2021年05月12日

イボタノキ(水蝋樹、疣取木)

 子供の頃読んだ小説の中のライラック(仏名 リラ)の名の響き、紫色の花と香りに憧れて、何度か庭に植えてみたものの、東京の夏の高温に負けて上手く育ちませんでした。そのライラックを接ぎ木する台木にもなるイボタノキの方は、鳥の落とし物からの実生が放って置いても元気に育っています。台木に選ばれるだけある、流石の生命力です。

イボタノキ(水蝋樹、疣取木)モクセイ科イボタノキ属 2021.05.06
イボタノキP5061514.JPG
 白い花をブドウの房のように垂れ下げて咲き始めていました。芳香があると聞くのですが、鼻を近づけても良く分からないのです。風に乗ってふんわり香るタイプなのでしょうか。

<2021.05.19 追記>
 今にも降り出しそうな空の下、どうしてもイボタノキの花の香りを確かめたくて出掛けたのです。幸い未だ、蕾も沢山で無数の花を咲かせていました。そして、遂に、イボタノキの花の香りが確認出来ました!

 スイカズラのように遠くからでも気付くような強い香りではなく、鼻を近づけてやっと分かる品の良い香りです。思うに、今日のこの湿度が香りを際立たせたのではないでしょうか? 梅雨時に咲く花ですので、そういう香りのスイッチがあるのかもしれません。

イボタノキP5061516.JPG
 花だけ見たら、同じモクセイ科のギンモクセイにも似ています。丸めたお餅の先を切り分けたような花びらの厚みに惹かれます。

イボタノキP5061513.JPG
 蕾は、やはりモクセイ科のネズミモチにも似ていますけれど、葉はずっと小さく細長い楕円形、伸びた枝に平面的に密に対生するので、一見羽状複葉のようにも見えてしまいます。葉の先は丸いか少し窪んでいることが多く、やや菱形で先がツンと尖ったミヤマイボタと区別出来ます。

イボタノキP5061518.JPG
 この大株の葉先は尖り気味ですが、細い楕円形なのでイボタノキだと思います。

 イボタとは、疣取が転化した名前とされ、この木に付くイボタロウカイガラムシ(イボ太郎ではなく、疣取蝋貝殻虫)が分泌する蝋物質を集めて溶かし漉し、疣に塗って取るという民間治療があります。 

 この蝋は、ハゼノキから採れる「木蝋」に対して「水蝋」と呼ばれ、蝋燭の材料の他、家具のツヤ出し、敷居の滑り、刀剣の錆止め等に今も用いられており、通販で買うことも出来ます。

 イボタノキを見かける度に、そのイボタロウカイガラムシが着いてないかと探すのですが、未だに見つけたことがありません。先に見つけた人が綺麗に削り取っていってしまうのでしょうか。役に立たない貝殻虫なら、梅やミカンの木から取り切れない程みつかるのになぁ


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posted by 山桜 at 14:25| Comment(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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