いつの間にか、手が勝手に動いて水面を指さしていた。歩いて来た人と目が合って思わず、
「カワセミのダイブです!」
と声が出た。共感して欲しかったのだろう。
近くの川では時折見かけるが、この池で、しかも目の前を横切り、ハンティングの瞬間を見てあたふたとした私に、
「見られて良かったですね。時々いるんですよ。」
と彼の人は優しく微笑んで下さり、不躾な行動も救われ、落ち着きを取り戻せた。
眼前を通過し着水した地点の距離から見て、右手の大きな花水木の上から、あの遠くの魚を目指して一気に突撃したのだろう。何という視力、なんという決断力。
全身全霊で獲物に向かって文字通り「全集中」していたカワセミには、モタモタ歩く私など眼中に入らなかったのだろうか。私がもう少し早く歩けていたら、被弾したほどのニアミスだったのだ。
いや、カワセミは私の歩くスピードも計算の上、
「イケる!」
と、判断したのだろう。研ぎ澄まされた感覚、必死に生きるとはなんと潔いことか。
痛みに負け、色々なことで自分を甘やかしていた私に、天から「喝!」の一撃だった。

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お叱りでは無くて、励まし?そうならとても嬉しいな。
「目を覚ませ、喝!」
という、かなり厳しめの励ましかも。
読むものの目にも一瞬!
一瞬の瑠璃色の飛礫を思い浮かべて頂けたのなら嬉しいです。
余りにも近くを飛んで行って、一生忘れられない一コマでした。