2017年05月15日

見知らぬ道を帰る

 「さて、ここはどの辺りなんだろう?」

 淀川自然観察をしながら鉄橋も潜って随分歩いて来てしまった。 元の道を戻るのはロスが多いし面白くない。 適当に堤防の上を歩いて道に出られそうな階段を下りると、何だか懐かしい風景に出会った。 隅田川沿いの下町の風情にそっくりだ。 路地からひょっこり江戸弁を喋る元気なおばあさんでも顔を出しそうで、誰か出てこないかなと期待したが、ひっそりと静まり猫一匹出会えず残念。

 どこかでトンネルを潜って向こう側に行かねばならぬので高下線路沿いに歩いていると、今度は神田のガード下を思い出す。 知らない土地での不安の中で、見知った場所を思い浮かべると何処か心が安堵するようだ。 神田やお茶の水辺りもあちこち線路が交差していて賑やかだが、ここはそれ以上にややこしく騒々しい。

 ケロが、
「シジュウカラもメジロの声もしないよ。 
 居るのはカラスとスズメくらい。」
「チュン(スズメのこと)も、なんかここのは汚い気がする」
「電車の音と飛行機の音が煩くて、遮断機の警報音もリズムが早くて慣れるまで落ち着かなかった。」
と、言っていたが、里山の自然の音の中で暮らしていたケロにはこの騒音は辛かったろうと思う。

 「淀川の河川敷には自然がいっぱいだよ」
と教えてあげたけれど、オバサンでなく若い娘が1人で歩くのはやはり危なそうで勧められない。 今度来た時には一緒に歩いてくれるかな? 

 幸い近くのランドマークを覚えていたので、迷わず部屋へ戻ることが出来たが、それよりマンションのセキュリティロックを解除する方が緊張した。 どこもかしこも監視カメラで撮られていて、スムースに操作できないと挙動不審で呼び止められはせぬかとドキドキ。 それだけ安全ということで、親としては安堵したことだった。
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2017年05月14日

ももりさんとお友達との素敵な日

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 ヒレ・ステーキみたいにおっきなお肉の塊りがじんわり柔らかで、お肉本来の味が凝縮されていて、プルーンまで溶け込んだお野菜たっぷりのシチューと相まって、憧れのももりさん特製ビーフシチューは想像以上に素晴らしい美味しさでした〜 魚の形のお皿も、ももりさんのお手製です。 

 オイルサーディンは窓の大きなお台所で昔のお弁当箱に下拵えされていて、床の木の感触も匂いも神田の祖母の家にどこか似ていて、お習字教室の机等も何だか小学生の頃を思い出し、いろいろ懐かしくなってふわっとタイムスリップしたようでした。

 この他にも素敵なお手製の器に色とりどりの美しいサラダやら和え物やら苺やら、ご馳走さんがいっぱいだったのにもう戴くのに夢中で写真も撮らずにいて、記憶スケッチもこんないい加減で本当の素晴らしさがお伝え出来ず申し訳ないです。 

 ハート形の母の日仕様の桜餅、抹茶味の水無月の優しい味も忘れられません。 お友達に戴いたリンゴとシナモンのジャムも美味しくて、ケロの所に居る内に既に一瓶食べあげてしまいました。 

 貴重な資料を見せて戴きながらの書のお話、古文書のお話、流石に皆さんの目の色が変わってました! 遺された書を通して遥か昔の人の姿や性格まで浮かび上がって来て、対面対話できてしまうのですから、やはり書の世界は深いです。 端っこにしがみついて続けて行きたいです。

 取りに戻って持って来てくださった素敵な帯留の絵は、問題が生じてもいけないの載せませんでした。 須佐神社へもお参りしたいです。 ジャムもご馳走様でしたと、どうぞよろしくお伝えください。

 凛々しい少年隊(初夏の暑さでへばってましたけど)のお祭りの行列の予行演習も垣間見られ、
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ヨーコさんに嵐電の駅まで送って戴き、お蔭様で嵐山もいい風に吹かれてブラブラすることが出来ました。

