2009年10月28日
皇室の名宝ー日本美の華
東京国立博物館HP
http://www.bihana.jp/
宮内庁HP
http://www.kunaicho.go.jp/20years/touhaku/touhaku.html
学校帰りのケロロンと上野で落ち合って行って参りました。
その前に、お腹が空き過ぎてクラクラ〜というので「韻松亭」でランチを。
高台からの景色を楽しみながら、すっかり満腹になるとケロロン今度は眠くなり、危うく観覧脱落しそうになりましたが、お店の外で演奏されていたリズミカルな木琴の演奏に元気付けられ、東博へ〜♪
「四季草花図」伝狩野永徳
西洋の静物画でも、同時期に咲く筈の無い花々を花瓶に取り合わせた図には違和感アリアリだが、こうして同じ地面から春夏秋冬の花々が一緒に生えている、それも画面の中で季節毎に分かれてもいない情景は奇妙で綺麗過ぎて何か心に響かない。 着物や陶器の柄にもあるけれど、好きになれない。 総花的なんて言葉を思い出す。 敢えて言えば浄土の花園か。
「動植綵絵」伊藤若冲
若冲を見ると、似たような感情がまたも沸き上がる…相変わらず「凄い!」とは思うけれど「いいなぁ♪」ウットリにはならないので、厚い人垣の後ろから遠巻きに眺めるが、全30幅の「動植絵」にぐるりと囲まれてどうにも気疲れが…(苦笑) 羽や鱗肌で埋め尽くされた群鶏図よりも少しでも空間の多い構図があるとほっとする。
雀の群れの中の一羽のアルビノ白雀が描かれていた。 実際に白雀は2度見たことがあるが、仲間外れにされている様子もなく、いたって自然に群れの中で暮らしていたので、こうして絵の中でも健気に生きていてくれて嬉しかった。
若冲の後に円山応挙、横山大観に迎えて貰い、開放感。
研ぎ澄まされた目や尖った切先の渦巻く息詰まる世界から、気持ちのいい風の吹く大自然の中へ踏み出し、思わず深呼吸という気分になる。
狩野永徳の「唐獅子」は流石の迫力で圧倒されたが、出来れば応挙のどこか猫風味な「旭日猛虎図」の虎の背の方に乗ってみたい。
大観「朝陽霊峰」屏風は、左に雲の上に金色に輝く富士の峰、右に真っ赤な朝陽と富士が見下ろす山々。 これは下界から仰ぐ富士ではなく、富士から広く見渡す視線…まさに皇室の秘宝に相応しい。
一方、鏑木清方「讃春」(後の方の部屋の展示)は、川風を受けて幸せそうな船上生活の母子と芝生の上で語らう健やかな女子学生たち…庶民の姿が、天皇陛下の即位を祝う絵として新しい昭和の風を運んでいた。
酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」の優しいおもてなしを受ける。
「こういうの、お好きでしょう?」 ウィスキーのCMの小雪さんにニッコリされるように誘われて寛ぎ楽しんだ…のも束の間…
齢八十画狂人北斎の描く「西瓜図」には、西瓜の持つ妖しい世界を気付かされた。 真っ二つに切られ、真っ赤な腹を晒した西瓜の上に掛けられた薄布の上には包丁が。 その薄布が西瓜の汁を吸って張り付き、その下のスの入った断面を浮き上がらせ、艶かしい。 上に渡した棹には干瓢のように細く透ける程に薄く削られた西瓜の皮がうねうねと螺旋を描いて漂う。
俎板は手術台、西瓜はクランケ、皮は摘出された臓器か…。
北斎に異界へ連れて行かれそうになるのを、次々と現れる宝物の数々が引き止めてくれた。 宮殿以外のどこに飾ったら相応しいのか分からない大きく煌びやかな品々…。 このような世界があるからこそ、伝統技術の技が引き継がれ、またより磨かれてもいくのだろう。 皇室や王室を失えば、この雅もまた失われてしまうだろう。
上村松園の「雪月花」 散りゆく花びらを愛おしんで袂を伸ばす小さな姫君たち、月明かりを受け白い面を輝かせる姫君たち、そっと御簾をもたげ笹に積もった雪を見初める姫、に見送られ心穏やかに会場を後にした。
その直ぐ閉館後、皇太子殿下が同展にお出ましだったとのニュースが…。 なにやら警官や警備車両が目に付く思っていたらそうでしたか。 皇太子殿下はお風邪を召されていらした中でのご訪問。 どうぞお体大切になさって下さい。 ご快癒心よりお祈り申し上げます。
(主な作品の画像は冒頭に掲げたHPの作品紹介頁でご覧になれます。)
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皇室の名宝 1期展に行く
Excerpt: 今秋いちばんの期待度高の東博・御即位20年記念 特別展「皇室の名宝―日本美の華」1期 永徳、若冲から大観、松園まで に出かけた。 金曜の...
Weblog: 遊行七恵の日々是遊行
Tracked: 2009-10-29 23:13
どういう気持ちで描いたのか?
ただ草花を羅列するように描けばというのは?
そこに何か思いがないと。
生命が躍動するこの土を表現したいのなら、季節は超越されてしまうようにも思いますが。
>生命が躍動するこの土を表現したいのなら、
季節は超越されてしまうようにも思いますが。
季節を超越した生命の躍動…そうですね〜遅い春を迎えて一斉に
花々が咲き揃うような北国に生まれ育っていれば、もっとすんなり
その世界に入りこめる感性が、私の中にも育っていたかもしれません。
抱一や若冲の絵も合わせて「みるなの座敷」や「十二の月の物語」
を思い浮かべました。 なにか禁忌を破る喜びのようなものもあるような…
応仁の乱や本能寺の変から幕末の動乱、太平洋戦
争などなどの狂気がなければ、あのくらいの宝は
ゴロゴロしていた国なのです、この日本。
まったく 下劣の下品な国にダレがした・・怒り!
前半T期(〜11/3)の展示は近世〜近代のお宝で、
後半II期(11/12〜29)は正倉院宝物や考古遺物
とのことで、武家文化の時代がすっぽり抜けているようです。
歴史上、武家の誰と繋がりがあったとか、何かまずい事でも…なんて
勘ぐり過ぎですね^^;
(追記です。 今、II期の展示リストを見てきましたら、ちゃんと鎌倉〜
江戸時代のお宝も選ばれていました。 下衆の勘繰り、お恥ずかしいです)
外国に売られていて難を逃れ、近年見事に保存されて発見される
お宝もみられますね。 一方、救われること無く失われた品々に思いを
馳せると本当に悔しい思いがしますが、それもまたそれぞれの運命
だったのかと、時の流れの中の人間の無力さを感じます。
今現在でも歴史的建造物や風景の保存より、生活の安全と利便が
優先される例がありますし、その時々、その土地土地の人々の心は、
その身になってみないと理解が難しいところなのでしょう。
しかし、壊してしまえば二度と元には戻らないのですよね…。
双方上手く兼ね合いを取るには膨大な費用が掛かるとしたら、
そういう所にお金を掛けられるかどうかが文化の国としての資質を
問われる所でしょうか。
皇室の名宝展いかれたのですね。
好きな松園とか拝見したかったのですが まよった上 正倉院のほうの後期に行くことにしました。
お嬢様と仲が良くて 山桜様のお宝の娘さんですね。
「韻松亭」の薄味のついた豆ご飯、美味しいですね。
少しずつでもお料理数が多くてお腹がいっぱいになるので、
なかなかお代わりまでは頂戴できず残念です。
博物館の「パスポート」では、展示品総入替というのに、前期・後期
どちらか一方しか入れないというのは、悩ましいことですよね。
チャチャさんが後期ご覧になって、是非にとお薦めでしたら、
別途入場料を奮発して再訪したいと思います^^
ケロロンは恐らく「付き合ってあげてる」気分だと思いますが、
いつか自分から興味を持って「一緒に行きたい」と言ってくれる日が
来るといいなと願っておりま〜す。
ご覧になられましたか。
それでアルビノ雀に言及されてるのを読んで、すごく嬉しくなりました。
わたしも実物を見たことありますが、別にフツーにみんなと群れてたので、安心した記憶があります。それでやっぱり絵のほうでも安堵された、というのが「同じキモチやわ〜♪」とニコニコです。
実のところ、若冲は子供の頃から慣れすぎているので、特にどうと言うのがないわたしです。
トリがニガテだからかもしれませんが。
永徳のひ孫の獅子が可愛かったです。
ジィジとバァバが来たよ〜ん、と喜んでいるように見えてなりません。
それと宝物の幾つかの由来を読んでちょっと心があったかくなったりしました。
つまり天皇から皇后へ、皇后から天皇への贈り物、という作品があること自体が、嬉しかったりするのです。こういう気持ちになれるのも、やっぱり「皇室の名宝」展だからでしょうね。
>・・・少しでも空間の多い構図があるとほっとする。
<全く同感です。 若冲はどうかすると図鑑以上にリアルで美しいのですが、
なぜか息苦しく酸欠状態に陥ることがあります^^;ゞ ただ、絵(布)の裏から色を
施すあの技法には感動です-☆ 先日TVで見ただけで、実際には拝見していま
せんが、溜息が出るほど美しいと思いました。
松園の気品ある慎ましやかな美人画は、仕草の一つ一つから匂い立つ様な
馨しさを感じます。
そうそう、その白雀、七恵さんも書いていらしてハッピ!な
気分でした。 それに、やゆよさんのコメントを読んだら、
もしやあれは「パンを踏んだ娘」だったか…なんても思ったり、
若冲素通り気味の私も今回は色々楽しませて貰えました♪
北斎の「西瓜図」へのアンテナの引っ掛かり具合も一緒で、
記事を拝見して、同じくニコニコでしたよ〜^^
唐獅子図屏風の左隻を永徳の曾孫・常信が描いてるのも
微笑ましかったですね。 絵の前に立っていた画家の気持を
ふっと感じるように思えると嬉しくなります。
>天皇から皇后へ、皇后から天皇への贈り物
皇太子殿下がそれらの品々を目を細めてご覧になられたと
思うと、また心がじわ〜っと温まりますね。。。
若冲とか田中一村とか、これはもう性格なんでしょうね〜
あくまでも緻密に描き尽くさずにはおれない情熱を感じます。
布の裏からの彩色、ももりさんのガラス絵の手法と似ている
のでしょうか。 自然美へのあくなき挑戦が生み出した技、
私は見逃してしまったので、見る機会があれば嬉しいです。
松園の描く女性は、女性が憧れる女性像ですね〜
おっと、もうすぐ「新・三銃士」が始まりますよ〜
メダカの目さんも、どうぞお見逃し無く〜!