2008年10月10日

砧・打衣

   08-10 006.jpg
  

   み吉野の 山の秋風 小夜ふけて 故里寒く 衣うつなり

 
 秋の夜に、砧の打衣の音を聞いたことは無い筈です。

それなのに、この歌を思えば物寂しげな砧の音が聞こえてきます。


 洗いざらし着古して固くなった衣を砧で叩いて柔らにすれば、肌触り

なめらかに、艶やかに、そして空気を含んで温かさも増すのでしょう。


 何の理由か夜更けにも戻らない夫を待ち、夫を思いながら打つ砧。

お能の「砧」には妻の情念も渦巻きますが、こんな静かな夜には、

優しいカネタタキの羽音が、慈愛を込めて打つ砧の音に聞こえます。

              (先のお稽古の主菓子「打衣」より思う


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ラベル:季語
posted by 山桜 at 00:00| Comment(22) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
砧ということば 茶道の中で 砧青磁とかの花入れの
形で 知るようになりました。
テレビのない時代 母さんが夜なべをして、手袋〜〜とか 砧の絹打ちなど ちょっと 込める思いがいいですね。って 自分は PCの前にいますが(笑)。 
Posted by チャチャ at 2008年10月11日 11:16
母が倒れて始めた吉野・脳天さんへの月参り。
先週で7回参ったことになりました。
最初は4月、まさに吉野は山桜が満開でした。
先日はもう秋深く。
雪が積もればお参りも厳しい・・・
そんな話を家人としながら帰りました。
山桜さんの願い叶いますように・・・
Posted by 酒徒善人 at 2008年10月11日 13:04
能の砧は、私にとって、なかなか馴染めず難しい曲です。
世阿弥は、後世の人にはこの曲の良さはわかるまい、と
言っていて、私にはそのとおりなので可笑しいです。
ところで、黄金井に関して、江戸名所図会などアップしま
したが継続調査中です。
Posted by 多聞 at 2008年10月11日 13:28
    
 砧と聞けば、何故かしら「安寿と厨子王」を思い浮かべます。
老いた母はめしいて遠く遥か吾子らを案じ、二人の名を呼びながら、
砧を打つ姿が重なります。 妻にしても母にしても、そこはかとなく
物悲しくも 慈愛に満ちた、美しい調べですね。

 子を想ひ 夫(つま)を慕ひて 砧打ち  慈愛と祈り 十三夜に充つ
Posted by メダカの目 at 2008年10月11日 20:43
そも砧というて
それがナニモノかを
思い浮かべられる人が
減ってきたでしょうね
昨夜来の雨以降
一気に気温が下がってきました
秋本番
Posted by 幽黙 at 2008年10月11日 22:06
◆チャチャさん、こんばんは
 思い起こせば、祖母や母はただ座ってTVを眺めているという
ことはありませんでした。 必ず何かしら手仕事をしてました。
手の温もりを感じるものを身に付ける幸せ…ほのぼのしますね。
さて、そろそろ毛糸玉の算段でもしましょうか^^ 何を編もうかな〜
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 00:50
◆酒徒善人さん、こんばんは
 「山桜」を名乗ってから、吉野によりご縁が深まったように
思います。 やはり言葉には引き寄せる力があるのでしょうね。

 母上様、今年の桜はご覧になれなかったのでしたね…。
来年は、満開の桜の下で何か少しでも思い出して下さったら
どんなに嬉しいことでしょう。 私もお祈りいたします。
今、人の為に祈れる幸せをかみしめながら…。
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 00:57
◆多聞さん、こんばんは
 お能は、何が何やら分からなくても、嬉しくなったり
涙が出たりするのは、今も変わらず心に響くものが流れて
いるからでしょうか。 

 「黄金井」調べてくださって嬉しいです。 後世の当て字と
しても、なかなか良い出来と思います。 その黄金の湧き水を
枯らすようなマンション建築が進められているようで残念です。
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 01:03
◆メダカの目さん、こんばんは
 「安寿こいしやほ〜れやほ〜 厨子王こいしやほ〜れやほ〜」
母が昔読んでくれていた時の懐かしい声が聞こえてきました。
あれは砧を打ちながらだったのですね…何か雀を追いながら
だったように思い違いをしていました。 きっと舌きり雀と
ゴッチャになってたのですね^^;

 十五夜を愛でる気持より、十三夜に祈る気持がどこか
しみじみとするのは季節が冬に向う寂しさのせいでしょうか。
人の心の温もりが嬉しい季節ですね。
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 01:09
◆幽黙さん、こんばんは
 そうですね〜若い方の中には、お菓子の銘を聞いて「打衣」で「?」、
更に詳しく説明しても「砧」でまた「??」の方もいらっしゃるかも
しれません。 上に掲げた歌は、多分私たちの頃は、中学か高校で
必ず習ったものと思いますが、今はどうなのでしょうね…。
国語(古文?)の便覧に「砧」の絵か写真が載っていたような気が
しますが、もはや記憶の彼方です。

 昼間は汗ばむようでも、夕方からストンと冷え込みますね。
虫の音もリズムがゆっくりと落ち着いてきたようです。
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 01:18
本当に秋。年々寂しくなりますね。
Posted by 山口ももり at 2008年10月12日 10:05
 いえ、山桜さんの思い違いではなく、昔我が家には2冊の絵本があり、
やはり読んでくれていた母も私も、打布の方がしっくりきたのでしょう。

 十月も半ばにさしかかると、とっぷり秋も深まって参りますね。
Posted by メダカの目 at 2008年10月12日 14:36
◆ももりさん、こんばんは
 昨晩の月は、夜空に浮かぶ鏡のように澄み切っていて、
どんな願い事も聞き届けてくれそうな、慈愛に満ちていて
自然と涙が浮かんでしまい…ふふ、秋はセンチメンタル。
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 17:28
◆メダカの目さん、こんばんは
 母が読んでくれたのは、確か絵本ではなく「山椒大夫」でした。
それを元にして、いろいろ脚色されて広がる内に変化も生じた
のかもしれませんね。 確かに鳥追いよりも砧打ちの方が
子を思う母心がじ〜んと胸にしみるように思います。

 何だか段々その頃の気持など思い出して来ました…
目の見えないお母さんをいいことに、寄ってくる鳥たちが、
憎らしく思えて、厨子王が助けに来てくれたのがとても
嬉しかった。 幼稚園の時の自分の心、覚えているもの
なのですね。 幼心を大切にしなくては…娘は大丈夫かなぁ
Posted by 山桜 at 2008年10月12日 17:36
 
 そうそう、絵本と言うより、子ども向けの山椒大夫の本の挿絵に、
木槌で布を打つ描写があり、幼心にも、盲目の老いたお母さんの、
物悲しい表情が焼き付いて忘れられませんでした。
山桜さんのブログを読むうち、何故かその情景が思い浮かんで。。。
さっきまでの雲は払われ、冴え渡ったお月様-☆ 明日の満月もきっと♪
Posted by メダカの目 at 2008年10月12日 23:50
◆メダカの目さん、おはようございます
 昔の本は、児童向けのものでも素晴らしい挿絵がついていて、
忘れられませんね…。 アニメ風絵本で読むのとは、同じ話で
あっても、とても大きな違いだと思います。
良いものを選び、日々読み聞かせをしてくれた母に大感謝です。
(正直、厳しくてうるさくて嫌だな〜と思ったことも多々…
でも、それがなかったら、今よりもっとダメな私だったかと
思うと、うううっ、そら恐ろしい(><))
Posted by 山桜 at 2008年10月13日 10:50
こんにちは
砧はまず最初に上村松園の絵が思い浮かびます。
それから砧公園。

山椒太夫では本当はお母さん、やっぱり雀追いなんです。でもあんまりに哀れすぎて、それで砧打ちに変えられているようですね。
(佐渡で雀追い、足の腱を斬られているのです)
説経節は酷い内容なのです。

砧打つ姿はやはり「つまこひ」を思わせます。
Posted by 遊行七恵 at 2008年10月14日 12:42
砧・・・は漢詩には実に良く登場します。秋の夜、人やふるさとを思って打つ砧の音。・・・でも、布を柔らかにするために小夜更けても砧を打っているって言うのは厳しい生活の情景なんでしょうね。あんまり、思いつめないで・・・ね。
Posted by 山口ももり at 2008年10月15日 08:12
◆遊行七恵さん、こんにちは
 上村松園…ああ、今日は見に行けるかな…いやいや、
行く!という強い意志と計画性が無いとダメですよね。

>山椒太夫では本当はお母さん、やっぱり雀追いなんです…
 そうでしたか〜確認しようともせず反省(。。;)
お母さん、歩けなくもなっていたのでしたね…
今では差別用語として葬られた気の毒な様子を表す言葉が
沢山出てきたように思います。 

 「本当は怖いグリム童話」同様、伝承物語は容赦ない内容で
あればこそ、人の心に強烈に残り語り継がれて来た面もありますね。
また、それが当時の隠しようの無い事実であったかもしれません。

 「つま(夫)恋ひ」が、フォークフェスタの聖地でしか
無かったあの頃の私より、今の自分が好きかな^^
Posted by 山桜 at 2008年10月15日 11:36
◆ももりさん、こんにちは
 漢詩って読み下し文も回りくどくって、余り好きでは
無かったのですが、お茶をする上で禅語など欠かせなくって
今更ながら勉強しております。 学生時代にもっとちゃんと
学んでおけば苦労なかったものを… 自然と慣れ親しんで歩んで
こられたももりさんが羨ましいです。

 はい、大丈夫です! こんな私でも、たま〜に物思いに
耽ることはありますが、続かないのがいいのか悪いのか…
すぐに目の前の楽しそうなことに気持が持っていかれるので
「思い詰める」心配は、多分…無さそうです−☆
Posted by 山桜 at 2008年10月15日 11:43
そうそう・・・その調子
Posted by 山口ももり at 2008年10月16日 07:31
◆ももりさん、は〜い!☆⌒(*^∇゜)v
 ありがとうございま〜す!
Posted by 山桜 at 2008年10月16日 17:21
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