ノカンゾウ(野萱草 別名 紅萱草)ワスレグサ科ワスレグサ属
花は一重咲き。ユリの花に似ていますが、花被片(花弁と花弁そっくりの萼片)の基部は合着し筒状になっています。根は鱗茎ではなく、一部が紡錘状に膨れた太い根が束生しています。
湖の縁の斜面で気持ちよさそうに風に吹かれていました。萎んで垂れ下がった花を見ると、基部が合着して筒状になっているのが分かりますね。ユリの花被片はくっついているように見えても、バラバラです。
ヤブカンゾウ(藪萱草 別名 忘れ草、鬼萱草)同科同属
花は八重咲き。雄しべ雌しべが花被化していて種は出来ません。若芽も花も蕾(金針菜)も食用になるので、人の手で株分けされて増えたと思われます。中国に八重咲きで無いマカンゾウがあることから、有史以前に中国から八重咲きが伝わったものと考えられています。
このように藪萱草は、人里中心に増え、野萱草より馴染みの花だったのでしょう。「わすれぐさ」という古名で万葉集にも詠われています。
忘れ草 我が下紐(したひも)に付けたれど
醜(しこ)の醜草(しこくさ) 言(こと)にしありけり
(大伴家持)
(身につければ嫌なことを忘れられるという「忘れ草」を下紐に付けてみたけれど、名前ばかりでちっとも効かないじゃないか憎らしい草め)
野萱草も食用になります。ただ、葉は少し細く花も小さめなので、食べるのだったら藪萱草の方が人気だったのかな。私は一重でスッキリした野萱草の方が圧倒的に好きですけれど、以前にキャンプ地で分けて貰えたのは、やっぱり藪萱草でした。
!この下の写真は小さな虫がいっぱいです!苦手な方はご注意を!
キスゲフクレアブラムシ
ただ、蕾や花に、このアブラムシがびっしり付いていることがあるのが玉に瑕。有翅型は薄いオレンジ色、無翅型は白いロウ質の粉を分泌して纏っています。
属名のヘメロカリス Hemerocallis は、へメロ=一日、カリス(カロス)=美、と言う意味で、英語ではDay-lily、一日花の特徴を現わしています。
但し、先日、FIT(森林インストラクター東京会)の講習会で、田中肇先生より(同じワスレグサ(ヘメロカリス)属の)「ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)は二日間咲いていることを確認しています」とのお話があったそうです。この事実を広げて欲しいということなので、講習内容は通常、許可無く書きませんが、ここにも書きました。
夜につぼんでまた翌日咲いたのか、開きっぱなしだったのかは、私は講習に出ていないので確認していませんが、身近なノカンゾウ、ヤブカンゾウの花はどうなのか、花に印を付けて確認してみようと思います。
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森林インストラクターとは頼もしい。
山歩きはなかなかできないけど、植物や鳥を観察することは大好き。
また、今日のノカンゾウ、ヤブカンゾウはぴったり今の季節の花。
リアルで見たいものです。
ありがとうございました。
狭山丘陵の探索もよろしくお願いいたします。
ノカンゾウが沢山咲いていた場所は、以前はヤマユリの群生地だったのですが、すっかり消えてしまいました。
膝をダメにして遠くの山へ行けず、近場の良さに目覚めています。これからも宜しくお願いいたします。