ワレモコウは、主役を張るには少々地味ですが、そのくすんだ赤紫色の小さなポンポンが他の秋の花を引き立てる力はなかなかのものです。ススキやアキノキリンソウのような大味の花もワレモコウが添えられたら、ぐっと上品な秋の花籠になります。
ワレモコウ(吾亦紅)バラ科ワレモコウ属 2021.08.18
この写真を撮った日の前日は大雨、予報では朝から晴れの筈が一転して土砂降りという酷い天気。晴れ間を縫って見に行くと、草丈高く伸びていたワレモコウは、花に水を含んで重くなり、ツリガネニンジンをなぎ倒して横たわっていたのでした。
それで、カラッと晴れたまたの日の早朝、立ち上がったワレモコウとツリガネニンジンの素敵な秋の景色を撮ろうと出掛けて、あの草刈りにショックを受けて立ちすくんだのでした。
2021.07.25 蕾
小さな沢山の蕾が、キイチゴのように見え、この状態だと「実」かと思う人も多いようです。
2021.08.10 花
このように咲いても、花弁はなく代わりに暗赤紫色の4枚の萼片が花のように見えます。雄しべも4本、葯は黒っぽく見えます。
2021.08.18 葉
葉は、奇数羽状複葉で小葉に鋸歯があり、近縁種のハーブ、サラダバーネットも基本は同じ形。ワレモコウの葉は西瓜の香り、サラダバーネットの葉はキュウリの香り、と表現されます。違いを確かめたかったけれど、何度も言いますが跡形もありません。
サラダバーネット オランダワレモコウ
これは家でベランダ栽培しているものです。千切るとキュウリの香りでもあり、西瓜の皮の香りとも言えそうでした。頂葉の下の一対の小葉は対生ですが、その下からは互生になっているのですね。今まで全く気付いていませんでした。見ているようで見ていませんね。
ワレモコウはどうだろう?と思っても、上の写真しか残っていません。これを見る限りは全部対生のように見えます。もう少しして、葉を伸ばしてきていたら、他の葉も観察してみます。
さて、その変わった名前の由来は諸説あって、
➀葉の香りがキク科の木香に似ているので「吾木香」
➁家紋の割り木瓜ににているので「割木瓜」
割り木瓜紋 と 三つ割木瓜紋
どちらかというと、右の三つ割木瓜紋の方が似ている気がします。ちゃんと木瓜紋の4片とワレモコウの4萼片の一致を見逃していないところが自然観察眼がきめ細やかな古人は流石だなと思います。
それに比べてネットで木瓜紋を織田氏の紋と書いている人は、良く観て欲しい。「木瓜紋」は4片、織田氏の紋は「五つ木瓜」で五片に分かれているのです。五つ木瓜がキュウリの断面に似ているので、同じく五つ木瓜がご神紋である八坂神社の氏子さんはキュウリを召し上がりません。
木瓜紋 と 五つ木瓜(織田木瓜)
➂目立たないけれど、私だって赤いのよ・・・で、「吾亦紅」
秋の野で寂しげに揺れるワレモコウの姿と重なり、物語が生まれそうな➂の意味と文字が好きな人が多そうですね。数年前にそんなタイトルのヒット曲もありました。
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