2010年03月17日

霊園山・聖林寺

 
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山門前には堅く戒律を守る律院と俗世界を隔てる「大界外相」の結界石

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かつて敵方の侵入から寺を守った立派な石垣も今は平和に苔むして…

 この春、梅と桜の花の狭間、娘と一緒に参拝に伺った聖林寺のご住職さんが亡くなられたと瓜亀仙人さんの日記で知りました。 瓜亀仙人さんがこの世で一番美しい、 この上もなく大好きな仏様と仰り、かのフェノロサも絶賛したと言う十一面観音像で有名なお寺さんです。 貴重なご縁に感謝申し上げ、遅れ馳せながら記事を書かせていただき、謹んでご冥福をお祈りいたします。   合掌


【霊園山・聖林寺(りょうおんざん・しょうりんじ)】(真言宗 室生寺派)

 奈良時代の名作、国宝「十一面観音像」(天平時代)で有名な古刹。
 藤原家の氏寺「妙楽寺(現「談山神社」」の別院として創建。
 ご本尊は、子授け・安産・子育て「子安延命地蔵菩薩」(元禄時代・石像)

(この石造の大地蔵菩薩様も素晴らしい慈愛で包んで下さいます。
 奥の十一面観音様へと足早に通り過ぎてしまっては勿体無いです。)

 HP → http://www.shorinji-temple.jp/ 
(地蔵菩薩・十一面観音・如来荒神像・他のお写真も拝めます)


【国宝・十一面観音像】

 第一回指定の国宝。
 天平時代を代表する仏像。
 大神神社の神宮寺「三輪山・大御輪寺(おおみわでら)」の元本尊。

 神仏分離令の発布前、廃仏の嵐を予期し聖林寺七代和尚・大心(三輪流十一面観音法を唯一伝授された三輪流神道の正嫡)により、大八車に乗せられ聖林寺へ移され難を逃れる。

 かつては、四天王に守られ、前立観音があり、左右に多くの仏像(現法隆寺の「国宝・地蔵菩薩」は左脇侍だった)、背面には薬師如来一万体が描かれた板絵がある荘厳の中にまつられていた。 光背(奈良国立博物館に寄託)には、宝相華文が散りばめられていたが大破している。


 今はガラスの向こうで、背絵も光背も四天王も前立観音も脇侍も失われていますが、それでも尚、眩く輝き、キリリと澄んだ眼差しで彼方を此方を見据えていらっしゃいます。 その毅然とされた面持ちの一方で、ふわりと柔らかに開かれた手指は、あくまでも優しい表情で、私達を受け入れて下さいます。

 それにしても時代の流れに翻弄されながら、よくぞここまでこうして永らえてこられたものです。 この観音像に込められたものがどれほど大きなことだったのかと感じずにはいられません。 若し、元の通りに復元が叶ったとしたら、日本に大きな霊験が現れるでしょうか…。 でも、そうなったら聖林寺には納まりきらなくなってしまう? 瓜亀仙人さんが寂しがると困りますので、そうっとしておきましょうか…。

 先に掲げた聖林寺のHPを書かれた前代住職(亡くなられた住職のご主人様)倉本弘玄和尚さまは、HPの最後に、この寺の静寂を護るさだめ負われ、経典の「恒作衆生利」を契う御心に深く響くとして、郷土の哲学者・保田與重朗の歌を遺されていました。 どうかこれからも末永く代々のご住職様、奥様とご一緒にふるさとの山河をお見守り下さい。 
  

      けふもまた かくて昔となりならむ

                 わが山河よ しずみけるかも



瓜亀仙人さんのブログ「大和浪漫」の中の『天平観音でお通夜』http://blog.goo.ne.jp/urikame2007/e/05e694f583955d975e9a1d6379fe674c

<追記>
因みにハリウッド(Hollywood)の漢名「聖林」とは何の関係もなさそうです。 そもそもその漢名も、聖なる=holy と ヒイラギ= holly を誤って付けてしまったものとか。 そのヒイラギもいわゆる西洋ヒイラギでなく、バラ科ナシ亜科のカリフォルニア・ホーリーと呼ばれる植物で、写真を見た範囲ではトキワサンザシ(ピラカンサ)に似ていました。
 


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posted by 山桜 at 00:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 神社・仏閣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ならのお寺さん。。。今回初めて知ったよ〜。。
さくらんたちの旅が
つい、この前のことだったように思えるね。

りんとした結界石。。。
すでにあちらの世界のような静かな感じもします。

ご冥福をお祈りいたします。。。
Posted by やゆよ at 2010年10月06日 17:55
◆やゆよんへ
 ほんと、月日の経つのは早くて…ケロロンとの旅なんて
あと何回行けるのかな。 旅の思い出、忘れない内にって、
毎度思いつつ…(ーー;)

