちていた花は、普通は5枚の花弁が6枚。これはエゴノキの花では、良くあります。

エゴノキP5091557.JPG
 無数に広がる「地上の星」 この中にも花びらが6枚のものがありました。

エゴノキP5061450.JPG
 振り仰げば、大きなエゴノキの笠と降り注ぐ香りを独り占め。なんて贅沢な時間。

 材は黄白色で緻密で粘りがあり、こけし等のろくろ細工、工芸品に用いられ、また、番傘の骨を集めて開閉する円筒状の部分(=ロクロ)にも使われたとのことから、ロクロギの名があるようです。

 果実がエグいことからエゴノキと呼ばれ、果皮はエゴサポニンを含み洗濯に使われ、絞り汁は川に流して魚を麻痺させ捕まえたのだそうです。余り大きな川では無理そう?小川なら出来たのでしょうか。

 チシャ(萵苣)というのは、レタスの仲間で、ムラサキ科のチシャノキは若芽がチシャの味に似ていることからの名前とのこと。エゴノキの別名も同じ由来なのでしょうか? 実に毒があると思うと、試すのが怖いような・・・食べたことある方、いらっしゃいますか?


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2021年05月08日

ニガナ(苦菜)

 木の方では様々な白い花が盛りですが、足元に目を移せば、黄色い草花が溢れています。先にご紹介した、ジシバリ、オオジシバリもそうですが、大雑把に言えば、みんな「タンポポに似てる」と言われてしまう花たち。

 ジシバリは岩ニガナ、オオジシバリは蔓ニガナ、とも呼ばれますが、これらはニガナ属ではなくタカサゴソウ属ですので、○○ニガナの名前は通称に留めて置いた方が誤解が無いと思います。

ニガナ(苦菜、別名 チグサ、チチバナ)キク科ニガナ属 2021.05.06
ニガナP5061434.JPG
「舌状花はふつう5弁」と書かれた図鑑もありますが、ここの花は殆ど6弁でした。一回り大きな花で舌状花が8〜10弁なのが花ニガナと呼ばれます。ハナニガナは高尾山でも良く見られますね。このハナニガナについては分類がややこしく、ハマニガナの亜種のシロニガナの変種という位置づけのようです(諸説あり??)

ニガナP5061431.JPG
 陽当たりの良い斜面に咲いていた株です。

ニガナP5061430.JPG
 よく探せば、5弁もあります。

ニガナP5061492.JPG
 全体の草姿。こちらは林の中の半日影の株で、ひょろっとしています。舌状花は5弁が多いようです。他の草葉と混じって見づらいですが、根生葉には柄があり長いヘラ状ですが切れ込みが入るものもあります。茎葉には柄が無く茎を抱いています。(上部の葉は抱かないものもあり)

 名前の由来は、茎葉をちぎると白い苦みのある乳液が出ることからです。若葉や根は、苦くとも食用になるそうです。尤も、細く華奢な草ですから、相当な量を収穫しないと食べるほどの嵩にはならなそうですね。

 種子にはタンポポのような冠毛があり、風に吹かれて飛んでいきます。

 *沖縄の島野菜「ニガナ(ンジャナ)」は、和名 ホソバワダン(細葉海菜)、キク科アゼトウナ属の別種です。


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2021年05月07日

タツナミソウ(立浪草)

 そろそろタツナミソウが咲き出す頃と思い、いつもの場所で蕾を見つけ開花を待っていました。今日、そこへ向かう前に、何となくいつもと違う小川沿いの草藪の中に入っていきたくなって進むと、うわうわ〜足元に満開のタツナミソウ! またしても花に「呼ばれた」ようでバンザイ\(^o^)/でした!

タツナミソウ(立浪草)シソ科タツナミソウ属
タツナミソウP5071543.JPG

タツナミソウP5071540.JPG
同じ方に首を揃えて咲く様子は、いかにも波立ち上がり波頭くだける、という感じです。

タツナミソウP5071537.JPG
上唇弁は毛の生えた頭のよう。下唇弁には複雑な模様。奥の模様が「へのへのもへじ」みたいな顔に見えて笑ってしまいました。

タツナミソウP5071539.JPG
萼の上にはホタテ貝のような丸い膨らみがあります。花が落ちた後、この辺りが面白い変化を見せますので、又の機会にご紹介しますね。

タツナミソウP5071530.JPG
全体の姿は、地を這うように5〜20pと低く咲くコバノタツナミと違い、20〜40p程に立ち上がって咲きます。

タツナミソウP5061428.JPG
こちらは、いつもの場所で昨日撮った未だ蕾の状態。

タツナミソウP5061522.JPG
アップで見ると、招き猫の手みたいで可愛いでしょ?

