
ふわりふわ〜りと風に乗って優雅に舞うアサギマダラを見かけると、時間を忘れて目で追ってしまい、近くの花で翅をゆったりと閉じたり開いたりしながら吸蜜を始めれば、思わずカメラに捉えたくなります。

今の時期のお好みの花は、このアザミ、フジバカマの仲間のヒヨドリバナ、ハグマの仲間などキク科が多いようです。 まぁ、もともと秋はキク科の開花が多いのですけれど、小さな花がたくさん集まって一つの花のようになっているので、まるで蜜壺がいっぱい並んでいるのと同じで吸蜜効率が良さそうです。 知能が高そうなアサギマダラなら、その辺も考えてるかもしれません。 甘い蜜に辿りついてウットリとしているのか、例によって全く害がなさそうな阿呆に見えるのか、少しぐらい近づいても飛ばずにいてくれます。

ステンドグラスに例えられる美しい翅を惜しげもなく広げて見せてくれ、感動です! 黒い縁取り枠の中の浅黄色(やや緑を帯びた水色)は、長旅に向くようにか鱗粉が少ないので透明感があります。


逆光を浴びると、向こう側の翅も透けて見えるのが良くわかります。

夏〜秋の季節の変わり目、産卵に向けての婚活中なのか集まって来た沢山の個体に巡り合えました。 気を付けていると、割に身近にいるものです。 上のようなグラウンドの横、こちらのような高く伸びあがった蔓の先、下のような陰樹のアオキの茂みでもお日様が当たっていれば翅を休める姿を見ることが出来ます。


【アサギマダラ/浅黄斑】タテハチョウ科
分布:全国(九州以北) 遠距離を旅することで知られる
越冬は関東以西(幼虫の食草の一つキジョランの分布域)
幼虫の食草:ガガイモ科の植物(含有するアルカロイド系毒素を身に貯める)


キジョランの葉裏にぶら下がったこの鈍く光る塊が、アサギマダラの蛹です。 10月下旬にはそろそろ蛹から羽化〜成虫の時期も終わり、産卵〜幼虫で越冬の時期となり、再び成虫の飛翔に会えるのは3月の後半となります。

カシワバハグマの花の蜜にストローを延ばし夢中になって吸っています。 長旅で傷めたのか、向こう側の前翅の先がボロボロになって欠けています。 こうして近づいてみると、体の部分もまだら模様にになっているのが分かります。 幼虫〜成虫まで同じような模様なのは、結構珍しいのではないかしら。

アサギマダラの旅の記録を取るために翅に採集地名が書かれています。 研究の為とはいえ、やはり痛々しく感じます。 何か別の方法はないものでしょうか。

アップにしてみると、そのヒラヒラのんびり滑空しているような姿からは想像できない、鋭い眼差しにギクリとしました。 やはり日本全国を旅して回る内に数々の試練を乗り越えてきたのでしょう。 先日見たツマグロヒョウモンたちのちょっとおどけた目(失礼)とは、段違いの侍のような気迫を感じました。。
あの優雅な飛び方にしても、鱗粉までも削り落とし、疲れない省エネを追求した果てに手に入れた姿なのでしょう。 天地の理に学ぶことは、どんなに学んでも学びきれず、果てしなく続く道です。

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イモイモのキジョランの食べ方も独特です。
昔の人は渡りについて観察していて、スクナヒコナ様にイメージをあてたような気がしています。
吸蜜のとき、よく見るとお尻を振っています。
歌ってるようです。
キジョランはガガイモ科、ガガイモの実の莢と言えば、スクナヒコナノミコトの乗って来られたアメノカガミノフネ、蛾の皮を身に纏ってらしたし、また粟の穂?にポ〜ンと弾き飛ばされて空を飛んでいかれた話やガガイモの綿毛付きの種がふわ〜り飛んでいくことなど、何だかいろいろイメージが重なるね!
う〜ん、何だかまた大好物の話になって、俄然面白くなって来たなぁ♪
どんどん吸えばお尻ももぞもぞしてくるんだろうね、ふふっ
御地の方がぐっと温暖な気候なので、アサギマダラも住みやすそうですね。 それでも旅をする理由は…?
養蚕信仰についても少しずつ。
庭のキジョランがヘクソカズラ、カラスウリと絡み合って榎の高いところに伸びてジャングルです。
虫さんたちには大変住みやすいようです。
そういうひらりんしか描けない漫画、どんどん描いていって欲しいなぁ
キジョランの実も成ってる? あれが弾けて中の綿毛つきの種が飛んでいく瞬間を見てみたいなぁ それって、繭から蛾が飛び立つ姿にも似ているよね。
おめでとう! お互いまた年を重ねましたなぁ 歳が増えていくのが嫌だったけれど、もう歳をとることが出来なくなった人のことを思うと、元気でその分も生きていかねばと思います。
虫たちの観察は、植物以上に時間がかかるので、自由な時間が増えた今、ついついのめり込んでしまいます。 まぁ、以前でもよく『好きだねェ』と呆れられるぐらい見てはいたのですが、こうしてブログに載せる時間は流石になかったのです。