 奈良は神社もお寺も土地の人の生活の中にある感じで
とてもうらやましく思ったよ。 先祖代々同じ土地に住み
続けていらっしゃる歴史の重さかな。
Posted by 山桜 at 2010年10月06日 20:39
こんばんは。貴ブログ拝読しております。奈良の記事、二回目のコメントさせてください。
聖林寺の十一面観音像は、本当に美しいですね!私は今でこそブームに乗って仏像も好きになりました。でもそれ以前に拝観した中で一番印象に残ったのがこの観音様でした。大切にしてきた人々の手で今まで伝えられてきたのですね。
Posted by Orange at 2010年10月07日 21:01
愚生が見たときの
体調とかの問題なのかもしれませんが
こちらの観音さんは
男っぽくて苦手なんです(笑)
人気が非常に高い観音さんであることに
間違いはないのですが…
似た感覚で
室生寺の十一面さんもちょと苦手(爆)
もっとも観音さんのサンスクリット語
アヴァローキテーシバラ
男性名詞なんですけどね(笑)
最近名も無い観音さんというか
田舎のほのっとした観音さんが好きかもです
Posted by 幽黙 at 2010年10月07日 23:12
◆Orangeさんへ
 なかなか更新進まぬ拙ブログを見捨てずにご覧下さり、
ありがとうございます! コメント戴きとても嬉しいです♪
奈良のレポはまだ談山神社と長谷寺を残しているのですが…^^;

 こちらの観音さまは私が想像していたよりもずっと大きくてらして、
それに比し参拝空間が狭く見上げるようになってしまうのが
少し窮屈で惜しまれました。 でもだからこそ観光ツアーの
コースとなり団体さんが押し寄せるようなことにはならずに
静かに土地の方々に守られて良いのかもしれませんね。
Posted by 山桜 at 2010年10月08日 20:31
◆幽黙さんへ
 仏様は性別を超越されているとはいえ、やはり観音様には
たとえお髭?が生えていても女性を見てしまいますものね。
確かにこちらの観音様は凛々しくて男性が勝っているように
思えるかもしれません。 そこがまた堪らない魅力ですけど、
体調不良だったりされると、前のコメントにもかきましたが、
ちょっと圧迫感がありすぎなのかも…

後ろに下がれる空間が余り無いので、自分に丁度あった位置まで
引いて参拝もできませんものね。

十一面の中のどちらかは幽黙さんの波長にあっていたかもしれないけれど、
その時はキャッチしづらかったのかしら…? また機会がきたら
ご対面なさって下さい。

野山の石に溶け込んでしまいそうな観音様も心をほっこりさせて
下さいますね^^
Posted by 山桜 at 2010年10月08日 20:49
聖林寺の石垣を見上げると,興福寺との戦い(勢力争い?)を想像してしまいます。
同じ藤原家の氏寺である妙楽寺(現「談山神社」)と興福寺との争い。
当時,妙楽寺の僧兵は約3000人だったとか・・・
その中には,我が家のご先祖様も???
この聖林寺は前線基地になったのかもしれませんね。
前の倉本弘玄和尚は若い頃,京都のK大学農学部を卒業後,農業試験場で国家公務員として研究しておられました。
そのこともあって,植物や環境問題の話をよくしたのです。
Posted by 瓜亀仙人 at 2010年10月09日 14:33
◆瓜亀仙人さんへ
 「転石苔むさず」日本のように苔を美しく思うか、反対に
汚いものと思うかで、意味が違ってとられるようですけれど、
やはり平和な世が長く続いた証とはなりますよね。

 今回の奈良の旅は桜井周辺に重点を置いたせいか、全く
興福寺方面に気持ちがいきませんでした。 歴史を知れば
当然なことなんですね。 「妙楽寺」ってお名前いいな〜、親近感!
大好きです^^♪

 弘玄和尚様も農学部ご出身でしたか…今頃、奥様とご一緒に
何をお話されているのでしょう…。瓜亀仙人さん、お辛いことと
存じますが、お元気回復されますようお祈り申し上げます。
Posted by 山桜 at 2010年10月10日 16:13
お久しぶりです。
聖林寺さんは存じ上げませんでした。いつかお参りしたいです。
触発を頂いて、保田與重郎「潮干のなごり」を読みました。
近頃ない何か大きな感情に包まれました。感謝します。
ありがとうございました。
どうぞお健やかに
Posted by 多聞 at 2010年10月22日 09:27
◆多聞さんへ
 思いの外、繭籠もりが長引き、大変失礼致しました。
私も多聞さんのコメントに触発され、保田與重郎の本を
数冊取り寄せたものの、すっかり時が止まって積読のまま。
そろっと動き出して頭も目覚めさせなくてはなりません。
久しぶりの美しい刺激になりそうです。 ありがとうございます。
Posted by 山桜 at 2011年01月14日 22:21
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