其の道に入らんと思う心こそ我が身ながらの師匠なりけれ
習いつつ見てこそ習へ習わずに善悪いうはおろかなりけり
(利休)

◆後炭手前〜薄茶
濃茶の手前が終わる頃になると炭の勢いも落ちてきますので、炭を足す後炭手前となり、釜に水も足されます。
釜の湯の沸く音が聞こえてくるまで暫し歓談、頃合を見て煙草盆が回り始めます。 このお席では、どなたも煙草を嗜まれる方はいらっしゃいませんでしたが、正客さんが皆さんの求めに応じて、煙管をヒョイと取り上げられ、吸い方を披露して場を和ませて下さいました。
その仕草はまるで時代劇の役者さんのようで格好良く素敵でした。 喫煙家が減り、煙草盆を回す意味がなくなったようでも、こうしてお道具を拝見したりお話を伺ったりするのは楽しいものです。
次いで今度は秋の落ち葉や実を象った「吹き寄せ」のお干菓子が回って来ました。 どれも戴いてしまうのが惜しいほど可愛らしく、私はお許しを得て、娘のお土産に少し懐紙に包んで持ち帰らせて戴きました。
さて、今度の薄茶は銘々に一人分ずつお茶が点てられますので、前の方が飲まれたお茶碗を拝見した後、そのお茶碗を持ち亭主にお返しし、自分の分の薄茶が点てられた茶碗を受け取って戻って来る為に立ち上がらなければなりません。
ここで遂に怖れていたことが…とうとう私はやってしまいました…
( ̄口 ̄;)ガーン!
私は自分の足の痺れに全く気付いておらず、お茶碗を手にしたまま立ち上がろうと、かかとを立てた瞬間、力が入らずに前のめりにぐらっと崩れてしまったのです。 幸い未だ立ち上がる前でしたので、お茶碗も落とさずに済みましたけれど、今思い出しても全身に冷汗が・・・。
この前後の記憶が定かでないことも、このショックの影響が大きいかと…言い訳です。 ああ、恥ずかしい…。
薄茶を戴いた後、薄茶器、茶杓の拝見などを経て和やかに歓談…
◆退席
正客が頃合を見てお暇乞いのご挨拶をされ、今一度正客から順に床や飾りつけなどを拝見する機会を得て、にじり口から退出します。
…が、私はここでもやってしまいました! 煤i ̄口 ̄;)!
縁から草履に手を伸ばした時に、足が攣ってしまい、皆さんに情けない姿をお見せしてしまいまったのです。 これは痺れよりも激痛で、その後3日ほど痛みが残ったほどでした、嗚呼・・・。
日頃殆ど正座をしない生活なので、合計4時間ほどの正座は未体験ゾーン、想像もしていなかった事態にとても驚きました。 お稽古で何時間でも痺れない座り方を教えて戴いていて、自分でも茶事の間、特に足が痛いとか辛いとか思わずに過ごしてこれただけに、まさかこんな不意打ちがあるとは…。 油断大敵です。
「正座、恐るべし!」
これが結論というのは情けないですが、今の私には、何はおいてもこれがきちんと出来ないとお茶を続けていけませんので、全ての所作の基本と肝に銘じ、先ずは背筋を伸ばし美しい姿を保ちながらも緊張せずゆったりと正座を続けられるようになりたいと思います。
お土産にお庭でとれた柚を山程と記念品を頂戴し、今日の諸先輩の凛とされたお姿を目標に、これからもお稽古に励もう! と意気揚々帰宅の途につきました。
* * *
お稽古を積まぬ内にお茶事に出れば、このような事になり兼ねないという見本を示してしまいましたが、私のように大人になってからお稽古を始めた身には、早いうちに全体像を目にして高い目標を得られたのは本当に良かったと、この機会を与えて下さり温かくお見守り戴いた先生をはじめ諸先輩の皆様に本当に感謝しております。
* * *
そして、最後までこんな長い日記にお付き合い下さった心優しき皆さま方に、心より感謝申し上げます。
ささ、お茶をどうぞ… ~~~旦o(^-^@)
<<追記>>
皆さまよりのコメントの中で教えて戴きましたこと、また後で思い出したことなどを、「付記」として青字で(一)〜(五)の日記の文中に書き足しております。
これからも、赤字青字などが加わって、より楽しい思い出の記録に成長していけると嬉しいです。 皆さま、ご教示、本当にありがとうございます。これからも、どうか厳しく温かくお導き賜りたく宜しくお願い申し上げます。
山桜 拝

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