2006年11月26日

ももりさん「叡」展

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ネットのご縁でお知り合いになれました、

 書家・画家の 
 山口桃里・ももり さん 

が出展されていらした「叡」展 @東京近代美術クラブ へ、
この日は、ご本人がおみえになると伺い、初対面に胸躍らせながら行って参りました。

 受付の方に
「山口ももりさんはいらしてますでしょうか?」
と伺い、案内された先には、ソフトベレーを被られたお洒落な麗人がご友人と談笑されていらっしゃいました。 ご挨拶申し上げた時、「まぁ!」と私を見詰められたのは、どこまでも見通せるような明るく輝く瞳。 この出展作「スペインの女」の青い瞳そのものでした。

 この作品に添えられたももりさんの言葉。

 『私の描く女の人って笑ってない。 キッと見据えている。
  トッローンとしたしどけない女は嫌い』

 だっら〜んと緩みっぱなしの私にはドキリと痛い言葉です。
でもこの女性、私には笑って見えます。勿論ももりさんも笑顔でした^^

 この作品はももりさんお手製の額、やや太目の枠の角を丸く面取りし、
根来塗りのように赤の下地に黒味の濃い青を粗く重ね塗りし、絵の際の
面は赤、その他の面は下地の色が所々透けて見えるように生かした塗りで
この絵を引き立てようとされるももりさんの愛情が籠もった素敵な額、に
飾られていました。(色の記憶は違っているかも・・・すみません^^;)

 額も含めてすごく欲しかったです。 もうどなたかの所に売れていって
しまったでしょうか・・・例え手許になくとも、永遠に私の心に残る作品で
した。せめてもの思いで、この絵の載っている画集を購入しました。


 その画集「山口ももり作品集3」の中で、私が同じ位惹かれたのは、
こちらの絵です。

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              「思い出の島カプリ」

 この絵には、ももりさんのこんなキャプションが付いていました。

 『ホンモノそっくりに描けないといって悩んでいるあなた、
  絵はウソがいいんです。 
  いいえ、ホントは、ホンモノより綺麗にしたい。』

 上の2点は「ガラス絵」という技法で描かれています。
単にガラスの上に描くのではなく、実はガラスの裏から色を重ねて
描いていくのだそうです。 つまり一番上にのっているように見える
色が一番下、一番最初に置かれた色なのです。 色の重なりは絵の具の
濃度や塗り方によって、変化自在の楽しみがあります。そして版画同様、
描く時と出来上がった作品は左右が逆になります。

 想像できますでしょうか? 並外れた右脳の働きがない人には到底
出来ない画法だと思います。 ももりさんは、普通に描けば達者すぎる
=つまらない絵(ご本人談)になってしまう所を、敢えてこのような
「何が起きるか分からない」未知を楽しむ技法を取り入れて、常に
ご自分がワクワクされるものに挑戦していらっしゃるのです。

 何と言っても、もう書の世界では超一流を極めながら、絵の世界へ
飛び出してしまわれた方です。 私の大好きなその書画の作品は・・・
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 素敵でしょう・・・最近はあまり書かれていないとのことですが、
こちらの世界の作品の新作も拝見できたら嬉しいなぁ・・・と切に
思っております。

 もっと色々知りたくなった方、山口ももりさんのHPはこちらです。 
 http://www.geocities.jp/wgwxw444/

 そして・・・もう、あちこちで興奮して書き込みまくりましたので、
ご存知の方も多いと思いますが・・・なんと、この展覧会場で思いがけず
むろぴいさんにもお会いしてしまいました!

 直前まで出掛けられるかどうかハッキリしなかったのですが、
機会を逃さず間隙を縫って行動を起こして本当に良かったです。
こういう時は、不思議と全てのものが「行け!」と言っているように
感じられるものですね。 それを信じて正解でした。

 むろぴいさんは、ご自分でも未知の力を秘められた爆発前の火山、
いえ、もっと上品で洗練された、そう「松風を醸し出す前の茶釜」と
言うような風情の紳士でいらっしゃいました。故郷の金沢のご親戚、
泉鏡花を影で支えていらした又従姉妹さんの家「目細八郎兵衛商店」
の縫い針をお名刺と共に頂戴致しました。 ありがとうございます。

 お二方との素敵な出会いのご縁に感謝致します。
素晴らしいひと時をありがとうございました。 
 
 記事の中の、上2枚のガラス絵は作品集を私がカメラ撮影したもの、
下2枚の書画はももりさんのHPの画像を、山口ももりさんの許可を
得て貼らせて戴きました。


 この記事は皆さんに見ていただき終わった頃を見計らって、
本来の日、11月26日の日記に納め直します^^;
posted by 山桜 at 00:00| Comment(14) | TrackBack(0) | 美術・書画・工芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあ、素敵な出会いですね。
ネットで出会い、展覧会でお会いする。
山桜さんの気にいられたスペインの女性の絵は本当に素敵。ガラス絵という手法があるとは知りませんでした。色々な表現の方法があるものですね。
書画の方も優しく大胆で驚きました。
ももりさん、私もお会いしてみたいです。

Posted by m-tamago at 2006年12月08日 12:41
クリックして
「アレ?山桜さんのとこにお邪魔したはずやのに、ももりさんのとこやった?」って驚いてしまいました。
Posted by 酒徒善人 at 2006年12月08日 18:06
なんて嬉しいことでしょう。お会いできて、その上、HPまで紹介して下さって。有難うございます。こういうことで、励まされて、又、新しい絵を描けるのです。京都へいらしたらゼヒゼヒ・・・ご一緒に迷子になりませんこと???京都は迷子になるのがベストです。紅葉も良いけど桜も良い。思いっきり寒い、下腹部が痛くなって不妊症になりそうな、底冷えも、又、良いものですよ。何にもないお庭に咲いた、真っ赤な椿が一輪・・・でも、やっぱり、こたつの方が良いっか??精密検査は終わりましたか??
Posted by 山口ももり at 2006年12月08日 19:33
 本当に素敵な方-☆流石山桜さんのマイミク、“類は類を呼ぶ”ですね。
 茶壷の様な壺から出てきた桜の花(でしょうか?)の絵、素敵ですね。
「思い出の島カプリ」も惹かれます。何とも言えない雰囲気を感じます。
 魅せて頂いて有難うございます。山桜さん、ももり様、謝謝♪m(__)m
Posted by 飛翔 at 2006年12月08日 21:20
さくらんの記事を拝見して、ますます
ももりさまの事が凄いお方なのだな〜って
再確認したよ(*^^*)
絵とか詳しくない私にもすごーくわかりやすい
ご紹介記事ありがとう♪♪
Posted by やゆよ at 2006年12月08日 22:44
山桜さん、おはようございます。
ももりさんの作品に対する視点がすばらしいと感じてしまいました。私自身、新しい発見がありました。

最初の女性の絵、私はももりさんのブログに登場した「マドリッドのルカー」だと思い、ご本人に当日聞いてみたのですが、違っていたのでした(^_^;)

最後に、私のご紹介もしていただき、大変ありがたく思っております。今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
Posted by むろぴい at 2006年12月09日 09:01
◆m-tamagoさん、こちらにもありがとうございます♪
 会いたくてもなかなか会えない方が、すぐ近くまで来ていらっしゃる!
この機会を逃してはならずと鉄砲玉のようになり飛んで行きました^^

 私もももりさんのHPを拝見するまでガラス絵のことなど全然知り
ませんでした。 敢えて難しい表現方法を選ぶとは芸術家の感性って、
常人には計り知れないです。でも、もっと自由に描きたいように描け
ばいいんだって、背中に羽をつけて空に飛ばされたように、自由な
気持になれました!
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:22
◆酒徒善人さん、こんにちは♪
 ほろ酔い加減?の処を驚かせてしまいごめんなさい。
でも情熱的な美人画を見て、またいい気分になれたのでは?
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:24
◆ももりさん、こんにちは♪
 もっといろいろ記憶が鮮明な内に書きたかったのにすっかり
レポが遅くなってしまってごめんなさい! スペインの女性と
ヒナゲシの間に展示してあった青い花の絵は、カプリ島の色調
とかぶるので、どちらにしようか迷った末、やはりカプリ島に
軍配を上げてしまいました。でもあの絵も大好きなんですよ〜^^

