「桜、見に行くか?」
といって、いつも通り長い足ですたすたと前を歩き振り返りもせず、私はひたすら速足で追いすがっては、はぁはぁしながら、あれやこれやと話しかけていました。
桜追い 君追い歩く 花霞 (山桜)

でも、喋りながら歩くというのは、彼にとっては既に厳しいことだったのです。 聞き流しているのか、返事がしんどかったのか、一方通行の会話でした。 どんな気持ちでこの日の桜を見ていたのでしょう。 何を考えているのかなぁ・・・と、いつもいつも背中を追ってばかり。

パスワードでロックされたスマホに残る彼の撮った桜を見ることは、もう出来ません。 私の写真を撮っていてくれたかも分かりません。 肩にかけていたこのバッグ、よく見たら、この1月、私に、
「これ、使っていいよ。 お、カッコイイじゃん」
と言って渡してくれたものでした。 今年は私が肩にかけ、一緒に桜を見に行きましょう。
さくら=バラ科は肥料、酸素、水分を欲しがるので、特に水辺に向かって枝垂れるように枝を伸ばしているのを見ると、土の中の根も同じように縦横無尽かつ貪欲に、色んなものを求めて伸びまわっているのだろうと、ゾクッとします。
有名になって人が押し寄せ根元が踏み固められると、みるみる生気を失っていくので、最近は根元を垣で保護されている老木も多いですね。
やはり桜が咲いたとなれば落ち着かない気持ちになります。 ご主人様も出掛けるのは面倒と思いつつ、桜を愛でられて嬉しかったことでしょう。 出来ることは躊躇しないこと、大切と思います。
昨日、主人のICカードの払い戻しをしたら、3月1日までの定期券付き。 ちっとも電車に乗れていなかった期間の定期が残っていたなんて・・・すぐに治って使う積りだったのでしょう。 もう、何につけてもウルウルで困ります。