2021年08月11日

オニドコロの雄花と雌花

 オニドコロは、ヤマノイモの仲間で根は苦くて食べられないけれど、狭山丘陵では圧倒的に多く見られます。単にトコロと言えばオニドコロのことを言い、または、食べられないヒメドコロ等の横に這う根茎を作る仲間の総称としても使われていたようです。

 狭山丘陵の向こう側の「所沢」という地名も、トコロが多く生えている沢の意味で、「となりのトトロ」が「トトロ〜!」とか「グワ〜ッ!」とか雄叫びを上げるのを聞くと、地中のオニドコロの力を集めた叫びのようにも思えてしまいます。

 「野老」と書くのは、彫り上げた根茎に鬚根が沢山生えているのが、おじいさんの髭のように見えたからとか。腰の曲がった「海老」と同様、長寿の縁起物としてお正月に飾る地域もあるそうです。

 雌雄異株で、雄株・雄花の方が花も多数で目立ちますが、果実がなってからは雌株が俄然存在感を増します。葉は丸みを帯びたハート型のことが多く、互生で葉腋にムカゴは着きません。

オニドコロ(鬼野老)雄株・雄花
オニドコロP7272884.JPG
雄花の花序は上に立ち上がり、花粉を飛ばすことにエネルギーを傾けているので、花序の数も花も多く遠くからでも目立ちます。

オニドコロP6262304.JPG
一箇所に複数の花を着けるので、こんもりとして見えます。

オニドコロP6262305.JPG
平開した6つの花被片と完全な雄しべが6つあります。

オニドコロ 雌株・雌花
オニドコロP7272946.JPG
雌花の花序は垂れ下がり、花序数も花数も雄花よりずっと控えめです。必要最低限の果実を実らせることに集中し、省エネに徹しているのでしょう。

オニドコロP7232953.JPG
よく観ると、既に雌花の下には3つの翼のある子房が見えます。花序は下垂しますが、花は開花につれて上向きになります。

オニドコロP7232955.JPG
どうせ実ったら重みで垂れ下がるので、初めから雌花序は下垂させておくのかな。生き抜くのは大変なことですから、何でも省エネで効率よくですね。

オニドコロP7232952.JPG
こうなると、未だ緑色ながら、あの見慣れた三つの翼がある果実の姿です。種が実ること3つに爆ぜた翼を鼻にくっつけて遊んだ方もいらっしゃるでしょう。途絶えさせたくない草遊びの一つです。秋になったら身近な子供の鼻にくっつけるか、嫌がったら自分で着けて見せてやって下さいね。

 そうそう、東京オリンピックのエンブレムをデザインされた方は「野老さん」で、千葉県に多い名前だそうです。昨日ファミリーヒストリーに出演されていた「所ジョージ」さんは、所沢出身とのこと。

 それで今日は、何となくオニドコロの事を書きたくなったのかな?


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posted by 山桜 at 17:30| Comment(2) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「トコロ」わがやの生垣に毎年出てきて、そのつど取り除いていますが根が残るので無くなることは無いですね
Posted by 玉井人ひろた at 2021年08月12日 20:23
◆玉井人ひろたさんへ

 髭だらけのおじいさんみたいだという根茎を見てみたいので、若しも引っこ抜いたら、是非、写真を1枚!そしてお正月飾りにしてみてください。

 家の垣根には食べられるヤマノイモがからみついていますが、ムカゴを頂くだけです。根っこは煉瓦の隙間の下なので・・・
Posted by 山桜 at 2021年08月12日 20:47
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