2005年09月26日

蛙の渡りと木犀の香り

 家人リクエストのメニューに必要な食材が足りず、日暮れの森の中を通って
買い物に出た。

 「秋の日はつるべ落とし」、家を出る時には昼の明るさが残っていたのに、
森を抜ける頃には、ポツン・・・ポツン・・・とあるだけの街路灯の明かりを頼りに
しなければならなくなった。

 ここには未だ子供が恐れる闇がある。私も闇は怖い。だからこそ、
矛盾するようだが、五感を研ぎ澄ましながらの緊張を伴う夜の散歩が好きだ。
夜の森には昼には無い姿がある。

 この夕には、蛙の渡りを見た。池から森の中へ、アマガエル程の小さな蛙が
何匹もぴょんぴょんと道を横切って行く。街路灯の明かりのお陰で、何とか踏まずに
交差することが出来た。私もじっと蛙たちを見ていたが、彼らもまた私を横目で
チラリと見据えて森へ去っていった。

 「何ガエルだったろう?」
 そう思って歩き出した時、ふいに懐かしい香りが鼻をかすめた。知っている香り
の様だがどこか少し違う、何の花か浮かんでこない・・・クサギ?・・・は山百合に似た
香りだから違う、クズ?・・・はグレープフルーツの香りを含んでいるから違う・・・

 「金木犀!そうだ、金木犀がそろそろ咲く頃だった!」
 「でも金木犀ってこんな香りだったかな?似てるけど何だか甘い
バニラの匂いがする。」

 鼻をひくひくさせながら匂いの元へ辿り着く。あ・・・銀木犀?いや違う、
薄黄木犀(ウスギモクセイ)だ!
こんな所に薄黄木犀が生えているなんて、もう何年もここに住んでいるのに
知らなかった。同じ木犀の仲間でも、こんなに香りが異なることも初めて知った。

 夜の森の神様、蛙と木犀の夕べにご招待ありがとうございました。


金・銀木犀は日本には雄株しか無いので結実しないが、薄黄木犀だけは雌雄株の
 両方があり、同じ仲間のオリーブに似た実をつける。主に西日本に多いとのこと。
 それにしても、挿し木や取り木で容易に増えるので、雌株を導入し結実させる必要が
 無かったのかもしれないが、ずっと雌株に愛を伝えられない日本の金銀木犀♂が
 不憫だ。)


posted by 山桜 at 12:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 山川・自然観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

「子供が恐れる闇」という表現が素敵です。
いつも五感を研ぎ澄まされているからこその
言葉ですね。山桜さんは六感の持ち主では(^^)
Posted by むろぴい at 2005年09月28日 07:06
むろぴいさん、こんにちは。
第6感は分かりませんが、ご先祖様のことは感じます。
これは、私の中に生きておいでなので自然なことですよね(笑)

Posted by 山桜 at 2005年09月28日 16:09
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