 冬の京都もいいですね。すぐにサムサムっと暖かい処に
入り込んでお茶?してしまいそうですけれど、それもまた
いいなぁ・・・スケッチするには凍えてしまいそうですね。

 今日、侘助椿の紅(薄桃)と白の苗が届きました。
どこに植えるか考えもせず、衝動買い(苦笑)

 検査は未だ年末に続きますけど、悠長な日程ということは、
それほど心配するようなものじゃないってことだと思って・・・。
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:36
◆飛翔さん、こんにちは♪
 お気に召して戴けて、私もとても嬉しいです^^
壺の桜は「春過ぎて・・・」の書も添えられてますし、
この色合いと華やぎから初夏にさしかかった頃の八重桜かと
思いますが、山桜の色合いとも似ていて心惹かれました。

 ももりさんはエッセイストとしても素晴らしい方なんです。
是非、HPやブログの方もご覧になってみて下さい☆
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:41
◆やゆよん、こんにちは♪
 ももりさんのお名前はあちらこちらで拝見していたので、
段々どちらからの流れか分からなくなってしまっていたけど、
最初に私に紹介してくれたのは、確かやゆよんだったよね?
縁結びの女神さまだよ〜♪ありがとう〜(また唄うか^^;)

 そうそう、やゆよん、ももりさんの「書」の方も見て!
もうね、びっくりよ・・・後でよく拝見したら、上手いなんていう
言葉は失礼な、ものすごいご経歴だった!
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:48
◆むろぴいさん、こんにちは♪
 私は本当に気に入ったもののことしか書きませんから、
その気持が伝わったとしたら、とても嬉しいです^^
 
 「マドリッドのルカ」さんは、日本の方ですよね?
ルカさんというので、私も最初はスペインの女性かと
思いました。 あの続き、とても気になっています・・・。

 むろぴいさんの内に秘めた情熱を感じました。
お忙しくてお疲れのことも多いと思いますが、これからも
そのお力を私達にも分けて下さいますよう、お願いします。
Posted by 山桜 at 2006年12月09日 11:57
 ももりさんて凄い方なんですね。まさに、一足早い日曜美術館、堪能致しました♪
素晴らしい実績もお持ちなのに、この瑞々しさは、何処からくるんでしょう?@@/
ホームページ、もう、、、すっかりはまって見入ってしまいました(*●∀●;*)
 誤魔化しの利かないガラス絵、未知との遭遇に心ときめかせ、創作する楽しさは、
いかばかりでしょう-☆? そうは言っても素人の私が思う、描く時と出来上がった作品が
左右逆になる難解さも、ももりさんには、挑戦し甲斐のある、この世に未だ存在しない
世界への、限りない憧れ、尽きせぬ好奇心の前には、なんのことは無いのでしょうね。^^;

 ねェ山桜さん、ももりさんて、取り札で迅速に判断して行く、先の見えない茶の湯の花月、
凄く気に入ったりして(*゚∀゚)ムッハー  ダハハハ!!話が脱線して失礼致しましたm--m

 書のなんとのびやかで美しいんでしょう!!南画、画賛、書画・・・なんと呼べば良い
のかしら?。?;とにかく絵と書が呼応していて、持って生まれたセンスの良さを感じず
にはいられません。時間をかけてたっぷり魅せて頂きありがとう、山桜さん-☆ 感謝♪
Posted by 飛翔 at 2006年12月10日 10:14
◆飛翔さん、こんにちは♪
 「瑞々しい!」本当にそうですね。ももりさんのブログを
拝見していると、もっと私も人生楽しまなきゃ!って気持に
なります。 折角生まれてきたのに、自分で限界の枠を設定
してしまってはツマラナイ、もっと挑戦しよう!なんて♪

 「花月」も、ももりさんだったら、新しい遊び方を作って
しまわれるかもしれませんね!

 この書画は想像よりずっと大きくてダイナミックで圧倒
されました。 斜め上から見下ろす構図が奥行きを生んで、
さらに伸び伸びとした広がりを感じさせますよね〜(*´∀`)
Posted by 山桜 at 2006年12月10日 17:45
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