2021年08月22日

ツリガネニンジン(釣鐘人参)

 ツリガネニンジンは、基本的に丈夫で良く増え、山菜としても「山で旨いは、オケラにトトキ」のトトキとして親しまれていたくらいです。ここの土手に元気よく群生している様子は、その頃の風情を再現しているかのようです。(この場所に自生で残っているのでは無く、狭山丘陵の他の場所で採取したタネを蒔いたと聞いています。)

 先日お伝えしたように、既に刈り取られてしまったのですが、その前に辛うじて撮ってあったものをご紹介します。

ツリガネニンジン(釣鐘人参)キキョウ科ツリガネニンジン属 2021.07.30
ツリガネニンジンP7302967.JPG

 斜面なので下から見上げると私の背丈を超えるほどの草丈に見えます。近づけば、およそ胸の高さくらい、1mあるかないかでしょうか。

2021.07.25
ツリガネニンジンP7252958.JPG

 開き初めの時は、近似種のソバナのように花冠に膨らみがなくスッとした姿です。この状態で、花数の少ない小さめの株ですと、ソバナと紛らわしいですが、萼片に着目すると、ツリガネニンジの萼片は線形で針状の鋸歯があり。ソバナの萼片は、披針形(平たく基部の方が広く先細りの形)で全縁です。

 高尾山でも時折みられる近似種で一番ツリガネニンジンに似ている「フクシマシャジン」は、萼片が披針形で全縁・無毛です。

2021.07.25
ツリガネニンジンP7252957.JPG
ツリガネニンジンP7252956.JPG

白い花(上)と青い花(下)がみられました。

2021.08.07
ツリガネニンジンP8072995.JPG
ツリガネニンジンP8183026.JPG

 花柱が花冠より長く付き出していて、どちらかというと中に「舌(ぜつ)」をぶら下げた西洋の釣鐘のように見えます。

 花柱の先端は、初めは雄性先熟なので閉じていますが、自分の花粉が出きってしまった頃に熟して三裂して、他の株の花粉の到来を待ちます。

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葉も段を重ねての輪生

ツリガネニンジンP8072994.JPG
花も同様に段を重ねての輪生

ツリガネニンジンP8183024.JPG
葉でも花でも、このように、同じ箇所からくるりと輪の様に広がって着くことを「輪生」する、と言います。

 手での草刈りであれば、山菜として利用する為に大切に刈り残すこともできますが、草刈り車で一網打尽ではどうにもなりません。根が残っているので、直ぐには無くならないと思いますが、株の更新の為にも、何年かに一度は一箇所でもいいので結実してタネを落としてからの草刈りにして欲しいものと思います。


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posted by 山桜 at 15:08| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする