2024.05.22
今回のFIT(森林インストラクター東京会)の内部活動
「低山はいかい」は、
「山主さんのお話と金比羅尾根ハイキング」
個人宅の様子等、場所を特定されるような情報はネットにあげぬ約束なので、情報不足の点、ご容赦ください。
サンショウの実 ユキノシタ
トチバニンジン
手入れされた沢沿いを登る
ボランティアNPO代表のお話を伺う
「山の神」と呼ばれている杉でのご神事の跡
コアジサイ
シロシタホタルガの幼虫 ミツマタ
ワサビ田 幹事の話を伺う
ワサビ田は昔のものを伊豆の専門家の協力を得て復元。
我々FITの活動は自然観察会の割合が比較的多いが、もっと森林育成・保全活動にも興味を持って取り組んで欲しいとのこと。東京の林地の抱える問題点を実際に関わってきた方々から伺う良い機会を得られました。
以下、長いですが、今回の活動の主旨を踏まえ、報告担当者が纏め山主さんの確認を得た文書を掲載します。
1. 山主家の林業
鎌倉・室町時代の板碑が残る古い集落100軒の入口。
足場丸太などに使われた短伐期施業であった。
6代前が林地をコツコツ集めたため飛び地が多い。
父の林業を42歳の時から手伝いを始めた。
約10年父と共に、父が亡くなってからは自分1人で管理。
小規模植林地のため伐出費が高くなりすぎ売るのを諦め
「育林業」のみで収入がないので、夫の給与で生活。
採算を考えなければ楽しいのが山の仕事。
育林の山に、ボランティア2団体を受け入れた。
とてもありがたいし、申し訳なくて足を向けて寝られない。
同じ林地に続けて入り10年20年経つと木が育つのがわかる。
とても楽しい時間、癒やされると思う。
2. 東京の林業
東京の山主は1〜2haの小規模山主が多い。
林道・作業道が作りにくく土場まで伐出困難である。
素材生産業者に立木売りするのが通常、架線集材で搬出する。
搬出だけで1㎥当たり15,000円かかるといわれているが、
原木市場での材の価格は、
スギ:9,000円/㎥ ヒノキ:15,000円/㎥ なので合わない。
林業にはたくさんの問題がある。
この辺は育ちにくいので、70年かかる。
途中で相続税がかかるし、見回り経費や固定資産税がかかる。
時を短くすることはできない。時間がかかるのが林業。
出材のコストがかかる。
東京都は理解して補助金を高めに出してくれるが相続税では
立木、幼木に対し課税されるのは理不尽と思う。
災害もある。1986年3月23日大雪、枝に乗った雪が風で
揺さぶられビシビシ折れていき、全体の1/3の木がつぶれた。
整理には3年かかり、見学林地の山の7haに21,000本植林。
20年生まで手がかかる。下刈り、間伐、枝打ち、2回の間伐、
枝打ち。20歳で成人するとホッとする。
戦後復興で材の値が一時期上がった。
そのため昭和36年には丸太輸入を関税なしとなった。
これですっかり日本の林業は成り立たなくなった。
木材自給率は18%まで下がり、今は50%近くまで上がった。
但し、A材(建材)だけではなくC材、D材は燃料、バイオマス
が多く含まれている。
大きな転換期の燃料革命を国も見通せなかった。
今ではこの辺りの山を持っている人は別な仕事を持った。
当地は共有林が1/3と多い。中には数十人が持ち主で、
その中で数人が登記していないケースがある。
手入れもできにくく、ハードルが高く実際的ではない。
森林環境譲与税が交付されているが、イベント優先になって
いるように見える。
配分は山のない自治体にも出ていて使い道が納得できない。
日本の山はほぼ二次林ばかりで手入れが必要。
林野庁は100年200年の計を立て、途中で見直しながら
やってほしい。
将来の姿を想像しながらやっていきたい。
マスコミにも山のことをもっと書いていただきたい。
「山の応援団」を1人でも増やし山の良さを広めてほしい。
炭焼き竈門後 間伐されていない林地
マンネングサの仲間
イボタノキ
(つづく)
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