 美味しいものと興味あるものに囲まれ、素晴らしいお友達と引き合わせていただき、久方ぶりに悲しみを忘れて幸せなひと時を過ごすことが出来ました。 こんな私の為に温かいお心遣い、ありがとうございました。 このお気持ちに応え、しっかり自分の道を生きて行かねばと思いを新たに致しました。
タグ:京都
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2017年05月06日

忌明け

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 緑いっぱいの森の中で
 真っ白な朴の木の花がほころびました
 若葉の季節の風にのって 
 あの人がふいに笑ってくれたようで嬉しくて
 慌てて拙い絵を描きました

 皆さまのお蔭で、何とか忌明けを迎えることが出来ました。

 山桜 合掌
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2017年05月03日

羨ましかった涙

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 私はずっと甲子園球児やオリンピック選手などが勝って流す嬉し涙、負けて流す悔し涙、どちらも『何て羨ましいのだろう・・・』と思って見ていました。 

 それは本当に一生懸命、己に負けず人にも負けずに一意専心、長いこと頑張って来たからこそ、流せる涙に違いないからです。 自分はそんな風に情熱を込めて生きていない、もう一生そういう涙も流せないのだろうと人生も半ば過ぎの諦めの境地でした。

 今は違います。 一生懸命、全身全霊を込めて愛したから、彼の為に生きて尽くしたから、喜びも悲しみも分け合って夢を持って共に歩んできたから、恋しくて懐かしくて悔しくて悲しくて寂しくて、声が聞こえたり気配を感じたりして嬉しくて・・・こんなにも涙が後から後から流れ落ちるのだと思います。

 これは情けない涙なんかじゃない、
 あの「羨ましかった涙」のように、
 懸命に生きたからこその誇らしい涙です。 

 ごめんなさい、あなたの嫌いな自慢話、かな。
 叱られる、かな。
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2017年04月29日

優しい花束

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 尊敬するFITの素敵なお姉さまから、思いがけず花束が届きました。
 
 ピンクが基調でバラやストロベリーキャンドルやカモミールの入った可愛らしいブーケは、主人の仏前に、というよりもきっと私を励まして下さるための、私の為のプレゼントと思いました。 そのお心遣いが嬉しくて、花束の中に顔をうずめて泣いてしまいました。 花の香りに心優しく包まれて、幸せでした。 ありがとうございます。
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2017年04月28日

すずらん忌

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 「父さんは、野に咲く可憐な花が好きだった。」
 「お前のようだから、なんて言って、フフフ」

今日は主人の父の34回目の命日。 母のそんな言葉を思い出して(まるで「野菊の墓」ですね、父は文学青年だったようです。)、秋田の家から移植して我が家で増えたスズランの花を仏前に供えました。 

「今度の誕生日が来れば、お父さんと同じ歳だね。」
「お父さんより長生きできて、親孝行できたね。」

そう言っていたのに、誕生日が来ることが当たり前のように思っていたのに、まさかその日を迎えることが出来ないとは・・・ 人生、本当にほんのさきのことも分からないものなのですね。

 お父さん、苦しむ主人を見るに見かねて
 「もう楽になっていいんだよ・・・」
と迎えに来てくれたのですね。 
主人はお父さんに迎えられ安心して笑って旅立てたのですね。
ありがとうございます。
これからは、主人も一緒に見守っていてくれると思うと心強いです。
タグ:スズラン
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2017年04月27日

検査結果は異状なし

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キンラン

ご報告が遅くなり、ご心配おかけしてしまい申し訳ありません。
(4月27日のことを後から書いています。)
 
もういつからこうだったか覚えていないのですが、ずっとずっと胸に鉛の重石が乗っているように重苦しく動悸を感じて、最初の頃は余りにも悲しすぎて胸が塞いでいるのだろう、その内治るだろうと思っていました。 それが一向に良くならず、幾らなんでもおかしい、

「やった方がいいと思ったことは躊躇わずにやれ!」

というのが主人の遺言と肝に銘じていますので、先ずは4月の初めに呼吸器科を訪ねました。

 レントゲンを見た医師は、
「刷毛で履いたような白い影が見える。 気管支肺炎かもしれない。」
といい、抗生物質などを処方してくれつつ、他の検査も受けました。 
 「私まで肺炎? そんなことって・・・」
と不安を抱えつつ待った数日後の検査結果では異状なし。 結局、症状はあるのに、身体に異常はなしということで処方された薬を飲み終えて終わりになりました。

