2013年11月20日

ひつぢ田

 
 ひつぢ田に紅葉ちりかかる夕日かな   蕪村

DVC00651.jpg

 刈り取り後の田んぼから、再び稲の青葉が伸びてきた様子を「ひつぢ田」と呼ぶのだそうです。 最初に聞いた時には「羊田」と思い込み、
 「なるほど、羊雲のように羊の群れが連なっているようで可愛らしいからかな?」
などと、いつものように早合点。 さて、よくよく考えると、山羊ですらそう見かけなかったであろう昔の日本人が、たくさんの羊が群れている様子を思い浮かべるのは不自然です。 

 季語を調べてみると、「ひつじ田」ではなく「ひつ田」と書かれていました。 「ひつぢ」の漢字は、禾魯(櫓の木ヘンがノギヘン)ですが、意味はどうやら「乾土」「干土」のようで、稲穂を刈った後、水を抜かれて「干上がった田」の様子ということなのですね。

 この写真では、雨の後で田んぼがぬかるんでいるので、厳密にいうと乾土田ではありませんが、そのぬかるみが午後の日差しにきらきらと光り、健気に再生した稲の葉を照らして出している様子が優しげで、暫く見惚れておりました。 蕪村の句の様に紅葉が散りかかるのももうすぐでしょう。
 
ラベル:蕪村 季語 言葉 語源
posted by 山桜 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 俳句・和歌・詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご心配をかけました。昨日退院しました。大腸癌・・・73年分の汚れ物を大掃除してもらったといったところでしょうか。病院では最新式の医学を実感して、先生方や看護婦さんたちに申し訳ないほど大事にしていただいたと感謝しています。又、メールを楽しみにしています
Posted by 山口ももり at 2014年06月11日 10:12
◆ももりさん、ご退院おめでとうございます黒ハート

本当に身体への負担の軽い手術法の進歩はありがたいです。それでも見えない部分の傷の痛みは未だ癒えてはいないのですから、ご主人様に甘えさせて戴きましょうぴかぴか(新しい) とは言え殿方は、どうやら察するのが苦手らしいので、して欲しいことをはっきり伝えるのが吉なのですって。難しいなぁ…と、目下わたくしも痛感中です。
Posted by 山桜 at 2014年06月12日 22:04
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