タツナミソウP5071545.JPG
茎には微毛があります。葉も有毛ですが、コバノタツナミのようなビロードの手触りではありません。

タツナミソウP5071541.JPG
すっかり足元の数株に夢中になっていましたが、ふと見回せば後ろに大群落が広がっていました。満開時には大波が押し寄せたようになるか楽しみです。

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2021年05月06日

コゴメウツギ(小米空木)

 5月頃に咲く白い小花の代表「ウツギ」の名前を付けられていますが、咲く時期と白い小花が共通項なだけで、アジサイ科ウツギ属ではなく、バラ科です。花や実が無い時期には、同じような場所に生えるバラ科のモミジイチゴやニガイチゴにも似て見えますが、こちらにはトゲがありません。

コゴメウツギ(小米空木)バラ科コゴメウツギ属 2021.05.03
コゴメウツギP5031401.JPG
 小さな花を拡大してみると、見慣れない複雑な形をしています。後ろから見ると緑の萼が無いので、重なりから見て、一番上にある「細長い白い花びら状の部分」が「花弁」、その間の「丸い白い花びら状の部分」が萼が変化したものかなと思います。

コゴメウツギP5031382.JPG
 どうしてこんな形に進化したのでしょう。花の目的は、兎に角、花粉の運びやさん(ポリネーター)に来て貰い効率よく花粉を持って行って貰う為ですから、小さい花なりに工夫を凝らした末の姿。花弁と萼がくっついてお椀のようになり、雄蕊が縁取りになっていますから、蜜を吸う行きと帰りに逃げ場は無く、どうしたって花粉が着く様になっているようです。

コゴメウツギP5101620.JPG
 「ああ、こんな所にコゴメウツギがあったんだ!」
と、私でも気付くほど、こんもりとした株の茂み全体が、黄色味を帯びた白い花でいっぱいでした。

 同じコゴメウツギ属でよく似た花を着け、コゴメウツギの倍以上大きい葉を付けるのは、「カナウツギ(金空木)」です。冷温帯に自生なので東京では稀ですが、高尾山では、数株見られます。そうそう、武蔵野自然観察園にも植えてありますよ。

 ところで「小米」って、ご存じですか? 単に小さな米粒という意味では無く、篩いに掛けて除かれた砕けたお米(くず米)のことなのだそうです。今は、綺麗に精米されて粒の揃ったお米しか見たことがないと思いますが、この小米を取り除かないと、デンプン質が溶け出て米粒の表面に付着してしまい美味しいご飯は炊けないのだそうです。

 遠〜い昔、祖父母の故郷の新潟で、そんな小米や小さな石ころが除かれていたような記憶がうっすら蘇って来ました。綺麗なお米が手許に届く前には、そのような緻密な選別作業がされているのですね。益々感謝して頂かねばと、心を新たにしました。


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posted by 山桜 at 12:24| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月05日

マユミ(真弓、檀)

「まゆみ」さん、という名前、平仮名だと三文字ともまるみがあり、音の響きも優しく、女性の名前として人気がありますね。

 真弓と書くことからも推測されるように、万葉の頃から弓の材料とされ、特に東北等の寒い産地の材が良いとされていたようで、こんな歌も記されています。

(原文)陸奥之 吾田多良真弓 着弦而 引者香人之 吾乎事将成 
(訓読)陸奥の 安太多良真弓 弦着けて 引かばか人の 吾を言なさむ 
(かな)みちのくの あだたらまゆみ つらはけて ひかばかひとの わをことなさむ

 さて、なんと訳しましょう。 
 最後の「かひとの わをことなさむ」の「かひと」は原文の「香人」の文字を見ると「香るような(私の)思い人」のことかもしれません。そして「事なさむ」なのか「言なさむ」なのか・・・? う〜ん、ちょっと宿題にしてください。

マユミ(真弓、檀)ニシキギ科ニシキギ属 2021.05.02
マユミP5021397.JPG
肉色の果皮が4つに割れ、赤い種子をぶら下げる様子はよく見かけると思いますが、1p程の花を愛でる人は少ないかもしれません。よく観ると、イタリアン・トリコロール的な配色がお洒落です。既に四角く後に4分割する果実の片鱗が伺えますね。

マユミP5021329.JPG
集散花序はこんな感じ。果実はぶら下がりますが、花は未だ上を向いています。

マユミP5021331.JPG
株全体が霞むほど沢山の花を、今を盛りと咲いていました。
一年枝が緑で、4つの稜があるのも特徴です。先日ご紹介したツリバナと同じニシキギ科ニシキギ属で、雰囲気も似ていますが、葉っぱが大きく、花は4片です。ツリバナは5片でしたね。

