2007年01月15日

七種餅粥

下の方に追記をつけました。 
ご興味をお持ちの方はご参照賜れば幸いです^^(1月19日)


     ??〓 1301.jpg

 今年の小正月の十五日は、小豆粥ではなく延喜式等に記録がある
七種の穀物に倣い、手に入る穀物を集めてお粥を炊いてみました。
15日は望(もち)月で餅粥を食す習慣も聞きますので、お餅も加え、
七種・餅粥モドキとちょっと贅沢してしまいました。

  延喜式(905年)第四十巻の記録
  「正月十五日 供御七種粥料 米1斗五升 粟 黍 稗子 
   ミノ*(草冠に皇・子) 胡麻子 小豆
 各五升 塩四升」

 その他にも、時代、地域によって、七種の穀(作)物は異なり、
(例えば、大豆、大角豆(ささげ)、栗、柿、薯蕷…など)その時、
その土地で手に入りやすいものを使っていたのかもしれません。

 この日の我が家の七種餅粥の品揃えは、
 「玄米、黒米、小豆、ささげ、麦、白胡麻、黄粉(大豆)、餅」
黒米からも赤紫色が出たので、かなり赤色の濃い、魔除力強大な
お粥になりました。(ささげはお赤飯に用いる炊いても切腹しない
小豆に似た豆で、写真で一番目立っているものです。)

 これらの穀物と言えば、古事記では大気都比売神(おおげつひめのかみ)日本書紀では保食神(うけもちのかみ)の亡骸のあちらこちらから
生まれたという神様の化身です。 

 いにしえの人々は、そのような神さまのお力を得て、魔を祓い
健やかに暮らしたいと願ったのかもしれない…などと想像しつつ
ご先祖様方と同じような穀物粥を奉げもち、大神さまにお供えし、
私達もありがたくご相伴させて戴きました。

 *ミノは、牧野富太郎博士によれば、
  長らくミノとされてきた草の実は食用にならず、誤りであるとし、
  この草にはカズノコグサと新たに命名、現在ムツオレグザと呼ばれ
  ている草こそがミノであろうとされていますが…ミノ米について
  何かご存知の方がいらしたら、是非ご教示下さると嬉しいです。

<<追記 2007-01-19>>
 @奈良の酒徒善人さんより、小豆粥は「ススキの穂のお箸」で戴く
  とのコメントを頂戴し、さらに後日詳しく教えて下さったので、
  皆さまにもお知らせ致したく、こちらに転載申し上げます。
  酒徒善人さん、ご協力ありがとうございました。

  『すすきの穂の箸は、穂のついた茎(茎だけで約30cm)で
   茎の部分を箸がわりにして食べます。
   そのすすきの箸は他の花とともに、
   水田に苗代を作るとき豊作を祈願して飾ったと思います。
   なぜすすきなのでしょう?稲のイメージかな?
   小豆粥を炊く火は、前日のとんどの火を昔は使っていました。』
  
   (酒徒善人さんのブログ「e411y」の『冬の華』 http://syutozennin.blog.ocn.ne.jp/e411y/2007/01/post_b0c0.htmlより)


   さて、な〜ぜ、ススキの穂なのでしょう?
   酒徒善人さんの仰るように豊かに実った「稲穂」のイメージ、
   すすき=漱ぎ から 祓い清めのイメージ、
   ももりさんがヒントを下さったように、丈夫な作物のイメージ、
   茎の中の赤い芯からお日様の力を秘めたイメージ・・・
   いろいろな気持ちが合わさって、ススキの力に肖りたいと願った
   のでしょうか… これからも心に留めて情報を集めたいと思います。

   酒徒善人さんがススキの穂のお箸の写真を撮ってご自分のブログ
   に載せて下さいました。是非ご覧下さい!
   1月19日付『すすきの箸』
   http://syutozennin.blog.ocn.ne.jp/e411y/2007/01/post_2185.html

 A「枕草子」十五日のお粥に関する楽しげな伝承の記述です。

  『十五日はもちがゆの節供参る 粥の木ひき隠して家の御達女房
   などのうかがふを うたれじと用意して常にうしろを心づかひ
   したる景色もをかしきに いかにしたるにかあらむ打ち当てるは
   いみじの興ありて うち笑ひたるは いとはえばえし』


   これは、もち粥を炊いた木の燃え残りで女性のお尻を叩くと
   子宝が授かると言う(叩いた人が男性なら、その人の子が
   授かるとも)風習の様子を描いたもののようです。

   華やかな方々が子供のようにはしゃいでいる様子が覗えて
   笑い声まで聞こえてくるようですね〜 さすが清少納言!

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ラベル:七種 ススキ
posted by 山桜 at 00:00| Comment(28) | TrackBack(0) | 祖先からの伝え | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は小豆粥をススキの穂のお箸でいただきました。
Posted by 酒徒善人 at 2007年01月17日 22:09
◆酒徒善人さん、おはようございます。
 ススキの穂のお箸は文献でだけで、現物を拝見したことがありません。
穂がついたままのハタキのような状態で使うのですか?
お写真があれば是非見せて戴きたいです!

 また、謂れが伝わっていたら、それも教えて下さると嬉しいです。
漱ぎとか禊祓いのような意味があるのでしょうか?

 お粥を焚いた残りの木片でお尻を叩くと子宝が授かるというのは
枕草子などにも出てきますが、その風習も残っていますか?
Posted by 山桜 at 2007年01月18日 09:25
我が家では小豆がゆでしたが、母は、砂糖を入れて甘くして食べてました。
私の所にコメントいただいた方も砂糖を入れるって言ってました。
おしるこだと想えば甘いのもアリ!かな?
Posted by ネットの中のお父さん at 2007年01月18日 18:05
わあo(⌒▽⌒)o♪
おいしそ〜♪♪
何だかお赤飯みたいで、
おめでたい感じがするね(*^^*)
いつもの七草粥とは違って、今回の食べた感想も
聞かせてちょ〜♪♪
Posted by やゆよ at 2007年01月18日 20:34
 ウワーー、本当に魔除力強大なお粥!それに美味しそう♪
今年の山桜さんは、更に飛躍しそう!!お手柔らかにネ-☆

 私は、小豆粥に冷凍にしていたお餅をえれ、これ又、力倍増^^
体だけじゃなく、頭の雑念も取り去りたいんだけれど。。^^;
Posted by 飛翔 at 2007年01月19日 01:11
おかゆの残りの木でお尻をたたくと子宝が???ッてなんて面白い風習でしょう。ススキのお箸ですって???もうイヤッて言うほどススキはありますよ。ススキの茎は真ん中に赤い芯があって、見ようによっては美しいかも???でも、畑ではススキは天敵みたいなものなんですよ。
Posted by 山口ももり at 2007年01月19日 08:49
◆ネットの中のお父さん、おはようございます。
 あ〜、やはりお砂糖アリですよね! 最後の一椀になったら、
こっそりお砂糖入れてみようと思っていて忘れてしまいました。
お餅も入っているし、絶対に美味しいと思います☆⌒(*^∇゜)v
Posted by 山桜 at 2007年01月19日 10:48
◆やゆよん、おはよう。
 えっと感想? ふふ、いにしえ人になった気分〜♪ 
いろいろな穀物の持ち味が溶け合って醸し出す風味と食感が
絶妙なの。 あらかた炊けた頃にお塩を加えるのがコツかな。
適度な塩気が穀類の旨みを増すように思うよ。そしてお餅、これは
もうね、外せない。 とろとろの中にモチモチ、たまらないよ〜

 ささげだけは、どんなに煮ても切腹しなくて流石に武士が
お赤飯に選んだだけのことはあるな〜って感心しちゃった^^
Posted by 山桜 at 2007年01月19日 10:57
◆飛翔さん、おはようございます。
 酒徒善人さんのブログでススキの穂のお箸のことを教えて
戴いたら、ススキの穂付きで30センチもあるんですって!
きっとこれなら、お粥を戴きながら頭の方の雑念もススキ穂が
祓ってくれそうですね〜^^

 >お手柔らかに…
うわ、こちらこそです! 体を鍛えてらっしゃる飛翔さんを
見習って、私も少しパワーアップしたいと思っていま〜す^^
Posted by 山桜 at 2007年01月19日 11:02
◆山口ももりさん、おはようございます。
 枕草子の中の記述を見つけたので、上の記事に載せますね♪

 ススキは根が張るし丈夫で増えるので、稲や穀物もそれに
あやかって、元気に育つようにと願ったのかもしれませんね〜
ススキの茎に赤い芯…そうなんですか!? 今まで気付きませんでした。
まるで日の丸のようですね。 お日様の力を秘めた植物なのかも! 
あぁ、色々お話が膨らんでとても楽しいです〜
 妄想中…*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´∀`)゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
Posted by 山桜 at 2007年01月19日 11:10
山桜さん、こんばんは。

色々教えていただいてこれはもう、来年からは
七種餅粥をススキのお箸でいただくしかないな!
と作る気満々になりました。

大気都比売神、保食神の亡骸のあちらこちらから
生まれたという神様の化身ですか!
ありがたいですね。

秋には必ずお月見団子と共に我が家に飾られるススキは、、
この寒い冬に河原で見つかるでしょうか。それとも
どこかで売られているのでしょうか。。

詳しいお話をありがとうございます^^。
Posted by まり at 2007年01月19日 18:45
検索してみたら、ススキの神箸の写真がひとつ
見つかりました。取り急ぎ。^^。

ttp://plaza.rakuten.co.jp/ko202/diary/200608270000/

(頭に h をつけて下さい)。
Posted by まり at 2007年01月19日 18:57
紹介いただきありがとうございます。
何故箸がすすきなのか?
分かることは、稲の穂と茎では箸にはならないことだけですね。
Posted by 酒徒善人 at 2007年01月19日 20:18
七種餅粥は、食べたことがありませんが彩りも綺麗ですね。
でも、昔から伝え続けられてきた事ですので
一度作って食べてみるつもりです。
すすきの穂の箸でたべるのも面白いですね。
Posted by 青い流れ星 at 2007年01月19日 22:02
酒徒善人さま、ススキ、大好きなのでぜひ、
お箸にしてみたいと思いました^^。

山桜さん、こんな記事も見つけました。
「神奈川・横野では正月15日に「あずきがゆ」が作られます。
このあずきがゆには道祖神(さいとばらい)の時の団子が入れ
られ、また、この汁を爪に付けると爪の病にならないといわれ、
付けられたものです。この様な行事は市内各所に見られました」
面白いですね♪ どうして爪に効くと考えられたのだろうか。。
考え出すときりがなくなりそうですね。笑(ミクの方・メ・に
も少し、書きました。)
Posted by まり at 2007年01月19日 22:13
酒徒善人さんのブログにも書き込んできましたが
夏の農耕行事の「新箸」ですと緑色のすすきや茅の
茎を箸にして赤飯や饂飩に饅頭など地方それぞれ
いろんなものを食するものがありますね…
でも冬というか新春の小豆粥もいいですよね〜
Posted by 幽黙 at 2007年01月19日 23:04
◇山桜姫 おはやふにござる
いま ポチッとクリックするに・・・
媛!!第5位なり!!!
いと嬉しかりけり

♪調子を揃えてクリックリックリッ 
♪マウスの音も軽やかに
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♪ほらたちまち姫君第一位!!

お騒がせしたるを詫びるあかひとなり^^ 
Posted by あかひと at 2007年01月20日 07:46
◆まりさん、おはようございます。
 メールでも色々な情報を寄せて戴きありがとうございます!
ススキの穂がまりさんの心を優しく撫でたようですね^^
ススキの穂は秋に収穫して干しておくのかと思いますが、
詳しい作り方は、酒徒善人さんがきっと。。。(期待)

記事の追記に酒徒善人さんの「すすきの箸」の記事のURLを
貼りましたので、お写真、どうぞご覧下さいね♪

 (お返事まとめてごめんなさい)
 爪染めは、多分小豆粥の色が赤いので魔除に染めたのではと
思います。 爪先は体の端で、魔が忍び込みやすいからかと。
夜爪を切らないもその類ですね。 昔の人は今の人よりずっと
ずっと手を使いましたから、手の荒れも酷かったでしょうね…
せめて爪なりとも綺麗にしたい乙女心もあったかも^^
(これは私の想像ですから事実が分かりましたら教えて下さいね)
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 08:11
◆酒徒善人さん、おはようございます。
 すすきの穂のお写真、ありがとうございました!
早速リンクとTBを貼らせて戴きましたので、宜しくお願いします。

 すすきのお箸は、本当は苗代作りの日まで、そっとお蔵で
休み戴くのでしたでしょうに、稲の神様に、どうぞよろしく
お伝え下さいませ。

>稲の穂と茎では箸にはならないことだけですね

 なるほど! やはり穂の折れないしっかりとしたススキに
あやかり、丈夫な稲穂になりますようにの願いがあるのかも
しれませんね。 

 わらのお箸…ブーフーウー「3匹の子豚」のお話を思い出しました。 
この場合、煉瓦のお箸× 藁のお箸× 木のお箸○ですね(笑)
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 08:17
◆青い流れ星さん、おはようございます。
 今回雑穀粥を炊いてみての発見(大袈裟^^)!玄米や雑穀はお粥に
した方がとても美味しいんです。 普通のご飯のように蒸し炊きだと、
どうしてもよくといだり長く水に漬けたり芽だしさせたり水加減やら
火加減やら色々と手間がかかって面倒ですが、お粥にするとただ弱火で
火にかけておくだけで、ふんわりと柔らかであの独特な風味が却って
コクになりとっても美味しいんですよ〜 やはり先人に学べですね、
感激でした☆
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 08:26
◆幽黙さん、おはようございます。
 さすが、また色々ご存知ですね〜^^ 箸は始まりの縁起かつぎ
ですから、自然と共に歩む農耕民族には格別のこだわりがあるので
しょうね。 そういえば善人さんのお近くには箸姫の
墳墓?が
ありましたね…関西は歴史が脈々と息づいていていいなぁ
でも、関東にも埋もれた民俗がたくさんありますから、これからも
ずっと調べていきたいと思います^^
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 08:33
◆あかひとさん、おはようございます。
 おおっ、殿、まさしく! お知らせありがとう存じます。
殿にならいて、ポチっとを記事下に載せてから上げ調子で
ございます。 殿のアドバイスの賜物、感謝感謝です<( _ _ )>

 殿の歌声で朝から楽しい気分です♪♪
クリッククリッククリック〜♪ (ノ^o^)ノ ♪
足取りも軽やかに出掛けて参りま〜す! (*^▽^*)ノ"
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 08:40
松の内に忙しく働いた主婦をねぎらう意味で
「女正月」とも言われる1月15日ですものね。
そういえば昔は、お皿洗うのもお洗濯するのも冷たいお水
だったから指先、爪も荒れてしまう女性が多かったでしょうね。
すぐお湯を使えるのが当たり前の今、そのありがたさも
小豆粥をいただきながら伝えていこうと考えました。
ありがとう^^。
Posted by まり at 2007年01月20日 11:44
とても美味しそうな七種もち粥ですね。
試してみますね!

枕草子のお話も面白いです。
しきたりが遊びでもあり楽しみでもあったのですね。
今は毎日が賑やかな生活なので行事が薄れ気味ですが、女房たちが腕まくりしながらしきたりを守ってきたのでしょうね。

ささやかに私も小豆粥を食べました。
お餅は鏡餅を入れて。
鏡餅は包丁を使ってはいけないのだとか。
小さくするのが大変でした^^;

それから北海道の知人はお赤飯にお砂糖を入れ作っています。
ほんのりとした甘みが、もち米のもちもち感をより引き出しているように感じました。
Posted by アンズ at 2007年01月20日 12:02
◆まりさん、こんばんは。
 子供の頃、鳳仙花の花びらでマニュキアごっこしましたか?
オシロイバナでも出来ましたよね。それを思い出しました。
爪がほんのりピンク色だと指先が綺麗に見えるものだと、
母が言っていました。 私は苦手なので全然塗りません^^;
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 18:02
◆アンズさん、こんばんは。
 鏡餅を真空パックものにしてから、包丁なしで細かくする
のは難しくなりました。 チンして柔らかくしてちぎるしか
ないですよね…どうされてますか? いい方法があれば
教えて下さい。 とうとう今回は中が○餅になっているもの
を買ってしまいました。

>北海道の知人はお赤飯にお砂糖を…

 あ、それ聞いたことがあります! 確コンビニなどで売って
いるお赤飯のおむすびも甘いのだとか…反対に北海道の人が
東京などへ来てお赤飯が甘くないと言って驚いていました。
きっと美味しい筈ですよね〜今度作ってみようっと♪♪
Posted by 山桜 at 2007年01月20日 18:10
遅いコメントですが、一応和菓子屋に勤めているので、お店で作った鏡餅を飾っています。
飾っておくとどうしても黴が生えるのですが、今年は暖房を控え目にして寒い部屋だったので、あまり繁殖していませんでした。
ヒビが入っているので、そこから崩したり、トンカチを使ったり。すぐに食べないものは、水に漬けて置きます。
真空パックのものは確かに難しそうですね。。。
Posted by アンズ at 2007年01月27日 22:35
◆アンズさん、おはようございます。
 お返事ありがとうございます!
ああ、懐かしい・・・水餅も鏡餅の黴が生えたところを削って
ヒビからちいさく割っていくところ、子供に見せてやりたい。
今や色とりどりの黴さえ珍しいものになってしまいましたね〜

 真空パックは開けるのも出すのも大変でしたが、やっと
少しずつ改善されてきたようです。 でも割るのはやっぱり
難しいですよね^^;
Posted by 山桜 at 2007年01月29日 08:21
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