2021年05月21日

紫雲のようなセンダンの花

 「夏は来ぬ」の歌詞に出てくる「オウチ」がこの花です。関東では寺社や公園で稀に見かける位なので、センダンが「夏は来ぬ」の花と言われてもピンと来なかったのですが、4年前、大阪の淀川の河川敷に無数に生え咲き誇っているのを見て「昔の日本の季節感は関西が基本なんだな」と納得しました。

センダン(栴檀 別名: オウチ、アフチ(楝))センダン科センダン属 2021.05.19
センダンP5191692.JPG
 紫色の霧霧立ちこめる・・・という風情は何物にも代えがたく、短い花期を見逃したくない花です。左のラクウショウの優しい若緑色に映えますね。

2021.05.20
センダンP5201725.JPG
 手をいっぱいに延ばして枝に近づいてみました。

センダンP5201722.JPG
 核ばかりで余り美味しくないのか、最後の最後まで鳥(ヒヨドリ、ムクドリが多い)も食べず、万一の為に取っておく保存食のように残っている白い実なのですが、なんと去年の実が茶色くなって残っていました。他の実が豊作で出番が回ってこなかったのかな?

センダンP5201760.JPG
 薄紫色の花弁の真ん中に濃紫の部分があって、このツートンカラーが美しい紫の雲を醸し出しています。

センダンP5201727.JPG センダンP5201776.JPG
 花を間近に見られる枝があったので開花を楽しみにしていたのですが、不心得者に持ち去られたようで、仕方なく落ち花を拾って観察。花弁5枚の真ん中の紫色の筒状のものは花糸が合着したもので、「花糸筒」若しくは「雄しべ筒」と呼ばれています。

 神社の境内にある栴檀に、最近「双葉より芳しの栴檀です」という札が下がり、訂正しようもなく見なかったことにしています。その芳しい栴檀は白檀のことで、日本のこのオウチは微かな香りしかありません。ただ、薬効あり、材も美しく、人々を助けてくれてきた木なのは間違いありません。

 葉も2回羽状複葉という繊細で美しいものですが、又の機会として、今は花の美しさを愛でて下さい。


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posted by 山桜 at 22:31| Comment(4) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 卯の花 匂う岸辺に、ホトトギス早やも来啼きて〜(^^♪
”おうち”は4番目の歌詞だったでしょうか? 確か
佐々木信綱氏の作詩ですね。
 こちらは4月の終わりから花が咲き始め、連休には満開に。爽やかな初夏の風をはらみ、ゆさゆさ揺れていました^^
 5枚羽のプロペラの様な花が散り敷いているさまも綺麗です。
Posted by メダカの目 at 2021年06月01日 16:56
◆メダカの目さんへ

 九州ではそんなに早い開花ですか。GWでは「夏は来ぬ」な感じではなさそうです。やはり歌詞は関西基準なのですね。

 耳で聞いて覚えた歌詞を歌集で初めて文字で追ったとき、あちこち間違っていたことに気付きました。

「忍びて漏らす」だと思っていたのは「忍び音漏らす」だったり、「お家」は「楝」だったり・・・

 散り敷かれた落花が痛々しくて、踏まないように歩くのは大変です。
Posted by 山桜 at 2021年06月01日 22:22
 こんばんは。
大変失礼いたしました。
🎶卯の花の 匂う垣根に…でした@@;
確かめもせずにうろ覚えであちこち書き込み、ウッカリ間違ってしまいました。どうかお許しを-人-;
Posted by メダカの目 at 2021年06月01日 23:35
◆メダカの目さんへ

 流石メダカの目さん、自然の中の卯の花の様子を良く知ってらっしゃると思いました。歌詞も歌っている内に、いつしか自分の馴染みの風景に変化していることってありますよね。

 丁度、そのような卯の花の写真を撮ってありましたので、載せましたよ〜♪ 没になる所だった写真を蘇らせてくださり、ありがとうございます。
Posted by 山桜 at 2021年06月02日 11:30
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