 それでも身体に異常なしということなので、心配なく野山を歩くことが出来るようになり、体を動かせば夜もよく眠れるので助かりました。 ケロが週末に帰って来てくれて、薬も無くなったのでお酒を少し飲んでみたら、これもすっと胸が楽になるようで飲みすぎなければ晩酌も良いのかなと言う感じでした。

 ところがまた一人になって主人の思い出の中で生活しつつ、何日までに何をしなければ・・・漏れなく手続きできているだろうか? という緊張が続く日々を過ごしている内に、また胸の重苦しさがきつくなり、とうとう以前にも出たのと同様の3回目の発作が起きてしまいました。 一度目は山行から戻って荷解きをしている時、1人きりだったのでこのまま死ぬのではないか救急車を呼ぼうと思う内に何とか収まりました。 2度目は11月の主人の入院先の病院でだったので、車いすで運ばれて検査を受ける内に収まりました。 
 
 3度目の発作は軽くて深呼吸で収まったものの、いよいよ怖くなって、25日に今度は循環器科で心臓の検査を受けましたが、これも全く異常なし。 普通の人の心臓周りの血管よりずっと綺麗なんだそうです。 血液検査も問題なし。 免疫力も落ちていない。 主人の為に続けてきた食事療法を継続しているお蔭かもしれません。 お医者様も自分の口でそういうことは言いたくないけれど、
 「やはり自律神経などの心の問題ではないかと思います」
と仰り、不安や緊張を抑える薬を処方してくださいました。

 そのお薬は効くようです。 効くと思うから効くのかもしれませんが、即効性があるので苦しい時には助かります。 そんなに心が柔だとは思っていなかったのですが、やはりこの悲しみは尋常なものではないようです。 自分の状態を客観的に見ることが出来ないので、外の人に見て戴けて良かったです。 
タグ:キンラン
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2017年04月24日

鳥の姿を借りて?

 洗濯物を干している時、どうも何やら視線を感じると思ったら・・・

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 桃の木にキジバトがどっしり腰を落ち着けていて、私が見ていても身じろぎもしない。 やれやれ、随分なめられたものだと諦めて手を動かしていると、今度は突然、右手から高らかにガビチョウ(画眉鳥)が鳴き出した。 

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 気持ちの良い天気、咲き始めた花水木の中で随分とご機嫌のようだ。 元々中国や台湾で鳴声の鑑賞用に飼われていたのが逃げ出して日本でも繁殖してしまった鳥なので、なんとも真似しづらい複雑な音色で、
ピ〜ロロヒュ〜ロロピロピロピロ〜チチチチ〜ピロ〜ピロ〜 

まぁ飽きることなく鳴き続けること。 写真やビデオを撮っても逃げようともせず、自慢ののどを30分程も披露してくれただろうか。 

 日本在来の可愛いウグイスを大声で駆逐しているような気がして、普段はあまり好ましく思わず「ガビ!」なんて呼んでいたけれど、流石にこれだけ私の為?に一生懸命歌ってくれているのを見ては、鳥の姿を借りた主人が、

 「ほら、元気出せよ〜 頑張れよ〜!」

と、言ってるに違いないと思うしかないではないか。

 『本当に傍にいてくれてるなら、証拠を見せて・・・』と願ったから、早速見せてくれたのね。
 
 ありがとう、すごい! なかなかやってくれますね。 
 信じます。 一緒に居てくれていること、信じてますよ。
 
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2017年04月23日

心配してくれる人がいる幸せ

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 日曜日は沈んでいるなんて書いていたら何かを察して下さったのか、思いがけず次々とお便りやメールやお電話まで戴いて驚きました。 
 
