2021年07月01日

オカトラノオ(岡虎の尾)

 「岡」と付く名前の通り、先にご紹介したイヌヌマトラノオより少し高い丘陵の陽当たりの良い場所に生えています。ただ、私のフィールドの群生地では、周囲の木が大きくなり日照不足気味で、健全な状態ではなくなりつつあるように見えます。

オカトラノオ(岡虎の尾)サクラソウ科オカトラノオ属 2021.06.30
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2021.06.21 午後には木陰となり薄暗くなってしまいます。
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 ご覧のように群生はしているものの、今年は花序の出が少なく寂しい風景です。健全であれば花序は、もっと長く、しな垂れた先がまた少し上を向くような見事な「虎の尾」になるのですが、何となく尻切れで短いものばかり。

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 未だ出たばかりの小さな花序が初々しい。

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 蕾は実に規則正しく並ぶ幾何学模様。これぞ「天地の理(あめつちのことわり)」、神様の意匠には科学的法則が潜んでいます。

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 花は下から咲き始めます。飛んでいる箇所は陽当たりが悪いのでしょう。

 さて、ちょっとずつ寄ってみましょうか。
オカトラノオP6242255.JPG
 真っ白では無く、淡いピンク色がかっていて、ソメイヨシノのような色合いです。
オカトラノオP6302380.JPG
 これは、特に雌しべの赤味が強く美しい個体でした。
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 このように寄って見てみると、本家のサクラソウよりも桜の花に似た雰囲気が感じられませんか。花弁(花冠の裂片)の真ん中に雄しべがある(花弁と雄しべが対生)のが、サクラソウ科の一つの特徴。

オカトラノオの花(最初の1枚)と 離れた別の2箇所のイヌトラノオの花(後の2枚)
オカトラノオ小P6302426.JPGイヌヌマトラノオ小P6262334.JPG
イヌヌマトラノオ小P6302363.JPG
 最初の2つを比べると、確かにイヌヌマトラノオの花弁(1枚ずつ分かれていないので花冠の裂片というのが正しい表記*)の方が幅広ですが、立ち入り禁止の水道用地内に咲いていたイヌトラノオ(多分)を柵越しに撮った3枚目は、却って細いようです。イヌヌマトラノオはオカトラノオとヌマトラノオの交雑種ということなので、どちらの形質がより多く出ているかによるのではないでしょうか。

 *以前にも書きましたが、ある刑事ドラマで「サクラソウの花びらが1枚落ちていた」という台詞がありました。サクラソウ科は漏斗状に花冠の下はくっついていて、花は丸ごと落ちるので、花びら1枚というのはちぎらない限りあり得ない筈なのです。


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posted by 山桜 at 13:59| Comment(4) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏越しの大祓

 6月30日、一年の半分が過ぎ「夏越しの大祓」となりました。今年は茅の輪のある神社まではとても歩いて行けず、鎌倉とんぼさんのお祓いも受けられず、大掃除も出来ず・・・で、鍋の汚れを落としてピカピカにしながら半年分の穢れを落としておりました。

 お陰様で、夜半から午前中にかけての大雨の被害はなく、辺りはすっかり清められたようで、小鳥の声も猫の声も聞こえず、怖いくらい静かです。嵐の前の静けさでないことを祈ります。

 幸いというか、私のように満足に夏越しの大祓が出来なかった方も、日本には「旧暦」というものがあります。夏越しの大祓を7月末にする地域もありますので、焦らずとも、あと一月の間になんとか半年分の穢れを落として、今年の後半を迎えましょう。


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ラベル:夏越しの大祓
posted by 山桜 at 10:55| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする