2021年06月29日

NHKの時代劇が面白い

 ここ数年、日曜日の大河ドラマは、待ちきれなくて18:00〜のBSプレミアム放送を観ています。すると大河ドラマに続いて、時代劇シリーズの再放送が流れます。

 最初は、なんとなく山本耕史さん主演の「鳴門秘帖」を、以前、居眠り磐音「陽炎の辻」が好きだったので、見始めたのが切欠だったかもしれません。時代劇は、主人や父が旅立ってからは、一緒に観ていたことを思い出すと哀しくなるのでご無沙汰だったのです。

 その後、どういう順番で観たかは忘れましたが、思い出すままに書きますと・・・

山本耕史さん主演「鳴門秘帖」
 哀しい事情を持つ陰りのある美剣士役は、彼の独壇場です。現代劇では余り好きではないのですが、「一つ屋根の下」では車椅子の画家志望の儚げな青年が、こんな成長を遂げるとは思いませんでした。

中井貴一さん主演の「雲霧仁左衛門」 
 クモキリソウと名前が共通なのも惹かれた一因かもしれません。中井さん、CMで見せるひょうきんさと時代劇での渋さのギャップ、人間性の深みを感じます。脇とは言えないような共演陣も芸達者揃いで見応え十分。最後は絶対に仁左衛門の勝利と分かっていても、ハラハラドキドキし通しです。

 第41,52代の火付盗賊改の安倍式部(信旨)を演じるのは國村隼さん。第165−166代の鬼平こと長谷川平蔵(宣以のぶため)とは違って、敵役で毎回取り逃してしまい気の毒ですが、安倍式部も応援したくなる魅力を持っています。

船越英一郎さん主演の「赤ひげ」
 船越さんも現代劇ではピンと来ない人でしたが、この赤ひげ先生は髭も似合ってはまり役、無口なので表情で演じる姿に泣かされました。

 主役以外は、役者が良いという言うより脚本が素晴らしいのかもしれませんが、それだけにどの役も演じているようには見えず、若いお医者様達の成長が、演じる役者の成長と重なりました。若い人が成長していくのを見ると、自分も未だ未だこれからだと励まされますね。

沢口靖子さん主演の「小吉の女房」
 小吉は勝海舟の父で演じるのは古田新太さん。気風が良く人にとことん優しい江戸っ子で、この父ありての海舟なのかと言う興味もあって見始めました。沢口さんは、どこか無理しているような「科捜研の女」より、時代劇の女房役の方がずっと伸び伸びしていて可愛らしく魅力的でした。子役だった海舟も成長して結婚してしまい、もう続編はないのかしら、もっと見たいなぁ

中村隼人さん主演「大富豪同心2」
 お金持ちの同心・八巻宇之吉と先の将軍のご落胤の異母弟・幸千代君、顔はソックリ(中村の二役)でも、能力も気性も正反対。第一作は見ていませんが、中村さんの二役の演じ分けが素晴らしく、別人では思う程で驚きました。歌舞伎役者さんで所作も美しく上品で、小判をばらまこうが、ご飯をモリモリ食べようが、何をやっても嫌な感じにならない所が流石です。
 
 「小吉の女房」が終わって寂しく、何だかふざけた漫画のような設定で、見るのを止めようかと思っていたのに、ついつい引き込まれて見続け、今ではエンディングのダンスを一緒にやるのも楽しみになるとは・・・。

 大好きな稲森いずみさんの芸者姿を堪能できる幸せ。宇之吉を慕う男装の女剣士みすずさんとの進まない恋模様、宇之吉大好きな下町の応援団の面々との人間模様も温かくてほっこりします。あの松本幸四郎さんが、主演では無く幸千代君付きの老中で爺やのような役をオロオロと演じているのにも年月を感じます。

 つまらないバラエティや若者向けのドラマばかりで見るものが無いとお嘆きでしたら、是非、一度ご覧になって見て下さい。本放送は金曜日の午後8時から、再放送は、土曜午後6:45?〜(6:00〜の大河ドラマの後です)


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ラベル:NHK 時代劇
posted by 山桜 at 17:41| Comment(2) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月27日

イヌヌマトラノオ(犬沼虎の尾)

 たっちゃん池の堤防の北斜面に、ここ数年の間にオカトラノオに似て葉の形が違う得体の知れぬ株が急速に増え、誰かがどこからか採取してきたタネを蒔いたのではと不審な気持です。

 図鑑で見るとノジトラノオに似ていますが、絶滅危惧種で自生地の湿地でも数が減っているというノジトラノオが、こんな所に生えている筈は無いと思い、更に調べてみると、どうやら、オカトラノオとヌマトラノオの交雑種で、最近増えているという「イヌヌマトラノオ」のようです。

イヌヌマトラノオ(犬沼虎の尾)サクラソウ科オカトラノオ属(オカトラノオ X ヌマトラノオ 交雑種)2021.06.24
イヌヌマトラノオP6242282.JPG

イヌヌマトラノオP6262308.JPG
 花序と花だけ見るとオカトラノオに似て花序の先が垂れ下がり、ほぼ真っ直ぐ咲くヌマトラノオとは異なります。

イヌヌマトラノオP6242285.JPG
 花付きは、オカトラノオより、やや少なめに感じます。

イヌヌマトラノオP6242300.JPG
 斜面の下部に群生しています。このまま放置なら、どんどん増えていくことでしょう。オカトラノオを脅かさないか心配です。

イヌヌマトラノオ小P6262334.JPG イヌヌマトラノオ小P6262311.JPG
 花弁がオカトラノオより幅広という記載もありましたが、ここの花はそれ程差があるようには見えませんでした。オカトラノオの開花を待って比べてみましょう。 
 一番の違いは、この細長い葉です。オカトラノオの葉は、もっと幅があり葉柄の基部に赤味があるものが多いです。

オカトラノオの葉と茎
オカトラノオP6242252.JPG

イヌヌマトラノオP6262333.JPG
 最初に似ていると思ったノジトラノオの茎にはハッキリ密生した開出毛がありますが、こちらは、まばらな毛が生えているだけで、その特徴は見られません。やはりこれは、イヌヌマトラノオと呼ばれる交雑種のようです。オカトラノオの仲間は、交雑しやすいスミレ並みに混ざりやすいようなので同定者泣かせです。


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posted by 山桜 at 22:19| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月26日

コムラサキ(小紫)

 ムラサキシキブ、オオムラサキシキブとご紹介した後、歩道に枝垂れていたコムラサキをみつけました。コムラサキとヤブムラサキには「式部」が付かないんですね。植物の和名には余り法則とか体系とかがなく、命名者の付けたとおり・・・という感じのようで、覚える方は戸惑いますよね。

コムラサキ(小紫 別名 小式部)シソ科ムラサキシキブ属
コムラサキP6252329.JPG
 花色は一番薄いピンク(名前からすれば、薄紫というべきでしょうか)で、雌しべもピンク色ですね。ムササキシキブの雌しべは白で、華やかなコントラストでしたが、コムラサキの花はやや単調でしょうか。

コムラサキP6252298.JPG
 対生の葉の柄の付根から行儀良く2つずつの花序が並んでいます。これが殆ど薄紫色の実になるのですから実りの頃は見事です。

コムラサキP6252294.JPG
 葉は3〜7cm、半分から先に鋸歯があります。

 湿地や川岸に自生するとのことですが、自生地のものは見たことがありません。寧ろ庭や公園に植栽されたもの、そこから実生で広がったものを良く見かけます。

 白い実がなる品種は、シロミノコムラサキ、シラタマコシキブ等とも呼ばれています。


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2021年06月24日

オオムラサキシキブ(大紫式部)

 殆どのムラサキシキブの花が終わり、緑の小さな実を付けた頃、ムラサキシキブより大きめで形はそっくりの白い花を咲かせている木を見つけました。オオムラサキシキブが有ると言うことは聞いていましたが、まさか白い花とは思いませんでした。

オオムラサキシキブ(大紫式部)シソ科(クマツヅラ科から移動)ムラサキシキブ属 2021.06.24
オオムラサキシキブP6242225.JPG
 池の畔の湿地の中に生えていて、木道から手を伸ばしてやっと撮れた写真を拡大しました。この木は白花ですが、色巾がありムラサキシキブ同様のピンクの花もあるそうです。白花で白実なのかどうかは、この後、観察確認して、ご報告しますね。

オオムラサキシキブP6242224.JPG
 花も葉もムラサキシキブより一回り大きく、花序はコムラサキ同様に葉の上に出ていました。

オオムラサキシキブ(左) と ムラサキシキブ(右)の葉
オオムラサキシキブ小P6242274.JPG ムラサキシキブ小P6242227.JPG
大紫式部の葉は10〜20cm、やや厚みと光沢あり。 紫式部の葉は5〜20cm、薄く表面はざらつき艶が無い。

オオムラサキシキブP6242233.JPG
 樹高も空高く見上げる程に伸びていました。

 全てがオオムラサキシキブの特徴に合っていますが、オオムラサキシキブの分布は関東南部〜沖縄の海岸近くとなっており、狭山丘陵に生えているのが果たして自然なのか、植栽なのか分かりません。白花ということもあり、近く又は鳥が運べる範囲に植栽されていたものの実生なのかもしれません。

 それにしても、オオムラサキやらコムラサキやら、蝶や昆虫が好きな人には紛らわしい名前ですね。そういえば、植物でも、クワガタソウの仲間のミヤマクワガタなんて名前もあります。森林インストラクターはどちらも守備範囲なので、説明する時、どちらかはっきりさせないと混乱することがあるかもしれませんね。それも又楽し、ですけれど。


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posted by 山桜 at 21:25| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

眠り始めたネムノキ

 子供の頃、ネムノキを見て、オジギソウと同じように葉っぱを撫でて眠らせようとしたことは有りませんか? 大きなネムノキは、ちっとも眠ってくれず、父に聞けば「夜になれば眠るんだよ」との返事。けれども、なかなか夜にネムノキを見に行く機会がないまま大人になってしまいました。

 今は気ままな身分、日差しが強くなってきた昼間を避けて夕方の散歩をしていたら、谷間に枝を伸ばしたネムノキを発見。

ネムノキ(合歓木)マメ科ネムノキ属 2021.06.21
ネムノキP6212216.JPG

 薄暗くなってきた中、目を凝らして葉っぱを見れば、羽のような小葉を閉じて眠りかけているところでした。
「本当に眠っているね・・・」
 教えてくれた亡き父にそっと声を掛けました。


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posted by 山桜 at 15:19| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月23日

ムラサキシキブ(紫式部)

 ムラサキシキブは、どこにでも生えていて余りにもありふれているからか、改めて取り上げてこなかった気がします。砂糖菓子のような紫色の実は有名ですが、小さなピンクの花が沢山咲いていてもそれがムラサキシキブの花とは気付かないかもしれません。

ムラサキシキブ(紫式部)シソ科(前クマツヅラ科)ムラサキシキブ属 2021.06.02
ムラサキシキブP6022002.JPG
 目では定かで無い小さな花の表情を見られるのはカメラのお蔭。

2021.06.08
ムラサキシキブP6082071.JPG
 花序全体で見た集合美。自家受粉を嫌がるように白い雌しべがぐっと外に伸び出しています。

2021.06.02
ムラサキシキブP6021989.JPG
 蕾と花の濃淡も素敵。
 
ムラサキシキブP6021995.JPG
 もっと固い蕾との濃淡、色味の差もあります。

ムラサキシキブP6082072.JPG
 葉の最大幅は真ん中辺りで基部と先がすぼまる菱形。高尾山では紫式部と混在する全体に微毛が多いヤブムラサキシキブは、この辺りでは見かけませんが、葉がビロードのような手触りで基部がやや丸く、最大幅はやや基部よりです。

ムラサキシキブP6021997.JPG
 この日は、丁度咲き出した所で、花々の晴れ晴れした気持が伝わってくるようでした。

ムラサキシキブP6022022.JPG
 下がってみた全体の姿。回りに木が無く自由に育った自然樹形で背丈を遙かに超える高さに育っています。伸び伸びしていていいですね。

 普通に町で「ムラサキシキブ」と呼ばれているのは、もっと背の低い「コムラサキ」という別種で、花序が葉の上に出ている腋上生で実付きも良く目立ちます。栽培品は多いのですが、自生地では絶滅危惧種となっているようです。鳥の落とし物で簡単に増えるのは園芸種として選抜された強さなのでしょうか?


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2021年06月22日

ガビチョウの雛

 巣立ちの季節、スズメの雛に続いて、今度はガビチョウの雛に出会いました。 道の脇でキョトンとしています。産毛がほやほやしていて尻尾が短くて如何にも雛の可愛らしさ。

ガビチョウ(画眉鳥)スズメ目チメドリ科 中国南部・東南アジア原産 2021.06.21
ガビチョウP6212215.JPG

 遠巻きに写真を撮って様子を見ていたら、親鳥同様に人間なんて怖がらないようで、目の前をひょこひょこ横切って茂みの枝にモタモタッと飛び移りました。

ガビチョウP6212172.JPG

 急いで向けたカメラにはどうも写っていなかったようですが、心配して見守っていた親鳥が画面の左上にやって来て、右下の枝にとまった雛に控えめに声を掛けて誘導していました。いつもは辺り構わず甲高い声で泣いていて騒々しいガビチョウも、こんな時は繊細な声を出すのだと親心に感動しました。でも特定外来生物*ですし、これ以上、繁殖されても困るなぁ 地面に降りて餌を探すので積雪地帯では越冬が難しいようです。南方系の鳥なのでしっかり寒い冬がくれば自然淘汰されるでしょうか・・・。

*特定外来生物:海外起源の外来種で、生態系・人の生命・身体・農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼすおそれがあるもの(環境省の定義) 飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことが原則禁止されています。


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posted by 山桜 at 13:56| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月21日

第三腓腹筋という破格筋

 ちょっと更新の間が空きました。 18,19日と父と主人の月命日が続き、20日の「父の日」と相まって何となく湿っぽくなり、膝の具合も芳しくなく静かに過ごしておりました。

 それが今日、接骨院でリハビリを受けていた時、
 「おっ、第三腓腹筋がありますね!」
と先生に言われ、初めて聞く単語に何のことやら?でしたが、
 「これがある人は殆ど居ないんですよ〜」
と伺い、何だか嬉しくなり、俄然興味が湧いて来ました。

 早速、調べてみると・・・

 「下腿三頭筋」というのは、ふくらはぎの筋肉で「腓腹筋」「ヒラメ筋」の2つの筋肉から構成されていて、姿勢を保持したり、歩行や階段、スポーツのパフォーマンスに役立つ。また、ふくらはぎは「第2の心臓」と言われ、足の血行促進の役割を下腿三頭筋が担っている。

 「第三腓腹筋」とは内側外側の2つの腓腹筋のどちらかに沿って存在する破格筋の一つ。「破格筋」とは殆どの人では退化して見られなくなっている種類の筋肉。ということのようです。

 まぁ退化するくらいですから、現代の生活では使われていない筋肉なのでしょう。人種で出現率に差があって、調査された範囲では、アイヌ人(40%)>日本人(約4.57%)>黒人(約3.45%)>白人(2.93%)と言う順序で、何だか古来の遺伝子を受け継いでいるようで、これも嬉しい気持です。

 研究も殆どされていないようで、どんな役割をしているのかも良く分からず、普通は無くても困らない筋肉かもしれませんが、今の私のように膝に故障があると、何かしらその部分を補ってサポートしてはくれないかと期待してしまいます。

<参照文献>
 第三腓腹筋の3例 杏林大学医学部第一解剖学教室


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posted by 山桜 at 11:57| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月17日

小林亜星さん、ありがとう

 平成から令和への御代がわり、人生の折々に影響を受けた方々が次々と旅立った逝かれます。これが時代の変わり目ということでしょうか。昭和から平成の時には、未だ自分も若く余りそのようなことは感じませんでしたけれど、今は一入寂しさを感じます。

 「寺内貫太郎一家」は、騒々しくてきちんとは見ていませんでしたが、亜星さんの強烈な個性に圧倒されました。女将さんの加藤治子さんも西城秀樹さんも亡くなって、とうとう浅田美代子さんだけになったなんて、月日の流れを感じます。加藤治子さんはジブリ映画の声優さんとしても活躍され、上品なお声は今も変わらず代えがたい存在感を放っています。

 亜星さんのそれこそきら星の数ほどある名曲の中で、今でも口ずさむのは、

 どこまでも行こう
  どこまでも行こう
  道は厳しくとも
  口笛を吹きながら
  歩いて行こう 走って行こう

・・・だと、ずっと思っていたら、最後は「走って行こう」だったことを、今知ってビックリ! 口笛を吹きながら走るって出来ますか?そうまでしないと吹っ切れない程、辛く哀しいことがあったのでしょうか。いやいや、これは車のCMだったから「走って行こう」だったのですね。

 サリーちゃんからガッチャマンまで、好きだったマンガの主題歌の数々も亜星さんだったのですね。今でも全部ソラで歌えます。どんな時でも歌えば元気が湧いてくるような歌ばかり。

 神様が下された才能を惜しみなく溢れんばかりに私達に分けて下さり、ありがとうございました。これからも、どうか天から素敵な曲を奏でて下さい。 合掌、いや、合唱がいいかしら。 亜星さんの歌、歌い継いでいきますね。

 小林亜星さん 2021年5月30日 旅立ち


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posted by 山桜 at 09:56| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月15日

季節外れのトチノキの紅葉

 春に赤い葉が出るモミジの品種は色々ありますが、例年は赤くなることの無いイロハカエデがこの春紅葉していたという情報がありました。その後、近辺のイロハモミジを観察していましたが、当地では同じ様な症状は見られませんでした。

 諦めかけた頃、ふと見上げたトチノキの梢の一部が真っ赤に紅葉しているのを見つけました。トチノキの葉は普通、秋には黄葉〜褐葉はしますが、このような赤い色にもなるのですね。写真ではくすんでしまいましたが、もっと鮮やかな赤色でした。

トチノキ(栃の木)ムクロジ科トチノキ属 2021.06.14
トチノキP6142134.JPG

トチノキP6142135.JPG

 陽当たりの良い部分だけ紅葉しているので、夏のような暑さの後の梅雨寒で季節を勘違いして、光の過剰でクロロフィルが分解し、赤い色素アントシアニンが合成されたということでしょうか?


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posted by 山桜 at 13:22| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月14日

ホタル舞う

 ホタルは、梅雨時の少し湿度の高い夕暮れ時から光り出します。緑がかった文字通り「蛍光色」がぽっぽっと点っていく様子は、いつ見ても心躍り、思わず、
「あ、あそこ!光った!」
と声を上げて指さしてしまいそうになります。この日は数十匹のホタルが見事に舞うのを、この目ではしっかりと見たのですが、写真に撮るのは難しく・・・これは、辛うじて写っていた木の葉の上に止まって光るゲンジボタルです。

ゲンジボタル(源氏蛍)止まって光っているので雌? 2021.06.06
ホタルP6062053.JPG

 何とかもう少しマシな写真を撮ってからブログに上げたいと、何度か見に行ったのですが、ホタルが増えるにつれ見に来る人も増えて、人の気配や懐中電灯の明かりが近づくと、ホタルは光らなくなってしまうので、ますます難しくなり諦めました。

 ここは上にある湧き水を溜めた池から流れ出ている小川で、川岸は人が入れず自然形態を留めており、ゲンジボタルの幼虫が餌とするカワニナが住み、幼虫が岸に上がって繭を作れる柔らかな土の環境が残っています。

 小川に子供が入れるようにとの要望もありますが、別の小さな湧き水を溜めた池は、柵を乗り越えて水棲生物を捕る親子に踏み荒らされてしまっています。トウキョウサンショウウオを呼び戻そうとしているのに残念なことです。お父さんは子供の頃、そうして遊んだのでしょうし、そういうことが出来る親子はいいなとも思うのですが、柵を乗り越えてるのはNGですよね。

 ホタルが孵化するために必要な川岸を守る為にも、残念ながら柵はやはり必要なのでしょう。


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posted by 山桜 at 22:09| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月13日

ウメモドキ(梅擬)め花

 ブログ更新が出来ていなかった間の写真を見返していたら、昨年スマホでウメモドキの雌花を撮っていたのを見つけました。

ウメモドキ(梅擬)モチノキ科モチノキ属 雌花 2020.06.02
ウメモドキ雌花大DSC_0642 (002).JPG

ウメモドキ雌花大DSC_0643 (002).JPG
 真ん中に、後に赤い実となる丸い雌しべだけで、花粉の入った葯のある雄しべはありません。先日ご紹介した雄花に比べて、葉柄の脇に一つずつポツンポツンと咲いていて花数が少ないです。

2020.06.22
ウメモドキP6022004.JPG
 こちらは、ピンク色が濃いタイプの雄花です。 高木になっていてクローズアップは撮れませんでしたが、葉柄の脇に花が複数ずつ付いていて花数が多いことから雄花だと分かります。

