青葉の上に咲きそろう真っ白なヤマボウシの「花」を、比叡山から駆け下りてくる山法師の白装束に見立てたものと言うのが名前の由来とされています。真ん中の丸い部分がお坊さんの頭ですかね。
高木であることが多いので、このように「花」を近くで上から間近で見られる場所は貴重で、春先の芽吹きの頃から観察を続けていました。この写真では未だ薄緑色ですが、白い花弁の様に見える部分は、中央の小花の集まりを包む総苞片です。今が盛りのドクダミと同じ花のつくりです。
「本当の花」は、とても小さくて中央に多数集まって(頭状花序)咲いています。綺麗に咲いているのを見逃してしまうことが多いのですが、今年は一輪だけ、花弁が残っているものに出会えました。他の花たちはめしべの柱頭を残して花弁は無くなってしまっています。
薄黄緑色の花弁が4枚、真ん中に雌しべ、雄しべは本当は4本有るはずですが、落ちてしまったようです。やがて実が赤く熟すとキイチゴのようにくっついて一塊の果実のようになります。柿とマンゴーが合わさったような甘くて美味しい果実です。
春先から、冬芽から花芽が膨らんで開花するまでの様子を追って来たので、ご紹介しますね。
2021.03.26 枝の先に未だ固いタマネギ型の花芽が沢山付いています。
2021.03.26 / 2021.04.02
タマネギ型の花芽の芽鱗が割れて、中から葉と未だ小さな総苞片に包まれた蕾の塊が覗き出しました。
2021.04.02
蕾と総苞片は未だ眠ったままのようで、葉っぱがムクムクと伸びて芽鱗を押しのけていきます。
葉と葉柄が芽鱗を弾き飛ばすと、ようやく総苞片も段々と伸びて花弁のようになっていきますが・・・
2021.04.03 / 2021.04.22
最初は薄緑色で葉に近い感じですね。
2021.05.09
芽鱗が割れてから、一ヶ月以上もかかって未だ黄緑色ですが、ようやく「花」らしい姿になりました。すっかり真っ白になるには未だ数日かかります。
ヤマボウシの樹肌。 ナツツバキやリョウブのように樹皮が剥がれ落ちて模様が出来ていることが多いです。 アメリカヤマボウシとも呼ばれる近縁のハナミズキは、ザラッとした縦シボで、花芽は、もっと腰の張ったタマネギ型、芽鱗がないのでツヤがありません。
同じミズキ科のミズキの葉は、キアシドクガの食害を壊滅的に受けているのを見ますが、ヤマボウシは今の所大丈夫のようです。やはり、流石、「山法師」の防衛力は強いのかもしれません。
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