<追記>
 マユミは、雌雄異株、雌雄同株、と意見が分かれているようです。この記事の写真の株は、毎年赤い実を成らせているので、雌雄異株とすれば、少なくとも雌株である筈です。しかし、葯から花粉が出ていますよね? ということは雌株に雄花、若しくは、両性花が咲いているということになります。雌雄同株ということでしょうか。

 マユミの木があると気付くのは、大体秋に赤い実が成っているからで、全く実が成らない雄株の存在に気付いたことがありませんでした。もう花が終わってしまったので、今後はその点についてよく観察したいと思います。



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posted by 山桜 at 17:51| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月04日

ハリエンジュ(針槐、ニセアカシア)

 5月は「白い花の季節」、そして「香りの季節」です。 歩いていて、ふと風にのった薫りに足を止めることが多くなります。

 甘い香りを放って真っ白な花を降り注ぐシャワーのように咲かせているハリエンジュは、北米原産の外来種。代表的なパイオニア・プランツで、撹乱などで明るい林床ができれば、すかさず芽吹いて忽ち大きく育つので、根絶は難しく困った存在。しかし、一方ではハチミツを採る蜜源植物として役立ってもいます。

ハリエンジュ(針槐、別名ニセアカシア)マメ科ハリエンジュ属
ハリエンジュP5031361.JPG
真っ白いフジの花に似た花序を葉柄基部からぶら下げて沢山の花を咲かせます。

ハリエンジュP5031357.JPG

ハリエンジュP4261203.JPG
香りだけで無く、足元にこぼれ落ちた無数の白い花で気付くことも。

ハリエンジュP5031372.JPG
花の付き方に法則があるかなと見てみましたが、ランダム?

ハリエンジュP5031366.JPG ハリエンジュP5031554.JPG

ハリエンジュP5031363.JPG ハリエンジュP3160094.JPG
名前の由来となったトゲは、幼木や徒長枝では特に大きく目立ちます。 枝が細く弱い時に身を守る為の防護ですね。

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posted by 山桜 at 15:48| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月03日

毛の抜けたタヌキ?

 最近、3匹の猫がこの辺りに住み着いて、庭の手入れをして良い案配の空間が出来ると日向ぼっこにやって来ます。日向ぼっこだけなら良いのですが、おトイレにされては臭くてならないので、心を鬼にして追い払って来ました。水仙は毒があるので嫌がるかと思って敷いて置いたところ・・・

 何かの気配がして「また来たな〜!」と思い、窓から覗くと「猫では・・・ない!?」

タヌキP5031348.JPG
 ほっそりしていたので、最初はハクビシンかと思ったのですが、クビや尻尾の毛が無くて何やら不気味・・・

タヌキP5031351.JPG
 振り向いたら・・・「タヌキ?」 ハクビシンにしては尻尾が短いし、口先が尖っています。

タヌキP5031350.JPG
 うっすら残った目の周りの黒い模様、鼻もピンク色ではなく黒いし、やはりタヌキのようです。

 丁度、いつもその場所で日向ぼっこをしている猫が知らずにやって来て、「そこは私の場所!」と、暫く睨んでいましたが、猫から見ても毛が抜けたタヌキはちょっと怖かったのでしょうか、すごすごと後ずさりして逃げていってしまいました。 私としては、ここは猫に頑張って欲しかったなぁ

 人の住むエリアに進出して来た野生動物にペットから疥癬症が伝染して広がっているとは聞いていましたが、こんな身近で遭遇するとは思いませんでした。 相当痒いと見えて、掻きむしっている様子が気の毒でした。 

 ただ、今の私には捕まえて保護して役所に届けるという力も無く、人には伝染しないらしいとは言え、感染症には注意しないと行けない持病もあり、困ったなぁと思いつつ取り敢えず外に出てみました。恐らく玄関を開けた音に反応したのでしょう。流石にタヌキ、あっという間に姿をくらましていました。

 余り昼間に出歩かない筈のタヌキ、色々な植物が植えられている家の庭に、何か皮膚病に効く薬草でも探しに来たのでしょうか? お役に立てず、申し訳なかったです。

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posted by 山桜 at 22:23| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月02日

アオハダ(青膚)

 森林インストラクターになって身近な樹木を改めて観察するようになった頃、アオハダ、カマツカ、サワフタギの3種が、花も実も無い時なかなか見分けられませんでした。 季節を追って観察し続け、やっとどの季節でも分かるようになるまでに3年近くかかったのでないでしょうか。一度見過ごすとまた一年、その季節を待たねばなりませんから。

 先日ご紹介したカマツカの花は早くも散ってしまいました。サワフタギは蕾は見たのに開花を見逃し、アオハダの花をやっと見つけることが出来ました。秋に赤い実が沢山落ちていると気付きますが、この花は散っていても気に留める人は少ないかもしれません。

アオハダ(青膚)モチノキ科モチノキ属 2021.05.01
アオハダP5011395.JPG
薄い緑がかった白い花。観ると4本の雄蕊をぐ〜んと伸ばし元気溌剌の雄花ですね。

アオハダP5011316.JPG
風の季節、小さい花にピント合わせは風止みの瞬間狙い・・・難しい。雌花(雌株)は探したけれど、みつかりませんでした。秋に実が落ちていたら、来年はそこに行って雌花を観てみましょう。

アオハダP4090688.JPG
アオハダは、短枝の先に葉を束生させるのが見分けのポイントです。カマツカ、サワフタギは倒卵形で先太りですが、アオハダは素直な楕円形で、瑞々しいイメージです。

アオハダP5011393.JPG
その束生した葉の基部に花を咲かせます。

2021.04.20
アオハダP4201016.JPG
蕾を見つけたのが4月20日ですから、開花まで約10日ほど掛かった訳です。

2021.04.09
アオハダP4090747.JPG
樹皮にはイボイボが目立ちます。この樹皮が薄くて爪で擦ると青い内皮が見えるのが名前の由来です。高尾山等で観察ポイントになっている木は、気の毒にも傷つけられた痕跡が見られます。この木は大丈夫かな・・・? あ、ちょっとやられている? 若しも、勉強の為やってみるときは、木も痛いと思うので小さめにちょっことだけでお願いします。

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posted by 山桜 at 19:49| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月01日

ミズキ(水木)の Wedding cake !

 早5月、初夏の白い花の季節がやって来ました。今年は特に飛ぶように季節が移ろい、それを追いかけて歩く方が忙しくて、更新がなかなか追いつきません。

 先日、八国山の広場で珍しく伸び伸びと枝を広げているミズキを見て、そうだ、ミズキを載せていなかった!と気付きました。花が終わってしまう前に急いで書きますね。未だ山地や北方へ行けば満開のミズキが見られるでしょう。

ミズキ(水木 別名:車水木)ミズキ科ミズキ属 2021.04.26
ミズキP4261198.JPG
 高木で花を上から見る機会はなかなか得られませんが、ここでは枝が垂れ下がっていてラッキーでした。しかし日差しが強い!白い花は緑いっぱいの森の中で、こうして光を強く反射させて虫を引き寄せるのでしょう。

 元来、名前の通り水気を好む木で、春先の盛んに水分を吸い上げている時期に枝を切ると、水が滴り出る程だそうです。こんなに強い光を浴びる場所ですが、根元はしっかり日陰になっていて水気を含んでいます。

2021.04.24
ミズキP4241194.JPG
横から見たところ。小枝の先に白い小花(花弁4枚)いっぱいの散房花序を揃って上向きに咲かせています。

ミズキP4241196.JPG
下から見上げ、暫く心地よいミズキ越しの木漏れ日を浴びていました。

2021.04.20
ミズキP4201008.JPG
 花弁は4枚。同じミズキ属でも、ヤマボウシやハナミズキの花弁に見える部分は総苞片の発達したもので、中心部に小さな花が密集しています。

 そうそう、他のミズキ科の植物は皆「対生」なのですが、このミズキ科の親分のミズキだけが何故だかヘソマガリで「互生」なのです。といっても枝先に集まって葉を付けるので分かりづらい・・・そういうときは、枝振りを観て下さい。葉が互生なら、勿論、枝も互生になっています。(先程の下から見上げた木漏れ日の写真が確認しやすいです。)

2021.04.28
ミズキP4281402.JPG
 樹形は独特で、この枝振りを図鑑により、車状、扇状、階層状など色々な表現が見られます。車水木という別名はここに由来しています。

 私は、参加者の顔ぶれにより、「ウェディング・ケーキ状」または「棚田状」などとも言っています。上の写真のように他に木に邪魔されないで真っ直ぐ育って枝を伸ばすと、正に「ウェディング・ケーキ」に見えませんか? ミズキだけにシャンパン・タワーの方がいいかしら?

 水気の多い樹陰で成長し、少しでも沢山の光を浴びて生き残る進化の結晶なのでしょうね。

キアシドクガ 2021.05.01 ああ、今年も既に発生していました・・・
ミズキ キアシドクガP5011327.JPG
 水木の天敵、キアシドクガの幼虫です。
 大量発生すると水木を丸坊主にしてしまい、それが数年続くと木を枯らしてしまうほどです。名前は毒蛾で見た目もいかにも毒がありそうですが、毒はありません。虎の威を借るハッタリ戦略ですね。

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posted by 山桜 at 10:04| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする