こんなに分かり易い「苞付き」説が何故にも無い!
やはり「ほおずき」は謎に満ち満ちていた。
先ず、正式和名は「ホオズキ」だが、
「ホオヅキ(ツキ)」「ホウズキ(ヅキ/ツキ)」「ホホズキ(ヅキ/ツキ)」…の表記もある。
単に古文表記と言う意外に、その様に表記される理由が存在するものもある。
そして、この読み・表記が正しいことを裏付ける様な漢字が当てられていない。
酸漿は漢名で、漢方薬名でもある。根や全草に咳止め・解熱・利尿・堕胎作用等がある。
鬼灯も中国名で子供の持つ小さな提灯の意味である。
「古事記」には、須佐之男命(スサノコノミコト)が退治した八俣の大蛇(ヤマタノヲロチ)について、「彼の目は赤加賀智の如くして、身一つに八頭八尾有り…」とあり、原文に付記されている注釈には、「此に赤加賀智と謂へるは今の酸漿(ほほつき)なり」とある。この振り仮名がつけられた時代(今私には不明)には既に「ほほつき」と呼ばれていたことが分かる。
(「かがち」とは蛇の古称であり、赤加賀地とは赤々と燃え鏡の如く光り輝く蛇の目への
形容として用いられたと言う。「かがち」に纏わる考察は吉野裕子先生著「蛇」に詳しい。)
「本草和名」には、漢名:酸漿(さんしょう)、和名:保保都岐(ほほつき)、一名:奴加都岐(ぬかつき)とある。 どうやら「ほほつき」の表記が一番古そうである。
では、「ほほつき」とは一体どんな意味なのだろうか?
子供の頃母に教わりながら、ミニトマトの様なホオズキの中実を良く揉みほぐし、中の種を実の付け根に楊枝で小さな穴を開け少しずつ絞り出した後、良く水で洗って苦味をとり、口に含んで音を鳴らして遊んだことがある。海ほおずきと同じ鳴らし方である。
この遊びから連想して、頬突(ほほつき)だという説がある。
では、「ほうずき」とは?
「大和本草」には、ほうずきの語源として、ホウという臭虫が好んでホオズキの葉を食べるからとある。このホウとはカメムシ類の古名である。これは本当で「ホオズキカメムシ」という名前のカメムシが現在も存在する。
またホオヅキの実が、お盆に飾られる小さな「文月提灯」に似ていることから
「文月(ふみづき)」転じて「ふうづき」→「ほうづき」との説もある。
違う側面から考えると、「ほ」という音は「火」の意味を持つ。「火灯り」である。
赤く色づいた実とそれを被うガクの姿は、まるで「火」の灯った提灯だ。
英名にもChinese lantern:中国風ランタンという呼び名がある。人の思いは世界共通。
「火付き(ほつき)」転じて「ほうづき」とも考えられる。
(つづく…)
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そっかあ。。漢方なのね。
難しい漢字がほうづき?に変化する過程
どんなストーリーがあったんだろう。。。
火付き、いいね!何せあの色は凄い美だと思う。。。
「ほおづき」にもロマンチックなストーリがあるんだなぁ・・・
なんて「頬(杖)つき」ながら読みました。
ホオズキ…こうなってくると、少なくともズキじゃないよね。
ホオヅキと書かなくてはいけない。
漢字名からホオヅキに変わったのではなくて、
ただ同じ植物の漢字名を当てたんだと思うな。
「火(ほ)つき」いいよね〜私もこのイメージ好き♪
triさん
お忙しい中、ようこそお出で下さいました!
「頬つき」ながら…ですか、さすがtriさんロマンチスト☆
何か素敵なホオヅキの絵のイメージが浮かびましたか?