『神話の世界って難しくて困っています。日本の神々の全体のイメージがつかめなくて悩んでいます。もし、オススメの本とかありましたら教えていただけるとうれしいです。』
とのakinoさんからのご要望にお応えしたく、本棚を探してみましたが、私は専門家でもなく読書範囲も狭く浅いので、この機会にこちらに集って下さる方々からのお薦め本、または、以下に掲げられた本はちょっと・・・というご意見等もお聞かせ願えれば、私も是非、参考にさせて戴きたいと思います。皆様、どうか宜しくお願い申し上げます。
先ず、日本の神様の本といえば、何と言っても「古事記」だと思いますが、あふれるほどに登場される神様の名前を覚えていくだけでも降参してしまいそうになりますよね・・・(笑)
(追記:けれどもその神様のお名前は、神様のことを何よりも語るキーワードであり、とても意味深いものなので、段々と不思議に自然に頭に入ってくるものです。)
私は子供の頃に少年少女向けの全集の中ものを最初に読んだので、面白い物語として馴染み親しむことができました。
(追記)
少年少女世界の名作文学 第45巻 日本ー1 小学館
「古事記」 内田英雄/文 池田浩彰/挿絵
(その他「風土記」「日本霊異記」柴野民三/文・佐藤広喜/挿絵、
「竹取物語」佐伯千秋/文・玉井徳太郎/挿絵、
「今昔物語」「宇治拾遺物語」「十訓抄」「古今著聞集」倉島栄子/文・鈴木寿雄/挿絵、
「御伽草子」唐沢道隆/文・佐藤広喜/挿絵、
「平家物語」筒井敏雄/文・伊藤彦造/挿絵)
このような子供向けの「古事記」などは図書館で探せば、今でもみつけることができると思います。
最近復刊となった児童向け神話
「日本の神話」松谷みよ子/文 司修/絵 のら書房
(初版は講談社)
その前にもっと有名な神話のイメージを押さえておきたいのなら、(自分のイメージの世界を大事にしたい方は別ですが)、私は絵本もお薦めします。
「日本の神話」 全六巻
赤羽末吉/絵 舟崎克彦/文 あかね書房より復刊
(初版はトモ企画)
第一巻 くにのはじまり
第二巻 あまのいわと
第三巻 やまたのおろち
第四巻 いなばのしろうさぎ
第五巻 すさのお と おおくにぬし
第六巻 うみさちやまさち
このシリーズは、作者による数度に渡る現地取材と念密な資料調査を元に描かれており、各巻についている赤羽・舟崎両氏による解説や裏話、参考文献などの資料的価値も高く、ただの子供向け絵本以上のものがあります。
最近は有名作家による「古事記」の読みやすい現代語訳なども出ているようですが、訳書の個性が色濃いとか・・・? 私は未読なので、これに関しては何とも言えません。
また分厚く重い本は、持ち歩きにも不便で(私は)段々読むのが億劫になってしまうので、文庫版を揃えました。
「古事記」(上)(中)(下) 次田真幸 講談社学術文庫207〜209
原文の読み下し文、一段ごとの現代語訳、脚注がついており、全体を通して読んだ後、時折興味のある一段を振り返るにも都合が良いです。
先ず、古事記を通読しても良いですし、もう概ね全貌が掴めているのなら、合わせて日本書紀の大体同等にあたる記述と対照しながら読むのも面白いと思います。
「日本書紀」(上)(下) 宇治谷孟 講談社学術文庫833、834
何しろ色々な解釈、学説がありますから、一度一つのものを読み終えてから、その内容に囚われ過ぎずに他のものも読み比べていくと良いのではないでしょうか。
そして忘れてはならないのが、各地に伝わる「風土記」です。
本来はもっと多くの地方で編纂された筈ですが、今では、
「出雲国風土記」がほぼ全て?
「常陸国風土記」「播磨国風土記」
「肥前国風土記」「豊後国風土記」が
部分的に欠かて残り、その他の風土記は、他の書物への引用からその存在が偲ばれるのみだそうです。国の権力者の都合に合わせた側面も感じられる記紀に対して、民の生活に根ざした土地の神様のお話は、これらの「風土記」により色濃く残っていると思います。
また、もっと個々の神様について知りたい、お祭りする神社を知りたい、神々の系譜についても知りたいと言う時には、こちらもソフトカバーで読みやすいです。
学研エソテリカ事典シリーズA
「日本の神々の事典」神道祭祀と八百万の神々
薗田稔(京都大学教授)、
茂木栄(国学院大学教授)/監修
>akinoさん
お返事が遅くなった上に、力不足でこんな簡単なご紹介しか出来ず
申し訳ありません。皆様方のご支援に期待しております。<( _ _ )>
2006年05月16日
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読んでいて大変興味深く思いました。
わたしが持っているのは何かなと思い出しますと、(今会社にいるもので)武田祐吉訳のと、子供向けなら福永武彦のがありました。
今でも何かの折には即取り出せる並べ方をしています。
あと比較神話学の大家・大林太良の本も面白かったのですが正確なタイトルがちょっと思い出せません。何冊かありますが・・・
比較神話学などですと日本だけでなく他国の神話にも関心が向くので、わたしは好きですね。
風土記は図書館にあるのを読んでいました。
なんだか嬉しくなってきました。
さっそくご支援戴き、ありがとうございました!
きっと、色々書いて下さると期待しておりました(*^▽^*)♪
私の読んだ子供向けの文は誰の作かと今調べたので、
本文に追記しておきますが、この巻は表紙が薬師寺の吉祥天像、
収録作品が、古事記・風土記・日本霊異記・竹取物語・今昔物語・
宇治拾遺物語・十訓抄・古今著聞集・御伽草子・平家物語と豪華な
ラインナップ、全ての漢字にルビ付きながらも子供だましではない
格調高い文章、挿絵・・・。今見ても惚れ惚れします。
神話の比較は、先ずギリシアとローマの神話の比較から入りましたが、
世界的に見ての共通点や環境による差異など、これまた興味が尽きず
私も何だかまた嬉しくなってきました。
雲の上の存在なので、やっぱりぴんと
こないです(*^^*)
ギリシャ神話などは子どもの頃
人間と同じで残酷だなあ〜なんて思っていました。
何だか摩訶不思議な世界です。
死んだら神様に会えるのかなo(⌒▽⌒)o♪
基本は「古事記」ということでしょうか?
私の場合、正統ではではなく、批判の文章や外伝のたぐい、裏話風の本から入ってしまったので、さらに錯綜してしまった感じです。
木曜日に戸隠に行くつもりなのですが、今回は表敬訪問ということでさらりと行ってみます。でも、何か感じられるといいんですが。
私も同じようなことを思っていたので嬉しい!
さすが、さくらん、ありがとう!
いろいろな、しかも核心を突いて居られる資料の
数々に敬服と感謝をいたします。
神様、、、これは自分自身を古代の世界に置いて
みれば判る部分があります。。先ずはそこからだ
と(私メは)思います。
古代の世界、、、野蛮でも時代錯誤でもありませ
ん。風を流れと肌で感じ、草木の息吹を五感で感
じ、五臓六腑でイノチを育める活きた世界です。
その中に身を置くことが出来ると、風の囁きに、
また草木の息吹に、鳥や虫にもいのちを見ること
が出来、雲にも月にも、太陽、大空にカミを見る
ことが出来ます。
それが自分自身のカミで、「神話」の神様はそれ
からではないでしょうか。
物語の神様は、言うなればドラマのキャストであ
って、距離が出来ることは否めません。神は、自
分のなかの一つの感性から始まると思います。
独断と偏見でゴメンナサイ。
あれれ、私は日本の神様こそ、そこにもここにも自分の中にも
いらっしゃって、日本の四季の移ろいのように、様々にお姿を
変えて現れて下さって、すごく身近なご存在に思えるよ♪
勿論雲の上でおおらかに見守っていて下さる神様も
いらっしゃると思うけどね。(*^▽^*)
貴重な資料という程のものではなくて、本当にすみません。(冷汗)
最近は漫画やゲームなどでも神様のお名前や神器等が様々に
使われているようで、異名同体などと言う事柄も混じってくると
確かに何が何やら錯綜してしまう可能性もありますね。
混乱してしまった「知識の整理」の為には、上掲の本が役に立つ
かもしれませんが、是非、鎌倉とんぼさんが仰って下さったことを
戸隠などの大自然の中で体感して来て下さると嬉しいです。
またまた〜そらっちなら、もっと色んな本を読んでるでしょうに!
私のなんて、子供の本とお手軽文庫本みたいのばかりで、
底の浅さが・・・(恥;;)
でもさ、せめて日本の多くの人が、この子供向け古事記や
絵本でもいいから、目にしてくれたらどんなにいいかと思う。
小学校で読み聞かせをした時、この神話シリーズは本当に
良く聞いてくれたの。遺伝子に響く物語なのかもしれないね〜
恐らく今はコメントを書かれているころかしらと思いながら再訪いたしました。
皆さんのコメントを読ませていただくこと自体が楽しいですし、勉強にもなりますからね♪
追記に「おおおっ」となっております。
そうですね、古代においては『本名』と通称とは大変に重い意味を持つものですものね。
そのことを思うだけで日本と言う国がまさに「言霊のさきはふ国」だと感じられますよね。
しかし良いご本ですね〜玉井徳太郎、伊藤彦造という名を見ただけでわくわくですよ。
それから舟崎&赤羽コンビのも素敵ですね、図書館に行ってきます。
子供向けと言うか児童書として上梓された本は一流どころがまじめに書いておられるので、わたしなどは今でも再々読をしております。
やはりこういうところから入るのが一番良いようにも思います。
お書き込みありがとうございます!
