2016年11月01日

サクラソウの花びら一枚って?

 家人が好きな刑事ドラマ、普段は余り興味も無いので何となくぼんやりその場に一緒いてチャチャを入れる程度なのに、この日は事件のキーワードが「サクラソウ」で、天然記念物サクラソウの自生地・田島ヶ原の風景も写り込んだので、ついつい見入ってしまったら・・・

 ええっ、遺体にのこされた「サクラソウの花びらが一枚」って、どういうこと!?

 サクラソウは花の形がサクラに似ているのでその名前を頂いているものの、一枚ずつ花弁が離れている「離弁花」のサクラと違い、花弁くっついて一つの花になっている「合弁花」。 いわば朝顔のようなラッパ型の花の上の部分が5つに分かれている状態なので、花弁が自然に一枚散って残ったり、死の間際にわざわざ一枚だけを綺麗に切りとったりするとは思えない。
 
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我が家の庭に生えている日本在来種のサクラソウ 

 田島ヶ原の風景にも違和感。 緑一色の野原の(他の花が何も咲いていない)通路沿いにだけ綺麗に植え揃えたように一直線にピンク色のサクラソウが並んでいるっておかしいし、花の形、付き方、密度等からして日本在来種のサクラソウではないのでは? 

 流石にアップで写すのは憚られたのかピントを暈してはあったが、あれらはプリムラ・マラコイデスという外来種のようだった。 一番栽培が易しく出回っている品種だが、上の日本在来種のサクラソウとは風情が全く異なるのがお分かり頂けると思う。撮影時に田島ヶ原のサクラソウの開花が間に合わず、園芸店から仕入れて間に合わせたのだろうか?
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プリムラ・マラコイデス (画像は「NHKみんなの趣味の園芸」ページより)
 
 またサクラソウで皮膚がかぶれるエピソードも出てきたが、アレルギーを起こすのは主にプリムラ・オブコニカや先に書いたマラコイデスなどの外来種のサクラソウで、在来種のサクラソウで皮膚炎を起こしたとは、稀にはあるのかもしれないが、私は聞いたことが無い。 
 
 折角、大好きな「サクラソウ」が取り上げられたのに、こんなに雑な扱いをされたことばかり気になってしまった。 この事例に限らず、ドラマや映画等での植物や生物の扱いは、造花が使われていたり季節が合わなかったり鳴声が違っていたり、いい加減なことが気にかかることが多い。 いくら造花のレベルが向上しても、それらが自然界に置かれれ、日の光を浴び風に吹かれれば、人工物だと直ぐに分かってしまう。 背景くらいなら目くじら立てることも無いのかもしれないが、せめてテーマとして取り上げる時くらいは、本物を使い、その無二の特性を大切にして欲しいと思う。
 
 自然と共に生き、四季の移ろいに親しんできた日本人の感性が失われつつあるようで寂しいことだ。
ラベル:サクラソウ
posted by 山桜 at 18:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
は・は・は・・・・おこるのも怒るのも当ったり前でしょう・・・って言う歌もありました。わたし・・・・あの枯れない花って言うのが嫌い。私のごく親しい人、そのお花を教えていまして時々くださるのですけど、いつまでもそのまま・・って・・・捨てるのもどうも・・・息子にお供えしてくださったお花も・・・・ホコリも被ってしまったようで・・・花の命もキりがあるのがいい???人間は・・・う・う・・・・ン・・・これってちょっと哲学的な命題かもね。いろいろ、心配事があるようですね。今井通子さんの本3冊読了。芳野満彦氏の本も・・・ね。
Posted by 山口ももり at 2016年11月07日 08:14
◆ももりさんへ

 東京タワーの近くの病院まで通うのに時間がかかるので、溜まった本を読もうと持参するのですが、万年寝不足で電車の座席に座ると直ぐに眠くなってしまい、なかなか… 今井通子さんのご本ならワクワクして元気になれるかもしれませんね!

 花も人も限りある命だから美しいとはいえ大事な人には少しでも永くと…。

 暗くて気の滅入る今の朝ドラですが、お母様が亡くなった時のことを思い出し、嫁ぐ前の晩だったか姉のゆりがすみれに、

「なくすのが悲しくなるほど大事な人や大切なものがあるいうのが幸せいうんかなって・・・」

と言った言葉だけは心に強く響いて残っています。
Posted by 山桜 at 2016年11月08日 14:25
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