2022年12月29日

「鎌倉殿の13人」


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 遂に終わってしまいました。毎週、BSと地上波と2回、彼らに会うのを楽しみにしていたので、もう一緒の時間が過ごせないのが寂しいです。
(本日、13:05〜総集編の放送があります!)

 まさか、政子が義時のとどめを刺すとは・・・最終回のタイトルは「報いの時」。「報い」とは、報賞なのか、報償なのか、報復なのか。

 麻毒に苦しみ解毒剤を求める義時を見つめながら薬液を床に空け、零れた薬を舐めようと這い寄る義時の目前、袂で拭き取ってしまう政子。

 禍の種になりそうな幼き先帝を亡き者にしようと、最後の力を降り絞る義時に、
 「これ以上手を汚させない、罪を重ねさせたくない」
という政子の義時への愛は深く大きいけれど、義時が鎌倉を守る為に葬ったと漏らした「13人」の中に、我が子「頼家」の名を聞いた時、
 「頼家、母が其方の無念を晴らす」
と、導線に火が点いたかもしれません。
 「嘘つきは嘘を突き通さなければいけませんよ!」
 この時の政子の言葉と表情、薄々気付いてはいたけれど知りたくなかった真実への動揺に、戦慄を覚えました。鎌倉を守る為に仕方が無かったと理解していても、母の心は別、奥底の封印が解かれた瞬間のようでした。

 誰も手にかけては来なかった政子が最後に、誰よりもその幼き頃からの心優しい性格を知り、それ故の大きな苦悩を見、共に頼朝の意志を継いで来た弟・義時に手を下し、亡骸を抱いて嗚咽する。何という幕引き。一年見続けてきた視聴者に大きな余韻を残し、問いかける最後でした。

 原作「吾妻鑑」から、登場人物の心に添い、背景を読み解き、物語を紡いで来られた三谷幸喜氏ならではの描写でした。私の解釈など、応援し続けて来た熱きサポーター(武衛)の中の一人の意見で、それぞれにまた別の感想があるでしょう。それがドラマを観る醍醐味であり、脚本家の望むところでもあると思います。

 「鎌倉は屍蔵、御霊鎮める地」、数の死者の眠るお墓・お寺だらけの鎌倉。今は観光地ともなりましたが、訪れる時には歴史を踏まえておくと、また違った見方が出来ることでしょう。

 沢山の血を流し山のような骸の上、希望の子「北条泰時(太郎)」に襷が渡されました。そして時は流れ、江戸で武家の社会を築く徳川家康へと引き継がれるのですね。

 一昨年の「麒麟が来る」から、いちど鎌倉時代に戻り幕府の起源を見てからの江戸時代。時代を行ったりきたりの「STAR WARS」のような大河ドラマならではの構成がまた面白いです。

 松本潤の演技は「花より男子」くらいしか知らず余り良い印象ではありませんでしたが、先日、小栗旬との会話を聞き、非常に真摯に役に取り組む方と知り、来年が楽しみになりました。そうか、花沢類から道明寺司へのバトンタッチなんですね。それもちょっと胸熱です。

 ああ、義時の最後の妻、のえさんの心情も切なかった・・・語りたいことは山ほどありますが、また、何かの折に。


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posted by 山桜 at 11:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月13日

NHKドラマ「蔵」

 昨晩、オリンピック中継を観ようとあちこちチャンネルを替えている時、BSPで名作ドラマ「蔵」(宮尾登美子 原作)のタイトルに目が留まりました。オリンピックも観たいけれど、ちょっとだけと見始めたのです。それがもう思いがけず、ぐっと引き込まれて離れられなくなり、とうとう4時間、観続けてしまいました。

 大きな地主でもある蔵元の長男「意造」の嫁取りの時の姑の勘違いから、少しずつボタンの掛け違いで運命が狂い始めます。8人の子が亡くなった後の最後の娘、強く生きよの願いの籠もった名を持つ「烈(れつ)」はやがて失明の宣告を受け、妻「果穂」は娘の視力回復祈願巡礼の途中で亡くなります。不幸の連鎖を止めようと若い後妻を貰い誕生した男児も事故で亡くなります。

 その間、身体の弱い妻「果穂」の代わりにその妹の「早穂」が烈を育て、蔵元の家事をも取り仕切って来ました。烈の父である義兄の意造を娘の頃から慕って来た気持を心の奥底に秘めつつ嫁がぬまま、この家の幸せの為に生き続ける早穂役の檀ふみさんがまた静謐で温かく、素晴らしい。

 不作や酒造りの失敗で蔵元を閉めようとしていた意造に、光を失っても強く賢く成長した烈は存続を訴えます。反対していた父・意造もやがて烈を跡継ぎとして育てることに意欲を蘇らせ、烈は自らの力で思い人との結婚も成し遂げ、見事に蔵元は立ち直っていきます。

 主人公の「烈」役の所に「井上真央」の名が見えました。そして子役が井上真央さんにとてもよく似ていたので、よくまぁそっくりな子役をみつけたものと思っていたら、なんとその子役が井上真央さんその人で、長じた娘役は「松たか子」さん、それもまた眩しいほどに若いのです。

 相当に古いドラマだと分かりましたが、デジタルリマスター版なのか、とても画面が綺麗で古さが感じられませんでした。ただ良い意味での古さ、重厚で丁寧な作りは好もしく懐かしいものでした。

 それにしても子役の井上真央さんの、段々と目が見えなくなっていく、不安、いらだち、そして遂に視力を失った時の姿は、演じていることを忘れてしまうほど自然で、本当にその境遇の子供がそこに存在しているようでした。こんな子役時代があったとは驚きました。

 今の朝ドラに繰り返し出てくる「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬ歌がある」の台詞のように、烈は見えないからこそ、蔵で育っていく酒の息づかい、酒造りに携わる人々の歌や熱気を聞き取り、人々の心の動きを知り、自らに差し伸べられた優しい手の温もりから添うべき伴侶を見いだします。

 また、蔵での酒造りのシーンが実に丁寧に描かれており、米を蒸して麹を作るところから発酵してふつふつと踊る音、やがて絞りだされる新酒の香りまで立ち上ってくるようで、思わずゴクリと喉が鳴り、お酒が飲みたくて堪らなくなりました。自分がこんなにお酒が好きなことをも思い出させてくれました。今もちょっと一杯頂いています。本当は薬を飲んでいるので禁酒中なのですが・・・。

 初々しい新酒を口に含み、身体の隅々に染みこみ、新しい力が湧いてくるようなドラマを見せて頂きました。これも運命なのでしょうね。ありがたいことです。


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posted by 山桜 at 21:11| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月19日

大河ドラマのキャスト

 私の中の源頼朝は「草燃える」の時の石坂浩二さん、北条政子は、岩下志麻さんなので、未だ、大泉洋さんと小池栄子さんに馴染めていませんが、大泉洋さんも小池栄子さんも好きな役者さんなので、この先を楽しみにしています。

