染井吉野の伝染病による衰退が哀しくて次世代を担う品種「神代曙」を、昨日はちょっと残念な感じに書いてしまったのですけれど、今朝、その神代曙が咲いているのを間近で見て来て、ぐっと明るい気持ちになりました。
「神代曙」は「染井吉野」と他の桜との交雑から生まれただけあって、花の形は染井吉野に良く似ています。 咲き始めの方が桜色が濃くまた花びらの中にも濃淡があるので、染井吉野が一色に埋め尽くす風景とは違って、ふんわり淡いぼかし模様が生まれます。



【ジンダイアケボノ/神代曙】
アメリカに渡ったソメイヨシノと他の日本桜との交雑種。 アメリカから日本へ逆輸入された「アケボノ」(日本名「アメリカ」)という品種の枝を神代植物園で接ぎ木して育成中、明らかに違う品種として発見されたもの。 アメリカに移住した日本人同士が結婚して子供が里帰りしたということですね。
少し離れてみると・・・

実際に目で見ると、もっと濃淡模様が出ていて味わいがあります。 ただ、染井吉野のように手を広げた大振りな樹形にはならないようです。 染井吉野は、水辺に手を伸ばすように広がるあの樹形がまた魅力なのですが。


私には、染井吉野にはどこか鎮魂の心が宿っていて、美しいのに寂しいような、時にゾクッと恐ろしいような雰囲気を感じることがありましたが、神代曙はもっと明るく晴れ晴れとした美しさを感じます。
昭和〜平成を生きて来られた今上天皇のご譲位、戦争を知らない世代の新しい天皇陛下の御世が近づく折柄、桜もまた丁度世代交代の時となったのは、必然でしょうか。
そう考えますと「神代曙」とは正に新しい御世の曙を伝えているようで、益々慶賀の至りです。
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