 ケロや両親や兄弟姉妹に親戚、小学生時代幼馴染から学生時代の友人、ケロ繋がりのママ友、ガールスカウトの皆さん、お稽古の先生・先輩・仲間、FITの先輩や仲間達、このブログ等を通じてネットで知り合った方々、主人の友人や会社の方々・・・未だお付き合いの浅い方までも、私を心配して心を寄せて下さる方々が、こんなにも大勢いて下さる幸せを心より有難く、また心強く感じております。 

 哀しい涙ではなく、いま、嬉しい涙でいっぱいです。

 主人が、降り注ぐお日様の光に包まれて水晶の玉のような涙をポロポロ流しながら遺してくれた言葉で御礼を申し上げたいです。

 「こんな自分なのに、こんなにしてくれて、
  この感謝をどうやって表せばいいんだろう・・・」

 「ありがとう、ありがとう、
  ホント感謝の言葉しかないよ。 ありがとね・・・。」


posted by 山桜 at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

日曜日が来ると

 主人が亡くなったのが日曜日だった所為なのか、日曜日が来ると気持ちが沈む。 休日を過ごす楽しそうな家族連れの姿に触れるのが辛くて外にも出たくなくなる。 こんな素晴らしく気持ちの良い天気に、勿体ないと思うのだけれど。 

 私は忌中で参加できなかったが、今頃FITの同期の皆は、集って下見会を行っている筈だ。 FITの活動に復帰したら、もう少し元気が出てくるかなと思う反面、主人がこんなに早く逝ってしまうと分かっていたら、FITになど参加せず、もっともっと一緒にいて残りの時間を大切に過ごしたかったという思いが込み上げて来て堪らなくなる。

 「俺はもう一緒に山へは行けないから、行っておいで」
と主人は言ってくれていたけれど、大好きな山へ行けなくなって一人家で私を見送るのはどんな気持だったことか。

 今、主人はもう、息も上がらず心臓も苦しくならず自由の身になって、いつも私と一緒に何処へでも行けるようになったのだから、私が閉じ籠っていてはガッカリしているかな。 明日は元気出して出かけるから、今日は家で静かに過ごすこと、許してください。 さて、ラム・レーズンが漬かった頃かな、パンに練り込んで焼いてみよう。 きっといい匂いで元気が出る。
posted by 山桜 at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月21日

だいこんの花

 いつまでたっても喉の痛み、声嗄れ、リンパ腺の腫れが治らないので、耳鼻科へ行った。 これまでは、とても自分の病院通いまでは出来なかった。 今、私の抱えているストレスはどう考えても相当なものだろうし、少し真面目に自分の身体もオーバーホールしていかねばと思う。 

 鼻から細い内視鏡スコープを入れての検査。 私は鼻の中もその奥も狭いのか、これが苦手だ。 いつも鼻の奥と喉の辺りが傷つき後あとまで治らず、却って症状が酷くなる事さえある。 結果、喉の腫れはあるものの、悪いものはなく、相変わらずの処方薬が出た。 これでは多分、対して改善は期待できないだろう。

 いつも症状があって苦しいのに、検査しても原因が分からない。 そんなことの繰り返しだ。 もやもやを抱えての帰り道、広い畑の片隅で大根の花をみつけた。

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 この花を見ると、昔むかしに見た森繁久彌と竹脇無我の親子のドラマを思い出す。 森繁演じる父親が亡き妻を「だいこんの花のように素朴で美しく控えめな人だった」「妻を娶るならだいこんの花のような人を」と息子に望む。 何故だか子供心に「だいこんの花のような女性」になって「お嫁さんになる」ことに憧れていたものだった。 

  人知れず忘れられた茎に咲き
  人知れずこぼれ散り
  細かな白いだいこんの花 (久彌)

 そんな話、一度も主人にしたことは、なかった。
 私は「だいこんの花」になれたのかな、
そんなことも聞いて見たかったなぁ・・・ 

 
タグ:ダイコン
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2017年04月20日

白い花のメッセージ

 2011年、東日本大震災に襲われた年の春にも咲いた白いショカッサイが突然に姿を見せた。

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 あの年以来、一度も咲かなかったのに、家の主を悼んで咲いてくれたのだろうか。

 去年咲いていた場所を掻き分けても見つからず、消えてしまったかと思っていたニリンソウが、いつの間にか地下茎を伸ばしてお気に入りの場所を見つけて移動し、大株になってたくさん花をつけていた。