 そして小池栄子さんは、「義経」で木曽義仲の妾 巴御前役がピッタリで強い印象が残っているので、ちょっと混乱します。妾ですし、年齢的にも、先日の記事にも書いた幼くして殺害された義高の母ではないでしょうが、義高の母にも当たるような人物から、義高を育てて暗殺の手から逃した政子へと、同時代の人物を同じ役者さんが演じるのはややこしいけれど、何やら数奇なご縁というべきでしょうか。

 「草燃える」で滝田栄さんが演じていた伊東祐之(北条義時の親友で北条政子に恋心を抱く)が、今回誰に当たるのかと思って調べたら、なんと架空の人物だったことにビックリ。歴史ドラマは時々そういう架空の人物が活躍するので、史実なのかこれまた混乱しますね。

 北条義時は、「草燃える」では、松平健さんでしたが、今回はなんと平清盛役で面白いなぁ 今回の義時役の小栗旬って、何をやっても余り熱くならず醒めた印象でピンと来ないのですが、この大河で化けますかね。今の処、いつも通りの醒めた役どころですね。

 鎌倉幕府絡みからちょっと離れて、徳川家康役といえば、私の中では断然、津川雅彦さんだったのです。惜しくも亡くなられてしまい、この頃はすっかり北大路欣也さんになってしまいました。あんなに毎回「今晩は、徳川家康です」と登場されてはね・・・(笑)

 織田信長は、渡哲也さんがカッコ良かった! これは未だに誰にも上書きされずに、私の心の中のイメージに残っています。 

 豊臣秀吉は、ちょっと古いけれど、緒形拳さんかな。勝新太郎もカッコ良かったけど、「猿」にしてはカッコ良すぎですよね。竹中直人は、「猿」っぽかったけれど、何でもやり過ぎて鬱陶しいから好きなれないのです。ただ水戸の徳川斉昭役は顔もそっくりで彼にしては抑えた演技がなかなか渋かったかな。

 急に今までの大河ドラマが思い出されて、勝手なことを書きました(^^;


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2021年06月29日

NHKの時代劇が面白い

 ここ数年、日曜日の大河ドラマは、待ちきれなくて18:00〜のBSプレミアム放送を観ています。すると大河ドラマに続いて、時代劇シリーズの再放送が流れます。

 最初は、なんとなく山本耕史さん主演の「鳴門秘帖」を、以前、居眠り磐音「陽炎の辻」が好きだったので、見始めたのが切欠だったかもしれません。時代劇は、主人や父が旅立ってからは、一緒に観ていたことを思い出すと哀しくなるのでご無沙汰だったのです。

 その後、どういう順番で観たかは忘れましたが、思い出すままに書きますと・・・

山本耕史さん主演「鳴門秘帖」
 哀しい事情を持つ陰りのある美剣士役は、彼の独壇場です。現代劇では余り好きではないのですが、「一つ屋根の下」では車椅子の画家志望の儚げな青年が、こんな成長を遂げるとは思いませんでした。

中井貴一さん主演の「雲霧仁左衛門」 
 クモキリソウと名前が共通なのも惹かれた一因かもしれません。中井さん、CMで見せるひょうきんさと時代劇での渋さのギャップ、人間性の深みを感じます。脇とは言えないような共演陣も芸達者揃いで見応え十分。最後は絶対に仁左衛門の勝利と分かっていても、ハラハラドキドキし通しです。

 第41,52代の火付盗賊改の安倍式部(信旨)を演じるのは國村隼さん。第165−166代の鬼平こと長谷川平蔵(宣以のぶため)とは違って、敵役で毎回取り逃してしまい気の毒ですが、安倍式部も応援したくなる魅力を持っています。

船越英一郎さん主演の「赤ひげ」
 船越さんも現代劇ではピンと来ない人でしたが、この赤ひげ先生は髭も似合ってはまり役、無口なので表情で演じる姿に泣かされました。

 主役以外は、役者が良いという言うより脚本が素晴らしいのかもしれませんが、それだけにどの役も演じているようには見えず、若いお医者様達の成長が、演じる役者の成長と重なりました。若い人が成長していくのを見ると、自分も未だ未だこれからだと励まされますね。

沢口靖子さん主演の「小吉の女房」
 小吉は勝海舟の父で演じるのは古田新太さん。気風が良く人にとことん優しい江戸っ子で、この父ありての海舟なのかと言う興味もあって見始めました。沢口さんは、どこか無理しているような「科捜研の女」より、時代劇の女房役の方がずっと伸び伸びしていて可愛らしく魅力的でした。子役だった海舟も成長して結婚してしまい、もう続編はないのかしら、もっと見たいなぁ

中村隼人さん主演「大富豪同心2」
 お金持ちの同心・八巻宇之吉と先の将軍のご落胤の異母弟・幸千代君、顔はソックリ(中村の二役)でも、能力も気性も正反対。第一作は見ていませんが、中村さんの二役の演じ分けが素晴らしく、別人では思う程で驚きました。歌舞伎役者さんで所作も美しく上品で、小判をばらまこうが、ご飯をモリモリ食べようが、何をやっても嫌な感じにならない所が流石です。
 
 「小吉の女房」が終わって寂しく、何だかふざけた漫画のような設定で、見るのを止めようかと思っていたのに、ついつい引き込まれて見続け、今ではエンディングのダンスを一緒にやるのも楽しみになるとは・・・。

 大好きな稲森いずみさんの芸者姿を堪能できる幸せ。宇之吉を慕う男装の女剣士みすずさんとの進まない恋模様、宇之吉大好きな下町の応援団の面々との人間模様も温かくてほっこりします。あの松本幸四郎さんが、主演では無く幸千代君付きの老中で爺やのような役をオロオロと演じているのにも年月を感じます。

 つまらないバラエティや若者向けのドラマばかりで見るものが無いとお嘆きでしたら、是非、一度ご覧になって見て下さい。本放送は金曜日の午後8時から、再放送は、土曜午後6:45?〜(6:00〜の大河ドラマの後です)


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ラベル:NHK 時代劇
posted by 山桜 at 17:41| Comment(2) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月17日

小林亜星さん、ありがとう

 平成から令和への御代がわり、人生の折々に影響を受けた方々が次々と旅立った逝かれます。これが時代の変わり目ということでしょうか。昭和から平成の時には、未だ自分も若く余りそのようなことは感じませんでしたけれど、今は一入寂しさを感じます。

 「寺内貫太郎一家」は、騒々しくてきちんとは見ていませんでしたが、亜星さんの強烈な個性に圧倒されました。女将さんの加藤治子さんも西城秀樹さんも亡くなって、とうとう浅田美代子さんだけになったなんて、月日の流れを感じます。加藤治子さんはジブリ映画の声優さんとしても活躍され、上品なお声は今も変わらず代えがたい存在感を放っています。

 亜星さんのそれこそきら星の数ほどある名曲の中で、今でも口ずさむのは、

 どこまでも行こう
  どこまでも行こう
  道は厳しくとも
  口笛を吹きながら
  歩いて行こう 走って行こう

・・・だと、ずっと思っていたら、最後は「走って行こう」だったことを、今知ってビックリ! 口笛を吹きながら走るって出来ますか?そうまでしないと吹っ切れない程、辛く哀しいことがあったのでしょうか。いやいや、これは車のCMだったから「走って行こう」だったのですね。

 サリーちゃんからガッチャマンまで、好きだったマンガの主題歌の数々も亜星さんだったのですね。今でも全部ソラで歌えます。どんな時でも歌えば元気が湧いてくるような歌ばかり。

 神様が下された才能を惜しみなく溢れんばかりに私達に分けて下さり、ありがとうございました。これからも、どうか天から素敵な曲を奏でて下さい。 合掌、いや、合唱がいいかしら。 亜星さんの歌、歌い継いでいきますね。

 小林亜星さん 2021年5月30日 旅立ち


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posted by 山桜 at 09:56| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月19日

田村正和さん訃報、ガッキー結婚砲

 「えええっ!!」
 主人の月命日、心静かに過ごしていたら、驚きのニュースが重なって、なんとも落ち着かない気持になりました。

 正和さんは、多少の御髪の変化くらいで、殆ど若い頃と変わらない端正な容姿。あの何事にも動じない黒柳徹子さんが、「徹子の部屋」で、何だか上ずってときめいていらしたように、目の前に現れたら誰しもボーッとなってしまうような魅力的なその姿の一方、自分にも人にも厳しく緊張感を漂わせた最後の大スターの風格をお持ちでした。

 恐らく、暫くの間、追悼再放送が企画されるでしょうね。そうやって俳優さんは、ずっと生きていかれるのが羨ましい限りです。尤も、ご本人は、若い頃の映像を見たら恥ずかしくて自殺していまう・・・等と仰っていたようですが。

 まさか正和さんもご自分の訃報とガッキーの結婚報道が重なるとは夢にも思わず、今頃「参ったなぁ」と苦笑されているかもしれません。哀しく寂しいけれど、おめでたい報道を見て笑顔の正和さんが思い浮かんで救われた気持です。

 ガッキー&星野源さん、おめでとう、そして、ありがとう!
星野さん、カピパラみたいなほのぼのした顔の奥の鋭い眼光が只者じゃ無いと思っていましたが、やりよりましたな。


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posted by 山桜 at 22:58| Comment(2) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月14日

朝ドラ「おちょやん」

 正直、毎朝キンキンした怒鳴り声ばかり聞くのはキツいなと思いながら、段々と歳を重ねれば落ち着いた浪花千栄子さんになっていくのだろうと期待して見ていました。

 ドラマの中の芝居、それも喜劇というシーンが繰り返されて、前後が無く短く切り取られた部分だけ見せられても笑えず、笑いのセンスが違うのかな?等と考えてしまう始末。千代の芝居が上手い!というのは???な気持のまま。

 ドラマ自体が泣き笑いの喜劇になっていて、こちらは時々ホロリとしたりニンマリも出来たかな。そこへ行くと、やはり芸人さんは上手い。ほっしゃん、塚地さん、前田君には、安心して笑わせて貰えました。

 終盤、あの千代を追い出した憎らしい継母の栗子さんが、謎の花籠の送り主で、女手一つで娘と孫を立派に育て上げ、千代の事を蔭ながら応援して来たという、千代と同じように厳しくも真っ当な人生が重なってから、ドラマがぐっと深みを増して面白くなって来ました。

 いつも物語の背景で静かに色々なものを整理されていた栗子さん、あれは終活だったのでしょうか。孫のこと、千代のこと、全てをきちんと済ませて、なんて美しい見事な人生の幕引きだったことでしょう。残されたアルバムには、笑顔が素敵な看護婦さんの娘と立派な軍人のお婿さん、栗子の一生懸命の子育てがしのばれました。

 千代から家族を奪った栗子さんが、千代と血の繋がった春子という新しい家族を千代に残していってくれたのですね。ああ、まさか、あの栗子さんに泣かされる日が来ようとは・・・。

 最後の最後のドラマ中芝居、「直どんとお家さん」で、千代と一平(天海)の人生と台詞が重なり、やっと笑った後、素直な涙がこぼれました。

 千代と春子(養女になった姪)が仲良く前に向かって歩いて行く最後のシーン、包み込むように優しく舞っていたのは、桜(春子の母の名前)の花びらでした。ビー玉に思いを込め見守っていてくれた千代のお母さんと同じように、これからも栗子さん、さくらさんも一緒に歩んでいってくれます。

 「今ある人生が全て」
 哀しみも後悔もあるけれど、それもこれも含めての今の人生なんですね。


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posted by 山桜 at 22:59| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月06日

天地真理



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「天地真理」 何と読まれましたか?
「てんちしんり」か「あまちまり」かで、年齢が分かりますね。

 子供の頃、天地真理さんのファンでした。 それなのに、「天地(あめつち)の理(ことわり)」に倣い「天地(あめつち)に遊ぶ」などというブログタイトルをつけながら、天地真理さんの名前のことを、今の今まで、全く関連付けていなかったことに気が付いて、愕然としています。

 「マリちゃん」は「マリちゃん」であって、「天地の真理」と結びつけることがありませんでした。

 確か本名ではなかった筈・・・と思い、調べてみると、「斉藤真理」さんが本名で、「真理」という名前は、お坊さんが名付け親だったそうです。 芸名の姓「天地」を付けた人は誰だったのでしょう。 凄い名前に負けずに見事、国民的トップ・アイドルに駆け上ったのですね。

 余りにも純朴すぎたのか稼がせるだけ稼がせた後、彼女を本気で支えてくれる人がいなかったのか・・・。 御本人は、どんな境遇でも、いつも弾ける笑顔でしたけれど、一時は痛々しくて彼女の言葉を聞くのも、変わってしまった姿を目にするのも辛かったです。

 今はお嬢さんとファンの方々に支えられて、高齢者ホームで暮らしていらっしゃるそうです。 

 私の中では、今もマリちゃんの可愛い笑顔とファルセットのかかった優しい歌声は変わらずにいます。

 このところ心の中に繰り返し浮かんでくるフレーズは、

 「水色の恋」 
  あの人にさよならを 言わなかったの
  さよならは お別れのことばだから…

 「ひとりじゃないの」
  一人じゃないって 素敵なことね
  貴方の肩越しに 草原も輝く
  二人で行くって 素敵なことね
  いつまでも どこまでも・・・

天地真理さん、一生心に持ち続けていられる素敵なプレゼントをありがとうございます。 
ラベル:天地真理
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2018年03月29日

一生さんと一徳さん

 FIT活動に復帰し早朝に出掛ける事が多くなり、今の朝ドラもさっぱり面白くならないままで、たまに家に居る時チラ見するぐらいに・・・そんな「チラ見」をしている時、
 「あれ、一徳さんにソックリ!」
と思ったのが、役で老け作りをした高橋一生さんの横顔。

 以前から、どうもどこかで見た顔だなぁ・・・と思っていたのですが、それが若いころの「サリーさん=岸部一徳さん」ということにこの日やっと気づけて、と〜ってもスッキリ!しました。

 もうそれ以来、サリーさんの顔にだぶって仕方がありません。 まさか親子とか血縁関係ありでは無いですよね? 他人でもこれほど似ることがあるのですね〜 いっそのこと、親子の役なんて、やってくれないかしら?