鎌倉とんぼさんもきっと何かご支援して下さると、厚かましくも
固く信じてお待ちしておりましたので、とても嬉しいです。
丁度夕刻、006さんに、
「屋久島のような大自然の中に身を置くと、古代の人々の気持ちが
良く分かるような気がしませんか? そういう体験をされたことで
私の『天地に遊ぶ』嗜好がリンクしたのかも・・・ 」
などというメールをお送りした所だったので、まるで鎌倉とんぼさんと
以心伝心したようで驚いてしまいました。
本当は多くの日本の人々が、日本の神様のことをもっと知りたいと
思ってるのではと、私は感じています。
そして、今の日本の神社の中には、大変失礼ながら、
その欲求に満足にお応えになっていらっしゃらない所もあるのではと。
鎌倉とんぼさんのような方が日本中にいらしたら、きっと日本は、
もっと生き生きとした力を持って甦るでしょうに・・・。
はい、もうこの追記は殆ど遊行さん向けでした(笑)
これらの作家や挿絵の画家さんの名前に反応して下さる方は
多分他にはあまり・・・いらしたら(*´∀`)人(´∀`*)ナカーマ♪
一流どころが子供達に良いものを伝えようと心を込めたものには、
間違いなく力がありますね。 私も何度も読み返しては、
言葉の響きの心地よさ、美しい挿絵にウットリしております。
それにしても昔の児童書は字が小さかったですね・・・。
>>そして、今の日本の神社の中には、大変失礼ながら、
その欲求に満足にお応えになっていらっしゃらない所もあるのではと。
仰有るとおりです。神社の中にあって、神祀り、信仰の意識がなく
タダのビジネス。パフォーマンスと日を送っている神職が多いのも
事実です。先日、國學院の神道科の教科書を覗きましたら
「神宮大麻を頒布して神道教化」などという項目がありました。
時代錯誤もいいところです・・・伊勢神宮のナンタルカを
根本から見直さないで、ただ神宮崇拝を表に出して自分の神社の
アッピールにすり替えよう・・・では姑息でしかアリマセン。
あるいは、病院を経営して儲けた金で神社を運営して行く方法もある・・
なんて記述もありました。拝金神道・・(笑)
神が
仏があるのなら
参らなくても
手を合わせなくとも
(手を合わせても良いのですけれどね)
正しく生きてさえいれば
必ずそれが伝わるはず
先祖の供養も
立派な戒名をつけてもらうことより
(もちろん戴いても良いのですが)
その子が孫が
毎日与えられた命を
大切に生きることだと
つい、昨日友達と話していました。
・・・というのも
戒名の話で幾らかかるのか、
という話になったからなのですけれどね。。。
敗戦後、神職の方々が言いたい事も言えない時代があったことは
お気の毒だったと思います。 それがいつしか黙して語らずの
習慣化してしまい、人々の心が離れ経営?難・・・。
もうそろそろ呪縛から放たれて、本来の神さまとのお付き合い?
に戻り、自然と人々の心の拠り所祈りの場となればいいなと
願っています。
そうですね、お参りしなくとも、正しい行いも過ちも
ちゃんと神さま仏様には伝わっていると思います。
ただ、私が日々神仏に手を合わせるのは、
「今日も元気に家族揃って朝を迎えさせて
戴きましてありがとうございます。」
という気持ちやこの世に生きている喜びをお伝えしたいからです。
突然ポコンとこの世にどこからか降って湧いた命ではなく、
脈々とご先祖様方が繋いで来て下さった大切な命だということを
忘れない為かもしれません。
戒名のお値段の問題は悩ましいものですね。
いっそ無くても良いかと思う反面、故人のお人柄を彷彿させるような
素敵な戒名に出会うと、ああ、西洋で墓碑に刻まれている故人の
思い出などと似た所もあるんだなぁ・・・と愛しいものにも思えます。
私も古事記や日本書紀に興味はあるもののまともに読んだことがないので、これをベースに徐々に読み進んでみたいと思います。
日本人のルーツを感じることができそうで今から楽しみです。よいものをご紹介頂きました。
いえいえ、これらは本当に初歩的なものばかりで、きちんと
研究されている方々にでも覗かれたら、もう赤面ものなのですが、
私でも読める本ならば、入門編としていいのでは・・・と、
ご紹介することに致しました。
元々神話は長老から子供達へ、口から口へと語り継がれたもの
ですから、子供向けに分かりやすく書かれたものこそ、本来の
姿に一番近いのでは、とも思います。
あんまり難しい高尚な文学などとは思わずに、ご先祖さまから
伝わる「日本昔話」として、是非親しんでみてくださいませ♪