2007年03月21日

桜の樹の下には…

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    桜の樹の下には屍体が埋まっている!
  これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも
  見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさ
  が信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっ
  とわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。
  これは信じていいことだ。 (梶井基二郎「桜の樹の下には」より)


 春彼岸、お墓参りに訪れた霊園では枝垂桜が咲き零れていました。
ここは霊園ですから、間違いなく桜の樹の下には沢山の…です^^;

 春の日差しの中で揺れる枝先の桜花は陽気にさざめいていますが、
さすがに古木全体の風情には、幽玄をまとった貫禄があります。

 奥村土牛(とぎゅう)の醍醐を思い浮かべました。
「醍醐」は実際に見ると華やかな絵なのですが、何故か私の頭の
中では、いつももっと老いた桜の枯淡な風情をしています。
描いている土牛の姿が重なって見えてしまうのでしょうか…。

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          (奥村土牛「醍醐」山種美術館蔵)



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posted by 山桜 at 00:00| Comment(32) | TrackBack(1) | さくら・桜・櫻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
坂口安吾の
櫻の樹の満開の下
に広がる張り詰めた虚空の世界も
また捨てがたいものがありますね
樹木葬で桜を希望したら叱られるかなぁ
できれば西行が愛して止まなかった
白い山桜…
Posted by 幽黙 at 2007年03月23日 12:31
おひさしぶりです。
奈良も桜が咲き始めましたよ。
渡辺淳一の『桜の樹の下で』を読んだのを思い出しました。
愛媛・三角寺の山桜に会いに行ってきます。
Posted by 酒徒善人 at 2007年03月23日 17:38
◇山桜姫 おばんにござる
さやふなる歌のあるをきけり
かなふならば桜の下にて春死なん といふやふな・・・

死にたる後も桜の花を見たしとふ願ひなる哉・・・

満開の夜桜みれば まさに 霊魂の沸々としてよろこびゐたるがごとし
桜のもとには永遠の人の集ひゐたるはいと尊し

尤も 人類誕生の時点よりかんがへれば 桜に限らず いずれの木のもと 家の下にありても 屍体あるとみて まちがいなし と見たり 
Posted by Akahito〜友部丹人 at 2007年03月23日 18:19
やっぱり日本人は 桜 ですね。
ただ、桜の下での宴会はいただけません。(大騒ぎ、ゴミの散乱)
大和こころに反するような気がします。
Posted by ネットの中のお父さん at 2007年03月23日 19:44
桜を見ると、懐かしくて優しい気持ちになります。
日本人で良かった^^
Posted by さかもっちゃん at 2007年03月23日 22:58
屍体かぁ・・・^^;
あの儚げな花びらに反して、根っこの立派さ、たくましさには感心します。
週末に早速どこかに花見でも・・・と思っていましたが
残念ながらこちらの予報は雨です(涙)
咲きかけの花びらが散っちゃいませんように。
Posted by みかん at 2007年03月23日 23:56
>ここは霊園ですから、間違いなく桜の樹の下には沢山の…です

なにが好きと言っても、こういうセンスが一番好きなのです。

思えば墓の下の故人もお花見ができるわけですね。聞いた話ですが、沖縄では独特の亀甲墓を作っていますが、そこで宴会をするのがセオリーらしいです。友人によると、一族集まって飲めや踊れやの賑わいをみせるそうです。
・・・記念撮影したら、故人も仲間入りしてそうです。
Posted by 遊行七恵 at 2007年03月24日 13:06
◆幽黙さん、こんばんは。
 基次郎、安吾、西行…桜を見るとどこか落ち着かなくなるという
気持に共感します。 梅はホッとさせてくれるのに、桜は何故に
こうも心をざわめかせるのでしょう。

 私も山桜の樹の下で眠りたいと家族には伝えています。
多分、安らかに…というよりもたまにはふわふわと漂い出たいから^^
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 18:40
◆酒徒善人さん、こんばんは。
渡辺淳一も「桜の樹の下で」を書いているのですね〜
恥ずかしながら知りませんでした。
奈良の吉野の山桜を一度は見に行きたいと思っております。
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 18:43
◆丹人さん、こんばんは。
 西行の辞世の歌ですね…

  願わくは 花の下にて春死なん
 
           そのきさらぎの望月のころ

>尤も 人類誕生の時点よりかんがへれば 桜に限らず 
>いずれの木のもと 家の下にありても 屍体あるとみて
>まちがいなし と見たり  

 本当にそうですよね! ただ桜の花咲く頃の旅人ならば、
あの桜の樹の下まで…と懸命に辿り着いて力尽きた者も
あったのでは…などとも想像してしまいます。
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 18:51
◆ネットの中のお父さん、こんばんは。
 こちらは桜の名所でもあるので、花見シーズンの喧騒、
後始末の悪さには毎年うんざりさせられます。

 桜の樹に限らず、根は酸素を欲しますから根元を踏み固め
られてしまうと、元気がなくなってしまいますし…
普段の散歩でも、できるだけ樹冠の下を踏まないように気を
つけています。
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 18:56
◆さかもっちゃんさん、こんばんは。
 桜と雑木林の新緑萌え出ずる山の中に佇むと、日本に
生まれた幸せに感謝の気持でいっぱいになります。 
桜も新緑も、なんて繊細で様々な色があることか! 
一年で一番好きな風景かもしれません♪
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 19:02
◆みかんさん、こんばんは。
 桜が咲くと何故か、花冷え、花散らしの雨もやってくるの
ですよね〜 そうやってヤキモキさせる所も桜の味わいかも
しれませんが、出来ればポカポカの春の陽だまりの中での
お花見がしたいですね^^
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 19:06
◆遊行七恵さん、こんばんは。
 桜は依代樹ですものね、やっぱり目指して集まって来るん
だろ〜なぁ…と思います。 そもそも彼らを慰めて一緒に
楽しむ為の花見の宴でもあるのでしょうね。

 そうそう、今気付いたのですが、上の桜の写真の真ん中辺、
逆U字型に画面が滲んでますね…なんでしょう??
Posted by 山桜 at 2007年03月24日 19:12
逆U字の正体気になりますね。
虫眼鏡で見たんですがやはりよく判りませんでした
Posted by 玉井人 at 2007年03月24日 21:35
見事に復活ですね。おめでとうございます。困難を乗り越えて、パソコンは詳しくなられたでしょうね。わたしは又、帰ったら旅のスケッチ載せましょう。お元気で・・・
Posted by 山口ももり at 2007年03月24日 21:57
桜はいいですね〜
花びらのジュウタンに座り、舞い落ちる花びらを
熱燗のはいった盃で受け、グッと飲み干す。
まだ一度も経験したことがないのです〜。
何時出来ますかね〜やってみたいのですよ(笑)
Posted by 青い流れ星 at 2007年03月24日 22:06
桜の季節ですね。

あちらでもこちらでも
桜の開花が気になって仕方がない。

昨年は自分の心の中が荒れていて
それどころではありませんでした。

待ち望む気持を持てるだけ落ち着いている
日々なのでしょうね。
Posted by 爽子 at 2007年03月24日 22:17
山種美術館ではそろそろ「桜さくらサクラ展」やってると思います。
土牛の絵も出ているはずです。
私は大観の夜桜が好きで好きで…(*´Д`)ハァハァ
昭和60年の記念切手が確かこれで、その美しさに親に頼んでかってもらいました。
変な小学生…
我が家の桜も咲き始めました。
旭山、富士桜、鬱金、丁字桜、染井吉野と賑やかです。
お墓に植えたいけど住職に怒られそう。
カラスウリもあるし。
(ごめん住職)
死んだら桜の肥料にバーッと撒いて欲しいです。
Posted by ひらりん at 2007年03月24日 23:04
桜の木の下で・・・
もし自分が死ぬ時を決められるならば桜の季節!なんて思っているのです。

肉体は無くなっても魂が咲いているような〜いきているような〜誰かにメッセージを送っているような〜そんな木ですね。

桜ってやっぱり・・・いいね。
実家には20歳の記念に植えた桜が見事な大木になっていま〜〜〜す。
Posted by あやめ at 2007年03月25日 03:32
◇山桜姫 おはやふにござる

願わくは 花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ   西行

おお!!!
さなり!!!!!
いとうれし ありがたし
喉をつかへしものの一気に流れたる
空おほひたる暗雲の一気に晴れて眩しき光注ぎきたるが如し

まさに姫の季節の到来なり
姫の羽衣を靡かせて空を舞ふ姿の目に見へるがごとし

願はくは花を舞ふ姫一目見むそのきさらぎの望月のころ   東行(友部丹人)

*本年の「きさらぎの望月」は4月2日なる哉
Posted by Akahito〜友部丹人 at 2007年03月25日 07:45
◆玉井人さん、こんにちは。
 逆U字は良く見ると長四角?ピント合わせの枠の辺りのような…
でも、それは横長なので、やっぱり良く分かりません??
拡大まで調べて下さってありがとうございました。<( _ _ )>
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 12:51
◆ももりさん、こんにちは。
 もう旅立たれてしまわれたでしょうか…お土産話やスケッチを
楽しみに待っております。行ってらっしゃいませ〜(*^ー^)ノシ

 ももりさん、何か勘違いされていらっしゃる??
お休み中、PCには全く触れなかったので何も進歩は…(^▽^;)
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 12:55
◆青い流れ星さん、こんにちは。
 染井吉野の花の絨毯の頃、例年ですと丁度山桜が盛りになります。
お花見客も少なめになったその時期が狙い目ですね^^

 花びらは受けにいくと風がおきて逃げてしまいますから、
静かにそっと花びらが杯に舞い降りる幸運を待ちましょう♪
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 13:02
◆爽子さん、こんにちは。
 
 さまざまのことを思い出す桜かな  芭蕉

 桜が咲くと、華やいだ思い出も苦い思い出も走馬灯状態に
甦ります…魂を開放するような力が桜にはあるのかもしれません。
桜の時期には、一年分の思いを解き放して思いっきり泣いて
しまってもいいんじゃないかと思います。
気を張り詰めている時には、涙なんて一滴も出ませんものね…。
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 13:18
◆ひらりん、こんにちは。
 この画像を探す時、山種の展覧会もチェックしたんだけど、
今年は「醍醐」は出ていないみたい…もう一度確認してみるね。

 大観の「夜桜」! 普通の小学生は怖がるでしょっ(((( ;゚Д゚)))
あれはもう、魂飛びまくっていて妖し過ぎるよ〜

 ウチの墓地は何を植えてもいいみたいで、各家の植え込みを
見て歩くのも楽しいよ♪ カロートが傷んだりするのであまり植え
ない方がいいとも聞くけど、好きな花の下で眠りたいって思うよね〜
 
 こっそり好きな桜の種を埋め込んでおくのはどう?
実生ならご住職も許して下さるのではないかなぁ…
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 13:28
◆あやめさん、こんにちは。
 桜の木の下で眠りたい人が、ここだけでもこれほどいらっしゃる
のですから、やはり、多くの桜の下には…かもしれませんね〜

 私の実家の庭の前にも大きく育った山桜の樹があります。
父は『人混みの中花見になんか行かなくたってこの桜がある』
と毎年満足そうに眺めています。 実家のある町も桜の名所
なので、その山桜以外にも家からは沢山の桜を眺められて
本当に綺麗です。 

 学生時代あやめさんの故郷の方へ旅した時、その頃の東京では
薄い色の染井吉野ばかりが目に付いたので、花の色が濃くて美しい
桜だなぁととても印象に残っています。
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 13:43
◆丹人さん、こんにちは。
 そうですか〜スッキリ!されて良かったです!^^

 こちらは夜半からの大雨がようやく上がってきたようです。
恵みの雨を受けて、これで気温があがれば一気に開花も進む
でしょうね。 咲けば今度は散るのが惜しい、ほんに桜には
やきもきさせられます。

 陰暦は年によって季節がずれてしまいますが、今年は丁度
如月の望月の夜は良い頃合ですね。 望月の下の夜桜は一層
幽玄の世界…生きている人の魂も飛んでしまいそうですね。
Posted by 山桜 at 2007年03月25日 13:52
o(⌒▽⌒)oははは、さくら〜ん♪♪
大観さんの夜桜、私が子供なら鈍感だから
わかんないって(笑)ふふふ(*^^*)
さくらんらしいコメントだな〜なんて♪
やはり感性がするどい人は違うなo(⌒▽⌒)o
Posted by やゆよ at 2007年03月25日 18:05
◆やゆよん、おはよう。
 やゆよんのコメントを見逃してたよ〜・゚・(つД`)・゚・ごめんね〜

 やゆよん、怖くなかった? ちゃんと屏風二双並んだ所を見た〜??
片方ずつだとイマイチピンと来ないかもしれないよ。
探してみたのでここをクリックしてみてちょ!
http://www.fukuoka-art-museum.jp/jb/html/jb01/2006/taikan/taikan1.html

 普通に見ても篝火が人魂みたいじゃない?
これは相当大観さんも狙って描いていると思うよ〜
Posted by 山桜 at 2007年03月26日 10:10
山桜さんはじめまして!
遊行七恵さんのところからお邪魔させていただきました。
ブログタイトルだけでもとっても素敵だと思いましたが、記事を読ませていただいて、いろんな花や草木、天地に触れ合うことができて幸せを感じました。
冒頭の二宮尊徳の言葉、素晴らしいですね。

ぜひ、お気に入りブログに追加させていただきます。
どうぞ宜しくお願いいたします。

こちらの雅な桜の記事とまではいきませんが、桜関連でTBさせていただきましたので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。


Posted by marimo at 2007年04月03日 01:02
◆marimoさん、ようこそお越し下さいました!
 先程、TB承認時に貴ブログを訪問させて戴きました。
まだTB記事しか拝見していないのですが、とても美しい
写真と思いの籠もった文章が清々しかったです。
 
 お気に入りへの追加も光栄です。ありがとうございます!^^
これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。<( _ _ )>
Posted by 山桜 at 2007年04月03日 10:15
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