 私が「似てる」ではなく「ソックリ」と思う人といえば、
 ・岩城滉一 と 反町隆史
 ・名取裕子 と 戸田菜穂
 年齢が離れていますけれど、同じ年頃の写真だとどちらがどちらか分からないくらいソックリと思います。

 私にもどこかにソックリな人っているのでしょうか・・・会ってみたいようなコワイような・・・。


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posted by 山桜 at 00:00| Comment(4) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

「わろてんか?」

 「わろてんか」で皆さん、笑えてます? 私は、もう、あのアホボン(席主とやら)の顔を朝から見とうない。 元々あの役者さんは好かなかったけれど、この役は酷い。 見ていて気の毒にさえなる。 最早、彼自身、この役を愛してないのだろうな、と思う。 他の登場人物にも、誰一人として感情移入できないし、今日はもう見るのを止めようか、もう少し我慢しようかの日々で、堪忍袋も切れそうだ。

 そんなところに、私の大好きだった朝ドラ「ちりとてちん」で、心打たれるエピソードの数々の鍵となった「崇徳院」の「瀬をはやみ〜」や あの尊建まで落語家役で出て来て『何の便乗?』と、冒涜された気持。 

 笑いたくて見てる私を全く笑わせてくれない「わろてんか」って、一体何がしたいの?


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2017年10月17日

ひよっこロス

 
 スキスキスキス〜キ〜 スキステキスキ〜 という太田裕美さんがあの愛らしい声で歌う「恋のうた」が耳について離れず、今もついつい口ずさんでしまいます。
 
9月で終わってしまった朝ドラの「ひよっこ」、『もうやっていないんだ、今頃皆どうしてるかなぁ』と、その後が気になるドラマがまた一つ増えてしまいました。 

 特に、前にも気になる人物としてブログに書いたマッシュルーム・カットでBeatles LOVEの宗男おじさん、
 「誰かに助けてもらったら誰かを助ければいい。 
  それでいいんだよ。 人を救うのは人だよ」
という言葉が忘れられません。

 スキスキスキス〜キ〜の「恋のうた」がテーマソングだったお米屋さんのさおり(米子)と三男、それぞれに運命の伴侶を失った後の大人の恋・シェフと愛子さん、 乙女寮の同期生・澄子(福島)と豊子(青森)のハワイ旅行の顛末などは、きっとスピンオフか続編で描かれるものと今から心待ちにしています。

 主人公のみね子とヒデは当分ラブラブでそうなのでほっといていいかな。 早苗さんは、NYで彼とどうなっても生きていくでしょうし、演じたシシド・カフカさんはこの先、きっと一番売れそうです。 漫画家二人もまぁ、どうでもいいか。 藤子不二雄風の設定で画風は石ノ森章太郎系でした。 メガネの方が顔が分からないと売れないだろうと、たびたびメガネを外していたのが印象的でしたが、結局どういう顔か分からないままでした、残念。 

 その分、古館二世は、演じたヤスハルのキャラが立っていたので顔が売れましたが、親の顔がちらついて好感度が落ちるという、親の七光りならぬ残念な親のブラックホールを跳ね返せるかどうかが見ものです。

 主人公が大人に成長する前に終わった朝ドラといえば、「あまちゃん」もそうでした。 ただ、「あまちゃん」は、その後を描いて欲しいとは思いません。 あのトンネルの向こうの光に向かってアキとユイちゃんが手をつなぎ、二人で歩いていくラストは秀逸でしたから、あとはそれぞれが想像して何通りのドラマになっていって良いと思っています。

  主人は家に居るようになってから、以前にも増して朝ドラを楽しみに見ていました。 もし元気だったら、きっと「ひよっこ」も泣き笑いしながら一緒に見ていたと思います。 3月末の入院で、毎日見ていた「ごちそうさん」の再放送の最後が見れずに心残りだったでしょう。 治療の後遺症で味覚が鈍くなってしまっていましたが、美味しいものが大好きでしたし「ごちそうさん」の登場人物の描き方が深いと絶賛していました。 「あまちゃん」も再放送を全部見て、すっかりアキ(能年玲奈 → のん)のファンになっていましたっけ。 能年ちゃん、早くテレビに復活してくれると嬉しいなぁ

 ← サウンドトラック 感動シーンが蘇ります!



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2017年07月04日

少年斥候(ボーイ・スカウト)

 朝の連続テレビ小説「ひよっこ」では、今、ビートルズ・ファンの宗男さん(主人公みねこの叔父)が活躍中ですね。 顔や姿は似てないのですけれど、髪型とかファッションとか洋楽ファンな所とか、何となく若い頃の主人を思い出し重ねて見てしまっています。

 宗男さんは、子供の頃はお兄さんの後ろに隠れているような大人しい子だったのに、少年兵として戦争に行き太平洋戦争中最も無謀で凄惨、殆どの仲間を失ったインパール作戦から戻って来た後、笑ってばかりの妙に明るい性格になっていたという・・・その理由に泣かされました。

 少年兵の宗男さんは「斥候」として敵国イギリス軍の偵察に赴き、途中、顔を黒く塗った同じ年頃のイギリス少年兵に出くわしますが、その少年は仲間に何か伝えるとニッコリ笑って去って行きました。 同じ少年兵同志、何か心に通じ合い戦いたくない気持ちが生じたのでしょうか。 その時、宗男さんは自分もニッコリ出来なかったことが悔しくて、「どうせ拾った命、これからは自分も笑って生きていこう!」と思ったのだそうです。

 私はこの話を聞いて、このイギリス少年兵はボーイ・スカウトの隊員だったのではないかと思いました。 私はガール・スカウト所属で、似たような話を聞いていたからです。 「アンノウン・ソールジャー(無名のスカウト兵)」と呼ばれる、スカウト仲間では有名な話です。

「アンノウン・ソールジャー(無名のスカウト兵)」
 太平洋戦争末期、日米の激闘が繰り返されていたある南洋の島で、1人のアメリカ兵が日本軍と戦闘を交え負傷し気を失い倒れていた。 気付いた時には仲間は引揚げた後、突撃してくる日本兵の銃剣が喉元に迫るのを見て、再び気が遠くなりかけた瞬間、彼は無意識のうちにボーイスカウトの三本指を立てる礼(三指礼)をしていた。  再び目覚めた時にはもう誰もおらず、木の枝にぶら下がっている小さなメモに気付くと、英語で、こう書いてあった。

 「自分もかつてはボーイスカウトだった。 世界中のボーイスカウトは皆、兄弟だ。 3つの誓いを表す3本指を見てスカウトとしての気持ちが甦り、傷ついている兄弟である君を殺すことは出来なかった。 手当をしておいた。 1日も早く回復してほしい。 幸運を祈る!」

 この実話では、助けたのは日本兵、助けられたのはアメリカ兵ですが、スカウト精神を持った兵士であれば、他にもきっとあったであろう話だと思います。 私でも、宗男さんの小鹿のような怯えた目を見たら、ニッコリ笑って逃がしたくなります。 

 そもそも「ボーイ・スカウト」を直訳すれば「少年斥候」という意味であることは、戦争アレルギーの日本では、余り知らされていないと思います。 今はもう「斥候*」の意味も分からない人が多いでしょう。 軍隊色の強い言葉なので、スカウト運動発祥地のイギリスでは、少女たちは「ガール・スカウト」の呼称は用いず少しソフトに「ガール・ガイド」と称しています。 日本のスカウト運動は、アメリカ経由で入ってきたので、男子と同じ呼称を望んだアメリカ女子の心意気のまま「ガール・スカウト」を用いています。

 *「斥候」:本隊の移動に先駆けてその前衛に配置され、進行方面の状況を偵察しつつ敵を警戒する任務を遂行する兵士のこと。 転じて、現代の少年少女のスカウト活動は、自然と共に生き、常に自分を高め人に役立つことを心がけ、人々を正しい道に先導する役割を担える存在であろうとする活動、と私は認識しています。
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2016年11月01日

サクラソウの花びら一枚って?

 家人が好きな刑事ドラマ、普段は余り興味も無いので何となくぼんやりその場に一緒いてチャチャを入れる程度なのに、この日は事件のキーワードが「サクラソウ」で、天然記念物サクラソウの自生地・田島ヶ原の風景も写り込んだので、ついつい見入ってしまったら・・・

 ええっ、遺体にのこされた「サクラソウの花びらが一枚」って、どういうこと!?

 サクラソウは花の形がサクラに似ているのでその名前を頂いているものの、一枚ずつ花弁が離れている「離弁花」のサクラと違い、花弁くっついて一つの花になっている「合弁花」。 いわば朝顔のようなラッパ型の花の上の部分が5つに分かれている状態なので、花弁が自然に一枚散って残ったり、死の間際にわざわざ一枚だけを綺麗に切りとったりするとは思えない。
 
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我が家の庭に生えている日本在来種のサクラソウ 

 田島ヶ原の風景にも違和感。 緑一色の野原の(他の花が何も咲いていない)通路沿いにだけ綺麗に植え揃えたように一直線にピンク色のサクラソウが並んでいるっておかしいし、花の形、付き方、密度等からして日本在来種のサクラソウではないのでは? 

 流石にアップで写すのは憚られたのかピントを暈してはあったが、あれらはプリムラ・マラコイデスという外来種のようだった。 一番栽培が易しく出回っている品種だが、上の日本在来種のサクラソウとは風情が全く異なるのがお分かり頂けると思う。撮影時に田島ヶ原のサクラソウの開花が間に合わず、園芸店から仕入れて間に合わせたのだろうか?
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プリムラ・マラコイデス (画像は「NHKみんなの趣味の園芸」ページより)
 
 またサクラソウで皮膚がかぶれるエピソードも出てきたが、アレルギーを起こすのは主にプリムラ・オブコニカや先に書いたマラコイデスなどの外来種のサクラソウで、在来種のサクラソウで皮膚炎を起こしたとは、稀にはあるのかもしれないが、私は聞いたことが無い。 
 
 折角、大好きな「サクラソウ」が取り上げられたのに、こんなに雑な扱いをされたことばかり気になってしまった。 この事例に限らず、ドラマや映画等での植物や生物の扱いは、造花が使われていたり季節が合わなかったり鳴声が違っていたり、いい加減なことが気にかかることが多い。 いくら造花のレベルが向上しても、それらが自然界に置かれれ、日の光を浴び風に吹かれれば、人工物だと直ぐに分かってしまう。 背景くらいなら目くじら立てることも無いのかもしれないが、せめてテーマとして取り上げる時くらいは、本物を使い、その無二の特性を大切にして欲しいと思う。
 
 自然と共に生き、四季の移ろいに親しんできた日本人の感性が失われつつあるようで寂しいことだ。
ラベル:サクラソウ
posted by 山桜 at 18:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月18日

SMAP

先週からの分裂・解散の危機騒動から沈黙を破った生放送会見は異様だった。

木村の尽力で・・・ということで、中央立ち位置、全体の仕切り、最初のコメント、までは分かる。

その後の発言が、稲垣、香取、の順にただならぬ違和感、更にその次が、まさかの中居、
「えっ、リーダーが、最後に締めじゃない?」
中居は、余計なことは一切口にせず、短い言葉で心情を隠しているようだった。

そしていつものように思ったままを口にする草なぎ、いや、その役を演じさせられたか。

最後に再び木村。 木村も気の毒な役回りだ。

よく見れば、木村のネクタイだけが白、後の4人は黒?
これには何か4人へのペナルティのような意図を感じる。 
そして責任をとったかとらされての中居のリーダー外しなのか。

あのような姿を見るくらいなら、黙っていてくれた方がマシだった。
何も言わなくても信じて待っていられるし、彼らそれぞれの決断を尊重する。 それがSMAPファンだ。

彼らをあのような場に立たせたのは何者なのか?
いや、彼らも納得して立ったのなら、仕方がない。
この日のことを後悔することの無い未来に、
君たちならきっと立てる。

<2016.01.24追記>
中居くんのラジオ番組(サムガ)で、
「世界に一つだけの花」
「夜空ノムコウ」
「STAY」
が流された。 
これが彼のファンへの優しい返答。 ありがとう。 
ラベル:SMAP
posted by 山桜 at 23:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月16日

「テンペスト」より「尊尊加那志」など

 BS時代劇の枠で放送され、毎回琉球文化の美しさにワクワクしていた「テンペスト」が地上波で再放送されているのを知り、書きかけになっていたこの稿を思い出し加筆更新しました。

 「ガナシ」という言葉は、最初に「首里天ガナシ」や「聞得大君ガナシ」と聞いた時、琉球での「陛下」のような尊称であろうと思いつつ、そこにどんな意味があるのかは見当もつきませんでした。 番組関連のどこかに解説があったのかもしれませんが、見逃したのか気づきませんでした。 他にも耳慣れない言葉は幾つもあって依然モヤモヤしていますが、何はともあれ、先ず気になった「ガナシ」を調べてみました。

 「ガナシ」(正しくは「ガナシー?」)のもとには、「尊尊加那志(とーとー我なし)」という言葉があり、その意味は、「尊い尊い我のない人。」と読めます。

 無私の人。 自己愛ではなく、自他愛の人。 という意味でしょうか?
日本の天皇皇后両陛下のお姿が心に浮かび重なります。
  
 沖縄の人なら、その正しいニュアンスがお分かりなのでしょうね。 
どなたか分かりやすく教えてくださると幸いです。
 

 そうそう、もう一つ「テンペスト」で心に引っかかっていた言葉、

 「カーリーデービル!」

発せられたシーンから類推するに「バンザイ!」的な意味とは思っていたのですが…

 これも調べてみると、

 「嘉例でーびる!」 で 「嘉例でござる!」の意味のよう。

琉球・沖縄の言葉と日本語は、よく聞いてみると語源は同じのようで転訛の仕方が面白いですね。
「サーターアンダギー」が「砂糖・揚げたもん」と知った時から、まるで呪文が解けるように少しずつ合点がいきだし、沖縄をずっと近く感じられるようになりました。
posted by 山桜 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月02日

「コクリコ坂から」

 未見の方は、この先は読まれずに先入観無しでご覧になることをお薦めします。 観覧後には、感想を交換しに再訪してくださると嬉しいです。

kokurikozaka.jpg 画像 518.jpg
 イメージポスターは          コクリコ(ヒナゲシ)の花
 企画・脚本の父・宮崎駿、      (コクリコ=コケコッコ
 監督の息子・宮崎吾郎氏の       =鶏冠に似ていることから)
 映画のキャラとは差異アリ           

 見終わった後の映画館がこんなにシンと静まり返っていたのは初めて。 皆それぞれに思いは違うのだろうが、何となく口を開けないその気持ちは分かる。 いわく表現しがたい感情に陥っていて、なかなかその中から出てこれない。 つまりは物語の中に入ってしまっていたということなのだろうか? それ程にできの良い映画だったのだろうか?

