2006年11月01日
白川を静に渡る
「常用字解」 白川静 平凡社より
この表紙の文字は、人間の「口」の象形文字とも
祝詞を入れる器の象形文字とも言われる。
冬の使者ジョウビタキが青い空にヒッヒッヒッカカカカカ…と高らかに
初声を響かせた朝、白川先生が静かに川を渡り浄土へ旅立たれた
ことを知りました。(10月30日 ご逝去 享年96歳)
ハロウィンのランタンが「しゃれこうべ」を象ったと書いたばかり
でしたが、白川先生のお名前の「白」も白骨化した頭蓋骨から生まれた
文字とされています。 真っ白なものへの畏敬の念を感じます。
当用漢字表による漢字使用の制限、古典の現代仮名遣い表記などに
よる伝統文化継承の危機を憂い、意欲的に漢字の研究を続けられ、
「字統」(1984年 平凡社)
「字訓」(1987年 平凡社)
「字通」(1996年 平凡社)
の漢字学三部作、他、著書多数を遺して下さいました。
甲骨文字や金文といった草創期の漢字の成り立ちには宗教的、
呪術的なものが背景にあったとする説は、その情景が浮かぶような
物語性を持ち、私の漢字への興味を大いにかきたてて下さいました。
まだ沢山の著書のほんの一旦に触れたばかりなのに魅了され、
いつかお会いしてお話を伺える日を夢見ていたのに、とうとう
それは叶わぬ夢となってしまいました。
漢字表記を捨てたり、簡略にしたりしている国々の中で、
正しく漢字を守り残し使っていけるのは、最早日本だけに
なるかもしれません。 これも白川先生の恩恵大なりです。
あちらの世界でも探求を続け、下界に発信して下さると嬉しいです。
それをキャッチできる人達が、白川先生のお蔭で沢山育っていること
でしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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漢字は様々な意味があり、素敵だと思うのに、最近パソコン生活に慣れたせいか、読めるけど、書けない漢字が増えてきました。
もっと手で漢字を書くという作業が必要と感じます。
すばらしい業績もさることながら、自分の好きなこと、信じる道、研究を追及された白川先生という方に人間的魅力を感じます。
十三夜白川静かに渡り逝く 幽黙
MIXIでマイミクさんが仰っておられましたが
白川静氏が亡くなられた次の日に
白川静の漢字文化を受け継いだような
宮城谷昌光が紫綬褒章を受けられたのも
何かの縁なのでしょう…と
冴え冴えとした十三夜の月を、そこはかとなく淋しい想いで見上げました。
折りしも、重陽の節句に身罷れたことに、深い意味を感じます。
あの夜、それとは知らずに仰ぎ見た上弦の月。。。
迷宮の世界を一生の仕事とし、漢字の研究を続けられた白川氏。。
以前、何かで読んだ言葉を忘れません。
「漢字は、この世で一番短い寓話の世界。。。-☆」
当時レポートも提出したのですが、高校生のアタマでは理解出来ない内容で、申し訳ないようなことしか書けませんでした。
今は多少とも理解できる(ようになったような)気がします。
本当の意味での碩学、残念と思いながらも地上でのお仕事はやり遂げられたんだなぁと思いました。
白川氏逝去の報ありて 予 そのかみ求めたる岩波新書青版747「漢字」(白川静著 1970.4.45第1刷)を読める
氏 古代文字学の世界切り開きたる我が国の宝なりき
もみじ葉の散りゆく瞬(とき)をしらずをりき川面吹き行く風静かにて 丹人
合掌
平凡社の3大作が出版された時、なんとも
心躍ったものです(^^)
いつかあの三部作をわが手に!と思いつつ、
手に入れることなく、文庫を購入、
結局それらのうち一つは図書館で禁帯になっていないのを発見し
借りたりしていたのでした(^^;)
ご冥福をお祈り申し上げます。。。
>酒徒善人さん
小生も四国や西国などで複数の方がおられると
しばらく他の人のものを書かれる様子を見てから
決めたりします<御朱印(^ ^;
PC生活で得ることも多いけれど、失うことも多いですね。
視力もかなり落ちましたが、漢字も…漢字は手で書かないと
本当に忘れて愕然とします。つい先日も黒板の前で漢字が出ず、
頭が真っ白…滝汗かきました。 漢検に挑戦しようといいつつ
何年も教本を買ったきりになっています^^;
白川を渡る月舟なみ静か 山桜
お名前も浄土のような美しさでしたね。 幽黙さんも同じ
思いでいらしたと知り感慨深いです。 実は私、先生を女性と
思っていた頃もありました^^;
後を引き継ぐ方を育てられた所も、先生の素晴らしさと思います。
ご高齢になられても尚の著作・講演の多さにも感動でした。
私が知ったのは11月1日のTV?でしたので、調べるまでは、
その日がご命日かと思っておりました。 上弦の月の日に
旅立たれたと知った時、上の幽黙さんへのお返事に書いた句が
浮かびました。 私も出来れば、夜桜に浮かぶ月の舟に乗って
逝きたいなぁ…
東博の展示で、甲骨文字か金文か覚えてないのですが、
篆文より古そうな象形文字が、楽しそうに躍るように自由な
雰囲気で並んでいる古文書を、時を忘れて見入ってしまった
ことがあります。あれは確かに寓話・メルヘンの世界でした♪
昔は難しいと思いましたよね…最近の著作は誰にでも
分かりやすく楽しめるものが多くてついつい買い過ぎました。
そうですね、次はあの世の方々に教えを請いにひょいと
出掛けられたのかもしれません。 きっといつかその資料を
届けにどなたかの所に降りてらっしゃるでしょう^^
白川にすがるもみじ葉落つ前に舟は静かにすべりゆく哉
山桜
やり遂げて未練なき白い心で旅立つ心はいかようかと、
寂しいながらも、羨ましくもあります。
先日の「Dr.コトー」でも、新米看護士さんの所にだけ採血の
列が出来ず…という話がありました。 やはり、できれば
少しでも上手な方にお願いしたいと思いますよね〜^^;
三部作はお値段もさることながら、重くてなかなか買って
帰る決心がつかず…今ならネットで届けて貰えるから買い易いかな。
本は、なるべく町の本屋さんで買って応援したいと思うけど…
ああ、本屋さんゴメンナサイ! 毎月本を配達してくれていた本屋さん
廃業されてしまったのよ、残念…(T−T)
これは仕方ないですよね〜 心あれば、この厳しい現実を
受け止め、いつか自分の前に長い列を作ってみせると、
更なる研鑽を積んで下さることでしょう^^
納経所の話の続きですが、私、この方に書いてもらおうと並んでいても、空いている窓口から「こちらにどうぞ・・・」と言われると弱いんです・・・
今期のドラマは面白いものが多いですね。 他にも、
「のだめカンタービレ」と「僕の歩く道」をみています^^
「Dr.コトー 2006」は、切ないストーリーが続いて見るのが
辛くなってきましたが、やはり見ずにはいられません。
前期、応援していた「下北サンデーズ」が、低視聴率で
放送短縮されてしまって…いい素材だったのに・゚・(つД`)・゚・
私も「こちらにどうぞ」は断れないです。o(´^`)o クゥー
私もこの間「字統」を思い切って購入しました。
白川先生亡くなられたんですね。
御冥福をお祈りします。
私は、こういうずっしりした辞書などを買うと、すご〜く
大人になった気がしました。 今でも分厚くて片手で持てない
ような本が好きです…ナンだか開いた時の匂いが好きなのです♪
今度は先生に会いたくなったら、いつでも辞書を開けますね^^