毎年の彼岸参りの頃、丁度見頃を迎えるエドヒガンの枝垂桜です。
エドヒガンは萼筒が壺型で、プクリと丸い部分の巾が直線の部分より大きくなっています。 東京近郊では、ソメイヨシノより一足早く、その名の通りお彼岸の頃に咲き始め、墓参に訪れる人々の心に春を運んできてくれます。
今や花見の桜の代名詞となったソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの交雑種とみられていますが、その登場以前は野生種であるエドヒガンが花見の立役者だったということです。 長命な桜としても知られ、各地の有名な老巨桜はエドヒガンであることが多いようです。
おお、「日本三大桜」も エドヒガン でした。
・山高神代桜 山梨県 樹齢約2000年
(ヤマトタケルノミコトの東征時のお手植えとされる)
・根尾谷淡墨桜 岐阜県 樹齢約1500年
(蕾の薄紅〜白〜淡墨色と独特の花色の変化がみられる)
・三春滝桜 福島県 樹齢約1000年
(滝桜はエドヒガンの中の紅枝垂と呼ばれる品種)
桜が散ったら急に夏のような日々が続いて、あっという間に森の木々は緑の葉に覆われ、青葉繁れるの頃となりましたね。
根尾谷淡墨桜も、伝説によれば、皇位継承の争いから逃れるために身分を隠して山里で育てられていらした後の「継体天皇」が、山里を離れる時に別れを惜しみ、皇子の産屋跡地にお手植えされたのだそうで、こんな歌が残されています。
身の代と遺す桜は薄住よ
千代にその名を栄盛止むる
(みのしろとのこすさくらはうすずみよ ちよにそのなをさかえとどむる)
正に言霊の通り、千代にその名を栄え留めているのですね〜和歌の力はすごい!