 最初に私が口に出せたことは、
 「もっと良く作れたのに勿体無いね。」
 「要所要所、盛り上がり所の音楽の使い方、間違ってない?」
 「駿さんだったら、何かを喋る前に躊躇いとか戸惑いとか、もっと微妙な心の動きを入れるだろうね…」

 ケロは、
 「これって…未完成?」

 と、まぁ簡単に言える批判的なことばかり。 だからといって、面白くない映画を見てしまった後の「時間とお金を返せ」感は無いのだ。 嫌いでない映画だから、もっと良くなったのに…とも思ってしまう。 ケロなどは、凡そ物語の背景に共感できそうもない若い年代だけれど、
 「こういうのって、今の若い人にこそ見て欲しい」
などと言う。

 この映画の中には、嘗て日本に居たであろう、純潔で勤勉で礼儀正しい一方で型破りな行動も起こせ、熱い思いを仲間を動かしつつ貫き通すことのできる若者と、彼等を見守り受け止め導くカッコイイ大人達が生きていた。 私はギリギリそういう年代の空気を吸っているので、懐かしさと喪失感で幾度か涙した。 

 一方娘のケロは、
「まるで他の国みたい。」
といいながらも、
「羨ましい」
「いつからああじゃなくなってしまったの? 原因は?」
と問う。
 
 そして、
「何一つ、あの子に勝てない。」
とも。

 あんな風に生きてみたいと思っても、一人でどうすることも出来ず、生まれた時代も変えられない。 ただ、心ならずも表面だけは繕って、心も身体も傷つけることない生き方を止めてみたら、少しはあの時代に近づけるのかもしれない。 

 物語はサクサクと進む。 説明が必要なのでは?と思うような人物紹介も家族背景もバッサリと省かれ、じれったい所など全くなく、寧ろ「ちょ、待ってよ…」と思うほどに進む。 想像力で補うか、まぁいいかと割り切れない人は、ついて行けないかもしれない。(あ、合唱シーンがじれったい人はいるだろう。 歌で連帯が広がっていく心地よさを知らないと気恥ずかしいか… 合唱大会が大好きな私はここでウルル;;)

 第一、タイトルの「コクリコ(仏語でヒナゲシの意)」の意味、終わりまでずっと「?」の人もいるだろう。 (その所為か、拙ブログ「雛罌粟(コクリコ/ヒナゲシ)」http://yamasakuran.seesaa.net/article/18786631.html?1312266259のアクセスが日々活況) 映画の中では、亡き父の写真に供えるシーンでチラッと赤いヒナゲシらしき花が出てくる位で説明はない。 「海」が「メル」のあだ名で呼ばれるのも、海=la mer(ラ・メール 仏語)からだろうけれど、これも最初に「メグ」と聞こえてしまった人には訳が分からない(苦笑) 

 因みに「コクリコ」の花は戦地に散った兵士の(血から生まれた)化身ともされる。 勝手に想像すれば、コクリコ坂=慰霊坂、なのかもしれない。 そこに毎日、航海の無事を祈る旗が揚がっていたのだ。 私としては旗揚げの様子に注目した(ロープへの旗紐の結び方など)が、そんな詳しい描写はある訳もなく…ただ掲げた旗が風に翻る様子に、思わず敬礼しそうに。)

 さて…

 ・網を取り除いた防火用水?に飛び込んで救出してくれた人と結ばれる…的な伝説でもあった?(それはあの新聞に載っていた?)

 ・北斗さん(渡航する優秀な女医)とヒロさん(画家)は下宿人だろうけれど、赤い口紅の目立つ小太りの女性は何者? ⇒若しかして似てないけど、叔母さん(母の妹)?

 ・妹の空と海の同級生がそっくりなのは、海と俊の二人が似て描かれているのと何かの複線が繋がって…ないらしい(笑)

 ・存在感抜群だったお祖母さまが、後半全く姿を消したのは何故?

 ・お母さん不在の理由は…終盤まで想像するしかない。

 ・旗の意味

  映画の中では、最初の二旗の意味が「航海の安全を祈る」で、それぞれアルファベットの一字を差す旗があること(北斗さんの送別会に掲げられた旗をHOKUTOと読んだことから)、赤白縦じま三角旗が返礼の意味だと言うことしか分からない。 調べたくなりますよね〜 私は調べましたよ(^^)♪

  ⇒国際信号機 http://www.hi-ho.ne.jp/fayway/sig_flag.html
         (FaywayさんのHPより)

  一旗に特定の意味とアルファベット一文字の読みがある他に、それらの意味とは切り離して、二旗で一つの意味を表す場合がある訳ですね。(UWがyouとかwishを表しているのではない。)
  う〜ん、こういう機能的なものって美しいなぁ。 
  あれ、そうすると、ポスターの方の旗はちょっと違う? 返礼回答旗の部分が1(日の丸に似た三角旗)になってますが…。

 ・LST?? ⇒戦車揚陸艦(landing ship,tank) 


 そんな風に謎だらけで、説明されない隙間を己の想像力を駆使して補って居るうちに、どっぷりと物語の中に漬かってしまい、なかなか出てこられなくなったのだと、今、こうして書いてみて、やっと理解できた。 吾郎氏がそこを狙って仕組んだことだとしたら、どうも完全にやられてしまったようだ。

 声優ではない俳優さん達の声は、今までで一番違和感がなかったし、顔も浮かばなかった。

 そうそう、大人な水沼生徒会長が好き。 
ケロヽ(*´∀`)人(´∀`@)ノ 私
 
ラベル:ジブリ コクリコ
posted by 山桜 at 15:40| Comment(12) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月08日

「見えんでも、ある」

 4月から始まった、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(原作:漫画家・水木しげる夫人、武良布枝さん)[番組公式サイト]は、久しぶりに続きが楽しみで朝が来るのが待ち遠しい作品です。 なんと主人までが、見逃した回を土曜のBS2でのまとめ放送で見たいと言い出して、こんなこと「はっさい先生」?以来かも、ビックリでした。
 

 「見えんでも、ある。」
 「見えんでも、おる。」

 ノッボで内気で自分の気持ちを表すことが苦手な主人公・布美枝の子供時代、いつもやさしく見守り励まし昔語りをしてくれていたお祖母ちゃんが、繰り返し伝えていた言葉です。

