

「春の七草」の中の「ホトケノザ」は、シソ科のホトケノザではなく、キク科の「コオニタビラコ」のこと。
小学生の時に、そう習ってから、
「本当のホトケノザ=コオニタビラコを見たい!」
そう思い続け、やっと本物らしき姿を見たのは大人になってから、お正月の七草セットの籠の中でした。
勿体ないので七草粥には葉を1枚だけ、残りは庭に植えたのですが、いつの間にか消えてしまいました。野草だからと甘く見ず、きちんと鉢植えにすべきでしたが後悔先に立たず。
ある時、公園内に残っている田んぼの畦を歩いていると、
「やややっ、これこそコオニタビラコでは!?」
やっと、自然の姿を見ることが出来て感動でした。
コオニタビラコ/小鬼田平子 キク科ヤブタビラコ属

田んぼの畦にピタリと丸く張り付いたロゼット(根生葉)の姿は、正に「仏の座」。柔らかで如何にも春の若菜摘み向きの葉です。

この様に、コオニタビラコさまの価値を知らぬ輩に踏まれても、へこたれていませんでした。

舌状花の枚数は8枚前後。これが似た仲間との区別ポイントの一つ。
ヤブタビラコ/藪田平子 キク科ヤブタビラコ属

こちらは林床など、その名の通り藪に生えているヤブタビラコ。全体にモサっと茂っていて、地面にピタリと張り付いてはいません。

自らも「藪」の一因と化しています。

花のアップを撮り忘れ、果実だけですみません。舌状花は20枚前後とコオニタビラコの倍以上。
この痩果が熟すと中に茶色の種子があるが、タンポポの綿毛状の冠毛がない。これが、ヤブタビラコ属の特徴の一つ。
オニタビラコ/鬼田平子 キク科オニタビラコ属

オニタビラコは一番身近な植物で、アスファルトの隙間からでも逞しく花を咲かせているので、見る機会が多いでしょう。

根生葉の真ん中から長い茎を伸ばした先に沢山の花を散総状に咲かせて美しく目立つ存在です。舌状花は20枚前後。種子には冠毛があり、風に運ばれるので分布域も広がります。
さて、ここまで読んで下さった方は、
「はて?」
と朝ドラの寅子さんのように首を傾げたのではないでしょうか?
コオニタビラコはヤブタビラコ属
オニタビラコはオニタビラコ属
タビラコより大きいからオニタビラコ(ここは分かる)
↓
オニタビラコより小さいからコオニタビラコ(えっ、オカシイでしょ?)
↓
しかも、分類的には、コオニタビラコは、オニタビラコ属ではなくヤブタビラコ属
元々、コオニタビラコこそが、その姿通りに「タビラコ」と呼ばれていたのに、どこでどうしてこうも回りくどい命名になったのか。命名者の身近にはオニタビラコとヤブタビラコだけで、コオニタビラコ(タビラコ)は、命名後に見つけたのでしょうか・・・
コオニタビラコ→タビラコに戻し、ヤブタビラコ属(種子に冠毛あり)→タビラコ属(種子に冠毛なし) にしてくれれば、スッキリするのになぁ
こういうことは、一度決められると変更はされないようで、名前を聞く度に頭が捻れるような気持になります。うううっ・・・

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小さい頃にコオニタビラコ(ホンモノのホトケノザ?)に、そのような思い入れがあったとは、さすが山桜です―
写真や図鑑を見るより、実物に会えれば一目瞭然なのですが、東京では、タビラコ(コオニタビラコ)をみつけるのが難しくなりました。
「本当のホトケノザはコオニタビラコ」
って、呪文のように幼い脳裏に刻みつけられたのは、私だけではないのでは・・・小さい頃の脳の吸収力は計り知れないですよね。孫が出来たら、どんな呪文を・・・って恐いかしら(^^;)?
私、「春の七草」を7種全部食べたかどうかが怪しくなりました。
来年の七草粥までには、オニタビラコを確保したいと思います。
「オニタビラコ」ではなく、「コオニタビラコ」でしたよね!
立派な田んぼに畦もお持ちですから、きっとタビラコ(不本意ながらコオニタビラコ)も生きながらえていることと思います。
ゴギョウ(ハハコグサ)辺りも怪しいですよね(^^;)
「オカシイと分かっていながら変えられない」
って、やはりオカシイですよね?
「コオニタビラコ」を「タビラコ」に戻したい!