2021年07月12日

ノカンゾウ と ヤブカンゾウ

 青草の茂る季節、その中でオレンジ色の花はとても映えます。

ノカンゾウ(野萱草 別名 紅萱草)ワスレグサ科ワスレグサ属
ノカンゾウP6302359.JPG
 花は一重咲き。ユリの花に似ていますが、花被片(花弁と花弁そっくりの萼片)の基部は合着し筒状になっています。根は鱗茎ではなく、一部が紡錘状に膨れた太い根が束生しています。

ノカンゾウP7032466.JPG
 湖の縁の斜面で気持ちよさそうに風に吹かれていました。萎んで垂れ下がった花を見ると、基部が合着して筒状になっているのが分かりますね。ユリの花被片はくっついているように見えても、バラバラです。

ヤブカンゾウ(藪萱草 別名 忘れ草、鬼萱草)同科同属
ヤブカンゾウP7032539.JPG
 花は八重咲き。雄しべ雌しべが花被化していて種は出来ません。若芽も花も蕾(金針菜)も食用になるので、人の手で株分けされて増えたと思われます。中国に八重咲きで無いマカンゾウがあることから、有史以前に中国から八重咲きが伝わったものと考えられています。

 このように藪萱草は、人里中心に増え、野萱草より馴染みの花だったのでしょう。「わすれぐさ」という古名で万葉集にも詠われています。

 忘れ草 我が下紐(したひも)に付けたれど 
   醜(しこ)の醜草(しこくさ) 言(こと)にしありけり
                    (大伴家持)

 (身につければ嫌なことを忘れられるという「忘れ草」を下紐に付けてみたけれど、名前ばかりでちっとも効かないじゃないか憎らしい草め)

 野萱草も食用になります。ただ、葉は少し細く花も小さめなので、食べるのだったら藪萱草の方が人気だったのかな。私は一重でスッキリした野萱草の方が圧倒的に好きですけれど、以前にキャンプ地で分けて貰えたのは、やっぱり藪萱草でした。

!この下の写真は小さな虫がいっぱいです!苦手な方はご注意を!

キスゲフクレアブラムシ
ノカンゾウP7032634.JPG
 ただ、蕾や花に、このアブラムシがびっしり付いていることがあるのが玉に瑕。有翅型は薄いオレンジ色、無翅型は白いロウ質の粉を分泌して纏っています。

 属名のヘメロカリス Hemerocallis は、へメロ=一日、カリス(カロス)=美、と言う意味で、英語ではDay-lily、一日花の特徴を現わしています。

 但し、先日、FIT(森林インストラクター東京会)の講習会で、田中肇先生より(同じワスレグサ(ヘメロカリス)属の)「ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)は二日間咲いていることを確認しています」とのお話があったそうです。この事実を広げて欲しいということなので、講習内容は通常、許可無く書きませんが、ここにも書きました。

 夜につぼんでまた翌日咲いたのか、開きっぱなしだったのかは、私は講習に出ていないので確認していませんが、身近なノカンゾウ、ヤブカンゾウの花はどうなのか、花に印を付けて確認してみようと思います。


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posted by 山桜 at 10:44| Comment(2) | 山野草木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
玉井人さんのブログから飛んできました。
森林インストラクターとは頼もしい。
山歩きはなかなかできないけど、植物や鳥を観察することは大好き。
また、今日のノカンゾウ、ヤブカンゾウはぴったり今の季節の花。
リアルで見たいものです。
ありがとうございました。
狭山丘陵の探索もよろしくお願いいたします。
Posted by へこきあねさ at 2021年07月12日 16:33
◆へこきあねささま、ようこそお越し下さいました。新しいお客様をお迎え出来、心ウキウキ、とても嬉しいです。

 ノカンゾウが沢山咲いていた場所は、以前はヤマユリの群生地だったのですが、すっかり消えてしまいました。

 膝をダメにして遠くの山へ行けず、近場の良さに目覚めています。これからも宜しくお願いいたします。
Posted by 山桜 at 2021年07月12日 17:03
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