 昨年の今頃は、消去法で「ウメモドキかなぁ?」と思っていただけで自信が無く、ファイル名も付いていませんでした。やっと名前がはっきりし雌雄の別も分かり、今年は私にとっては、ウメモドキ記念年となりました。


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posted by 山桜 at 13:32| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月09日

幸せの「5弁ドクダミ」

 幸運を呼ぶ4葉のクローバーならぬ「5弁のドクダミ」があると聞き、早速、今を盛りと白十字に輝いているドクダミの花の群れの中を探し歩いてみました。

ドクダミ(別名 十薬)ドクダミ科ドクダミ属 2021.05.31
ドクダミP5311963.JPG
 殺菌作用のある揮発性の独特な香りと気の毒な名前、そして爆発的繁殖力の所為で、庭の嫌われ者のドクダミですが、清楚な白い花に可愛らしいハート型の葉、茎葉に差す臙脂色の赤味、一輪挿しにしでも味わい深く、十薬と言うほどの薬効で干してお茶にされてる方あり、地下茎をキンピラにしたりとコアなファンも多い草です。

 白い花弁に見えている部分は「総苞片」なのは、ヤマボウシと同じです。真ん中の塔のような部分に小さな本当の花が集まって咲いています。ここでは便宜上、白い総苞弁を「花びら」と呼びますね。

 「4葉のクローバー」を探すのは得意なのですが、「5弁のドクダミ」は、どれくらいあるのかな・・・?と目を留めた傍から見つけました! ちょっと汚れているけれど、間違い無く花びらが5枚ありますね。一つみつけると、その近くにもあるのは4葉のクローバーと同じで、5弁の遺伝子を持っているということです。

2021.06.07
ドクダミP6072067.JPG ドクダミP6072065.JPG

 「3弁のドクダミ」もありました。どちらも、完全な3弁ではなく小さな花びらが残ってますね。

ドクダミP6072066.JPG ドクダミP6092090.JPG

 そんなに無いだろうなと思って探し出しましたが、あちこち場所を変えても結果的に結構な数がみつかりました。それぞれ個性がありますね。

2021.06.09
ドクダミ大P6092092.JPG

ドクダミP6092091.JPG ドクダミP6092093.JPG
 5枚の花びらの大きさが揃っていると、元々5弁のイチゴの花にも似て見えてきます。

ドクダミP6092094.JPG ドクダミP6092095.JPG

ドクダミP6092096.JPG ドクダミP6092097.JPG

ドクダミP6072099.JPG ドクダミ小DSC_1196 (002).JPG

 5弁に留まらず、7弁のものもネットには上がっていましたし、更にしべの花びら化が進めば、八重ドクダミになる訳です。

 これだけみつけたら、幸運もどっと押し寄せてくれるかな? ここを見て下さった皆さんにも幸せが届きますように・・・。


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2021年06月07日

スズメの雛

 巣立ちの頃、上手く飛べずに地面にうずくまっている雛を見つけることがあります。この日は、スズメの雛がビッコを引くように歩いては止まりしていて、不自由している我が身を見るようで、思わず「大丈夫?」と覗き込んでしまいましたが・・・

スズメの雛 2021.06.07
スズメの雛大P6072087.JPG

 円らな瞳に見つめられると何かしてやりたくなりますが、日本野鳥の会で長年取り組んでいる「野鳥の子育て応援(ヒナを拾わないで)キャンペーン」にもありますように、ひとりぼっちで困っているように見えるヒナでも、親鳥がどこかで見守っていて、人間が立ち去るのを待って助けにやって来ます。

 うっかり触って人間の臭いが付くと、それを嫌がる親に育児放棄されるかもしれませんので、触れずにそっと立ち去りましょう。若し、自動車やカラスや猫の危険が迫っている時は、できるだけ直に手で触れないように、安全と思える場所にそっと移動させてやりましょう。

 決して家に連れ帰ってはいけません。それは誘拐です。


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posted by 山桜 at 20:47| Comment(4) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月04日

テイカカズラの花

 風車のようなテイカカズラの花を見ると、この花を図案化して陶器に焼き付けた人間国宝の富本憲吉先生の作品を思い出します。本当は5弁花なのを敢えて4弁に抽象的に図案化し無数に連続する可憐なリズムを生み出しています。若しかするとクルクル回る風車を連想されたのかもしれません・・・なんて、人間国宝に畏れ多いですね。

テイカカズラ(定家葛)キョウチクトウ科テイカカズラ属 2021.05.07
テイカカズラP5071546.JPG

 開いた花は、カザグルマのようですが、蕾はスクリュードリルのような、これまた魅力的なフォルムで釘付けになってしまいます。
テイカカズラP5071548.JPG
 このクルリと巻かれた蕾が開くところをスローで見てみたいです。

 意地悪な風が止まず、ぶれた写真で残念。又の日に撮ろうと思う内にタイミングを外し、あっという間に蕾は無くなりました。毎度のことなのに、何故、こうも懲りないのでしょうね。花は本当に一期一会、次は無いと思うべき。

 実は上の写真の花は家の塀に絡みついたテイカカズラの園芸種のハツユキカズラのもので、森で見かけるテイカカズラは光を求めて高い木の上に咲いていることが多く、なかなか近くで花を見ることは出来ません。

2021.06.03
テイカカズラP6032019.JPG
神社の屋根の上より高い所に咲いていた定家葛の花です。


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2021年06月01日

イチヤクソウ(一薬草)群生

 今年は何でも開花が早いので、イチヤクソウも咲いてしまったかな?と焦って谷戸へ行ってみると、丁度咲き出したところで、気を付けないと踏んでしまいそうな位、沢山の株があちこちに顔を出していました。

イチヤクソウ(一薬草)ツツジ科イチヤクソウ属 2021.05.31
イチヤクソウP5311941.JPG
 浅い釣り鐘状の花を見ると、どうも下から覗いて見たくなりますが、

イチヤクソウP5311938.JPG
 上から見下ろせば、足元の小さな花うつむく花たちです。 

イチヤクソウP5311936.JPG
 咲き進むと花茎が伸び上がり、全体にピントを合わせるのが難しくなります。何故か葉がよく似た雰囲気のテイカカズラと同じ様な所に生えています。紛れていると、本当にみつかりづらいので擬態しているのでは?と疑っています。写真右上の小さい葉の蔓がテイカカズラ、やや大きな葉がイチヤクソウ。どちらも深緑の艶葉に白い葉脈が目立ちます。

イチヤクソウP5311943.JPG
 尤も他の草にも紛れていますけれど・・・。

イチヤクソウP5311940.JPG
 懲りずに覗き込んでいる訳は、この雄しべの配置の妙に惹かれるからです。

イチヤクソウP5311955.JPG
 擬木の階段の中にも生えてしまって、この子は可哀想に踏まれて花茎が折れていました。ただ、階段で咲いていてくれたお蔭で、花の中をしっかり撮ることが出来ました。 

イチヤクソウP5311959.JPG
 花の中で折りたたまれていたのか雄しべの配置が面白いでしょう? バナナの房のような塊毎にアチコチ向いていますが、何か自分の雌花に花粉を付けないように避けているようにも見えませんか? 未だ開いたばかりで雌雄どちらが先熟なのか分からないので、観察を続けます。 

 余り一般的な図鑑では触れられていませんが、あちこち生えている場所を見てきた限りイチヤクソウ属は「菌従属栄養植物」ではないかと思って来ました。好きな環境(群生が見られる箇所)が、広葉樹の根や腐りかけの木の階段等の傍と極めて限られているからです。

 緑の葉を持っているので、葉緑素の無いギンリョウソウ程の依存度は無いにしても、菌根菌と何かしらの関係を持っているように思われます。ネット検索してみると、日本菌学会の「イチヤクソウ属は菌従属栄養植物なのか?暗い森で生きる植物の生存戦略と菌根菌」橋本 靖 帯広畜産大学 准教授 の講演要旨がみつかりました。こう言う研究が出来て羨ましいなぁ

 これを読むと、特に発芽時に菌根菌が大きく関係しているようです。カバノキ科(カンバ、ハンノキ、ヤシャブシ、シデ類など)の好きな菌根菌がいる適地を選んで発芽し、定着後は日照の少ない環境で菌根菌から栄養を補充して貰って生きているのではないか、ということ。

 このように環境依存している植物であり、東京都では絶滅危惧種です。 盗掘持ち帰りは厳禁! 枯れてしまうだけです。


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posted by 山桜 at 11:25| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする