2024年02月01日
懐かしい「夜咄(よばなし)」の茶事
今朝、NHKの朝ドラの続きで「朝イチ」を見ていたら「冬の京都の楽しみ」というテーマの中に「夜咄の茶事」が出てきて、余りにも懐かしくなり、随分前に書いた記事を読み直してしまいました。
「茶の湯」関連の記事は、「ご意見」をいただき多くを非公開にしてしまいましたが、これは特に問題なさそうですし、なかなか経験できない幽玄の世界を知って頂きたく、公開に戻しました。
既に先生がお稽古をされなくなり、私も正座が出来ない膝になってしまい、二度とあの世界に浸ることは叶いそうもありませんが、貴重な体験を何年も続けてさせて頂いたこと、どれだけ感謝しても足りません。
2007年12月23日 お稽古日誌27「夜伽(夜咄)の茶事」
2008年05月06日 石菖(セキショウ)
2008年12月22日 稽古日誌62「夜咄の茶事」
ああ、頂いたコメントの数々も懐かしく有り難く、涙が出そうになりました。皆さま、お元気でいらっしゃるでしょうか・・・。
鎌倉とんぼさんは、神上りされて天にお住まいですね。鎌倉とんぼさん筆の種子が刻まれたKさんの五輪塔を遺してくださり、ありがとうございました。大切に守って参ります。
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2012年08月15日
茶の湯関連の日記について
昨日のお知らせにも書いたことですが、カテゴリー「茶の湯」で検索されていらした方に伝わっていないようですので、改めてこちらにお詫びを申し上げます。
自分なりには、気を配っていた積りでしたが、やはり茶の湯関連で公に書くべきでないことを書いてしまいネット上でご指導を賜り、今も関連記事は概ね非公開になっております。 「茶の湯」や「表千家」で検索してお越しいただいた方々には、ご期待に添えませず大変申し訳ありません。
拙い茶の湯の日誌を書いたことで素敵なお茶の先輩方とご縁を戴くことが出来ましたこと、本当に幸い甚でありました。 今も、こんな私をお見捨てにならず、もう少し閉じられた世界で交流を続けさせていただき有難いことです。
ただ、稽古日誌をきちんと「人に見せられるように」書かなくなってから、ちょっと覚えが悪くなったかも…どうも私は何でも書いて整理して覚えるタイプなのかもしれません。 いえいえその分、体を動かしてより稽古を積めば良いのですよね!
「出来ない理由を挙げるより出来る方法を考えたい。」
「〜したい」だらけで、相も変わらず取り散らかしている私ですが、これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。
山桜 拝
2010年01月16日
四年目の初釜
表千家の初釜のお菓子「常盤薯蕷(ときわじょうよ)」
蒸かしたてホヤホヤの真っ白なお饅頭の中は鮮やかな千年の翠
平成二十二年寅年の初釜を迎えました。
前日の東京は初雪の舞う厳しい寒さでしたが、当日の空は真っ青に晴れ上がりました。 前日(相変わらずの一夜漬けで)着付けの稽古を重ねたので、どうにか一人で二重太鼓も結べました。 駅へ向かう道、和服ですので表向きおしとやかそうに歩いていましたが、心の中は浮き浮きスキップ気分、はやる気持が出て思わずカツーンと小石を蹴ってしまう所がなんとも私らしく…(恥;;)
茶の湯の稽古も早4年め(1月末で3年3ヶ月)を迎えました。
茶通箱のお許状を戴き、あの軟体動物のような滑らかな指の動きに挑戦?中です。
表(流)のお茶は「淡々として水の流れるような」お点前といいます。 今何の所作をどんな風にしたとお客様に気付かれぬ程に自然に何気なく…となるには、稽古の積み重ねしかないのでしょう。 私も海流に漂うイソギンチャク?ヒトデ?いやタコ?の動きを目指して励みます。 あ…あくまでもお客様に「タコ(笑)?」とは思われないように、さり気無く〜^^;ですね。
お干菓子 記念に頂戴した末廣
2009年07月10日
稽古日誌・軸飾
「巻緒の巻き方」
飾物五箇条(軸飾・壺飾・茶入飾・茶碗飾・茶杓飾)のうち、
軸飾の稽古。
【軸飾】
名物・由緒あるお軸(掛物)を尊び、巻いたままの状態で
床に置いて客を招き、正客の拝見の所望に応じる。
・掛物を巻いたまま、外題のある側を正面にして
床の中央、若しくは、下座1/3の所に立て掛けておく。
・席入、挨拶の後、正客より由緒などのお尋ね、拝見の所望が
あれば応じて、掛物竿(矢筈)を持って(薙刀と同じ持ち方)床前へ。
・掛物竿(矢筈)を右横に置く→右手で巻物の下1/3の所を取る→
横に倒し左手で下から持ち直す→右手で巻き緒を引いて解き
→ぐるぐると回して全部解き終われば緒を巻物の後に回し→
左手の小指に緒の端を挟む→掛緒に付いている巻緒の元を下座側
に寄せる→あて紙を外し畳んで右横へ置く。
・床の上で掛物を先ず天の部分だけ広げる→右の風帯を露の部分を
もって上げる→左の風帯を下に伸ばす→右の風帯も下に伸ばす→
風帯の折目を右の上下・左の上下の順に人差指と中指で押さえて
伸ばす→両風帯の下端を少し掛物に挟んで左手押さえ持ちながら
→右手で掛物竿を取り先の金具に掛緒を掛け→床に上がって掛け
→掛物竿は床の右壁に立て掛ける。
・掛物の軸の両端を持ち、壁に添いながら静かに下ろす。
「一文字」などの表具の継目毎に一呼吸休む。
・最後まで広げ終えたら、二巻後に巻き返し→一巻前に巻き返し
巻き癖を直す。
・掛物に曲がりや歪みが無いか確認し、あれば直す。
・当て紙を仕舞い、掛物竿を持ち茶道口へ下がる。
・客の拝見、正客からのお尋ねがあって、正客より、
「大切なお掛物ゆえ、どうぞ巻き納め下さい」との言葉を受け、
そのまま掛け置かずに巻き納める場合は、広げた時の逆の順に
巻いていき、当て紙はせずに(後で水屋で当て直す)上図のように
巻き緒を巻く。
・掛物竿を取り掛物の上に乗せ、竿と巻物を一緒に打ち返して
下題側を上にして(竿は掛物の下になる)から茶道口へ下がる。
掛物: 清風在竹林 前大徳寺 龍門山招春寺・福本積應和尚
花入: 丸木舟
花: 木槿(宗旦)・黄釣舟
茶入: 利休丸壺(写) 仕服: 藤種緞子
薄器: 白漆 竹
茶杓: 青楓 柳生・芳徳寺 紹尚和尚
茶碗: 黒楽 平茶碗 松楽
瀬戸唐津 皮鯨 沓茶碗
主菓子: 朝顔
* * *
5月から溜まっていた稽古日誌をまとめて更新いたしました。
固め撃ちなので、いろいろ不備もありましょうけれど、何はともあれ
宿題をぜ〜んぶ提出したようにスッキリ致しました〜
バンザーイ \(^O^)/ヤッター
2009-05-20 稽古日誌・茶碗飾
2009-05-27 稽古日誌・茶入飾
2009-06-03 稽古日誌・四滴
2009-06-10 稽古日誌・茶杓飾
2009-06-17 稽古日誌・台飾/続き薄
2009-06-24 稽古日誌・数茶
2009-07-01 稽古日誌・糸巻棚
72位位 ありがとうございます
2009年04月22日
稽古日誌「茶カフキ」「廻り花」
先生は、天然忌や利休忌に関連する稽古の中で、供茶と共に七事式の中より幾つかを取り上げて下さるのが常で、春は毎年「茶カフキ」の稽古が定例のようですが、昨年私はスペイン旅行に重なって已む無く欠席してしまい、今回が初の「茶カフキ」「廻り花」体験でした。
何事においても初めてというのは心躍るもので、廻り花用に花も少し持って来てねと頼まれたこともあり、朝からウキウキそわそわと落ち着かずにおりました。 嗚呼それなのに、今日の占いときたら、
「やることなすこと裏目に出ます。 ラッキーワード=謙虚な心。」
ですって。 余計にドキドキしてしまいました…。
【茶カフキ*】
茶カフキ(カブキ)とは、利き酒のお茶版のようなもので、
上林(かんばやし) 竹田(たけだ) 客(きゃく)
の3種類の用意されたお茶(濃茶)を当てていきます。
@試茶・上林を戴く
A試茶・竹田を戴く
B本茶1番の茶を戴く→一の折居*の中に名の書かれた札*を入れる。
C本茶2番の茶を戴く→二の折居の中に名の書かれた札を入れる。
D先に三の折居に残りの札を入れて執筆*(ししつしひつ)に送る。
E本茶3番の茶を戴く
*カフキ: 「歌舞伎」と同じく「傾奇」を語源とすると思われ、数寄の
上を行く数寄な行い、という程の意味でしょうか。
今風に言えば「オタク」的行い?
ともあれ、敢えて「カフキ」とカナで書く所に「傾奇」に走るな
という戒めがあるようにも思えます。
*折居(おりすえ):厚紙で折られた香入。香道の大の折居を用いる。
*札:上林・竹田・客 の三枚にそれぞれ自分の名が書かれている。
*執筆(ししつ): 記録・判定の役をする人
その場で墨をすり、筆で書く
(皆中の客にその書が手渡される)
<覚書>
・茶カフキで用いる自分の名は姓名の名の方。
・出帛紗は試茶、本茶 共に一服め茶のみに添える。
・拝見、お尋ねなどはしない。
・折居は、両の下辺の谷折目に親指を入れるようにして開く。
・無学和尚が七事式の根本を説き遺した偈頌(げしょう)の一つ、
茶カフキ 千古千今截断舌頭始可知真味
遠き古より今も舌先の感覚を截って初めて真味を知ることが出来る
「古い経験も知識も味覚も要らぬ、今この時、
心のままに即断即決、札を投じるべし」
…そんな風にも自分なりに解釈してみました。 私のようにお喋りな人間は、味覚と共に舌禍も截つべきなのでした。
今日のキーワード「謙虚な心」でした。 反省です。
【廻(まわ)り花】
・床には、掛物と竹三重切の花入
・杉木地花台(綴目向こう)に、且座と時と同様に季節の花々を用意。
・正客から順に七事式の方式で入席(扇子は無用)
・亭主、茶道口で花台を膝前に礼(総礼)
・亭主、花台を花入下辺りに置いてから一番下に座り、花所望。
・正客から順に花を入れていく(普通下の段(窓)から)
(前の客の花との調和(色合い・枝ぶり・向き等)も考えて入れる)
・自分の番で全ての窓に既に花がある時、一番長く見た花を揚げ、
その窓に入れる。(その窓に入れた客に揚げ礼をしてから。)
又は、揚げずに枝を加えて変化させても良い。
・いずれにしても花入の修練の場であるので、余り長く迷ったり
弄ったりせず、ここでも潔く即断即決。
いつもの茶室の侘びた花の風情とは趣が異なり、色とりどりの華やいだ雰囲気となりました。 しかし、その華やぎは浮ついた飾り立て等ではなく、一人ひとりの客が、花入だけでなく場の調和、主客の心の調和を図りながら心を込めて入れ繋いだことから生まれた結晶なのだと思うと、より一層美しく心清められる気持が致しました。
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何事においても初めてというのは心躍るもので、廻り花用に花も少し持って来てねと頼まれたこともあり、朝からウキウキそわそわと落ち着かずにおりました。 嗚呼それなのに、今日の占いときたら、
「やることなすこと裏目に出ます。 ラッキーワード=謙虚な心。」
ですって。 余計にドキドキしてしまいました…。
【茶カフキ*】
茶カフキ(カブキ)とは、利き酒のお茶版のようなもので、
上林(かんばやし) 竹田(たけだ) 客(きゃく)
の3種類の用意されたお茶(濃茶)を当てていきます。
@試茶・上林を戴く
A試茶・竹田を戴く
B本茶1番の茶を戴く→一の折居*の中に名の書かれた札*を入れる。
C本茶2番の茶を戴く→二の折居の中に名の書かれた札を入れる。
D先に三の折居に残りの札を入れて執筆*(
E本茶3番の茶を戴く
*カフキ: 「歌舞伎」と同じく「傾奇」を語源とすると思われ、数寄の
上を行く数寄な行い、という程の意味でしょうか。
今風に言えば「オタク」的行い?
ともあれ、敢えて「カフキ」とカナで書く所に「傾奇」に走るな
という戒めがあるようにも思えます。
*折居(おりすえ):厚紙で折られた香入。香道の大の折居を用いる。
*札:上林・竹田・客 の三枚にそれぞれ自分の名が書かれている。
*執筆(ししつ): 記録・判定の役をする人
その場で墨をすり、筆で書く
(皆中の客にその書が手渡される)
<覚書>
・茶カフキで用いる自分の名は姓名の名の方。
・出帛紗は試茶、本茶 共に一服め茶のみに添える。
・拝見、お尋ねなどはしない。
・折居は、両の下辺の谷折目に親指を入れるようにして開く。
・無学和尚が七事式の根本を説き遺した偈頌(げしょう)の一つ、
茶カフキ 千古千今截断舌頭始可知真味
遠き古より今も舌先の感覚を截って初めて真味を知ることが出来る
「古い経験も知識も味覚も要らぬ、今この時、
心のままに即断即決、札を投じるべし」
…そんな風にも自分なりに解釈してみました。 私のようにお喋りな人間は、味覚と共に舌禍も截つべきなのでした。
今日のキーワード「謙虚な心」でした。 反省です。
【廻(まわ)り花】
・床には、掛物と竹三重切の花入
・杉木地花台(綴目向こう)に、且座と時と同様に季節の花々を用意。
・正客から順に七事式の方式で入席(扇子は無用)
・亭主、茶道口で花台を膝前に礼(総礼)
・亭主、花台を花入下辺りに置いてから一番下に座り、花所望。
・正客から順に花を入れていく(普通下の段(窓)から)
(前の客の花との調和(色合い・枝ぶり・向き等)も考えて入れる)
・自分の番で全ての窓に既に花がある時、一番長く見た花を揚げ、
その窓に入れる。(その窓に入れた客に揚げ礼をしてから。)
又は、揚げずに枝を加えて変化させても良い。
・いずれにしても花入の修練の場であるので、余り長く迷ったり
弄ったりせず、ここでも潔く即断即決。
いつもの茶室の侘びた花の風情とは趣が異なり、色とりどりの華やいだ雰囲気となりました。 しかし、その華やぎは浮ついた飾り立て等ではなく、一人ひとりの客が、花入だけでなく場の調和、主客の心の調和を図りながら心を込めて入れ繋いだことから生まれた結晶なのだと思うと、より一層美しく心清められる気持が致しました。
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2009年04月15日
稽古日誌・抱清棚
舞宝夢茶道具店HPより
花散らしの雨を受け桜の花弁は川面を流れて連なり、藤の花の蕾は
ふっくらと膨らんで、春は一足飛びに深まったようです。
抱清棚の稽古でした。
・地板が無いので、水指は運び。 蓋置は竹。
・飾り(置き)残す柄杓は湯返しをせず、竹釘に下げる。
・蓋置は下げた柄杓の柄の横、畳の上。
(柄杓の柄が真っ直ぐ下がるように)
・茶器は中棚。
掛物: 一夜落花雨城流水香
花入: 束綿*(たばねわた) 矢筈花台
花: 金魚葉椿(白花)・華鬘草
香合: 花筏
釜: 釣釜
棚: 抱清棚*(吸江斎好・桐木地)
水指: 瀬戸唐津
茶入: 京・桶谷定一 文茄* 仕服: 雨龍間道
茶器: 山中・塗雪吹「早蕨」
茶碗: 志野・雅山釜 中島正雄
替: 萩「枝垂桜」
茶杓: 花篝(はなかがり) 積應和尚
蓋置:
食籠: 白漆「宝尽」
菓子: 藤重ね
*束綿 真綿の真中を束ねた様子の形(臼をずっと細長くした感じ)
*抱清棚 背面に香狭間*(こうざま)透かしが抜かれ、
左右の板の手前が半月形にえぐられている。
可動式の中棚、柄杓を掛ける竹釘がある。
桐木地(10代 吸江斎好)・杉生地(11代 碌々斎好)
松擦漆(12代 惺斎好)
*香狭間 格狭間とも書く。
壇・台などの側面や唐戸などに施される、
上部は火灯形、下部は椀形の曲線から成る
装飾的な刳(く)り形。
古くは牙象(げじょう)・眼象(げんしょう/げじょう)。
