2007年06月09日

花菖蒲・文目・杜若

 6月、いよいよ花菖蒲の季節がやって参りました。
一般的には菖蒲=五月の花のイメージがあると思いますが、例によってそれは旧暦でのことで、新暦では6月初〜中旬が盛りとなります。 又、薬湯としての「菖蒲」湯に使われる植物はサトイモ科の別種であることはご存知の方も多いと思います。 花菖蒲の葉にはあのような香りはありません。 薬草の菖蒲に似て花が綺麗なので「花菖蒲」と呼ばれている訳ですね。

(花菖蒲:6月9日撮影)   
   ? 1933.jpg
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 この下の3種は稀少種らしいです。 真ん中は筑波根といって花が下垂せず、追羽根の形です。 玉宝蓮もこのまま開かない? なんだか最早花菖蒲とは言えないような…複雑な気持で眺めました。

 5月にも花菖蒲に似た花を沢山みかけますが、それはアヤメか杜若の仲間、あるいは外来種の黄菖蒲です。 

 同じ頃に咲く美しく似たような雰囲気の花なので、
「いずれアヤメかカキツバタ?」
と甲乙付け難い美人の例えとして言われますが、見分け方は簡単です。
去年も同じようなことを書きましたが、文字だけで分かりにくかったと思いますので、今年は写真を撮っておきました。

<アヤメ 5月17日撮影
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 アヤメの外花被(下に垂れた花びら)の付け根には網目状のいわゆる
文目模様があります。 これはイチハツ(写真右)にも見られますので、
近い仲間と思えます。 アヤメ、イチハツ、ともに乾燥地に育ちます。


<カキツバタ 5月17日撮影>
        ? 1936.jpg 
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 カキツバタは全体にほっそりとした花びらで付け根の模様は白っぽい
線のみです。 白杜若(写真右)では黄色みを帯びて見えます。
水辺に育ちます。

 そしてアヤメとカキツバタが盛りの同じ5月17日の花菖蒲は…
        ? 1937.jpg
未だ、こんな状態で蕾も立っていませんでした。(手前は狐野牡丹)
花菖蒲もカキツバタと同じ様に、風情が良いので水辺に植えられることが多いのですが、自生地は湿地〜草原で、水辺でなくとも乾き過ぎない土地であれば元気に育ちます。花菖蒲園でも花が終われば水を抜いてしまうことが多いです。 むしろ日当たりが悪い場所では生育不良となります。

 花が咲いていない時は、葉からでも見分けることも出来ます。
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     カキツバタ        花ショウブ
    均一な平行葉脈      真ん中に稜線がある

<野花ショウブ 2010年6月16日 我が家で咲いたので写真追加>
10-06 002.jpg 

 こちらはヨーロッパ原産の黄ショウブです。(5月14日 撮影)
        ?? 1941.jpg
 このような外来種はアヤメやカキツバタと同時期に咲くものが多いので、
判別し辛いかもしれませんが、黄ショウブの葉の真ん中にはちゃんと
稜があることが、この写真でも分かると思います。

 ジャーマンアイリスは文目模様があるのでアヤメに近い仲間でしょう。
ダッチアイリスは、根茎ではなく球根があります。 アイリスの名前は
「虹の女神・イリス」に由来すると言われ、その名の通り、特に園芸種
には様々な色調、混色が見られます。

(6月14日 投稿)

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posted by 山桜 at 00:00| Comment(25) | TrackBack(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
菖蒲は一年に一度だけ
花材としてくることがあります。
これは特殊な花材ということになっていて
(草月流だけかしら)
垂直に立てることと
水切り葉という小さな葉を根本に沿わせる
というお約束があります。

アイリスや花菖蒲には特にそれはないのですから
それぞれの植生にあわせているのでしょうね。
勉強になりました。

イリスは北欧神話でしたっけ?
Posted by 爽子 at 2007年06月14日 22:09
近くの公園の調整池にこの花がありましたが、花菖蒲だったのですね!

アヤメ カキツバタ ショウブ 花菖蒲 ジャーマンアイリス〜、 少しずつ時期をずらして花を楽しませてくれて嬉しいですね。

あした、またじっくり観察してきます!!
Posted by YUKI at 2007年06月14日 22:11
池坊では
花菖蒲、杜若、綾目を活ける際に
それぞれ葉っぱの立て方が違いました
どれがどれだったか忘れましたが
中高、中低、段々
で違いを表現していたようです
菖蒲の花はさすがサトイモ科で
水芭蕉とか坐禅草などに似ていますよね
Posted by 幽黙 at 2007年06月14日 22:38
そかあ〜o(⌒▽⌒)o
お家に咲いていた、ピンク色のお花は
ジャーマンアイリスだったのね〜☆
葉っぱの事も、写真付だとよくわかるよ♪
ありがとうo(⌒▽⌒)o♪
Posted by やゆよ at 2007年06月14日 22:48
昨夜母から電話で・・・
北国の実家ではジャーマンアイリスが見事だそうです。
その後にはあやめ?(って言いますが、本当は花菖蒲かもね〜)が池の周りに咲きます。
詳しく書いてくださりありがとうございます。

名前として使っていますが理解できていません(笑う)
Posted by あやめ at 2007年06月15日 01:12
何ともいえぬ綺麗さです。

 花菖蒲 しぶい色にて 勝負する
Posted by 青い流れ星 at 2007年06月15日 01:42
web画面から飛び出して迫ってくるような、あおあおと綺麗な花色ですね!
黄色も可愛い・・・
紫陽花は見に行きましたが、花ショウブ・杜若はなかなか見に行けないので、ここで見せて貰い、嬉しいです。
あ、難波神社があった・・・
今思い出しました。大阪市内のオフィス街の神社に花ショウブ系を集めたところがあるので、そちらに見に行きます。
Posted by 遊行七恵 at 2007年06月15日 09:51
◆爽子さん、こんにちは!
 菖蒲とかフトイとか直線の美しい生け方は、草月の良さが
特に発揮されるように思います。

 それぞれの花に応じた生け方に日本人の自然観察の目の
確かさが生きていますね! この頃ミクシイをゆっくりと
拝見できていないのですが、爽子さんの生けたお花、拝見
できると嬉しいです♪
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:09
◆YUKIさん、こんにちは!
 今の時期だったら、多分「花菖蒲」で間違いないので、
人に尋ねられても安心ですね^^ でも狂い咲きが無い
とも限りませんので、上記の特徴はちょっと頭に入れて
置くと自信を持って判別できると思います☆
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:11
◆幽黙さん、こんにちは!
 さすがお茶とお花の先生のお家に育たれた幽黙さんですね!

  ショウブ 中高
  カキツ 中低(ひ)く
  アヤメ 段々
 
 だったでしょうか…う〜ん、あまりに遠い記憶でアヤフヤ

 でも、中=花と見れば、これは正に咲いている時の様子そのもの
ですね。 (カキツバタの咲いている全体像の写真を追加して
載せて置きました。)

 サトイモ科のショウブの花、私は今まで苞が無いとばかり思って
いましたが、今確認したら苞が葉っぱと同じ緑色なので目立たない
だけで、ちゃんと付いていたのですね! お蔭様で又一つ勉強です^^
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:27
◆やゆよん、おはよう!
 ジャーマンアイリスって驚くほど豪華な品種があるよね!
日本のアヤメの仲間と比べると、和服とドレスの美しさの
違いのようなものを感じるよ〜 特に上に立つ花びらが立派
でヒラヒラ〜なのを見ると、ハプスブルグ家からフランスへ
嫁いだマリー・アントワネットの派手な羽飾りを思い出しちゃうなぁ…
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:40
なんとなく早い時期のはアヤメかな〜程度にしか区別のつかない私ですが、詳しい解説ありがとうございます。

杜若はいわゆる細面の美人というところでしょうか。

アヤメか杜若、なんてどちらでもいいから譬えられてみたいものです^^;
Posted by みかん at 2007年06月15日 11:49
◆あやめさん、こんにちは!
 そうでした! 東京基準で書いてしまうと、南北の地方
の方々の月々の季節感とは、ズレてしまいますね〜
ゴメンなさい(‐‐;)

 あやめさんはちゃんとアヤメのお写真を使ってらして
流石分かってらっしゃる〜と最初に思いましたよ〜☆⌒(*^∇゜)v

 どんど晴れの大女将さんのお茶会のお道具は随分と派手な
ものが並んでましたね〜もっと良く見たかったぁ! 
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:51
◆青い流れ星さん、沢山のコメントありがとうございます!
 花菖蒲は野性の「野花菖蒲」の園芸品種ですけれど、
なんと言っても、元々のやや赤みがかった濃紫色の花が
最高に美しいと思います。 花菖蒲の中では、2段めの真中
上が濃紫下が白の「清月」が好きです♪

 花の名は 勝負尚武と 勇めども

             眺むる人の 心和めり   (山桜)
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 11:59
◆遊行七恵さん、こんにちは!
 花菖蒲と蛍の見頃は短いですから、お見逃しなく〜( ^ 0 ^ )/
私は今夜こそ、蛍を見に行きますよ〜!と忘れぬように
宣言しとこう♪

 細々と美術館などにも行っているのですが、全然書くのが
追いつきません。 七恵さんの湧き出でるエネルギーを是非、
私めにも注入してくださ〜い!
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 12:06
◆みかんさん、こんにちは!
 別にどの花がアヤメでカキツバタでハナショウブでも
普通は何の問題もありませんものね〜 これは殆ど私の
趣味の世界、好奇心と知りたい病の果ての産物です^^;
(今回、皆さまよりコメントをお寄せ戴いて、生け花の
世界では大問題なのだということを再認識致しました☆)

 私は純白で清々しい香を放つ「みかんの花」大好きです^^
Posted by 山桜 at 2007年06月15日 12:14
はじめまして、今日はありがとうございました。
アイリスなんですね。あの手の花では一番最初に咲いたように思います。
華道をなさっているのですね。
花菖蒲は解るのですが区別が付かずああだこうだとコメント欄が賑わいました。
ありがとうございました。また覗いて教えてくださいね。
Posted by すず at 2007年06月15日 18:14
花菖蒲が見事ですね。
ただ、、、山桜さんにレンズを向けられた花々・・・
恥ずかしかったのではないでしょうか?心持ち、、
赤くなっているように感じます!

ブロクにありがとうございます。感謝です。m(_ _)m
Posted by 鎌倉とんぼ at 2007年06月16日 09:37
美しい花々・・・なんとも、絵には出来ない色彩です。私のブログに「ブラディメアリ」ってカクテルのこと書いてくださり感激!!!その方のことは一向に知らないもんですから。それにしても山桜さんの博覧・・・本当に尊敬します。またまた、書き込んでくださいませネ
Posted by 山口ももり at 2007年06月16日 10:43
 5〜6月の、花の色は移りにけりな・・の様子をお知らせ下さり、
とても勉強になります。有難うございましたm(__)m
 先日大村に行って、満開の花菖蒲を見てきました-☆ 規模も大きく、
171種10万株30万本と謳っていますが、到底見分けられません(ーー;
 明治神宮御苑から江戸菖蒲を、熊本から肥後菖蒲を、今では伊勢菖蒲を
含む3系統があり、これ等の違いは良く分かります。でもその程度?。^;

 山桜さんのブログはとても判り易くて、観賞するにも美しくいつもうっとり。。
 
Posted by 飛翔 at 2007年06月16日 15:58
◆すずさん、ようこそお越し下さいました。
 お花を習っていたのは結婚前のことで、今はお茶のお稽古を
やっと始めたところなのですよ〜(*^^*)>
でも植物が好きなので、茶花のことなどを調べるのもとても
楽しいのです♪ ご縁が出来て嬉しいです。 また遊びに
いらして下さいね!
Posted by 山桜 at 2007年06月18日 09:27
◆鎌倉とんぼさん、おはようございます。
 この日は「野点」が開かれたり市内の物産が並んだりで
今にも振り出しそうなお天気にも関わらず、大勢の人出でした。
私は午後も予定があったので、駆け足撮影…風が強くて中々
フレーム内に納まってくれず、ピンとも合いにくく焦りました。
花菖蒲たちは呆れて見ていたかもしれません(^▽^;)

 父の日に実家で朝日の夕刊を探して拝見致しました♪
やはり編集室の棚に並んでいたか本当に著者の愛読書なの
かもしれませんね^^
Posted by 山桜 at 2007年06月18日 09:43
◆ももりさん、おはようございます。
 ももりさん、若しかして下戸でしたか? あれ、お酒を
美味しく召し上がったお話を書いてらしたような…?
カクテル系が苦手?? 

 ブラディメアリやももりさんの首刈り?写真に触発されて、
オトギリ草の話を書いてしまいましたよ〜^^; 
Posted by 山桜 at 2007年06月18日 09:55
ブラッデイーメアリって甘くないんですって??そうでしょうねえ。甘いような話じゃありません。歴史って、読めば読むほど人間が怖ろしくなります。このブログは色々美しいお花を一杯アップしてらして、心が慰められます。いつも楽しみにしています。
Posted by 山口ももり at 2007年06月18日 09:59
◆飛翔さん、おはようございます。
 171種10万株30万本ですか! 大規模ですね〜
こちらは昔はもっとびっしり素晴らしく咲いていたのですが、
近年大掛かりな整備をしてからというもの、なかなか株が
充分に復活して勢いづいて来ていないように思います。

 将来を見越しての整備ということでしたが、一度人間の手が
入った後、以前の環境が戻るまでに必要な年月の長さを思い
知らされました。 

 私も全ての品種名なんて分かりませんし、メモをとる暇も
なくて、殆ど写真だけになってしまいごめんなさい!
来年は系統ごとに分けて品種名も付けて…な〜んて^^;
Posted by 山桜 at 2007年06月18日 10:06
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