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 一つの茎から仲良く二輪の白い花を咲かせるニリンソウ。 

 「いつだって、ほら傍に居るよ」

 「清楚な白い花が好きだったね。」
 
 目に映る全てのことは、メッセージ・・・
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2017年04月13日

病棟の皆さんへ

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3月31日 水芭蕉の花       4月13日 水芭蕉の成長した葉

 この日、お世話になった病棟の皆さんに、御礼の品と主人の気持を代筆した手紙を添えてご挨拶に伺った。
 容態が急変した悪夢のような3月13日から丁度1ヶ月、最後に入院費の精算に訪れた3月31日から既に2週間が過ぎていた。

 主人は、この病院の皆さんの優しさ温かさにとても感激していて、お一人お一人の名前を忘れないようにしたいと、私に名前と似顔絵のメモを作って欲しいと言っていた。 そんなにお顔をじろじろ観察できないので何となくそれらしいものを作ってみたけれど、主人の医療麻薬でぼんやりしていた頭ではとうとう覚えることは出来なかった。 主治医の先生のお名前は、最後のメールでも間違っていて、あらら?だったけど、何だか可愛らしくて・・・。 
「〇〇先生が、奥さんが来たら一緒にご飯食べてねと言ってる」

 容体が急変し他の病棟に運ばれてカテーテルを入れての検査、大変な一夜を過ごした後に元の病室に戻って来た時、病棟の皆さんに、
「〇〇さ〜ん、お帰りなさい!」
「〇〇さん、良かったね〜」
「わ〜、お帰り〜!」
と沢山の拍手で迎えられたこと、
「こんな俺なのに、みんなで良かったよかった〜って迎えてくれて・・・」
と涙をポロポロ流しながら話してくれた。

 後でこの日の事を話した看護士さんは、
「〇〇さんはやさしいから〜 もう一日いなかっただけで寂しくて〜」
と言って下さり嬉しいやら、またここでも女性に優しかったんだなとちょっと複雑やら。

 きっと良くなって退院出来ていたら、お一人お一人に心からのありがとうを伝えたかったのだろう。 代わりに私にその気持ちを伝えてくれと言われているようで、病棟に行くのは辛かったけれど思い切って訪れてみると、最後を看取って下さった看護士さんにお会いすることが出来た。 やはり主人の強い思いの引きあわせなのだろう。
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2017年04月12日

熊本メロン顛末

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やっといい香りがして来てケロと食べようと思っていたのに、正味で24時間も無かった週末の滞在で、すっかりメロンのことなど忘れてしまっていた。 そ〜っと包丁を入れると完熟の芳醇な香り・・・主人はこれにブランデーかウィスキーを掛けて食べるのが好きだったけれど、そんなことをしていたらもう果汁が後から後から流れ出てしまう! いそいで果汁をこぼさないように果肉を切りだして冷凍パックに詰め込んだ。 

次にケロが帰って来た時は、贅沢なメロンジュース祭だね。
タグ:メロン 熊本
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2017年04月11日

大きな転換期

昨年から今年にかけて、私の周りから大切な存在が次々と去っていくのは、何故なのか。 私には今、どんな転換期がやってきているというのだろうか。 神様は私に、一体何をどうして生きていけと仰るのだろうか。

当たり前のように3人仲良く暮らしていた家族から、去年の春ケロが独り立ちし、寂しさの中にも新しい意欲と生活を応援し、なんとか夫婦二人だけの生活に慣れだして、『また新婚生活が戻ってきたようだね』と言いながら、陽だまりのソファに並んで腰掛けのんびりほのぼのと睦ましい日々を送っていたのに、気付かぬうちに重い病が主人に静かに忍び寄り、束の間の幸せな思い出を残し、あっという間に向こうの世界へ旅立っていってしまった。

思えば、昨年、庭で一番大きな桃の木がいつの間にか大きく傾き、その根元に生えていた植物たちが次々と枯れていったのを見て、言いようのない不安を感じていた。 何とか手を打たねばと思いながら、大きな木は私の力ではビクともせず、主人は背中の痛みが強く力仕事は無理な状態で、枝を大幅に切り落として様子を見るだけになっていた。 その後もいつのまにやら庭の中の大切な植物たちが、幾つも枯れたり消えたりしていくのを止めることが出来ず、不安は募るばかりだった。

