2006年02月06日

下町風俗資料館

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  「銅壺屋の住まい・作業場)     作業場の上の荒神(火の神)棚
      パンフレットより

 先日、湯島天神と不忍池弁天堂へ詣でた時、最寄の下町風俗資料館を訪ねた。
(台東区立下町風俗資料館HP:http://www.taitocity.net/taito/shitamachi/ )

 1階には、古き良き江戸の風情をとどめる大正時代の東京の下町の街並みが、
大店(おおだな)の花緒(鼻緒)問屋から、長屋の中の駄菓子屋銅壺屋(どうこや)、
そして通路の植木鉢や物干しや辻のお稲荷さんにおみくじ(ちゃんと引ける)まで、
当時実際に使われていたものを用いて忠実に再現されている。

 何より嬉しいのは、靴をぬいでそのお店や長屋に上がることが出来ることだ。
箪笥の引き出しの中には、ちゃんとその家の人が身につけたような着物や小物が、
茶箪笥の中には茶器などの揃えが、押入れの中には布団やアイロンや裁縫道具が
納められていて、自由に手にとって眺めることが出来る

 柱時計は今もチックタックと時を刻み、どこからか物売りの声も聞こえてくる。
(階段の踊り場にその声を聞けるコーナーあり) 私にとっては、まるで今はビルに
なってしまった神田の祖母の家にタイムスリップしたようであり、懐かしさが
胸一杯に込み上げてくる。しかし、同行した小学生の子供達も、初めて体験する
空間である筈にも関わらず、
 
 「何だかなつかしいような気持ち」
 「あ〜癒される〜」
 「こういう所に住んでみたいなぁ」
 「静かな中で柱時計の音がいい感じ」
 「天井が低くて部屋がちっちゃくて落ち着く」
 「ずっとここに居たい…」


 などと、そろばんをはじいたり炬燵(こたつ)に入ったり火鉢をかき混ぜたり、
挙句には畳の上でゴロンと横になって寛ぎながら、口々につぶやいた。

 「君達に流れる血は、受け継がれた遺伝子は、
          ご先祖様たちの記憶を美意識をちゃんと覚えてる!」

…そのことが、無性に嬉しい日だった。


 
 <<追記>>
   尚、2階には子供に(大人にも)人気の昔遊び玩具コーナーと通常は、
   銭湯の再現(番台に上がれる)、下町・年中行事などに縁の展示があるが、
   この日は戦時下の人々の暮らしの特別展が催されていた。
ラベル:博物館 資料館
posted by 山桜 at 00:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 記念館・資料館等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このような生活空間が大切なのです。
人の心が通わない、ただ機能的で上辺だけの都市
生活空間は、人間性が破綻します。
Posted by 鎌倉とんぼ at 2006年02月07日 19:01
うん、下町風俗資料館はいいね。懐かしい感じで
(とは言ってもまだ生まれる前だが)。みるくほーる
の暖簾はまだかかっていましたか?
もう少し規模を大きくしたのが、深川資料館でしょうか、さらには江戸博物館、どこも楽しいですね。
商店街に生まれ育った私、昔はあんなふうに近所の
付き合いがあったけど、今ではすっかり人の繋がり
が薄くなってしまって残念ですね。
Posted by そら at 2006年02月07日 20:07
今でこそ同じ地域に住んでいますが
親戚のおうちはなんとなく
田舎の農家や漁業の雰囲気のあるお家でした。

そういうお家の、誰もいないお部屋をてくてく
歩くと、不思議な香りや静かな音が聞こえてくる
空間でした。

ステキな空間だったなあo(⌒▽⌒)o
Posted by やゆよ at 2006年02月07日 20:16
いいですね、私も行きたいところです。
実際に手にとってというのは貴重ですよね。
近いうちに行こうかな。

Posted by m-tamago at 2006年02月07日 22:27
わたしもこの下町風俗資料館好きです。
『昔の物売り』声が流れていて、それが噂に聞く『オイッチニの薬売り』だったり、艶歌師の辻ヴァイオリンだったりで、楽しくなります。

こちらには愛するジュサブロー(現・寿三郎)氏の『吉原』が所蔵されていて、それが展示されているときに来れたらラッキーな気分になります。

深川江戸資料館もこれまた大好きなのですが、新宿歴史資料館もなかなか楽しいです。
わたしは常民の生活を見るのが好きなので、こうした資料館にはがんばってほしいと思います。

上野桜木町になるのか、下町風俗展示場として、二十年前まで現役だった酒屋さんがありますが、行かれましたか。その近辺には台湾からのナゾのデザート『愛玉子』のお店や、今もあるのか、レトロな喫茶店『カヤバ』などもあり、散策するのがとても楽しいです。
大名時計博物館、伊勢辰、全生庵・・・

春になれば私も。
Posted by 遊行七恵 at 2006年02月07日 22:53
☆鎌倉とんぼさん
 ここでは、毎日本当に人が住んでいるように、隅々まで掃除の手が
入っているのだと思います。小物一つとっても、人の手でいとおしまれ
磨かれている感じがして、幸せそうでした。
また、子供達が喜んでいるのを見て、嬉しそうに笑っているように…。
Posted by 山桜 at 2006年02月08日 10:07
☆そらっち
この日は特別展が入っていたので、2階の常設展は無かったの。
戦時下の資料は悲しくて、みんな一気にシーンとしてました。
お正月に皆でやった百人一首が戦争物の内容になっていたのも
ショックだったみたい。

下町風俗資料館は何回言ってもいいよね。疲れたら入って
休みたくなっちゃう。お茶も出ると嬉しいんだけどなぁ…
今度提案してみようかな(笑)

Posted by 山桜 at 2006年02月08日 10:14
☆やゆよん
生活の営みのある古いお家には、それぞれの香りや音もあるよね。
資料館は残念ながら、匂いは少しになってしまってるんだけど、
その空間にいると記憶が蘇って来て、神田の家の糠・麹・梅干…
そんなものが混じったような匂いや床の軋む音までしてきたよ♪
Posted by 山桜 at 2006年02月08日 10:37
☆m-tamagoさん
 お住まいは京都だとばかり思い込んでいましたが、お近くですか?
場所は上野公園内の弁天堂参道入口そばなのですが、ちょっと木に囲まれて
見落としがちです。公式HPなどで、場所を確認してお出掛け下さいね^^
Posted by 山桜 at 2006年02月08日 10:47
☆遊行七恵さん
 「物売り声」面白いですよね^^聞いた事もないのやら、
何を言ってるのかさっぱり分からないのやら…。
「これ、日本語?」って顔してる子もいましたよ(笑)

 ジュサブロー氏の『吉原』には未だお目にかかれていません。
前に来た時は「正岡子規展」だったかな。今度は事前に展示内容を
チェックしてから出掛けてみたいです。
民俗資料館は大好きなんですが、深川も新宿も未見でした。
ご紹介ありがとうございます^^

 その酒屋は、この資料館の別館として移築された「吉田屋」さんですね。
去年、七福神めぐりした時近くを通ったのに気づきませんでした。
私も春に伊勢辰などをひやかしながら、そぞろ歩いてみたいです。
Posted by 山桜 at 2006年02月08日 11:05
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