
「人は死なない」を読み返した後、何かきっと今の私を、この耐え難い苦しみから救いだしてくれるような本があるのではないかと探し求め、レビューの評価の中で大切な人を失った深い悲しみの中から救ってくれたとの声の多かった、
精神科医 エリザベル・キューブラー・ロス
死と悲嘆に関する分野の第一人者 デーヴィッド・ケスラー 共著の
「永遠の別れ−悲しみを癒す智恵の書」
Finding the Meaninig of Grief
Through the Five Stages of Loss
を、4月13日(丁度主人の容態が急変して1ケ月目の夜)から読み始め、涙で文字が追えなくなるので毎日少しずつ読み進め、昨晩感動の内に読み終えました。
『ああ、私の今の状況は正にこれだ』と思える記述が次々と示されていて、やっと分かってくれる人に出会え嬉しくて。 自分の気持ちを的確に言葉にして説明して貰える、今の状況を肯定して貰えることが、こんなにも安堵を与えてくれるものとは思いませんでした。 本書の内容は、どんな媒体にも引用が許可されていないので詳しく書くことは出来ませんが、
エリザベスはホスピス運動の提唱者の一人で、「死ぬ瞬間」という書の中で、
「悲嘆の五段階」
否認⇒怒り⇒取引⇒抑うつ⇒受容 について論じた人です。
これを読み、自分が今どのような段階にいて、それは多くの人が経験する正常な心の動きであることなどが分かり、ホッとしました。 私は今、ようやく抑うつから受容へ移れるかどうかの辺りに来られたのかなと思いますが、そう思ったそばからまた前の段階に戻ったり進めたり、そういうこともまた、深い「悲嘆」の中にいる者には自然なことなのだそうです。
そしてまた「悲嘆」とその過程には、「秘められた素晴らしい治癒力がある」ということも教えられました。
「悲しみ抜くことそのものに大きな癒す力がある」
「悲しみ抜くことを自分に許さなかった人は、いつまでたっても悲しみから抜け出すことが出来ず、社会へも上手く適応していけない。」
「愛する人の喪失を受容し、喪失と共に生きることを学べば、心の傷は自然に癒え、愛する人の死という辛く苦い経験をもった新しい自分に成長し、再び歩き出すことが出来る」
私は今一人ですので、誰に遠慮することもなく、感情の高ぶるままに泣いたり、見えない主人と声を出して話し笑ったりもしています。 散歩に出る時は、ふいに涙が出てきて止まらなくなっても大丈夫なように、帽子・サングラス・マスクをしています。
主人とは、退院したらまた手を繋いで散歩してくれる約束でした。
「手を繋いでスキップもすると、
自律神経の調和がとれて、免疫力が上がるんだって!」
というと、
「よ〜し、やるか!」
と冗談めかして笑っていました。 すっかり子供っぽくなっていたので、案外本当にスキップもしてくれたかもしれません。 ですので散歩に出ると右手はいつも主人が握っていてくれて、耳元で声が聞こえてきて、嬉し涙が出て来てしまうのです。 傍から見たら変な人ですよね。 以前は独り言を言って歩いている人を訝しく思っていましたが、今は親近感が持てています。
他の人には見えない人が見え、その人と話せる人もいるのです。
【エリザベス・キューブラー=ロス】
(スイス生まれ 独:Elisabeth Kübler-Ross 1926年7月8日〜2004年8月24日)
『死ぬ瞬間』(1969年)の著者として知られる精神科医。 今日では「死の受容のプロセス」と呼ばれている「キューブラー=ロスモデル」「喪失の五段階」を提唱。 まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)の考察や悲哀を癒す仕事(Grief work)についての先駆的な業績で知られている。
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