2006年09月01日

古い靴・新しい靴

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 八月の終わり、娘の新学期に備えて新しいローファーを用意した。
中学進学の時に買った古い靴は、中学時代は行事の時に履いただけで
大した傷みもなかったが、高校に入ってからは、それこそ雨の日も
風の日も毎日大活躍し続けて、部活と勉強?に明け暮れる娘には、
ロクに手入れもされずクタクタになりかかっていた。

 私は、『綺麗な靴、喜ぶだろうな…』と思い、 
 「ほら、新しい靴、明日から新学期だからね。」
 そう言って娘にポンと手渡すと、一瞬クルッと笑った顔が急に少し
寂しそうに翳った。
 「未だ履けるのに…。」
 娘の目は玄関に脱いだままになっていた古い靴に向けられていた。

 私は少し慌てて付け加えた。
 「勿論、こっちも捨てたりしないでまだまだ履くのよ。 
  交替に履けばずっと靴は長持ちするし、ちゃんと磨けば、
  新しい靴にも負けない位ピカピカになるんだからねっ」
 
 新しい靴と並んで置かれた古い靴。 
 娘は見ている内に、毎日共に過ごした古い靴を哀れに思ったのか、
黙々と古い靴を磨き始めた。 その覚束ない手付きに思わず、
『最初は傷をつけないように汚れを落し、次は縫い目、剥ぎ目、
 革の縁の面、擦り切れた所等に念入りにクリームを塗り混み、
 少しクリームを馴染ませてからブラシ、最後にクロスで磨き
 上げること…』と今一度教えてたが、いつになく妙に素直に聞き、
それから小半時、一心に靴磨きに没頭していた。

 「見て! ピカピカ〜!!」
 古い靴を磨き上げて、娘はなんだかとっても嬉しそう。
 「でも、新しい靴には負けるなぁ…」

 9月1日、新学期の最初の朝。 直に出掛ける娘の為に私は、
新しい靴を真ん中に、古い靴をやや脇に、玄関に揃えて置いた。

 「行ってきま〜す!」
 新しいマスコットをつけたカバンを肩に下げ、元気に出掛けた娘。
いつものように見えなくなるまで見送って、ふと玄関に目を落とすと、
そこには、真新しい靴が…。

 ピカピカの新しい靴よりも、自分で磨き上げた古い靴の方が
ずっとずっと愛おしかったんだね。 母はそんな貴女が大好き。

 「新しい友は白銀、古い共は黄金よ」

 




posted by 山桜 at 00:00| 東京 ☀| Comment(18) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあ、なんて素敵なお話。そして、なんて素敵なお嬢様でしょう。
きっと日頃の山桜さんがモノを大切にする姿やそういう気持ちを見ていたのでしょうね。
新しいものはもちろんうれしいのでしょうけど、古いものに心を寄せられるお嬢様は心身ともに大きく成長なさっていて、これから益々楽しみですね。
ほのぼのしました。
Posted by m-tamago at 2006年09月02日 22:03
素敵なお話です。

感謝、感謝。
Posted by 武蔵野閑人 at 2006年09月02日 22:20
さすが山桜さんのお嬢様・・・
そしてそのお嬢様を育てられたお母様・・・
羨ましくてなりません。
我が家にも女の子がいたらなぁ〜
Posted by 酒徒善人 at 2006年09月03日 00:01
そんな親子を尊敬しちゃいます(*^^*)
基本的に、子どもたちってそういう思いを
日々抱いているよね。
その琴線に触れながらの授業ができていたら・・・・
今更だけれどね、ちょっと思っちゃった☆
Posted by やゆよ at 2006年09月03日 01:04
素晴らしい話をありがとうございます(^_^)
素敵な娘さんに育て上げられましたね。感動的です♪
Posted by じゅんぺい at 2006年09月03日 05:27
こんにちは!

娘さんの心に感動してしまいました。
古い靴が、違った意味で光っているように感じます。
Posted by むろぴい at 2006年09月03日 09:39
★m-tamagoさん、こんにちは♪
 娘のことはブログに書かないように娘からキツク言い渡されて
いたのですが、何だかジ〜ンとしてしまって親バカの子自慢
みたいなことを書いてしまいました^^; 