初夏のような陽気で庭に出てみる気持ちになって眺めていたら、いつもなら双葉葵のつやつやの葉の中から何株も元気に咲きだしている筈の桜草が、下草を掻き分けても掻き分けても一つも見つからない。 福寿草の茂みの後ろで毎年大きくなっていた春蘭の姿もない。 増えて増えてどうしようかと思っていた鈴蘭水仙は一体どこにいってしまったんだろう? 鉢底を破るほどに元気な根をのばしていた赤と黄色のピラカンサは枯れてしまっていた。 大切にしていた山紫陽花や椿の幼苗も新芽を吹いきていない。 
 
桃の木の傾きで、下草や木々は根っこを引きちぎられてしまったのかもしれない。 丁度それが暑くなってきた時期と重なり、私の入院で水やりもして貰えず力尽きたのだろうか。 何だか主人も庭の植物も、私の所為で手当てが遅れたばかりに可哀想なことになってしまったようで、胸が苦しくてたまらない。

外の世界では、デビュー時期と私達の新婚時代が一緒で、いつも元気と笑いを貰っていたSMAPが残念な解散をしてしまい、娘のように応援してきた浅田真央ちゃんもとうとう選手を引退、それぞれ新しく生きる道を求めて進んでいくのだろう。 私も涙の雨で潤した心の中から、新しい元気の芽生えを感じる日を待っている。
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夢で会えた

 この日の朝、初めて主人の夢を見ました。

 いつものように大股で外から帰って来て、庭からカーテン越しにこちらを覗き込んで笑っています。

「わぁ、おかえり〜!」

と、私は手をバタバタ振って慌てて玄関に迎えに出る所で目が覚めてしまいました。

 ああ、勿体ない。 
そんなに慌てて騒がずに、もっとよ〜くあの笑顔を見ておけばよかった・・・。

 何だかちょっと若くてふっくらとしていて元気そうでした。 
 そういえば、自慢の髭がなかったような・・・。
 人は旅立つと、自分の好きな歳になれるのだと聞いたことがあります。

 未だ病気になることなど何も考えていなかった、私が恋していた頃のあなたに戻ったのでしょうか?

 ああ、今度は声を聞きたいです。 何か話しかけてくれたらどれだけ嬉しいか。
 
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2017年04月10日

なりたい見本の先輩

 この日、ケロも帰ってしまい一人ポツネンとしていたら、FITの先輩から有難いメールが届いた。

 このような境遇にいる者に、何か言葉をかけると言うのは、優しい気持ちの方ほど気の重いことだと思う。 却って気を使わせるからとか、何を言っても慰めにはならないからとか思い、ついつい控えてしまうことが多くなる。 私もそうしたことがあるし、その気持ちはとても良く分かる。 それでも、やはり思い切って一歩踏み出し、心を寄せてお便りなど書いて下さることは本当に嬉しく有難く、どんなに勇気づけられることか。 それが心からよくよく分かったから、前にもどこかで書いたけれど、私はもうそうすることを躊躇しない。 

 先輩からのお便りには、
 他の皆さんも心配して下さっている。
 状況が良く分からないのでどのように声を掛けたら良いか悩んでいる。
 引きこもってしまうのが心配。 
 少しずつ復帰しませんか。 
 無理に返信は無用です。
 みんなが待っています。

そのようなことが簡潔に認められていた。
簡潔だけれども一つ一つの言葉が温かく、何一つ傷つけるようなことのないように細心の注意が払われているように感じられた。 私もこういう大人になりたいものと思う。
posted by 山桜 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ケロと過ごした週末

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 ケロが帰って来て、久しぶりに夜遅く眠くなるまで喋って喋って、一緒のお布団にくるまって寝た。 翌朝、ケロのリクエストのパンを焼く仕込をし、お昼は焼き立てのふわふわパン。 主人が食べたがって何度か焼いたけど、手許にあった小麦粉がイマイチだったので、美味しい小麦粉を注文したら届いたのは入院後。 その小麦粉をようやく使う気になった。 