*文茄 文りんと茄子の中間のような形
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ラベル:小棚
2009年01月16日
稽古日誌63「初釜」
初めて一人で着付けをして出かけるとあって、前日から熟睡出来
ずに迎えた朝、歩くのも遅く倍ぐらいかかるかと早めに家を出たら、
いつもと変わらぬ時間で乗車駅に到着、予定より30分以上も早く
目的地の駅に…途中、神社にお参りして、出来る限りゆっくりと
歩いて…と、なんだか時間だけはあっても心は落ち着かないという
チグハグで可笑しな自分でした。
早めに着けたお蔭で大先輩に帯を直して戴けほっと一息の間も
無く、お詰めの任を拝命し、自信の無い和服姿で皆さんの前を行っ
たり来たりすることに…いろんな汗をかきました〜(><)
…と云うことで、今年はとりわけ記憶が曖昧です…(。。;)
思い出し次第追記する事にして、とりあえず覚えている事柄だけ
書き出しました。 今年は松も明けて長くの日となった為、三方
や枝垂れ柳とは別の趣の飾りにされたとのことです。
【本席】
掛物:三玄院*1・長谷川寛州和尚「松樹千年翠」(しょうじゅせんねんのみどり)
香合:京焼 ぶりぶり
炉縁:黒柿
棚:利休形 黒真塗 高麗卓(こうらいじょく)
水指:京焼 木瓜(もっこう)形 青海波宝尽し
茶杓:末広
蓋置:千切(ちきり・ちぎり)= 織機に付けられる糸巻
契りに通じておめでたい
花入:掛 青竹
花:梅蕾枝 紅白椿
床飾:赤べこ
茶入:備前(伊部)金重道明(みちあき) 布袋(ほてい)
仕服:紹智*2金襴(じょうちきんらん)
茶器:輪島 吉田華正(かしょう) 平棗 柳
香合:笠牛(後炭) 香:
茶碗:(濃茶)嶋台茶碗
(薄茶)萩 つぼつぼ 干支茶碗・丑
*1:三玄院
京都紫野 大徳寺塔頭 1589年石田三成・浅野幸長・森忠政
(蘭丸弟)が春屋宗園を開祖とし 建立。
石田三成・森忠政・古田織部・薮内剣仲(紹智)の墓がある。
*2:紹智=藪内剣仲(茶道藪内流初代家元、武野紹鴎の弟子)
【懐石】
飯:白飯
汁:白味噌仕立 餅 蕗の薹 小豆 梅花生麩 辛子
向付:鯛昆布〆 千切り胡瓜・甘酢
強肴:帆立貝紐雲丹和え
煮物:海老しんじょ 椎茸 蓬(よもぎ)生麩 へぎ柚子
焼物:鰤照焼
進鉢(預鉢):鱈真子 里芋 こごみ(薇) 柚子
酢物:独活(うど) 胡瓜 蟹
香物:赤蕪
箸洗:たたき梅干 松の実
(食事の箸を漱いで清め、このあと清酒と海山の幸で千鳥)
八寸:松葉に黒豆 帆立の辛子焼き
清酒:灘「福徳長」
湯桶:湯・湯の子
香物:奈良漬 山牛蒡
(一口ほど残しておいたご飯に湯を注ぎ湯漬けにしつつ、椀を
漱ぎ、香の物で更に表面を綺麗に清め、懐紙で水分を取る)
主菓子:常盤薯蕷(ときわじょうよ)
干菓子:松 鶴亀 有平糖(
昨年の初釜の日誌 ←1クリックで飛べます。
<2009.01.21 *1、*2 作者名など追記>
2008年12月22日
稽古日誌62「夜咄の茶事」
12月17日
平成二十年の締めくくりは「夜咄の茶事」の稽古でした。稽古といっても、本当の茶事に用いるお道具全てが準備され、懐石も先生が全て手作りで用意して下さり、主客役をそれぞれが分担しますが私のようなお味噌(三客)には、緊張の中にも楽しい夕べでした。
前回は短檠しか覚えられませんでしたが、今回は他のお道具の名称も覚えて参りました。 その代わり他のお道具や懐石の献立の記憶が…
【露地行灯】 露地に置く大きな行灯
【足元行灯】 小型の露地行灯
【手燭*1(てしょく)】長い取っ手がついた手に持つ燭台
【小灯(ことぼし)】 主に亭主の点前の手元を照らす小型の燭台
【膳燭(ぜんしょく)】客の懐石膳を照らすやや大きめの燭台
【短檠(たんけい)】 正客の横に備えられた一番大きく明るい油灯台
【雀瓦】 短檠の上段に備える油容れの陶器
【灯心*2】 い草のズイ(芯)で出来た細長いもの。
掛物: 無事是貴人 大亀和尚
利休形丸卓(桐木地)*3
茶碗: 赤楽 「検校*4」写
香合: 織部 拍子木*5
茶杓: 埋火
水指: 瀬戸唐津
盆栽: 石菖*6
主菓子: 木菟(みみずく)*7
干菓子: 雪輪 落ち葉
*1 掛物の前に取っ手側を奥(掛物側)に蝋燭を手前にして置く。客は蝋燭の皿の縁を持ち火を掲げ、上から下へと掛物を拝見する。(掛物と火の距離を出来るだけあけて、燃え移りを防ぐ為)
*2 予め湿しておき雀瓦の油に通して用いる。湿し加減が肝心。
(湿らせすぎると火が点かず、乾くとポロポロ切れ易い)
*3 暗闇での点前がしやすいよう、柱が少なく白っぽい色の棚
*4 「検校」盲目僧侶の最上位 = 暗闇の茶事に因み
(樂家初代・長次郎の代表作「長次郎七種」の一つ。)
(その他は黒樂「大黒」「東陽坊」「鉢開」
赤樂「臨済」「木守」「早舟」 )
*5 夜回りの連想から?
*6 煤煙の臭いを消すと言われる小型の菖蒲(サトイモ科)
*7 夜の鳥
<懐石>
銀杏飯
三つ葉・生麩の汁 白味噌仕立て
梅干し茶碗蒸しの柚子釜
菊・海藻 三杯酢
鱈真子・京人参・ブロッコリー 煮物
銀鱈 柚子味噌漬 焼物
吸物
赤蕪、茄子菊花詰め 香物
箸洗い
お茶時の前: 甘酒
今年の稽古納め: お汁粉
去年の「夜伽の茶事」日誌
「石菖」の記事
←ポチッとクリックの応援、ありがとうございます
平成二十年の締めくくりは「夜咄の茶事」の稽古でした。稽古といっても、本当の茶事に用いるお道具全てが準備され、懐石も先生が全て手作りで用意して下さり、主客役をそれぞれが分担しますが私のようなお味噌(三客)には、緊張の中にも楽しい夕べでした。
前回は短檠しか覚えられませんでしたが、今回は他のお道具の名称も覚えて参りました。 その代わり他のお道具や懐石の献立の記憶が…
【露地行灯】 露地に置く大きな行灯
【足元行灯】 小型の露地行灯
【手燭*1(てしょく)】長い取っ手がついた手に持つ燭台
【小灯(ことぼし)】 主に亭主の点前の手元を照らす小型の燭台
【膳燭(ぜんしょく)】客の懐石膳を照らすやや大きめの燭台
【短檠(たんけい)】 正客の横に備えられた一番大きく明るい油灯台
【雀瓦】 短檠の上段に備える油容れの陶器
【灯心*2】 い草のズイ(芯)で出来た細長いもの。
掛物: 無事是貴人 大亀和尚
利休形丸卓(桐木地)*3
茶碗: 赤楽 「検校*4」写
香合: 織部 拍子木*5
茶杓: 埋火
水指: 瀬戸唐津
盆栽: 石菖*6
主菓子: 木菟(みみずく)*7
干菓子: 雪輪 落ち葉
*1 掛物の前に取っ手側を奥(掛物側)に蝋燭を手前にして置く。客は蝋燭の皿の縁を持ち火を掲げ、上から下へと掛物を拝見する。(掛物と火の距離を出来るだけあけて、燃え移りを防ぐ為)
*2 予め湿しておき雀瓦の油に通して用いる。湿し加減が肝心。
(湿らせすぎると火が点かず、乾くとポロポロ切れ易い)
*3 暗闇での点前がしやすいよう、柱が少なく白っぽい色の棚
*4 「検校」盲目僧侶の最上位 = 暗闇の茶事に因み
(樂家初代・長次郎の代表作「長次郎七種」の一つ。)
(その他は黒樂「大黒」「東陽坊」「鉢開」
赤樂「臨済」「木守」「早舟」 )
*5 夜回りの連想から?
*6 煤煙の臭いを消すと言われる小型の菖蒲(サトイモ科)
*7 夜の鳥
<懐石>
銀杏飯
三つ葉・生麩の汁 白味噌仕立て
梅干し茶碗蒸しの柚子釜
菊・海藻 三杯酢
鱈真子・京人参・ブロッコリー 煮物
銀鱈 柚子味噌漬 焼物
吸物
赤蕪、茄子菊花詰め 香物
箸洗い
お茶時の前: 甘酒
今年の稽古納め: お汁粉
去年の「夜伽の茶事」日誌
「石菖」の記事
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2008年11月24日
京都茶の湯大百科
多聞さんのブログ「茶書の森」で教えて戴いていたNHKハイビジョン特集
「京都 茶の湯大百科」を見て、わくわくの110分を味わいました。
今日も現在再放送中ですが、再々放送もある予定ですので見逃してしま
われた方は、ビデオ予約してでも是非お楽しみ下さい。
NHK BSハイビジョン(BS・衛星放送の3チャンネルです)
本放送 :2008年11月23日(日) 19:00〜20:50
http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/
*再放送 :NHK-BShi 2008年11月24日 16:05〜
*再々放送:NHK-BShi 2008年12月 1日 14:00〜
取り急ぎ、おしらせのみにて失礼します。
感想などは追って書けましたなら…
◆追記◆
12/1 「茶の湯大百科」
12/2 「西本願寺御影堂平成大修復」
12/3 「桂離宮」
12/4 「15代楽吉左衛門」
NHK BSハイビジョン 午後2:00〜3:50 再放送があります。
詳しくは本文中にある番組HPのURLをクリックしてご覧下さい。
「京都 茶の湯大百科」を見て、わくわくの110分を味わいました。
今日も現在再放送中ですが、再々放送もある予定ですので見逃してしま
われた方は、ビデオ予約してでも是非お楽しみ下さい。
NHK BSハイビジョン(BS・衛星放送の3チャンネルです)
本放送 :2008年11月23日(日) 19:00〜20:50
http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/
*再放送 :NHK-BShi 2008年11月24日 16:05〜
*再々放送:NHK-BShi 2008年12月 1日 14:00〜
取り急ぎ、おしらせのみにて失礼します。
感想などは追って書けましたなら…
◆追記◆
12/1 「茶の湯大百科」
12/2 「西本願寺御影堂平成大修復」
12/3 「桂離宮」
12/4 「15代楽吉左衛門」
NHK BSハイビジョン 午後2:00〜3:50 再放送があります。
詳しくは本文中にある番組HPのURLをクリックしてご覧下さい。
2008年11月17日
御家名物「村雨」茶壷
以前の日記(http://yamasakuran.seesaa.net/article/28674965.html?1287707031)で、私の拙い写真で紹介した「村雨」の茶壷の図録写真がありました。 もやっとしていた姿がよりはっきりとお分かりになると思います。
↓クリックすると大きくなります。
文字が小さくて読みにくいのですが、来歴には、足利将軍家→秀吉→家康→井伊直政…とあります。
同じ日に、長次郎の黒楽茶碗「寿老人」
永楽の金彩茶碗
三輪休雪の萩茶碗
も拝見したのですが、かさかさに干からびたような「寿老人」の痛々しさばかり気になって、勿体無くも他のお茶碗の記憶が霧の中・・・
「寿老人」は一体どのくらいの年月、お茶を点てられることもなく仕舞われていたのでしょう。 『喉が渇いた』と訴えているように思えてなりませんでした。 あれから何方かの手に渡り、ゆったりと潤い寛いでいることを願うばかりです。
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ラベル:茶壷
2008年08月05日
藪内家・涼を楽しむ
昨年、表千家の朝茶で盛り上がりました、NHK教育TVの「趣味悠々」、
今年は、
「茶の湯 藪内家 涼を楽しむ 入門編」です。
本放送 毎週月曜日 夜 10:00〜10:25
再放送 翌週月曜日 昼 12:30〜12:55
番組HP http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/chanoyu.html
番組は藪内流十三代・藪内紹智お家元、直々のご案内で始まります。
藪内流は初代・剣仲より脈々と受け継がれる「武家の茶」。
古田織部から譲られたという門の脇には錘付きの通用門がついており、
ガタタタ…と重々しい音を出して来客を知らせます。
青竹の馬つなぎ、織部好の「延べ段」と呼ばれる5mもある長い刀形石
と大小の石の組み合せによる敷石など、随所に「武家」風が漂います。
秀吉も腰を掛けたという腰掛待合の貴人席、小袖三枚で交換したと
いう「三小袖石」、利休より譲られた茶室「雲脚」、足元を照らす為に
低く埋め込まれた「織部灯篭」など貴重な文化財も画面を通して拝見
することが出来ました。
進行役は、NHKの若手男性アナウンサー、爽やかな好青年です。
毎回ゲストが登場するようですが、初回は、藪内家の露地を長年に渡り
守っていらっしゃる中根史郎氏でした。 手水鉢の水が温まらないよう、
桐などの葉を被せたいう逸話に、水指の葉蓋のお話を思い浮かべました。
そうそう、一つ思い出しましたので追記しておきます。
露地草履、靴下の方用に鼻緒がなくサンダルのように前がクロスした
形の草履が用意されていました。 初めて拝見しましたが、スーツの
男性等には親切な、現代的配慮と思いました。
次週、第二回は「涼をみつける」です。
毎週月曜日、「あんどーなつ」に加えての楽しみが増えました。
その後に続く「知る楽しみ・神になった日本人」シリーズも
見逃せません。 (詳細は↓の日記に続きます。)
昨日、見逃された方、上記のように再放送がありますので、是非!
←ポチッとクリックの応援、ありがとうございます
一時19位までしましたが、現在また26位辺りにヒュ〜〜ッ涼しいで〜す
今年は、
「茶の湯 藪内家 涼を楽しむ 入門編」です。
本放送 毎週月曜日 夜 10:00〜10:25
再放送 翌週月曜日 昼 12:30〜12:55
番組HP http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/chanoyu.html
番組は藪内流十三代・藪内紹智お家元、直々のご案内で始まります。
藪内流は初代・剣仲より脈々と受け継がれる「武家の茶」。
古田織部から譲られたという門の脇には錘付きの通用門がついており、
ガタタタ…と重々しい音を出して来客を知らせます。
青竹の馬つなぎ、織部好の「延べ段」と呼ばれる5mもある長い刀形石
と大小の石の組み合せによる敷石など、随所に「武家」風が漂います。
秀吉も腰を掛けたという腰掛待合の貴人席、小袖三枚で交換したと
いう「三小袖石」、利休より譲られた茶室「雲脚」、足元を照らす為に
低く埋め込まれた「織部灯篭」など貴重な文化財も画面を通して拝見
することが出来ました。
進行役は、NHKの若手男性アナウンサー、爽やかな好青年です。
毎回ゲストが登場するようですが、初回は、藪内家の露地を長年に渡り
守っていらっしゃる中根史郎氏でした。 手水鉢の水が温まらないよう、
桐などの葉を被せたいう逸話に、水指の葉蓋のお話を思い浮かべました。
そうそう、一つ思い出しましたので追記しておきます。
露地草履、靴下の方用に鼻緒がなくサンダルのように前がクロスした
形の草履が用意されていました。 初めて拝見しましたが、スーツの
男性等には親切な、現代的配慮と思いました。
次週、第二回は「涼をみつける」です。
毎週月曜日、「あんどーなつ」に加えての楽しみが増えました。
その後に続く「知る楽しみ・神になった日本人」シリーズも
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昨日、見逃された方、上記のように再放送がありますので、是非!
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2008年03月26日
お稽古日誌36・利休忌
(3月19日のお稽古)
千家茶道の始祖、抛筌斎利休宗易の命日は天正19年2月28日ですが
(旧暦から新暦へ換算し)表千家では、「ひと月送り」として、
新暦3月27日に利休忌の行事が催されます。
(裏千家・武者小路千家では「ひと月遅れ」として3月28日。)
利休忌には、利休の画像等を掛け、縁の菜の花をお供え*1します。
そして先ず、茶湯(ちゃとう)*2を供え(供茶=くちゃ)、一同で薄茶を
いただき、利休の遺徳を偲びます。
また「七事式」の中の「廻り花」「茶カブキ」などを行ない、茶の湯の道に
精進する姿を以って供養と致します。
3月と4月のお稽古は、この利休忌に因んだことを少しずつ分けて
教えて戴きます。 今日は先輩による供茶と茶通箱*4のお点前を拝見し、
私は四方棚で薄茶のお点前、最後は総飾りで終えました。
茶巾の絞り方がどうもおかしいようで、今一度、おさらいです。
利休さんの遺偈は決意を秘めたとても力強いお言葉で、きりりと
気持が引き締まる思いでした。 抛筌斎の号にもこの意志が感じられ
ます。
<覚書>
掛物: 利休像 遺偈(ゆいげ)
人生七十 力圍希 咄
吾這宝剣 祖仏共殺
提(ひっさぐ)ル我得具足の一太刀
今此時そ天に抛(なげうつ)
天正十九仲春
廿五日 利休宗易居士
(花押)
花入: 胡唐 曾呂利
花: 菜の花
棚: 利休形*3 四方棚(桐木地角有)
茶器: 利休形 黒大棗 仕服: 利休梅
茶碗: 天目茶碗
茶杓: 利休形 牙
菓子: 桜(本来の利休忌のお菓子は「朧饅頭」。)
*1「菜の花」
秀吉の命により利休が自刃された時の床に飾られていたと伝わる。
利休忌が済むまでは菜の花は用いない慣わし。
通常は縦長の掛物と一緒に飾る場合、掛物と花入が重ならない
ように飾るが、仏事の場合は供花なのでこの限りではない。
*2「茶湯」「供茶」
仏前への供茶の際は、天目茶碗・天目台を用い、先に茶碗に注いだ
湯の中に抹茶を落とし、茶筌で点てずにそのまま供える。
(神前への「献茶」の際は、茶筌で点てて献上します。)
*3「利休形」
歴代の家元のお好みの道具は「○○好み」と呼称されるが、
利休好みは、別格で「利休形」とされる。
*4「茶通箱(さつばこ)」
客が「特別な茶」を持参した時に行う点前。
箱の中には格上の茶入に客の茶、小棗に亭主の茶。
この2種類の濃茶が供される。
←ポチッとクリックの応援、いつもありがとうございます
千家茶道の始祖、抛筌斎利休宗易の命日は天正19年2月28日ですが
(旧暦から新暦へ換算し)表千家では、「ひと月送り」として、
新暦3月27日に利休忌の行事が催されます。
(裏千家・武者小路千家では「ひと月遅れ」として3月28日。)
利休忌には、利休の画像等を掛け、縁の菜の花をお供え*1します。
そして先ず、茶湯(ちゃとう)*2を供え(供茶=くちゃ)、一同で薄茶を
いただき、利休の遺徳を偲びます。
また「七事式」の中の「廻り花」「茶カブキ」などを行ない、茶の湯の道に
精進する姿を以って供養と致します。
3月と4月のお稽古は、この利休忌に因んだことを少しずつ分けて
教えて戴きます。 今日は先輩による供茶と茶通箱*4のお点前を拝見し、
私は四方棚で薄茶のお点前、最後は総飾りで終えました。
茶巾の絞り方がどうもおかしいようで、今一度、おさらいです。
利休さんの遺偈は決意を秘めたとても力強いお言葉で、きりりと
気持が引き締まる思いでした。 抛筌斎の号にもこの意志が感じられ
ます。
<覚書>
掛物: 利休像 遺偈(ゆいげ)
人生七十 力圍希 咄
吾這宝剣 祖仏共殺
提(ひっさぐ)ル我得具足の一太刀
今此時そ天に抛(なげうつ)
天正十九仲春
廿五日 利休宗易居士
(花押)
花入: 胡唐 曾呂利
花: 菜の花
棚: 利休形*3 四方棚(桐木地角有)
茶器: 利休形 黒大棗 仕服: 利休梅
茶碗: 天目茶碗
茶杓: 利休形 牙
菓子: 桜(本来の利休忌のお菓子は「朧饅頭」。)
*1「菜の花」
秀吉の命により利休が自刃された時の床に飾られていたと伝わる。
利休忌が済むまでは菜の花は用いない慣わし。
通常は縦長の掛物と一緒に飾る場合、掛物と花入が重ならない
ように飾るが、仏事の場合は供花なのでこの限りではない。
*2「茶湯」「供茶」
仏前への供茶の際は、天目茶碗・天目台を用い、先に茶碗に注いだ
湯の中に抹茶を落とし、茶筌で点てずにそのまま供える。
(神前への「献茶」の際は、茶筌で点てて献上します。)
*3「利休形」
歴代の家元のお好みの道具は「○○好み」と呼称されるが、
利休好みは、別格で「利休形」とされる。
*4「茶通箱(さつばこ)」
客が「特別な茶」を持参した時に行う点前。
箱の中には格上の茶入に客の茶、小棗に亭主の茶。
この2種類の濃茶が供される。
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2008年02月06日
稽古日誌31「小間」
「咲き分け」
溶け残った雪の為か午後より雪?の天候の為か、今年一番と思える
寒さの中、白い息を吐きながらお稽古に向かい、先生のお宅の玄関を
カラカラと開けますと、ほうっとしっとりした暖気に包まれて…
ああ、懐かしい祖母の家の匂い…胸がきゅっとしました。
この日は、初めての小間でのお稽古。 四畳半程の茶室に七名の弟子
と先生、総勢八名が膝を交えて睦まじく楽しいお稽古となりました。
体が近づくだけで不思議と親近感もまた一段と増すものですね
とは言え、お点前をする側になりますと、皆さんの目が目がとても
近くて、あれよあれよと言う間に緊張度が急上昇 口の広いお釜から
の湯気とあいまって、幾筋もの汗が流れ流れて参りました。
初めての筒茶碗の扱いにも戸惑って、わ〜ん、泣きそうと思ったら
本当に目に汗が入って、まるで涙目に! 筒茶碗をしっかり掴んで
湯こぼししなければいけないのに、手は汗々で濡れていて滑るし
それはもうシドロモドロになってしまいました
前半の浮き浮き後半の汗々で、エネルギー消耗の激しい?
お稽古でした〜(た、魂が。。。)
筒茶碗・絞り茶巾のお点前は来週、冷静に覚えて(来られるかな?)
から書くことにします。
舞い始めた粉雪がどんどん激しくなり、思わずフードを被って家に
戻り、鏡を見たら・・・まるでエスキモーいえイヌイットの人でした
<覚書>
掛物: 「多福」
花入: 備前? うずくまる*
花: 白梅・白侘助・一子侘助(濃紅)
香合: 福枡(枡の中にお多福さんで「福増す」)
薄器: 雪吹* 「こぼれ梅」
茶碗: 筒茶碗 替: 雪笹
茶杓: 佐保姫
*うずくまる(うずくまり)
人が火の傍でほっこりと背を丸めて蹲ったような形の掛花入。
*雪吹(ふぶき)
蓋甲部が平らで縁に面取があり、胴の腰(底部)の縁にも同様な
面取のある薄器。
茶の湯では「吹雪」ではなく「雪吹」と記すならいです。
その由来として、薄器の上下に同じ様な面取がある形を、ふぶきの
中では天も地も 分らなくなるということを掛けたのだというお話
があります。 若しかしたら最初はどなたかがうっかり書き間違え
それをまた見事に生かされたのかもしれませんね。 このような
遊び心が随所に散りばめられていて、それを少しずつ折に触れては
知っていくのも茶の湯の楽しさの一つです
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2007年12月23日
お稽古日誌27「夜伽(夜咄)の茶事」
12月19日のお稽古「夜伽の茶事」
【「夜伽」?「夜咄」?】
「夜ばなしの茶事」として最初に目にしたのは「『夜伽』の茶事」という文字だったと思うのですが、後々出版物などを確認しますと「夜咄」を使ったものが多く、夜伽の方は「よとぎ」と読めば、艶っぽい響きで誤解を招きかねないので、段々と使われなくなったのかもしれません。
「長い夜の慰みにする話」の意味を持つ、お伽話の「伽」の方が私は好きなので、ここでは「夜伽の茶事」と書いておきます。
本来は日没後に開かれる茶事ですが、夜間主婦が家を長く空けるのは、宜しくないので、午後2時半から雨戸を締めての茶事となりました。
【寄付(待合)】
待合で支度を整えた頃、湯気も嬉しい甘酒のおもてなしがありました。もっちりと濃い麹発酵させた甘酒には黒文字が添えてあり、かき混ぜてふぅふぅと熱々を戴くと、優しい甘さが喉から体の隅々までしみわたり、芯からホカホカして参りました。
【迎付】
お迎えにより露地に出ますと、先程は無かった露地行灯が出されており、物珍しさに思わず覗き込んだり触ったり…程なく蹲前で、亭主の
お出迎えです。 正客と亭主が手蝋燭を取り替えるのは、燃えて減ってしまったであろう蝋燭を新しいものとお取り替えする為なのでしょうか?
お互いの炎を交換するという行為には何かもっと深い気持の「交感」があるように思えました。
【席入】
未だ明るい外から潜り入った茶室の中には、闇の中ゆらゆらと灯火が揺れていました。 床の間の前の和蝋燭*の燭台をかざして掛物を拝見、
闇に浮かび上がるお軸の文字には、常よりも力強い迫力を感じました。
櫨(はぜ)の実から作られた和蝋燭の灯りは洋蝋燭とは異なる暖い色調、遥かに明るくも持ちも良いのだそうです。作り方の行程など詳しくは、後掲のHPをご参照下さい。
【短檠について】
炉前に進みますと、蝋燭よりも一段と明るい燈台が目に入りました。「短檠(たんけい)」と言うお道具(上掲の拙いスケッチ・寸ずまり…orz)で、雀瓦という前後に穴のあいた蓋物になたね油が入っており、そこに「い草」の髄(畳表にする表皮を取り除いた芯の部分)を干した長い燈芯の束を浸して燃やしています。短檠は正客の傍らに据えてあり、長い燈芯を順次送り出し、焔を絶やさないようにするのは、正客の務め
となります。
い草の燈芯は予め水に浸して柔らかにしてあるのですが、段々と乾いてしまうと脆く切れやすくなり、このお務めはなかなかのコツがいるのだそうです。 後で燈芯を触ってみますと、発泡スチロールのようなふわっとした弾力がありました。 繊維の隙間が上手い具合に油を良く吸い上げるのでしょう。
【薄茶】
ご挨拶が済むと早々に薄茶が振舞われました。
「夜、寒い中(夜伽の茶事は夜長の寒い時期に行われます)お集まり戴きありがとうございます。先ず何はともあれ、温かなお茶をどうぞ」
の気持から、道具も所作も簡略になっています。
大きな違いで目についたのは、水次ヤカンが水指代わりであること、お点前の位置が炉に正面なこと、お茶をお出しする位置が常より客前近くであることでした。
ヤカンが普段お茶をお出しする位置に置いてある為もありましょうが、少しでも早くという気持の表れでもあるように思えました。又、正客さんの、
「おもあいで(二人分一緒に)」
というお申し出も、一刻も早く皆にお茶を…との配慮からになります。
【炭点前】
次いで炭点前。 亭主が羽箒で炉縁を清め終わるのを合図に正客より炉前に進み出て、お点前を拝見します。(下がる時も羽箒が合図。「羽で招かれ、羽ではける」と覚えました。)
闇に目が慣れてくると、暗くて見えないと思っていたものも段々とよく見えるようになってきます。 しかし、一旦炎を見てしまうと、元の木阿弥に。 視界にできるだけ炎を入れないようにするのがコツと会得しました。)
炭点前の後、香合の拝見が周る頃合で丁度、炉にくべたお香が薫り始めました。 席中を人が動くことにより風がおき、薫りの帯も闇を漂い出すのですね。
【懐石】
「時分どきですので、お凌ぎを差し上げます。」
のご挨拶で懐石が供されました。 油火や蝋燭火だけの薄暗がりの中で食事をするのは、三宅島で台風に遭遇、停電した時以来のことで、何がどうなるやら期待で胸が高まります。
さ〜て、お膳が運ばれ、お料理に目を凝らしますが、光が乏しいということは、色が殆ど無い世界。 白と黒と灯火の橙色だけ…(そう書いてハタと気付きました! 橙(だいだい)色とは、木に灯る燈の色の意味だったのでしょうか? 深緑の中に柑橘の実がなっている様子は、確かに暗がりの中の灯火に見えますね♪)
流石経験を積まれた先生は良くご存知で、暗がりの中でもよく目立つ「白い」食材を効果的に用いていらっしゃいました。 また、不足する
視覚を補うように、香り・食感・温度などを大切にされていたことにも今、お料理の品々を思い出しつつ気付いて感動再びです。
お酒が何度も廻って参りまして、少しずつ戴いた積りでしたが、ほんのり酔いがまわったようで、私だけでなく皆さん緊張が解けて楽しい打ち解けた気分に…何度も笑い声が上がりました。 本当に夜でしたら、これはイケナカッタのかしらん?
主菓子は「木菟(みみずく)」(特注品でしたので写真は無しです。)目鼻口のあるお菓子は、どこから戴いてよいやら悩みますね。
【中立】
中立で外に出ますと、曇天の上日も傾いていた薄暗い景色が、闇に慣れた目にはとても明るく、まるで雪が降り積もったかのように見え、驚きました。
【後座の席入】
夜間の設定ですので、後座整いの報せは鳴り物は打たず、半東さんの迎えとなりました。 休憩の間にも外は暮色を強め、露地行灯の暖かみ
のある灯りがはっきりと浮かび上がって、一層風情を増しておりました。
常の茶事であれは、後座には花が生けてありますが、夜伽の茶事では花はなく(花色なども良く分らない上に、灯火で花影が伸びて揺れる様子はあまり佳い風情とは言えぬ為)、代わりに「石菖(セキショウ)*」の盆鉢が飾ってありました。 石菖の香りが灯火のにおい消しになると言われているのだそうです。
【濃茶・薄茶】
さてさて、ここまで思い出しつつ書いてきましたが、お酒の所為でしょうか…(^^; 濃茶・薄茶と続くのですが、どうもこの後の詳細があやふやです。
はっきりと覚えているのは、丸卓の上に棗を乗せた棚影が短檠の灯火によって壁に映し出され、市女笠を被ったお姫様の姿がゆらめいているように見えたことです。『あのお姫様は一体どなただったのでしょう…?』そんなことを思いながら、またあの笠の名前は何と言うのだったかを
思い出せずに悶々としながら、ふと遊行七恵さんの所へ遊びに行き、何と一発目にクリックしたタイトルの中にその市女笠姿のお写真が!
「遊行七恵の日々是遊行」12/17『おん祭のパレードを追う』より http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-1001.html
こんなことが度々あるからネットのご縁って不思議で面白いです。春日さんのおん祭と関係のあるお姫様だったのでしょうか…
そうそう、お茶碗など拝見する時に回された三足の燭台は「小灯(ことぼし)」と呼ばれていました。可愛らしい名前です。
茶事の後、お稽古納めの席となり、お汁粉と煎茶をご馳走になり、今日の茶事のこと、今年のお稽古のことなどを振り返り和やかに談笑。最後に初釜へのご招待を戴き、ホッとしつつも新たに気が引き締まる思いで楽しいお席を後に致しました。 来年もお稽古頑張ります!
【帰宅後…】
「家に帰ってからビックリするわよ」と伺ってはおりましたが…本当に鼻の中が真っ黒でした! 煤ってスゴイのですね〜(笑)でも嫌な感じが全くないのは、天然の材料の所為でしょうか?
<覚書>
掛物:「無事是貴人」
茶杓:「埋み火」
菓子:「みみずく」
懐石: 麦飯、とろろ汁、海老入しんじょ・山伏茸の葛あん
南瓜のそぼろ餡、子メロン漬物、蕪の柚子漬
*和蝋燭(飛騨観光協会HP)
http://www.city.hida.gifu.jp/kanko/takumi/warousoku/index.html
*石菖(セキショウ): サトイモ科の常緑多年草。 渓流の縁等に群生。特に根茎に香気がある。 菖蒲湯には元はこの石菖(漢名は菖蒲)を
用いたが、後により入手容易な大型のショウブ(同じくサトイモ科で池沼溝等に群生)を用いるようになった。 花菖蒲や庭石菖はアヤメ科の植物で、葉の形が類似するだけの全くの別種です。
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【「夜伽」?「夜咄」?】
「夜ばなしの茶事」として最初に目にしたのは「『夜伽』の茶事」という文字だったと思うのですが、後々出版物などを確認しますと「夜咄」を使ったものが多く、夜伽の方は「よとぎ」と読めば、艶っぽい響きで誤解を招きかねないので、段々と使われなくなったのかもしれません。
「長い夜の慰みにする話」の意味を持つ、お伽話の「伽」の方が私は好きなので、ここでは「夜伽の茶事」と書いておきます。
本来は日没後に開かれる茶事ですが、夜間主婦が家を長く空けるのは、宜しくないので、午後2時半から雨戸を締めての茶事となりました。
【寄付(待合)】
待合で支度を整えた頃、湯気も嬉しい甘酒のおもてなしがありました。もっちりと濃い麹発酵させた甘酒には黒文字が添えてあり、かき混ぜてふぅふぅと熱々を戴くと、優しい甘さが喉から体の隅々までしみわたり、芯からホカホカして参りました。
【迎付】
お迎えにより露地に出ますと、先程は無かった露地行灯が出されており、物珍しさに思わず覗き込んだり触ったり…程なく蹲前で、亭主の
お出迎えです。 正客と亭主が手蝋燭を取り替えるのは、燃えて減ってしまったであろう蝋燭を新しいものとお取り替えする為なのでしょうか?
お互いの炎を交換するという行為には何かもっと深い気持の「交感」があるように思えました。
【席入】
未だ明るい外から潜り入った茶室の中には、闇の中ゆらゆらと灯火が揺れていました。 床の間の前の和蝋燭*の燭台をかざして掛物を拝見、
闇に浮かび上がるお軸の文字には、常よりも力強い迫力を感じました。
櫨(はぜ)の実から作られた和蝋燭の灯りは洋蝋燭とは異なる暖い色調、遥かに明るくも持ちも良いのだそうです。作り方の行程など詳しくは、後掲のHPをご参照下さい。
【短檠について】
炉前に進みますと、蝋燭よりも一段と明るい燈台が目に入りました。「短檠(たんけい)」と言うお道具(上掲の拙いスケッチ・寸ずまり…orz)で、雀瓦という前後に穴のあいた蓋物になたね油が入っており、そこに「い草」の髄(畳表にする表皮を取り除いた芯の部分)を干した長い燈芯の束を浸して燃やしています。短檠は正客の傍らに据えてあり、長い燈芯を順次送り出し、焔を絶やさないようにするのは、正客の務め
となります。
い草の燈芯は予め水に浸して柔らかにしてあるのですが、段々と乾いてしまうと脆く切れやすくなり、このお務めはなかなかのコツがいるのだそうです。 後で燈芯を触ってみますと、発泡スチロールのようなふわっとした弾力がありました。 繊維の隙間が上手い具合に油を良く吸い上げるのでしょう。
【薄茶】
ご挨拶が済むと早々に薄茶が振舞われました。
「夜、寒い中(夜伽の茶事は夜長の寒い時期に行われます)お集まり戴きありがとうございます。先ず何はともあれ、温かなお茶をどうぞ」
の気持から、道具も所作も簡略になっています。
大きな違いで目についたのは、水次ヤカンが水指代わりであること、お点前の位置が炉に正面なこと、お茶をお出しする位置が常より客前近くであることでした。
ヤカンが普段お茶をお出しする位置に置いてある為もありましょうが、少しでも早くという気持の表れでもあるように思えました。又、正客さんの、
「おもあいで(二人分一緒に)」
というお申し出も、一刻も早く皆にお茶を…との配慮からになります。
【炭点前】
次いで炭点前。 亭主が羽箒で炉縁を清め終わるのを合図に正客より炉前に進み出て、お点前を拝見します。(下がる時も羽箒が合図。「羽で招かれ、羽ではける」と覚えました。)
闇に目が慣れてくると、暗くて見えないと思っていたものも段々とよく見えるようになってきます。 しかし、一旦炎を見てしまうと、元の木阿弥に。 視界にできるだけ炎を入れないようにするのがコツと会得しました。)
炭点前の後、香合の拝見が周る頃合で丁度、炉にくべたお香が薫り始めました。 席中を人が動くことにより風がおき、薫りの帯も闇を漂い出すのですね。
【懐石】
「時分どきですので、お凌ぎを差し上げます。」
のご挨拶で懐石が供されました。 油火や蝋燭火だけの薄暗がりの中で食事をするのは、三宅島で台風に遭遇、停電した時以来のことで、何がどうなるやら期待で胸が高まります。
さ〜て、お膳が運ばれ、お料理に目を凝らしますが、光が乏しいということは、色が殆ど無い世界。 白と黒と灯火の橙色だけ…(そう書いてハタと気付きました! 橙(だいだい)色とは、木に灯る燈の色の意味だったのでしょうか? 深緑の中に柑橘の実がなっている様子は、確かに暗がりの中の灯火に見えますね♪)
流石経験を積まれた先生は良くご存知で、暗がりの中でもよく目立つ「白い」食材を効果的に用いていらっしゃいました。 また、不足する
視覚を補うように、香り・食感・温度などを大切にされていたことにも今、お料理の品々を思い出しつつ気付いて感動再びです。
お酒が何度も廻って参りまして、少しずつ戴いた積りでしたが、ほんのり酔いがまわったようで、私だけでなく皆さん緊張が解けて楽しい打ち解けた気分に…何度も笑い声が上がりました。 本当に夜でしたら、これはイケナカッタのかしらん?
主菓子は「木菟(みみずく)」(特注品でしたので写真は無しです。)目鼻口のあるお菓子は、どこから戴いてよいやら悩みますね。
【中立】
中立で外に出ますと、曇天の上日も傾いていた薄暗い景色が、闇に慣れた目にはとても明るく、まるで雪が降り積もったかのように見え、驚きました。
【後座の席入】
夜間の設定ですので、後座整いの報せは鳴り物は打たず、半東さんの迎えとなりました。 休憩の間にも外は暮色を強め、露地行灯の暖かみ
のある灯りがはっきりと浮かび上がって、一層風情を増しておりました。
常の茶事であれは、後座には花が生けてありますが、夜伽の茶事では花はなく(花色なども良く分らない上に、灯火で花影が伸びて揺れる様子はあまり佳い風情とは言えぬ為)、代わりに「石菖(セキショウ)*」の盆鉢が飾ってありました。 石菖の香りが灯火のにおい消しになると言われているのだそうです。
【濃茶・薄茶】
さてさて、ここまで思い出しつつ書いてきましたが、お酒の所為でしょうか…(^^; 濃茶・薄茶と続くのですが、どうもこの後の詳細があやふやです。
はっきりと覚えているのは、丸卓の上に棗を乗せた棚影が短檠の灯火によって壁に映し出され、市女笠を被ったお姫様の姿がゆらめいているように見えたことです。『あのお姫様は一体どなただったのでしょう…?』そんなことを思いながら、またあの笠の名前は何と言うのだったかを
思い出せずに悶々としながら、ふと遊行七恵さんの所へ遊びに行き、何と一発目にクリックしたタイトルの中にその市女笠姿のお写真が!
「遊行七恵の日々是遊行」12/17『おん祭のパレードを追う』より http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-1001.html
こんなことが度々あるからネットのご縁って不思議で面白いです。春日さんのおん祭と関係のあるお姫様だったのでしょうか…
そうそう、お茶碗など拝見する時に回された三足の燭台は「小灯(ことぼし)」と呼ばれていました。可愛らしい名前です。
茶事の後、お稽古納めの席となり、お汁粉と煎茶をご馳走になり、今日の茶事のこと、今年のお稽古のことなどを振り返り和やかに談笑。最後に初釜へのご招待を戴き、ホッとしつつも新たに気が引き締まる思いで楽しいお席を後に致しました。 来年もお稽古頑張ります!
【帰宅後…】
「家に帰ってからビックリするわよ」と伺ってはおりましたが…本当に鼻の中が真っ黒でした! 煤ってスゴイのですね〜(笑)でも嫌な感じが全くないのは、天然の材料の所為でしょうか?
<覚書>
掛物:「無事是貴人」
茶杓:「埋み火」
菓子:「みみずく」
懐石: 麦飯、とろろ汁、海老入しんじょ・山伏茸の葛あん
南瓜のそぼろ餡、子メロン漬物、蕪の柚子漬
*和蝋燭(飛騨観光協会HP)
http://www.city.hida.gifu.jp/kanko/takumi/warousoku/index.html
*石菖(セキショウ): サトイモ科の常緑多年草。 渓流の縁等に群生。特に根茎に香気がある。 菖蒲湯には元はこの石菖(漢名は菖蒲)を
用いたが、後により入手容易な大型のショウブ(同じくサトイモ科で池沼溝等に群生)を用いるようになった。 花菖蒲や庭石菖はアヤメ科の植物で、葉の形が類似するだけの全くの別種です。
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2007年08月23日
椎の木窯の親父さまのお茶碗
拙い茶碗が届いてウキウキしていたその明くる日、なんと今度は、正真正銘の匠が作られたお茶碗が我が家に届きました。 自作を掲載し、褒めざるを得ないような状況で皆さまのお目汚しをしてしまいました罪滅ぼしに、夢のごとき幸運の降臨、匠の作品をご紹介させて戴きます。
春に出光美術館「志野と織部」展http://yamasakuran.seesaa.net/article/35554366.htmlを鑑賞してきた頃、丁度、椎の木窯の親父さまが「志野茶碗」について書かれた記事を拝見して、不思議なご縁の糸が結ばれました。 そして月日は巡り、遂にこの日、私の掌の中に、椎の木窯の親父さま作の志野茶碗が届けられたのです! 本来ならわたくしのようなものが手にできるお品ではないのですけれど、素晴らしいご縁にただただ感謝申し上げます。 椎の木窯の親父さま、本当にありがとうございました! 心より御礼申し上げます。
雪白の釉薬の上に鉄分を含んだ釉が掛けられていて、ほの淡い赤みがさしています。 まるで朱鷺の羽の色合い…嬉しいご縁が末永く続きますようにとの願いを込めて、
「朱鷺羽(ときは)」
と呼ばせて戴くことに致しました。
しっくりとたなごころに馴染む撫三角になっています。 口縁の厚さ形、唇に触れる質感も優しくて、お茶が一層美味しく戴けます。
地の土の色と釉薬の色合い、高台内外の焼け色も素敵です。 また高台の縁まで削られて味わい深く、手触りの良い作りになっています。見えないような所にも丁寧な手間が掛けられていて、これから使っていく内にも、きっと沢山の発見があると思います。
椎の木窯の親父さまの百寿をお迎えの母上さまは、表千家のお茶を嗜まれるお方で、厳しいご指導からこのようなお茶碗の味わいがうまれたのだそうです。
◇椎の木親父さまのお話◇
私は、母に茶道具を供給する「やけものや」でした。
ですから茶碗は多くの厳しい目に晒されておりました。
形を格好良く演出するよりも、点て易く飲み易い茶碗を目指すように
指導されましたので、私の茶碗はおっとりとしているのです。
茶碗などいくら威張っても茶の道具に過ぎないのですからね。
この気持ちだけは持ち続けたいと思っております。
椎の木窯苞夢頁http://shiinoki-kama.web.infoseek.co.jp/
本当に「ああ、あのお茶碗でお茶が飲みたい」と思うお茶碗です。
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春に出光美術館「志野と織部」展http://yamasakuran.seesaa.net/article/35554366.htmlを鑑賞してきた頃、丁度、椎の木窯の親父さまが「志野茶碗」について書かれた記事を拝見して、不思議なご縁の糸が結ばれました。 そして月日は巡り、遂にこの日、私の掌の中に、椎の木窯の親父さま作の志野茶碗が届けられたのです! 本来ならわたくしのようなものが手にできるお品ではないのですけれど、素晴らしいご縁にただただ感謝申し上げます。 椎の木窯の親父さま、本当にありがとうございました! 心より御礼申し上げます。
雪白の釉薬の上に鉄分を含んだ釉が掛けられていて、ほの淡い赤みがさしています。 まるで朱鷺の羽の色合い…嬉しいご縁が末永く続きますようにとの願いを込めて、
「朱鷺羽(ときは)」
と呼ばせて戴くことに致しました。
しっくりとたなごころに馴染む撫三角になっています。 口縁の厚さ形、唇に触れる質感も優しくて、お茶が一層美味しく戴けます。
地の土の色と釉薬の色合い、高台内外の焼け色も素敵です。 また高台の縁まで削られて味わい深く、手触りの良い作りになっています。見えないような所にも丁寧な手間が掛けられていて、これから使っていく内にも、きっと沢山の発見があると思います。
椎の木窯の親父さまの百寿をお迎えの母上さまは、表千家のお茶を嗜まれるお方で、厳しいご指導からこのようなお茶碗の味わいがうまれたのだそうです。
◇椎の木親父さまのお話◇
私は、母に茶道具を供給する「やけものや」でした。
ですから茶碗は多くの厳しい目に晒されておりました。
形を格好良く演出するよりも、点て易く飲み易い茶碗を目指すように
指導されましたので、私の茶碗はおっとりとしているのです。
茶碗などいくら威張っても茶の道具に過ぎないのですからね。
この気持ちだけは持ち続けたいと思っております。
椎の木窯苞夢頁http://shiinoki-kama.web.infoseek.co.jp/
本当に「ああ、あのお茶碗でお茶が飲みたい」と思うお茶碗です。
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2007年08月22日
山で作った茶碗
この日、奥多摩キャンプ中に作った茶碗が焼き上がって参りました。
初めて作った抹茶茶碗、予想よりは良い感じかな…と思いきや、なんと見た目よりズシリと重いことか! 少しでも軽くなるように薄めを心掛けたのに、私と同じでお尻がドテッと…。
まぁそんな茶碗ですが、お茶を点てて自服してみますと、大きさも手に馴染む形もなかなか按配良く、段々と重さにも慣れて(いいのかなぁ?)愛着が湧いて参りました。 こんな遊びもお茶の楽しみですね。
あの山稜の重なりを望む谷間の里を思い出し「古里」と名付けました。
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初めて作った抹茶茶碗、予想よりは良い感じかな…と思いきや、なんと見た目よりズシリと重いことか! 少しでも軽くなるように薄めを心掛けたのに、私と同じでお尻がドテッと…。
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あの山稜の重なりを望む谷間の里を思い出し「古里」と名付けました。
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2007年04月11日
2007年01月12日
初釜「常盤薯蕷」
表千家の初釜*の主菓子はこちら「常盤薯蕷(ときわじょうよ)*」です。
写真は「京菓子小町」夢菓さんのHPより
http://kyogashi.kyoto-np.co.jp/modules/wordpress1/index.php?p=161
和菓子は「京都・嘯月」さん作です。
http://kyogashi.kyoto-np.co.jp/modules/xwords/entry.php?entryID=31
中は翠色に染めた白小豆の餡、白い皮の薯蕷饅頭*です。
白餡は普通、手亡豆(白いんげん豆)を用いることが多く、この
白小豆から作った白餡はとても貴重なものと言うことです。
外から見ただけでは、まるでただの白い薯蕷饅頭のようですが、
このように割って中を覗けば、まるで常盤の松の翠の上にほっこりと
真白な雪が積もったような、はっとする美しさが表れます。
新年の初釜、この一見平凡に見えるお菓子の中に千年の翠の願いを
そっと込めて戴くとは、なんという奥ゆかしさでしょう。
常盤樹と言えば、お茶の木もそうです。 私には、この翠は長年
大切に慈しまれ丸く丸く摘まれたお茶の木が、雪の下で春の芽吹き
の為に静かに力を蓄えているようにも思えます。
また、常盤には「常緑」の意がありじょうばんとも読みますから、
次に「薯蕷(じょうよ)」が続けば、上々、常常とおめでたい
雰囲気も高まるような気が致します。
一般には「常盤饅頭」と呼ばれていることが多いようですが、私は
先生のお教えに従って、やはり音の響きもゆかしい「常盤薯蕷」と
呼びたいと思います。
*薯蕷(饅頭)
薯蕷=つくね芋(山芋の一種)と上用粉(上新粉よりさらにきめが
細かい生うるち米粉)を揉み合わせて皮に用いた饅頭。
*初釜:年初の湯釜を炉にかけることから、新年最初のお茶会。
この日記を書くにあたり、表千家の大先輩、あやめさん、飛翔さん、
そして、鎌倉とんぼさんの多大なるご協力を賜りました。
皆さま、大変ありがとうございました。<( _ _ )>
<<参考>>
裏千家の初釜の主菓子は、こちらの「菱葩(はなびら)餅」です。
恵那栗工房・良平堂さん 作
京菓匠・甘春堂さんのHP:http://www.kanshundo.co.jp/
の中の「和菓子ミュージアム→京菓子歳時記・睦月」
http://www.kanshundo.co.jp/museum/saijiki/1-saijiki.htm
に、各流派の初釜のお菓子についての記載があります。
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写真は「京菓子小町」夢菓さんのHPより
http://kyogashi.kyoto-np.co.jp/modules/wordpress1/index.php?p=161
和菓子は「京都・嘯月」さん作です。
http://kyogashi.kyoto-np.co.jp/modules/xwords/entry.php?entryID=31
中は翠色に染めた白小豆の餡、白い皮の薯蕷饅頭*です。
白餡は普通、手亡豆(白いんげん豆)を用いることが多く、この
白小豆から作った白餡はとても貴重なものと言うことです。
外から見ただけでは、まるでただの白い薯蕷饅頭のようですが、
このように割って中を覗けば、まるで常盤の松の翠の上にほっこりと
真白な雪が積もったような、はっとする美しさが表れます。
新年の初釜、この一見平凡に見えるお菓子の中に千年の翠の願いを
そっと込めて戴くとは、なんという奥ゆかしさでしょう。
常盤樹と言えば、お茶の木もそうです。 私には、この翠は長年
大切に慈しまれ丸く丸く摘まれたお茶の木が、雪の下で春の芽吹き
の為に静かに力を蓄えているようにも思えます。
また、常盤には「常緑」の意がありじょうばんとも読みますから、
次に「薯蕷(じょうよ)」が続けば、上々、常常とおめでたい
雰囲気も高まるような気が致します。
一般には「常盤饅頭」と呼ばれていることが多いようですが、私は
先生のお教えに従って、やはり音の響きもゆかしい「常盤薯蕷」と
呼びたいと思います。
*薯蕷(饅頭)
薯蕷=つくね芋(山芋の一種)と上用粉(上新粉よりさらにきめが
細かい生うるち米粉)を揉み合わせて皮に用いた饅頭。
*初釜:年初の湯釜を炉にかけることから、新年最初のお茶会。
この日記を書くにあたり、表千家の大先輩、あやめさん、飛翔さん、
そして、鎌倉とんぼさんの多大なるご協力を賜りました。
皆さま、大変ありがとうございました。<( _ _ )>
<<参考>>
裏千家の初釜の主菓子は、こちらの「菱葩(はなびら)餅」です。
恵那栗工房・良平堂さん 作
京菓匠・甘春堂さんのHP:http://www.kanshundo.co.jp/
の中の「和菓子ミュージアム→京菓子歳時記・睦月」
http://www.kanshundo.co.jp/museum/saijiki/1-saijiki.htm
に、各流派の初釜のお菓子についての記載があります。
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2006年12月16日
庭に茶花を
いよいよそういう年齢が来たということでしょうか・・・
庭にもっと和の世界が、茶花が欲しいなと思うようになりました。
かと言って、庭師を頼んでど〜んと作り変えようと言う訳ではなく、
地道に少しずつ自分であれこれ植え込みながら、段々とそれらしく
していければ楽しいかな、と。
@白侘助椿(シロワビスケ)
A紅侘助椿(ベニワビスケ)
B利休梅(リキュウバイ)
C三椏(ミツマタ)
D大手毬(オオデマリ)
これらを植えつけようと張り切って庭に出ました。
しかし、植えたい場所には先客が植わっています。
先ずそれらを堀上げて別の場所に移植せねばなりません。
これは大ごとです。分かっていたのに先に苗を買った馬鹿者です。
(ちょこっと弁解…苗は見つけたときに買わないと、欲しい品種は
すぐに無くなってしまいがちなんです。 これも一期一会^^)
取り敢えず、椿2本は大鉢に植え込みました。
あとの3本は、空いた花壇に穴を掘って仮飢え状態にしました。
地面が凍る前に定植したいのですが、どうもこのまま、
「春、の予感…そんな気分…」(笑)
2006年11月16日
茶壷
お茶のお稽古を始めてから、今までまるでご縁の無かった方々とお話することが出来たり、急に今まで経験したことも無かったような出来事に遭遇したり、驚くことばかりです。
このお茶壷「村雨」を拝見することになったのはどんなご縁に導かれてのことなのでしょう。 私だけではとてもここまで辿り着くことはなかったと思います。 快く貴重なものを拝見する機会を与えて下さった皆々さまに深く感謝申し上げます。
とても大きな壺なのに、何度撮ってもピントが合いませんでした。 手が震えていたのか、心が震えていたのか・・・。
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このお茶壷「村雨」を拝見することになったのはどんなご縁に導かれてのことなのでしょう。 私だけではとてもここまで辿り着くことはなかったと思います。 快く貴重なものを拝見する機会を与えて下さった皆々さまに深く感謝申し上げます。
とても大きな壺なのに、何度撮ってもピントが合いませんでした。 手が震えていたのか、心が震えていたのか・・・。
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ラベル:茶壷