七十二候の1つ「半夏生(はんげしょう)=半夏生ずる頃」は、嘗ては「夏至から数えて11日目から七夕までの5日間」とされていましたが、現在は「天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日」とされており、毎年7月2日頃となっています。
例年ならば、梅雨の最中に当たり、ジメジメとしてカビが生えたり物が痛んだりしやすくなる季節。「毒が降る」と言われ、この季節が来る前に田植えを済ませないと良い収穫は見込めないと言われている地方もあるそうです。
半夏生ずるの「半夏」とは、「カラスビシャク」という和名のサトイモ科の薬草で小さなマムシグサに似た植物です。これも嘗ては根絶しがたい厄介な雑草と見做されてきましたが、めっきり見る機会が減り、私は見かけると嬉しくなる位です。(但し、私の周りでも未だに繁茂に悩まされている方は多いようで、トンデモナイ!と言われることも度々です。)
カラスビシャク(烏柄杓)生薬名:ハンゲ(半夏)サトイモ科
生薬として用いるのは塊根で、妊婦のつわり止めや健胃薬などに用いられ、昔は農家のお嫁さんやお年寄りの小遣い稼ぎにもなったそうで「ヘソクリ」の別名も残っています。
一方、丁度、6月終わり〜7月初めに掛けて、花の下の葉が数枚白くなって目立ち始めるのが、
ハンゲショウ(半化粧)別名:片白草 ドクダミ科
ドクダミ科で、やはり独特の香りを持っていますが、ドクダミよりは優しく爽やかに感じます。
ハンゲショウはカラスビシャクが先だと思いますが、そこに半化粧と漢字を当てたところが何とも日本的で良いなぁと、水辺に生える半化粧の白い葉が風に吹かれ、涼やかな香りを運んでくると、先人の思いつきに微笑んでしまいます。
この葉の白化はマタタビ同様、花期が終わるとまた緑色に戻ります。ハンゲショウの場合、花弁の代わりに虫を呼び、マタタビは折角の綺麗な花を梅雨に濡らさぬように葉の下に咲かせているので、この下に花が咲いているよと葉を白化して虫たちに知らせているようです。

人気ブログランキング