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カラスウリの花は、夕刻に咲いて朝には萎んでしまうのですが、こちらキカラスウリの方は花弁の質も厚めで翌朝まで綺麗な白い花を開いたままでした。 カラスウリの繊細なヴェールには敵いませんが、夏の日差しにも負けない力強さがあります。



【キカラスウリ/黄烏瓜】 ウリ科




横から見れば、花の下の子房の膨らみが雌花であることを教えてくれます。 ここの花は全部雌花ばかりでしたので、蔓をたどれば一本の株なのかもしれません。 キカラスウリもカラスウリも雌雄異株です。
葉の質も、やはりカラスウリに比べると厚めで照りがあり、力強い感じです。
烏瓜が朱色の実を付けるのに対して、キカラスウリは名前の通り、黄色くて烏瓜の4倍程ある大きな実を付けます。
一番似ているようで似ていないのは中のタネの形で、カラスウリのタネは「打ち出の小槌」「玉梓」「バターロール」「カマキリの頭」などと様々に形容される変わった形をしていることは、古くからの拙ブログ仲間はよくご存じの事と思います。
地中の塊根からとれるデンプンをかつては「天花粉」といって、汗疹止めなどにはたいて使っていたそうです。 祖母は未だ、シッカロール(和光堂ベビーパウダーの商品名)のことを天花粉と呼んでいたのを覚えています。
しかし3年ほどこの道を通って観察していますが、一度も実がなったことがありません。 近くに雄花が咲いていないのでしょう。 どこかで実をみつけたら、タネを採って近くに播いてみようかなぁ…
カラスウリが「天花粉」だとは知りませんでした。子供の頃よく使っていました。懐かしい(笑)
祖母の言う「テンカフン」は、きっとタルカムパウダーのことなんだろうなとは思っていましたが、それがキカラスウリの塊根のデンプンとは、その頃は思ってもみませんでした。
塊根自体を乾燥させたものも生薬なので、薬効もあるのでしょうね。 カラスウリの塊根なら我が家に庭にもいっぱい埋まっているんですが、とても大きくてビックリします。
たしか・・・誰かの句
行水の 子をうらがえし 天花粉
その代わりに外来種の「アレチウリ」が猛威を振るっています。
カラスウリは、雌株と雄株が近くに生えていて花粉仲介役のスズメガの仲間などがいてくれると、可愛い実が鈴なりにぶら下がってくれます。
行水の 子をうらがえし 天花粉
子供をかわいがり大切にしている親の手の優しさが伝わってきます。 粉をはたいてくれていたのは母でしょうに、何故だか亡くなったばかりの父を思い浮かべてしまいました。
ウリ科ではアレチウリ、ナス科ではワルナスビ、どちらも棘が鋭くて、猛烈な繁殖力で厄介な嫌われ者ですね。 小さい内に抜いてしまうのが一番ですが、人の手の届かない所に生えているのはお手上げです。 余程厳しい世界を生き抜いてきたのでしょう…それに比べて日本の植物のやさしいこと。
人の世界では外来をどうこういうのはご法度ですが、植物界では共存できない種にはご遠慮願いたいものです。