 目に見えなくてもあるもの、おるもの、それは神仏とか霊魂とか妖怪とか妖精とか…存在の有無が証明されにくいものばかりではありません。 例えば、子を思う親の心。 それは目には見えませんけれど、確かに私の内にあります。

 孫を思う祖母の心。 毎朝手を合わせる写真の笑顔を見る度に、優しい声を思い出す度に、好きだった花やものに触れる度に、確かに私の心を温め励ましてくれます。 たとえ私が思い出さない時でも、いつも私の内に住んでくれています。

 布美枝さんのお祖母ちゃんも、今もずっと「見えんでも、ここにおるよ」と(ナレーターも勤めながら^^)見守っていてくれます。 


 金子みすず の詩「星とたんぽぽ」は、あまりにも有名です。

     「星とたんぽぽ」      金子みすず

      青いお空のそこふかく
      海の小石のそのように
      夜がくるまでしずんでる
      昼のお星はめにみえぬ

         見えぬけれどもあるんだよ
         見えぬものでもあるんだよ


      ちってすがれたたんぽぽの、
      かわらのすきに、だァまって
      春のくるまでかくれてる
      つよいその根はめにみえぬ

         見えぬけれどもあるんだよ
         見えぬものでもあるんだよ

 
 同じようにそこに存在する景色の中に居ても、見える人にはあるものが見え、見えない人にはあるものが見えない。 そんなことも日常よくあることです。 自分の目で見たことしか信じないという人もいらっしゃるでしょうけれど、私は、「見えんでも、ある」ことを感じ信じられることが嬉しいのです。


          
posted by 山桜 at 20:26| Comment(16) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月23日

BOB DYLAN LIVE!/ Zepp Tokyo

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        100322_193333_ed.JPG

 ボブ・ディランが来日し、東京ではお台場近くのライブハウスZepp Tokyoで演奏すると知ったのは1月。 何の会員でもない一般でチケットを取るのは無理だろうと思いつつ、発売日は朝から電話し続け、ようやく繋がった頃にはとうに売り切れ…。

 ディランの「ファン」という言葉では片付けられない程、人生の大きな部分をディランの音楽と過ごして来た主人に、何とかもう一度ディランと会わせてあげたいとの私の思いは届きませんでした。

 それがなんと…暫くしてケロロンがチケットを2枚入手出来ることになったと言うではありませんか! ライブ当日の都合が悪くなった方から、定価のままで譲って戴ける事になったのだそうです。 念ずれば通ず…いえいえ、念ずるだけでなくあの慎重派のケロロンの思い切った積極的行動が―父親への思いを綴った言葉が相手の方の心に届いたのです。 こんなことって実際に起こるものなのですね。 世の中、嫌な事ばかりではありません。

 父を思う娘の気持ちの大きさに改めて気づかされ胸がいっぱいになりました。 また、その気持ちに応じて、チケットを譲る相手に選んで下さった優しいお方に感謝の気持ちでいっぱいです。 

 KK様、心より御礼申し上げます。 ありがとうございました。

        *        *        *

 さて、オール・スタンディングのライブなんて生まれて初めて。 勝手も分からぬまま待機の列に連なり、アナウンスに従いやっと会場内へ…。 お蔭様で本当に良いチケットでごく最初の頃に入場できたので、私の前には4人程の人垣しかなく、ディランまでは数メートル?の距離でした。

 と、油断したのも束の間、ディランが登場するやラグビーの試合か?というような猛烈な体当たりで隙間に押し入ってくる人々に仰天! これがライブ・ハウスで生き残る?技なんでしょう…出遅れました^^; まぁ、隙間やら背伸びして頭越しやらで、なんとかディランはず〜っと見えていたので贅沢は言いますまい。

 そんなこんなで、リスト1.Watching the river flow の記憶が飛び、Don't think twice, it's all right からガツンとスイッチ入りました!

 真っ白い帽子が暗闇にボ〜っと浮かび上がり、オーラを放っていましたが、衣装のセンスは相変わらず。 黒地に白の水玉模様のシャツ、金色のラインが入った黒のズボン、これが好きなのかなぁ…前のコンサートの時と同じかも?? 恐らく御歳65歳ほどとなったディラン、省エネ発声でしぶとく生き延び、渋い味わいの歌声は健在でした。

 私たちのような古参のファンは例によっての破壊的(笑)アレンジでもイントロからピンと来るけれど、聞きなれない人には殆ど同じ曲?って思えたかも。 自由気ままにその時の気分で演奏するディランに合わせるようにHIS BANDの面々は食い入るようにディランを見てたのが印象的。 後ろ向きに舌を出してたディラン、可愛かった。 それにしてもギターよりキーボード演奏多かったなぁ…

 ケロロンも大好きな♪Hey, Mr. Tambourine Man〜が胸に沁み、続くHighway 61 Revisitedで涙腺が… 思い出に繋がる曲はキマスね…。 私などが幾ら語っても主人からすれば猪口才なだけなので、この辺で止めて起きましょう。 

 久しぶりの二人での外出がディランのコンサート。 そんな幸せをプレゼントしてくれた親孝行の可愛いケロロンとご縁を戴いたKK様に、感謝を込めて。

        *        *        *

 

オフィシャル・ページによるライブ曲目と来日メンバーは次の通り

1. Watching The River Flow
2. Don't Think Twice, It's All Right
3. I'll Be Your Baby Tonight
4. Sugar Baby
5. Tweedle Dee & Tweedle Dum
6. Shelter From The Storm
7. Summer Days
8. Tryin' To Get To Heaven
9. Cold Irons Bound
10. Mr. Tambourine Man
11. Highway 61 Revisited
12. Not Dark Yet
13. Thunder On The Mountain
14. Ballad Of A Thin Man
(アンコール)
15. Like A Rolling Stone
16. Jolene
17. All Along The Watchtower

BOB DYLAN and HIS BAND Members:
BOB DYLAN
TONY GARNIER (bass)
DON HERRON (steel guitar / mandolin / violin / trumpet)
STUART KIMBALL (guitar)
GEORGE RECILE (drums / percussion)
CHARLIE SEXTON (guitar)


上のコンサート向け写真はちょっと白く飛ばし過ぎかな…
現在のディランの写真は下の公式ページをクリックし、
Mediaの中からPhotoやVideoを選ぶとご覧になれます。

BOB DYLAN Offical pages
http://www.bobdylan.com/
posted by 山桜 at 11:30| Comment(10) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月22日

「新・三銃士」by三谷幸喜

 10月12日より始まったNHK教育の連続人形活劇「新・三銃士」を毎日楽しみにしています。 脚本は、あの三谷幸喜氏。 恐らく私同様、ひょうたん島→ネコジャラ市→新八犬伝→真田十勇士→三国志と連続人形劇を見て育った世代ですから、大河ドラマや「天下御免(源内さん)」のような連続ドラマに憧れていたと語っていたように、いつか連続人形劇の脚本も書きたいと思っていたに違いありません。 連続人形劇ファンのツボをギュッと押さえているのが何よりの証拠です。 
 
 先ず見てください、このキャラクターたち! 美しい木彫りの人形たちとその動きを見ているだけでも胸がトキメキます♪ 
sanjushi.jpg
             <下記Amazon書籍紹介リンクのページより>