 普段はガミガミ怒られてはブツクサ言っている普通の子ですが、
たまにこういう一面を見せてくれると、
「ああ、外見は大きくなったけど、心は小さい時のまんまの
素直さ可愛らしさを秘めているんだなぁ…」
と嬉しくなります。 そういえば、古くなって使われなくなったモノが
哀しんでいる…そんな童話を昔読んでやったかもしれません。
三つ子の魂百までも…でしょうか^^
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 15:39
★武蔵野閑人さん、こんにちは♪
 恐縮です・・・お恥ずかしい・・・(*・・*)
今日で新学期も3日目、まだ一度も新しい靴を履いていません。
今度は段々新しい靴が可哀相になってくるのでは…という予感(笑)
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 15:42
★酒徒善人さん、こんにちは♪
 母親には女の子の存在は同士として嬉しくもあり、白雪姫の継母の
ごとくライバルのようでもあり…(あれは実母説もありますね^^;)
似たところがあるかと思うと全く違う所もあって面白いです。
こういう胸がキュンとなるような優しさは、多分母の血ではなく、
一見クールに見えて実は根っこの部分が物凄く優しい
(表にその優しさが出ることは極稀・苦笑)父の血筋かと…。
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 15:51
★やゆよん、こんにちは♪
 親子も先生と生徒も、忙し過ぎたり雑音が多すぎたりすると
お互いの琴線に触れ合えるような「ゆとり」が無くなってしまうよね。
 私が担当しているのは女の子ばかりだけど、会えばどの子もとても
お喋り好き。 話を聞いて欲しい子がいっぱいで放って置けば
いくらでも話し続けるのではと思うくらい(^▽^;)
 つくづく人間って気持を伝えたい生き物なんだなぁって思うよ。
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 16:05
★じゅんぺいさん、こんにちは♪
 いや、あの、ここだけ読めばそうかもしれませんが、
しかしてその実体は…?? いえ、多くを語るまい。(苦笑)
普段があればこそ、このようなエピが生きるってことですよね^^;
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 16:07
★むろぴいさん、こんにちは♪
 こうして並べて置いてみると、やはり古い靴には歴史アリ、
苦楽を共にしてきた味わいがありますよね。
新しい靴は綺麗ですけれど、まだ表面的なものだけで、
魂が宿っていない感じです。

 人もモノも磨けば光る。 磨けば白銀も黄金の輝きになる。
もっともっと輝けるよう、私も心も体も?磨きたいです^^
Posted by 山桜 at 2006年09月03日 16:14
☆山桜さん へ
素晴らしい話ありがとう。
娘さんもお母さんも素晴らしいです。
なんか、この話、映画化したらよさそうな…。

たまたま金曜日、私も欲しかったエアーマックスのランニングシューズを購入して、娘と靴のことを話していたところです。
昨日、新しいシューズで嵯峨野の田園風景を8キロ散策してきました。秋(11月)の行事で市民オリエンテーリングを実施するんですが、このコースを下見がてらに歩いてきました。爽快でした。嵯峨野はもう…秋です。
Posted by 糺ノ森人 at 2006年09月04日 00:12
さすが山桜さんのお嬢さんですね^^

清潔感透明感のある可愛い高校生って
めったにお目にかかれない昨今なのに・・
素敵なお嬢さんがいらして、うらやましい。

いいお話をありがとう^^♪

Posted by noriko at 2006年09月04日 00:44
★糺の森人さん、おはよございます。
 情景を思い浮かべて戴けたのなら、それだけで存外の喜びです。

 8キロというと散歩のスピードで2時間弱ですね。それほど
歩いても爽快ということは、嵯峨野の秋も本物…行って見たいなぁ
仲良しの父と娘っていいものですね♪ ウチも主人と娘と二人で
話している方がどうも楽しそうで、ちょっと私はジェラシーです^^;
Posted by 山桜 at 2006年09月04日 09:19
★norikoさん、おはようございます♪
 清潔感透明感…(^▽^;)> あらら〜どうしましょう…。
実体は、汗まみれで真っ黒に日焼けした体育会系少女であります。
私達の頃とは違って、ちゃんと日焼け止めを塗ってやっている
と言うのに、しっかり小麦色で歯だけが白いっていう何かの
CMキャラみたい。 あ、そういえば東幹久のファンです。
Posted by 山桜 at 2006年09月04日 09:26
羨ましい。爪の垢でも頂きたい。
とても、すてきなお話ありがとうございました。

やはり、お母様が山桜様だから、すばらしいお嬢様が、育つのですね。

とんびは、鷹を産むことは、ないようです。
Posted by チャチャ at 2006年09月04日 21:47
★チャチャさん、こんにちは♪
 トンデモナイです。ウチは間違いなくトンビな親子です!
ただ鳶には鳶の情けアリ…といった所でしょうか^^;
Posted by 山桜 at 2006年09月05日 09:48
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