 ケロは美味しい美味しいと言って一人であっという間に半分ほども食べてしまい、お腹がパンパン。 それなのに、ピザ用の小麦粉も見つけて、『夕飯はピザを焼いて!』という。 そうそう、そのピザを焼く為の鉄皿も買ってあったっけ。 野菜・きのこ・食べ残しのカマンベール・チーズもモッツァレラ・チーズもみんな乗せて出来た豪華なピザを頬張って、満足気のケロの笑顔が嬉しい。 でも本当は、私が何かを作ることで元気が出るように、甘えて見せていたのかな。 

 たった一泊だったけれど、その一泊の為に遥々帰って来てくれたケロの優しさに包まれて幸せな2日間だった。 また静かになった我が家の庭では、桃の花が満開だった。

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タグ:モモ
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2017年04月09日

大河ドラマの「直虎」

 入院中の主人に、
「何だか直虎、鶴が可哀想で見るの辛くて。 
もう見るの止めようかな・・・」
 と言ったことがある。 答はどうだったか・・・相変わらず、
「ふ〜ん」
なんて言って、ちょっと寂しそうな顔をしていた気がする。

『毎年、どんなのでも欠かさず見ていたのに、
 俺がこんなだから落ち着いて見られないんだろうな、ごめんな・・・』

 若しかしたら、そんな気持ちだったのかもしれない。 いつもこうやって、主人の心の中を想像する癖は、生きていた時から同じだった。 

 この日、ケロを見送って家で一人、久し振りに「おんな城主 直虎」を見た。

 思えば直虎は、愛する人(幼馴染の亀)とは添えぬまま、その人は殺され、結婚もせず子もなさず、領民の為、井伊家存続の為に女城主として生きてゆく。 そんな人生もあるのだ。 人生の幸不幸を客観的に他の人と比べることは愚かなことだろうが、その姿を見て学ばねばと思い直した。 

 そしてこの日出てきた、

 「清風払明月 明月払清風」

の言葉にドキドキ胸が高鳴った。 そこに主人の法名が入っていたのだ。 こんな偶然ってあるだろうか?

 さっきはケロの忘れ物から満開の夜桜を一緒に見せてくれて、今度は見るともなく何となく見ていた大河ドラマでこんなことが・・・。 これはもう絶対に主人が私に何かを伝えようとしてくれている、 

「ほら、いつも傍に居るんだ、俺は」
「気持ちを伝えようとしているんだよ」

ありがとう、そう信じさせてくれて、ありがとう。
タグ:直虎
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3人で見た「夜桜」

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 電車の時間ぎりぎりまでお腹いっぱい頬張っていたケロが、慌ただしく荷物を纏めて家を出発。 哀しくなるから玄関で見送るねと、見えなくなるまで手を振って部屋に戻ると、ハッとさっきケロが荷物を纏めていた場所に忘れて行った大事な手帳に目がとまった。 直ぐにケロに電話するも出ない、急いで手帳を持って飛び出し追いかけた。 その間にケロからコールバック、
「一本遅らせるから走らないでいいよ!」
時計を見れば、頑張れば未だ乗る予定の電車に乗れそうで走り続けた。

 するとケロがこちらに戻って来ていたので鉢合わせ。
「もう、走らないでいいって言ったのに〜危ないなぁ・・・
 一本遅らせたんだから、桜、見に行こう」

 この週末、折角の満開の桜だったのに、雨降りだったり忙しかったりでとうとう見に行けず残念に思っていたが、こんな思いがけないことでケロと夜桜を見ることが出来た。 これは、どう考えても主人の演出ではなかろうか? 手帳を忘れて行ったのも、直ぐにそれき気付いたタイミングも奇跡的で絶妙すぎる。 

「バタバタしてないで、みんなで今年の桜を見ようよ」
そんな主人の計らいで、今年も家族3人で桜を見ることが出来たのだ。

ふっと気付けば、慌てて飛び出した私は主人のダウンジャケットを羽織っていた。 
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