
久々の青空、初夏の日差し、薫る風に翻る若葉と共に、夏鳥
ホトトギスがやって来た。森の高い木のテッペンで高らかに
キョッキョケキョキョキョ・・・・・キョッキョケキョキョキョ・・・・・・
と夏の訪れを告げて回っている。
こんなに天高く響く声であるにかかわらず、どうしても必死で悲痛でどこか物悲しい声に思えてしまうのは、先入観だろうか。
卯の花の咲く頃、田植え時を知らせるホトトギスは、古くから人々に愛され歌に詠まれ、別名愛称がすこぶす多い。 ホトトギスと読ませる漢字だけでも霍公鳥・不如帰・時鳥・杜鵑・・・と数種。
体の斑、又は登場する季節などからはアヤメ鳥・タチバナ(橘)鳥・卯月鳥・早苗鳥・勧農鳥・田歌鳥・田長鳥など、
鳴き声からはカケタカドリ・百声鳥など、
生態に基づく物語・故事からは妹背鳥・沓手鳥などなど・・・。
また、万葉集にも沢山のホトトギスの歌が詠まれていて、
参考サイト「たのしい万葉集」
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/animal/hototo.html
そこから、いにしえ恋ふる鳥・恋し鳥 など切ない系?の別名も生まれた。
けたたましく鳴くその口の中は不気味なほど赤く、血反吐を吐くまで鳴き続けるとも言われ、自分の喀血をホトトギスになぞらえ
正岡「子規」(子規はホトトギスの一名)を名乗った話は有名だ。
有名と言えば、
「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」
と聞きなれたこの俳句は、実は松尾芭蕉の弟子の山口素堂の
「目には青葉 山郭公 初松魚」
と字あまりの句が出所とのこと。
カッコウとホトトギスは鳴き声は異なるが、姿や托卵などの習性は良く似ていて、しばしば混同され、郭公と書いてホトトギスとも読ませることもある。
しかし私はいつもホトトギスの声を聞くと、子規よりも陽水のこの歌を思い出し、胸が締め付けられる。
「帰郷(危篤電報を受け取って)」 井上陽水・作詞作曲
♪季節はずれなのはホトトギス
誰が笑ってるも知らぬまま
喉に血反吐を見せて狂い泣く
あわれあわれ山のホトトギス
もうすぐだね 君の家まで・・・
実はホトトギスは夜にも良く鳴いているが、その年最初の夜の鳴き声を「ホトトギスの初音」といい縁起がいいものとして、徹夜してでも川を遡ってでも人より早く聞こうとしたものだと言う。
「夏は来ぬ」 佐々木信綱・作詞/小山作之助・作曲
♪卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ホトトギス)早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ
(この「忍び音」が「ホトトギスの初音」を指すとのこと。)
こんなホトトギスの備忘録を書いてブログに公開するかどうか決めかね保存した夜、ぬばたまの夜の奥から忍びて漏れる
「ホトトギスの初音」
を聞いた。この日は虹も出たと言うことだし、吉兆であるならば、より沢山の人にお知らせしよう。
卯の花の季節、耳を澄まし「初音」のお聞漏らしなきように。
<<追記 2006-05-23>>
ほととぎす 初音模しつ 鶯弔ふ (山桜)
キョキョキョキョッ・・・という声は、托卵で犠牲になった鶯の子の上手く鳴けない鳴き声にも聞こえます。 合掌。

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かきつばたの色といい、
さくらんのお写真といい、
大好きな青みがかった全体の色。。。
きれいだな♪♪(^^*)
鰹、そういえば昨日美味しく頂きました。
熊本はもうスイカもちらほら♪♪
おいしかったよ〜んo(⌒▽⌒)oふふふ
でも近年よく見る(聞く)ようになったので
増えているように思うのですが?
それは私の近所だけなのでしょうか?
以前使っていて愛着のあるものに・・・
不如帰といえば、
「千年も万年も生きたいわ・・・」という
名セリフ、徳富蘆花の小説がありましたっけ。
ウチの不如帰は秋に向けて鋭意成長中。
残念なことにさすがに植物の不如帰以外は
我が家のほうでは無理のようです。
一声いずこ
鳴くホトトギス
見返る暇に姿消えぬ
たしか、こんな歌を中学生の頃
歌った記憶があります。
五月は濃い緑、濃い色の花と白い花の季節。光もコントラストも
強すぎて、目に見えたように写真に撮るのは難しいよ〜(><)
上の写真も、赤いもみじの新葉が日に透けてすごく綺麗な色で、
緑の色合いも様々でうっとりしてシャッター押したけど・・・
所詮携帯カメラと私の腕では悲しいかなこの程度。
後で松風さんの所で綺麗な写真を見て、目を洗ってこようっと!(*^^*)
鰹、美味しいよね〜大好き! マグロより好きかも♪
海のピチピチした元気を戴ける気がするよね。
もうスイカ? わ〜っ、夏はもうすぐそこまで来てるんだね!
ホトトギスもですか・・・今年はツバメもこちらが先でしたね。
南からの風が蛇行でもして、関西を避けているのでしょうか?
>近年よく見る(聞く)ようになったので増えているように思うのですが?
私もそう思います。 また、ホトトギスが増えた代わりに、
カッコウが減ったようにも思えます。
本当は、カッコウの鳴き声の方が好きなんだけどなぁ・・・
って、ホトトギス、ごめんなさい。
夜来香さんから爽子さん、夜から朝へイメージ転換ですね♪
季節にも颯爽とされた爽子さんにもピッタリ、いい感じです☆
ホトトギスはどの漢字を選ぶかで、その人の思いが伝わって
来ますね。蘆花は「不如帰」を選んだ・・・。
植物のホトトギスは斑模様が鳥のホトトギスを連想させるような
しぶ〜い茶花ですけど、何故か子供の頃から心惹かれる花で、
生垣の下で風に揺れているのを見ては、この花を咲かせている人は
きっと素敵な人に違いないと思っていました(笑)
不如帰の声を追い、皐月の青空の下で梢を見上げる
少女の爽子さんに、今、会えました^^
実はこの夜、生まれて初めて夜鳴くホトトギスを聞きました。
ちょっと不気味な感じがして、まさかそんなに縁起がいいもの
とは思いませんでした〜 感性が鈍いのかなぁ・・・(苦笑)
少年剣士が月下に剣を抜き払って立つ姿をまず思い出します。
それから『沓手鳥孤城落月』お芝居ですね。
歌右衛門の姿が浮かびます。
『時鳥殺し』玉三郎で見ましたっけ。
泣いて血を吐くホトトギス・・・可哀想。
漱石にもありましたね。
ホトトギス 厠なかばに 出かねたり
それから杉田久女の句
谺して 山ほととぎす ほしいまま
山桜さんの句へ。
声一つ 名は多かりし ほととぎす (七恵)
「声」を受けて下さったのに、元句を変えてしまって、スミマセン!
ホトトギスには人を惹き付ける不思議な力がありますね。
托卵先で一足先に孵化し、産まれ立ての雛のくせに巣の主の卵を
背負ったり押し出したりして、全部巣から押し落としてしまう
様子はいつ見てもエグすぎて、あんたは宇宙からの侵略者かと・・・。
その罪を忘れない為のあの血反吐出るまでの鳴き声なのかと・・・。