2022年01月23日

最強草 チガヤ(茅)

 定期的に刈り込まれ、草丈が低く保たれている土手などで良く増えて群落を作り、放置されてススキやセイタカアワダチソウ等の背の高い草が繁茂すると負けてしまったかのように見えますが、不屈の地下茎から強かに盛り返し忽ち再生する「世界最強の草」の称号を持つ植物です。

 その特性を生かし、法面保護に使われています。他の草が刈り込まれた後もしぶとく再生し、草丈は低いものの白い穂を無数に上げて、広い堤防斜面で存在感を光らせていました。

チガヤ(茅)イネ科チガヤ属
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逆光を帯びれば、宇宙に渦巻く銀河系のように輝き

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順光では、ふっと姿を消してしまいます。

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風に煽られ、今しも吹き飛ばされんばかり

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近づけばふわふわの穂には、綿毛の付いた無数の種子

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キラキラキラ・・・1.5p弱程の小さな世界に、こんなにも眩しく美しい神様の意匠が潜んでいました。(種子4o、綿毛1.2oほど)

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お別れを惜しむかのように手を繋ぐ種子たち。次の風がくれば散り散りに・・・

 ここでは刈られて殆ど残っていませんが、葉があればなかなか渋い草紅葉がみられます。

<2022.01.31追掲載>紅葉している葉の写真が撮れたので追掲載します。
2022.01.27
チガヤP1275176.JPG

 茅は「かや」と読めば、茅葺き屋根に使われるススキやチガヤの総称。「万葉集」にも「つばな」の名で歌われるように、古から人々に親しまれてきた植物です。「つばな」「ちばな」とはチガヤの若い花序のことで、口に含むと仄かな甘みがあり子供達の楽しみでもあったそうです。

 葉は葉先が固く鬼をも刺すということで、ヒイラギ同様、魔除けにも用いられ、根茎は「茅根(ほうこん)」という生薬で、利尿・消炎・止血に用いられ、種子の綿毛もかつては止血に用いられたそうです。

 入り込まれて困る場所では厄介な雑草となりますが、四季折々の姿には目を奪われる趣があります。


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posted by 山桜 at 14:24| Comment(4) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「雑草という草はない」とも言われますが、私たち素人は単に雑草、と呼んでしまうような植物がチガヤでしょうか。
のり面保護に使われるとはなんと有用な植物でしょう。それにこの可憐さ。 名前を知るとその植物への敬愛が生まれそうです。
Posted by へこきあねさ at 2022年01月24日 21:15
◆へこきあねささんへ
 実は「最強雑草」と言われているのですが、私は敢えて「雑」の字を抜いて表記しました。

 自分に必要な物邪魔な物は「雑草」と呼んでしまいがちですが、植物からしたら失礼な話しですよね。

 「茅」という文字も、ツンツン上向きに伸びる葉が矛のようだからと聞けば、ウマシアシカビヒコジノカミのような眩しい生命力を感じます。
Posted by 山桜 at 2022年01月24日 22:01
セイダカアワダチソウは丈夫ですが、増えすぎると自らの根が土地を塞ぎ養分が取れなくなり枯れていきます。
その後に生え育つのが萱です。おっしゃる通り、最強の植物です。

ただ、最強なだけに庭に生えだすと、これほど厄介なのはありません
Posted by 玉ヰひろた at 2022年01月25日 19:51
◆玉ヰひろたさんへ
 根っこは丈夫で葉先もチクチク、タネは大量散布・・・お庭や芝生に入り込まれたらえらいことですね。サトウキビに近い仲間との記述もあり、どれくらい甘いのか試してみたいです。
Posted by 山桜 at 2022年01月25日 22:44
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