私は、特に悪役の黒リシュリューロシュフォールの長〜い手の動きと、美しき青アラミス様の片眉の動きに萌えです♪ 全身ピンクのコンスタンスも可愛い♪ ダルタニアンは嫌いなタイプの顔だったけれど、段々見慣れてきました…。 今の所、サルとネコだけが木彫りじゃなくてヌイグルミだし、表情も死んでて浮いているのが残念かな。  ルイ13世を見ていると、どうも「リボンの騎士」のプラスチックを思い出してしまう…人は、相当長く生きているお仲間です^^;                

 三谷ファンには、随所に彼特有の小ネタが仕込まれているのが嬉しいのですが、嫌いな人にはちょ〜っと鬱陶しいかもしれません。 そこを乗り越えられれば、きっとこのまるで映画か大河ドラマのようなストーリー展開の面白さに嵌ると思います^^

 声優陣も芸達者揃いの7名で、脇役もその他大勢も含めた全てのキャラを務めており、メインキャラの声優さんが、全く別の声音で思いがけないキャラの声を出しているのを聞き当てるのも、また隠れた楽しみです。

 「三銃士」は、数々の映画やアニメになっていますから、あらすじをご存知の方も多いと思いますが、原作(ダルタニアン物語の第一部「三銃士」)では人間の筈の従者がサルやネコになっていたり、人物設定も三谷流にアレンジされ、また物語の結末も原作とは異なっているそうですから、これからの展開が大いに楽しみです。

 今までは月〜金の毎日やっていたのに、来週からは金曜日だけの週一になってしまうようで、ちょっとガッカリ…油断して見逃さないように録画予約しておかねば〜あせあせ(飛び散る汗)
                         
NHKの公式HP: 連続人形活劇「新・三銃士」
2009年10月12日(月)〜10月23日(金) 月〜金 18:00〜18:20
2009年10月30日(金)〜2010年5月28日(金) 毎金 18:00〜18:20


              

Seesaa Blog エコロジー・ブログ 4位
ラベル:人形劇 NHK
posted by 山桜 at 20:40| Comment(8) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月28日

陽水とディラン

          
  (冒頭から広告で申し訳ありません。
   写真使用問題の無い広告の中での選択上どうかご容赦を。)

 8月24(月)〜27(木)とNHK教育で井上陽水の特集があった。
最終夜のキーワードの中に「Dylan」とあって驚いた。 陽水は好きで曲も殆ど知っていると思う。 しかし熱狂的なファンとまではいかず、創作に纏わるエピソード等も詳しくない。 一方Bob Dylanと言えば、家人が思春期以降、誰よりも惚れ込んできたアーティストであり、私も此れまで数々の薀蓄を聞かされて来た。

 甘く美しく透明な陽水の声で歌われれば、荒々しいロックもどこか洗練された上品さを帯びる。 くぐもりしゃがれ押しつぶされたようなディランの声で歌われれば、美しいバラードもさすらうHOBOの呟きのように聞こえる。 そこがいいのだ。(事故の後、一時的に美声になってビックリのこともあった。)

 そんな二人に今まで共通点があるとは気づかずにいたが、陽水がディランの影響を大きく受けたと聞いた時、頭の中で一つの鍵の暗証がガチッ!と合わさり、大きく「あぁ!」と頷けた。

 「陽水の意味不明・音先行の作詞はディランの影響だったのか」

 ディランの歌詞は難解で、時にアメリカ人でも理解不能とさえ言われる。 しかし、それが彼によってあの声で歌われ出した時、不思議な力を得て忘れられないインパクトで人々の脳裏に刻み込まれる。 歌詞を見れば、言葉の意味自体よりも音韻を踏むこと、言葉に出して歌ったときに曲ノリがいいことが優先されたではと思う所が多々ある。 

 彼の言いたいことはキメのフレーズにあって、そこへ到達するまでの数多の言葉は混沌とした彼の頭の中のスケッチそのままのようでいて、実に周到に散りばめられている。 中でも陽水が衝撃を受けたのは、歌詞を紙に書いて次々めくっては投げ捨てていく映像と共に有名な"Subterranean Homesick Blues"  畳み掛けるような韻を踏んだキレのいい歌詞の羅列が小気味いいが、意味となると「?」だらけ。 

 もう一つ、比較的易しい歌詞の例も挙がっていた。


     I Want You

The guilty undertaker sighs,
The lonesome organ grinder cries,
The silver saxophones say I should refuse you.
The cracked bells and washed-out horns
Blow into my face with scorn,
But it's not that way,
I wasn't born to lose you.
I want you, I want you,
I want you so bad,
Honey, I want you.

悪どい葬儀屋は溜め息をつき
孤独な手回しオルガン弾きは咽び泣く
銀のサクソフォンは君なんかやめちまえと言い
ひび割れベルや錆びれホルンが
あざ笑いを浴びせかける
そうじゃない
君を失うために生まれてきたんじゃないんだ
君が欲しい 君が欲しい
苦しい程に
ねぇ、君が欲しいよ     (山桜 訳)


 陽水はこのようなディランの歌詞に出会って、今まで彼が書いてきたような「ストーリーのある歌詞」でなくとも「もっと思いつくまま自由に、書いてもいいんだ」と、まさに音を楽しむ世界へと開放されたように思う。

 パフィのデビュー曲で陽水が作詞・奥田民生が作曲した「アジアの純真」の歌詞などは、音を楽しんで書いたであろう典型だ。


 ♪ペキン ベルリン ダブリン リベリア
  束になって 輪になって
  イラン アフガン 聴かせて バラライカ


 こんな歌詞の意味を考えても意味がない(笑) 歌って聞いて踊って楽しめばいいのだ。 強いて言えばこのめちゃくちゃな混沌が「アジアの純真」なのかもしれないが、最初につけたタイトルが「熊猫深山」だと聞けば、それさえもアヤシイ。(そういえば、これは「ランチの女王」の中で歌われていた「森花処女林」というタイトルを連想させる。)

 そしてまた、どこからか風に乗って聞こえてきただけでも涙がこみあげてしまう名曲「少年時代」の中で意味不明として話題になった歌詞、

 ♪夏が過ぎ「風あざみ」

についても、この番組のインタビューの中で、

 「"鬼あざみ"があるんなら
  "風あざみ"があったっていいんじゃない?」


という発言をしていた。 しかし、これは照れ隠しか後付けの理由だと思いたい。 私の中での解釈は、

 「夏が過ぎ、風がアザミ色(に染まった)」

だったので、こんな理由は聞かなかったことにしたい(苦笑)

 最後に宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を元に書かれた「ワカンナイ」が紹介されたが、これはディランの「Blowin' in the wind(風に吹かれて)」と重なる。
 
「ワカンナイ」歌詞はこちら
「Blowin' in the wind(風に吹かれて)」歌詞はこちら


 ワカンナイ=答えは風の中…

ということか。
 
(思わず熱く長くなりました。 随分と削ったのですが…あせあせ(飛び散る汗)
posted by 山桜 at 16:11| Comment(14) | TrackBack(0) | 映画・ドラマ・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする